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ヘルスケア分野と異業種との境界領域最適化

医療機器・医療福祉設備 同時的管理シナジーME & Healthcare Facility

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※.私見や調査時点のデータなどが混在し不正確な部分があるかもしれません。予めご了承ください。


臨床工学技士の未来を応援

未来

 昭和の終わりまで臨床工学技士は存在しませんでした。平成の時代に有資格者が増え4万人に達しました。

 人口減少時代ではありますが高齢者人口は増えているため医療従事者はしばらく忙しくなりますが、いずれは高齢者の人口も減少します。その前にAIやロボ化により業務量が激減するかもしれません。

 必要として創設された新しい資格・職種です。
 30年後の医療現場でも臨床工学技士が活躍しているためには、今のうちから考えておかなければならないことがあるかもしれません。



適応的進化

 臨床工学技士法が制定された頃、公衆電話は『カエルコール』という広告やCMが流されるほど市民生活に浸透していました。同じ頃、『ショルダーホン』という弁当箱のような携帯電話の発売が始まりました。

 お察しのとおり携帯電話はスマートフォンとして生き残りました。公衆電話は災害時にのみ注目されるような存在となり、その数は激減しました。

 必要とされて創設された臨床工学技士も、必要とされ続けなければ存在は危うくなり、必要なときだけ呼び出される存在になってしまうかもしれません。

 チャールズ・ダーウィンの『種の起源』から引用すれば、生存競争に勝ち生き残れるのは変化に対応できる種であり、そうでない者は自然淘汰されます。

 職種の淘汰は関係者の努力により改善できる可能性があり、その努力を怠れば人為的に淘汰される可能性があります。危機や脅威が迫っていても何もしないということは、それを選択したことになります。




陰ながら応援

 私たちは無力な一介の技士。職能団体で活動する訳でもなく末端に座っています。
 ゆえに未来の技士のためにできることはありませんが、未来の臨床工学技士を想像し、未来のために活動する方々を応援しています。


※.私見や調査時点のデータなどが混在し不正確な部分があるかもしれません。予めご了承ください。




臨床工学技士の業務拡大

新しい資格・職種

 臨床工学技士免状が誕生したのは昭和62年、1987年のことです。

 免許誕生の功績には諸説ありますが、透析現場で技術者が不可欠であると、裁判所という記録が残る公の場で述べられた医師が居られたことは有名な話です。

 心臓外科手術では人工心肺装置を操作するエンジニアが欠かせず、ほかにも手術室や集中治療室で働くエンジニア系人材が居ました。

 臨床工学技士という職業は、こうした方々が居られなければ誕生しなかったと考えられます。




法制化当初

 臨床工学技士法が制定された当初は明確に専門が分かれていたと言っても良いかもしれません。

 透析出身、人工心肺出身、ICU出身、機械室出身など免許は同一でも職能は専門分化されていました。

 ゆえに同じ病院、同じ免許で従業していながらも互いの仕事内容を知らず、また互いに仕事を交換することもできないという状況がありました。



後発免許の多様性

 工学系医療資格では臨床検査技師や診療放射線技師は長い歴史があります。その業務についてはレントゲン氏やパスツール氏など人物を挙げて語る事もできます。

 臨床工学技士は昭和の終わりにできた職業であり、見方を広げると『放射線装置と検査装置以外の医療機器』を全般的に扱う仕事であると考えることができます。

 20世紀の時点で医療機器は多種多様でありましたが、21世紀に入ると心臓カテーテルや内視鏡が診断目的から治療の併用へと進化し、そこに関わるエンジニアの責務も重くなりました。

 市民も使える高度な医療機器"AED"も数十万台の普及に至り、医療における機器への依存度は高まりました。


※.私見や調査時点のデータなどが混在し不正確な部分があるかもしれません。予めご了承ください。




技士倍増

倍増

 臨床工学技士法制定後、現任者措置として資格取得の移行期間が5年間ありました。

 移行期間後は養成校卒の技士が次々と免許を取り、移行期間終了から10年間で技士数は倍増、2005年には試験合格者累計が2万人に達しました。

 仮に移行期間に免許を取得した人が高度な専門を持ち、他の臨床工学技士業務には手を出していなかったとすると、その医療機関に雇われた養成校卒の新卒技士も同じ専門の中で働くことになります。


※.グラフは当社で制作したオリジナルです。転載など二次利用される場合は許可を得てください。



最初の業務枯渇

 2000年を過ぎて現任者措置の時代から倍増した臨床工学技士ですが、それに見合うほどの業務拡大をしていなかった場合、業務が不足し人が余ってしまうという現象が起こります。

 多くの医療機関で臨床工学技士は業務拡大に取り組み、医療機関側も看護師不足を補うなどの理由があったことも手伝い一定の成果を出すことができました。



医療機器安全管理は受動的!?

 2005年前後、筆者は医療機器安全管理が臨床工学技士業務として重要になると考えていました。

 それは、医療従事者の中で医療機器全体をマネジメントできる職種が臨床工学技士であると考えたためです。

 一方で『臨床』を冠する資格なので、臨床業務をせずにバックヤードに居るのは間違えているという考え方も根強くあり、医療機器安全管理は片手間で行うもの、本業とする人は邪道という見方をする人も居ました。

 実際、保険点数を取れない医療機器安全管理は低予算の中で実施され、技士がサービス残業をして管理するといった実態もありました。

 転機は2007年、第五次医療法改正により、医療機器安全管理が義務化され、翌2008年には診療報酬に医療機器安全管理料という名称で常勤臨床工学技士が居ることなどを条件に保険算定ができるようになりました。

 2006年までの空気感とは一転し、2007年からは臨床工学技士業務として医療機器安全管理が普遍化しました。



内視鏡業務は大ヒット

 かつて心臓カテーテル検査室に臨床工学技士が入るようになり、補助循環などの装置を使う機会が増えるとともに技士の配置が増加していきました。

 内視鏡業務は、当初は機器の準備や洗浄のためのテクニシャンとして関わっていた人も少なくありませんが、今では内視鏡医を補助する重要な役目を担う技士も少なくありません。

 内視鏡医に寄り添い、陽の目を見ない時代も支えた技士によって、現在は内視鏡室配置技士を定数化できるほどに成長しています。


※.私見や調査時点のデータなどが混在し不正確な部分があるかもしれません。予めご了承ください。




増えすぎ注意

危険水準

 臨床工学技士の養成校は2000年頃には20校程度でしたが、10年で倍以上、20年でさらに倍以上に増えています。

 国家試験合格者数は年2,000人に満たない時代が長く続きましたが、現在では2,000人超えが普遍化、定年退職者の数より新卒者の方が多くなるので技士数は増加の一途です。

 免許が出来て40年に満たないので、そもそもの定年退職者がほとんどおらず、免許取得者が技士数を純増させるような水準があと数年は続きます。

 Inが多くてOutが少ない、水槽の大きさが一定であるにもかかわらず水を入れ続ければ溢れることは誰もがわかることです。


※.グラフは当社で制作したオリジナルです。転載など二次利用される場合は許可を得てください。



ブレーキが無い

 養成校の新設が相次ぐ時点で卒業者数が増えることは自明です。
 国家試験受験者数が増えても合格率が下がれば絶対数は抑制できます。

 学校新設も試験合格率も調整されないまま何十年も経ってしまえば、それを補正するにも何十年もかかります。

 仮に来年から養成校を半減させ、4年後に国家試験受験者数や合格者数を半減させても、今年の合格者はあと40年くらいは働くので、In/Outのアンバランスは40年近く続いてしまう可能性があります。



器を増やす

 Inを止めるられず、Outは自然の流れに任せるのであれば、あとは器を広げるしかありません。

 人口減少時代なので受動的な業務拡大にはあまり期待しない方が良さそうです。

 医療機器は増加する一方ですが、臨床工学技士を必要とする機器が増えるとは限りません。

 新たな視点での業務拡大が不可欠です。



厳しい現実

 臨床工学技士の業務拡大は内視鏡などで奏功しているものの、透析装置の自動化や透析患者減、心臓外科手術のオフポンプ化や血管内治療の進化などにより臨床工学技士需要は劇的に減ることが予想されています。

 下図は数年前に筆者が学会で示したグラフです。
 臨床工学技士数は透析患者数の約1割で推移してきた歴史があり、その相関係数は非常に高いものでした。
 透析患者が減少する推算が透析医学会から発表されており、仮に現実になったとすると2025年頃には臨床工学技士が1万人以上の余剰となる可能性があります。


※.グラフは当社で制作したオリジナルです。転載など二次利用される場合は許可を得てください。



有効求人倍率0.49?

 試算によれば2025年の臨床工学技士有効求人倍率は0.49にもなり得ると出ています。

 2人に1人しか就業できないか、給与を半分にして全員が就業するか、臨床工学技士として働くのを諦めるか、いずれの選択肢も厳しい内容となっています。

 特に透析は患者が減った分を補う収益が見込めなければ、削れる先は人件費しかなくなるかもしれません。


※.私見や調査時点のデータなどが混在し不正確な部分があるかもしれません。予めご了承ください。




未来のために

生存

 臨床工学技士という職業が健全に生存しつづけるためには、業務拡大が不可避です。

 待機児童問題で揺れる保育園ですが、保育士有資格者の保育業務就業率は5割に満たないとのデータがあります。
 未就業の理由としては『待遇』に関するものが多く見られます。

 働く場所があっても、働きたい環境で無ければ資格を活かして働くことが難しくなると言えます。



臨床工学技士ブランド

 臨床工学技士という免許を持ち、臨床工学技士を名乗って仕事をしてきたのでそれを継続させたいという人も少なくありません。

 ネームバリューが活きるのであれば、そちらの方が経済的です。

 まっさらな白紙から始める仕事も、面白みがありますがリスクもあります。



海外

 世界を見ても臨床工学技士という免許が普及している訳ではなく、簡単に海外で活躍できる訳ではありません。

 Bio Medical Engineering Technician (BMET)という仕事は臨床工学技士に近いかもしれません。ほかにDialysis technicianやRespiratory therapist、perfusionistなどは関連の深い仕事になります。

 中国では慢性維持透析患者が日本の患者数を超え、今後も増加が見込まれています。
 ミャンマーでは日本人臨床工学技士が慢性維持透析ビジネスを確立しました。

 日本から海外へ、世界の医療や健康への貢献が期待されます。



ME機器管理

 これまでも医療機器安全管理は実施され、また一部業務はアウトソーシングされ効率化されてきました。

 しかしながら診療報酬など医療機関の収益構造からみた機器調達計画や、工学的視点を入れた地域医療連携などは実践されている事が稀であり、開拓余地があります。

 下図は医療機器安全管理料Tの届出施設の現状です。常勤技士が居れば普通は届出ると考えれば3,000足らずが常勤の居る施設数、その数は10年で数百施設しか増えていません。

 『医薬品は薬剤師』というイメージは定着していますが『医療機器は臨床工学技士』と言い切れないのが数値にも表れています。全技士が1施設ずつに常勤となっても足らないのであれば、違う方法で全施設をカバーできるようにしなければ『臨床工学技士の仕事は医療機器』と認識されても『医療機器と言えばメーカーさん!?』となってしまいます。

 10万軒以上の未踏の地があるのであれば、臨床工学技士の未来のために、未来の臨床工学技士たちのために、現任者たちは一歩を踏み出す価値があるのではないでしょうか。



マネジャー職

 臨床工学技士の採用数が増え、1つの部署が出来、そこに主任者が任命され技士長という職位が生まれています。

 病院のマネジメントをやってもらいたくて雇われているというよりは、部署を牽引するリーダー的な役割を担っている場合が多く見られます。

 既に事務長などの要職に就く臨床工学技士も増えており、マネジメント力を身に付けることでマネジャー職に就くことが可能になります。
 臨床工学室から1人が管理部門に異動すれば、新たに臨床工学技士を1人雇い入れることができると考えれば、先輩たちがマネジャーになることが後輩の役にも立つ事になります。

 マネジャーに求められる資質については学校でも職場でも習う事ではなく、大学院への進学や社会人として院外で経験を積むことで養われる素養が、マネジャーへの新たな一歩となっています。



※.私見や調査時点のデータなどが混在し不正確な部分があるかもしれません。予めご了承ください。




未来のために

新分野開拓

 タスクシフティングなどで話題の医師や看護師から業務を移管する方法は良い面もありますが、人材育成や法的根拠など時間のかかりそうな課題も見えています。

 他の医療従事者と競い、仕事を奪い合うより、手つかずの仕事を開拓する方がリーズナブルです。

 免許に自由度があるのであれば、その自由な発想で新分野を開拓すれば未来の技士にも良い職場環境を残すことができます。



非臨床型

 臨床工学技士の免許範囲は臨床にフォーカスすると非常に狭くなります。
 すなわち、臨床業務としてはできる仕事が限定的であるということになります。
 また、法令上は名称独占であり、業務独占や開業権が与えられていないことも特徴です。

 であれば、非臨床型で業務を拡大する方が良いのではないかと考えられます。



医工連携コンサルティング

 非臨床型の臨床工学技士業務として『医工連携』が検討できます。

 本業とするためには医療界と産業界の境界領域に立ち、存在する課題を解決する能力が無ければ対価は得られません。

 見方を変えれば、境界領域の課題を解消すれば対価を得られることになります。

 いわゆるコンサルタントやアドバイザーという仕事は、専門的な知識や技術を提供することで高単価な対価を得ることができる仕事です。時間単価が高い分、基礎となる知識や最新動向を得るための隠された労務が伴いますので、トータルで見れば一般的な職業と同等になるかもしれません。

 雇用形態は様々あると思います。大企業であれば常勤として、中小零細企業であれば非常勤として、支援機関やコンサルファームなどでは契約社員として働く姿が想像できます。

 年収は300万円〜1,500万円程と幅広いと思われます。300万円でも複業とすれば悪くない数字だと思います。

 私たちは『医工連携くまもとモデル』を3年がかりで構築しました。
 これは医療機関と企業とが直接出会うだけでは長続きせず、3カ月もすれば疎遠になるという過去の失敗データに基づいて仲介役を臨床工学技士に任せるというものでした。
 臨床工学技士は職能を活かし、情報の可視化や翻訳を務めます。
 この仕事を1回3万円、年10回受ければ30万円分の副業になります。年収300万円台の若手にとっては年収10%upの大きな仕事となります。



西謙一: 臨床工学技士業務枯渇回避に向けた新規業務としての医工連携と経済・社会・産業への関わり (第23回近畿臨床工学会・医工連携シンポジウム・講演資料)



医療設備

 医療の機器への依存度が高まり、同時に電力への依存度が高まりました。すなわち電力は脅威の1つと見る事ができます。

 医療機器安全管理を担う臨床工学技士の内、医療設備を真剣に管理している人はどの程度いるでしょうか。
 過去に学会の一般演題数を調べたところ、停電などを主題としていたものがほとんど無いという実態が明らかになりました。

 また、医療安全管理や医療機器安全管理のメンバーに設備担当者が含まれていることも少ない事がわかっています。

 日本でME(エムイー)といえばこの人と挙げられる5人に入る小野哲章先生は、2012年にホスピタルエンジニア認定制度を開始しました。
 安定したインフラとしての設備と、負荷としてのME機器を同時的に管理することの必要性を実感し、実践してもらうために作られた認定制度は臨床工学技士である筆者も第1回試験を受験させて頂きました。

 医療機器と医療設備は同時管理すべきと言われても実践されてきていない現実があり、それを良い意味で覆していくことが新境地を開くカギとなるかもしれません。

 まずは臨床工学技士が電気工事士免状を取得するところから始めると、何か良いことが起こるのではないかと考えています。



西謙一: CHE取得臨床工学技士の医療機器-医療設備境界領域の安全管理, 第46回日本医療福祉設備学会・一般演題口演)



ME機器・医療設備の同時管理

 医療機器と医療設備を同時管理する意義は前述のとおりです。

 もし、これからそのようなセンターを院内に作ろうと思った方はご相談ください。

 ひとつお勧めできるのは、何の資格を持っているスタッフであっても共通言語として『認定ホスピタルエンジニア』(CHE)を取る事です。
 特に医系と産業系でコミュニケーションエラーが出ている部分を補正するのに役立ちます。

一般社団法人日本医療福祉設備協会: 認定ホスピタルエンジニア






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※.グラフや図画には当社オリジナルの物が含まれます。無許可での複製や転載はできません。


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