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BLOG 医療機器・設備・環境

添付文書の電子化(2021年8月~) | NES株式会社

医療機器添付文書の電子化
 ├ 医療機器等の添付文書電子化
 ├ 著作物
 ├ 文化庁に問合せ
 ├ 指先にA4用紙
 └ バーコードで管理できる

バーコードのしくみとはたらき
 ├ 使うのはGTIN
 ├ 簡単に言えばJANコードで管理
 ├ 本体表示はGS1-128
 ├ バーコードリーダーの違い
 ├ ソフトウェア上の処理
 ├ GS1-128を分解してみる
 └ 0と1に分けてソフトを作る

添付文書電子化の運用イメージ
 ├ 走査方法の確立
 ├ コードと情報を紐づける
 ├ 紐づけはリダイレクトページ
 ├ 添文ナビ(GS1 Japan)
 └ 試用と仕様

NESが想定する課題と対応案
 ├ 課題(1)大規模リコール
 ├ 課題(2)古い機種
 ├ 課題(3)カメラ使用許可
 ├ 課題(4)ネット使用許可
 ├ 課題(5)バーコード本体表示
 ├ 課題(6)GS1コード変更
 ├ サーバーダウン対応策
 ├ オープンデータ化やアクセスフリーに(私案)
 ├ 添付文書コピーOKに(私案)
 ├ 任意登録制度創設を(私案)
 ├ 電子化裏チャンネル(私案)
 └ アプリ手入力対応

おわりに
 └ 電子化を支援したい!




医療機器等の添付文書電子化

 次の薬機法改正の大きな話題として、添付文書の電子化があります。

 添付文書とは、医療機器や医薬品に『添付』される『文書』で、A4用紙8ページ以内、本体に同梱・同封が基本でした。
 20個入1箱で20枚同梱というのは昔の事で、近年は簡略化されていたものの、紙媒体が添付されるのが当然でした。

 薬事法改正があった2005年(平成17年6月)より、PMDAのホームページで添付文書が検索できるようになりましたが、すべてを検索する事ができない、検索できても紙媒体は必要ということで、医療機関での運用には紙媒体が使われてきました。

[Link] 厚生労働省: 医薬品等の注意事項等情報の提供について, 厚生労働省医薬・生活衛生局医薬安全対策課長, 薬生安発 0219 第1号, 令和3年2月19日

[Link] 厚生労働省: 改正薬機法の施行に向けた対応状況について, 資料4-1, 令和2年度第2回薬事・食品衛生審議会 医療機器・再生医療等製品安全対策部会, 2021年3月25日

[Link] 厚生労働省: 薬機法改正に向けた対応状況について 添付文書の電子化、トレーサビリティの確保, 資料5-1, 令和2年度第1回薬事・食品衛生審議会 医療機器・再生医療等製品安全対策部会, 2020年10月14日

[Link] PMDA: 添付文書の電子化について

[Link] 厚生労働省: 薬事法及び採血及び供血あつせん業取締法の一部を改正する法律等の施行について, 厚生労働省医薬食品局長, 薬食発第0709004号, 平成16年7月9日


著作物

 筆者は医療機器安全管理システムの開発をしていたので2005年当時のこともよく覚えていますが、電子化されていない添付文書をスキャンして電子化しようとしたとき、著作権の壁に当たりました。

 当時、T社に輸液ポンプ等の添付文書の電子データを請求しましたが平成17年以前の物は紙媒体のみの提供であり、社内でも電子化できないとの事でした。
 病院が勝手に電子化することもできず、本体に紙の添付文書をぶら下げて運用していました。

著作権

文化庁に問合せ

 著作権の所掌は文化庁です。
 当時、文化庁主催のセミナーに参加し質問しました。

 学校教育などでは特例が認められていますが、医療には特例がないので、著作権者が下図のような自由利用マークを付けない限り、普通の著作物として扱われるとのことでした。

 院内でしか利用しないのですが、公正な運用のためには添付されてきた紙媒体を使うしかないようです。

[Link] 文化庁: 著作権


指先にA4用紙

 病院勤務時代、保健所から、医療機器それぞれの添付文書が即座に参照できるようにと指導されました。

 具体的な方法を訊ねると、本体に添付文書(紙)をぶら下げる方法を指導されました。
 パルスオキシメーターという指先に取り付けるタイプも、小さな本体にA4判の紙をラミネートしてぶら下げることになってしまいます。

パルスオキシメーター
パルスオキシメーター

バーコードで管理できる

 法改正後は、情報の取得にバーコードが利用できるようになるため、携帯端末でカシャっとすれば添付文書を閲覧できます。

 院内でカメラを使うことをどうするのか迷う面もありますが、急いでいるときに紙を探すより、便利になります。

 ME機器にぶら下げていた添付文書はラミネートしているとはいえ、拭き取り掃除も大変でしたし、紐は汚いと思っていたので、これでシール1枚で管理できるようになります。

添文ナビ



使うのはGTIN

 "GTIN"とは『ジーティン』と読みますが、Global Trade Item Numberの略で商品の識別を行う記号、識別子です。

 スーパーやコンビニで活用されているバーコードは"JAN"(ジャン)を使っていますが、GTINではJANも包含します。
 JANは国際ルール(GS1)に則り、日本では45か49で始まる事業者コードと、その事業者が任意で決める商品用のコード、チェックディジットの合計13桁の数字で商品を識別しています。
 使える記号は数字だけです。事業者コードが9桁の場合、チェックディジットが1桁あるので商品用に使える数字は3桁です。

GTIN

[Link] GS1 Japan: GTINとは


簡単に言えばJANコードで管理

 今回の添付文書電子化では、GTINの14桁、すなわちJANコードの頭に1桁加えたコード(GTIN-14)を使います。

 一般的に医療機器に本体表示されているGTINコードは、JANの13桁の前に"0"(ゼロ)を付けた14桁の表示だと思います。

GS1-128

[Link] GS1 Japan: GS1事業者コード・JANコード(GTIN)とは


本体表示はGS1-128

 JANだと申し上げた矢先ですが、医療機器本体に表示されているバーコードはJANコードではありません。

 JANコードは数字しか使えないので1桁あたりで0~9までの10種類を識別できれば良く、上限13桁のため全体の幅も狭く、制約が多い分だけ白黒の棒模様(データーバー)はシンプルです。

 一方、医療機器本体表示に使われるGS1-128は、データーバーの種別ではCODE128という物を使います。
 CODE128は数字、アルファベット、記号が使え、更に制御記号を埋め込む事もできます。
 その分、バーは複雑になるため、情報が多いからとバーコード全体を幅広にできないのであれば、バーとバーの間隔を狭くして表示しなくてはならず、密なコードになりがちです。

 CODE128(GS1-128)では『01』という記号を入れて『今からGTIN14を14桁で示します』と宣言してから14桁を表示するので、バーコードリーダーでは最低でも16桁のコードを読み込む事になります。
 実際には16桁の可読記号以外にスタートコード、ストップコード、チェックディジットが入るのでバーコード全体は長くなります。

添文ナビ

[Link] GS1 Japan: 識別コード


バーコードリーダーの違い

 JANコードとCODE128は白黒の縦線で表現するバーコードという意味では共通しますが、その中身は全く異なるものです。

 互換性も共通性も無いコードなので、バーコードリーダー側も相応に調整が必要になります。

 バーコードリーダーは仕様を確認すると、どのタイプのコードを走査できるか記載されています。
 何種類ものコードが走査できる仕様であったとしても、JANとCODE128が同時に走査できるとは限りません。

 物流の世界で考えれば、例えばコンビニの在庫管理システムであればJAN以外のコードは走査させたくないが、レジでは料金代理収納用にCODE128も走査したい、という需要があります。バーコードリーダーをJAN専用にしておけば、CODE128を走査しても反応しません。

 バーコードリーダー本体の相場はCCD式が5千円~1万円程、レーザー式が1万~2万円程です。ワイヤレスになると更に5千円程高くなります。
 機種によってはCODE128(GS1-128)のように密なバーコードを走査できない物があるので、これから調達される場合は注意しましょう。

GS1 Databar対応、0.076mmの高分解能、走査速度200スキャン/秒、走査を音と振動で確認、本体重量85g、USB接続。※.QRコードは走査不可

ソフトウェア上の処理

 JANコードは走査すると素直に13桁(または8桁)の数字がそのままキーボードで打ち込んだように入力されます。

 CODE128は制御記号を使う事ができますし、最小のJAN13桁を読みたくてもゼロ補正されたGTINの14桁と識別子01の16桁が読み込まれるため、ここから必要な情報を選び出す必要があります。

GS1-128
JAN(13)バーコード
GS1-128
GS1-128バーコード

GS1-128を分解してみる

 GS1-128を処理するソフトウェアでは符号から内容を想定しなければなりません。

 頭に『01』が付いたから、次の14桁目まではGTIN14で、その内の下13桁はJANコードだと仕分けする必要があります。

 例示した画像にある『17』という符号は使用期限として使われ、これは6桁という決まりがあるので17のあとは6桁目までYYMMDD形式だと想定して読み取ります。

 『10』から始まる数字はロット番号です。これは桁数に決まりが無く長さは任意、アルファベットが使われる事もあります。
 シリアル番号の場合は『21』から始まります。ME機器の場合はシリアル番号の方が多いと思います。
 バーコードの事を考えるとアルファベットは使ってもらいたくありません。CODE128は2桁の数字が並ぶ場合にはコード幅を短くできる特徴があり、すべて2桁数字ならバー間が密にならずに済みます。

GS1-128
GTIN14(JAN)を表わす01
GS1-128
GS1-128

 下図には人間の視覚情報として不要なものもバーコード内に含まれています。
 冒頭で『今からCODE-Cで始めます』というスタートコードが6本の線で表現されています。
 線は細い、中間、太い、極太の4種類が白黒2種類あるので8種類の線を組み合わせます。ここで使った5本とは、中黒-細白-細黒-中白-太黒-細白の6本です。

 ストップコードは、中黒-太白-太黒-細白-細黒-細白-中黒の7本の線で表現されています。

 CODE-128は基本的に3本の黒(バー)と3本の白(スペース)で表現されます。ストップコードだけ例外です。

GS1-128

0と1に分けてソフトを作る

 以前、筆者はGS1-128バーコードを出力するソフトウェアを開発した事があります。

 そのときは、106種類あるキャラクタコードをすべてプログラムの中に打ち込みました。
 CODE-A、CODE-B、CODE-Cがあるので316種類のデータを取り扱う事になります。

 106種類あるキャラクタ、ストップコードを除く105種類は白黒3本ずつの6本の線で表現されています。
 4種類の線を6本組み合わせてキャラクタを構成していますが、105種類あるキャラクタのどれも幅は同じです。

 そこに着目し、一番細い線の幅でキャラクタを切ると10本分であることがわかりました。
 すなわち、10桁の白と黒、0と1で表現できます。

 キャラクタ1個あたり10桁の2進数、キャラクタ10個でも100桁になります。
 この演算処理を内包したソフトウェアを作ることでGS1-128を扱うことができるようになります。

 下図は開発したソフトウェアで出力したGS1-128バーコード付きラベルの一例です。
 インクが滲むようなプリンタですとバーコードが潰れてしまいますが、家庭用のインクジェットプリンタで純正インクを使えば概ね印刷可能でした。
 名刺サイズで印刷するタイプは管理台帳などを想定し、例えば修理に出している場合でも機器のバーコードは手元に置いておき、間違いが起こりにくい管理ができるようにしました。

GS1-128
汎用プリンタで印刷できるGS1-128バーコード付きラベル(A4判21面)
GS1-128
A4判10面の場合は機器画像も挿入可能



走査方法の確立

 バーコードもQRコードも人間の目での可読性はありません。

 まずは、医療機器本体に表示されているバーコードやQRコードを走査するツールが必要になります。

 最もわかりやすいハードウェアはバーコードリーダーです。そのためだけのデバイスです。
 近年はスマートフォンのカメラ高精細化により、画像認識でバーコード等も走査できますので情報端末でも対応可能です。

添文ナビ
バーコードリーダーなら3歳児でも走査できる(自験例)

コードと情報を紐づける

 13桁のJANコードがわかっても、厚生労働省(実際はPMDA)のデータベースから情報が引き出せなければ意味がありません。

 PMDAの想定している運用方法では『医療機器安全性情報掲載システム』を経由して紐づけするようです。

 『リダイレクト』という表現をしていますが、13桁のJANコードを送ると、医療機器安全性情報掲載システムのデータベースから添付文書IDを抜き出し、その添付文書を表示するという仕組みになります。
 データベースとマッチングという負荷のかかる仕事はPMDAのサーバーで対応してくれるようです。

添文ナビ

[Link] PMDA: 添付文書電子化における外箱の符号からのリンクに関する技術的情報(業者向け)


紐づけはリダイレクトページ

 GTIN-14から該当機種を探して情報提供する流れは、PMDAが提供するリダイレクトページへアクセスします。

 リダイレクトページは下記のURLの仕様になっています。

●添付文書を直接閲覧するためのリダイレクトページ

添文ナビ

https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/bookSearch/01/{GTIN14}


●関連文書一覧を閲覧するためのリダイレクトページ

添文ナビ

https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/rdSearch/01/{GTIN14}


添文ナビ(GS1 Japan)

 GS1 Japan(一般財団法人流通システム開発センター)が『添文ナビ』というアプリをリリースしています。

 AppleのiPhoneなどで使えるものと、Android版があります。

添文ナビ
添文ナビ iOS版
添文ナビ
添文ナビ Android版

[Link] 添文ナビ(iOS)
[Link] 添文ナビ(Android)
[Link] GS1 Japan


 アプリを起動すると初回は動作許可を求められます。
 カメラとフォルダ・ファイルへのアクセスを許可します。

添文ナビ
カメラへのアクセス許可
添文ナビ
フォルダ・ファイルへのアクセス許可

 アプリを起動するとスキャン画面が表示されます。

 スキャン画面の画像の枠内にバーコードを映すとスキャンが行われます。

 スキャンしたバーコードがGS1-128であれば、それを自動的に分解してGTIN-14(JANコード)を取り出します。

 下図の例ではGTIN-14が"00681490488624"という商品、滅菌期限が"2009/08/05"、ロット番号"4591M"という商品でしたが、しっかりと読み出しされています。

添文ナビ
スキャン画面
添文ナビ
GS1-128データ内容表示画面

 今回、いくつかの古い医療機器や診療材料をスキャンしてみましたが、添付文書が掲載されていないため下図のような『条件に該当する添付文書はありませんでした。』というメッセージが出てしましました。

 院内にある医療機器で1台でもこれが出てしまうと、完全電子化への移行ができないため当面、機器を廃棄するまでは紙媒体との併用になってしまいます。

添文ナビ

 データ連係が上手くいくと、下図のような画面を見る事ができます。

 今回、スマホで見ましたが、添付文書の文字や画像はかなり鮮明でした。
 タブレットやパソコンなどの大きな画面を用意しなくて良さそうです。

添文ナビ
添付文書ボタンを押した画面
添文ナビ
関連文書ボタンを押した画面

試用と仕様

 添文ナビをダウンロードしても試用できないと思いましたので、お試し用のバーコードを作ってみました。
 今日の時点ではTE-281NはPMDAのサイトには掲載されていないようです。

●超音波診断装置 XARIO 200 TUS-X200

添付文書リダイレクトページ
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/bookSearch/01/04987670100758

関連文書リダイレクトページ
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/rdSearch/01/04987670100758

添文ナビ
(01)04987670100758(21)NES

●テルフュージョン輸液ポンプ TE-281N

添付文書リダイレクトページ
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/bookSearch/01/04582270690298

関連文書リダイレクトページ
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/rdSearch/01/04582270690298

添文ナビ
(01)04582270690298(21)NES

●テルフュージョン輸液ポンプ TE-161SA

添付文書リダイレクトページ
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/bookSearch/01/04987350361455

関連文書リダイレクトページ
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/rdSearch/01/04987350361455

添文ナビ
(01)04987350361455(21)NES
添文ナビ
添文ナビ
添文ナビ



課題(1)大規模リコール

 普段の管理で添付文書を参照する機会は少ないと思いますので、サーバーがパンクするほどの事はないと思います。

 しかし、大規模な回収情報などが出ると状況は一変します。

 PMDAの安全性情報にはアクセスが集中するため、PMDAのサーバーに使われている回線は輻輳状態になるでしょう。
 回収情報には大抵『添付文書を参考』『添付文書に記載』などの文言が並ぶので、添付文書検索も高負荷になると思います。

[Link] PMDA: 医薬品・医療機器等安全性情報

[Link] PMDA: 回収情報(医療機器)


課題(2)古い機種

 2021年8月の添付文書掲載義務化以前は、義務ではありません。
 すなわち、2021年8月以前に終売となる医療機器は掲載されない可能性があります。

 医療機器は10年や15年は使われる物が多くあります。

 もし2020年調達品で廃番、未掲載の機器があると、その機器を廃棄する2030~2035年頃までは紙媒体での運用をせざるを得ない機器が存在してしまいます。

[Link] PMDA: 添付文書情報を初めて掲載する方へ~医療機器~


課題(3)カメラ使用許可

 院内では情報管理規程により写真撮影が制限され、スタッフに支給されている携帯端末(昔で言うPHS)にカメラが搭載されていない場合や、使用制限が掛けられている場合があります。

 院内でカメラが使えなければ、添文ナビのようなアプリは使えません。


課題(4)ネット使用許可

 電子カルテなどの医療情報システム(HIS)はインターネットから切り離された隔離空間のネットワークを使用している場合があります。

 院内にはインターネット接続できる端末が限られており、添付文書を見る事ができる場所がごく一部に限られてしまう可能性があります。

 また、看護師らが携行する通信端末(PHSやナースコールに代わるスマホ端末)には、ローカルエリア用のWi-Fiは接続できても、インターネットには接続できない場合が多いです。

 推測ですが、添文ナビのようなアプリを指定してネット接続させる方法は存在すると思います。
 ただし、アプリがどのような経路をたどって情報を得るのか、ユーザー側のどのような情報を取得しようとしているのか、そういった情報が公開されていなければ安易に接続はさせてもらえないと思います。


課題(5)バーコード本体表示

 当社で軽く調べた結果ですので詳細はわかりませんが、調達から10年以上経過している医療機器の多くがGS1-128バーコードの本体表示が行われていません。

 比較的新しい医療機器でも、人工透析装置のように場所を移動しない医療機器にはバーコード表示が無いような傾向を感じました。

 バーコードが無いにも関わらず、バーコードでの運用に切り替えるような動きは好ましくありません。
 JANコードやGTIN-14を普段から目にしている医療従事者は稀だと思いますので、手入力しようにもコードを調べる所から始まりますので、当面は困る人が居るでしょう。


課題(6)GS1コード変更

 機能や外観など工業製品としての変更が無くても、販売者が変更になると、型番やGS1コードは変更になります。
 特にGS1コードはJANコード由来、すなわち企業コードを含むため変更せざるを得ません。

 何かあった時の連絡先は、承継した企業になるので添付文書は新しい物を参照したいところですが、GS1コードの不一致により古い方の添付文書が参照される可能性があります。

 一方で、知らぬ間に承継企業の添付文書に紐づいてしまって困る事もあります。
 院内では『A社の人工呼吸器』として定着していた物が、知らぬ間にB社になっていたとき、ちょっとした混乱が起こります。
 医療機器の呼称や愛称は正しく呼ぶ事よりも、取り違えなどのミスをしない事が重要ですので、メーカーが付けた商品名で呼ばれる事は多くありません。
 A社の人工呼吸器として検索をかけても1つもリストされず、B社ばかりリストされると『私の入力ミス?』と自身を疑ってしまう人も少なく無いと思います。

 メーカー側でJANコードを変更するのは仕方ありませんが、旧JAN(GS1)との整合についてはご配慮いただきたいです。



サーバーダウン対応策

 サーバーダウンへの対応として、サーバーを強化するのは良いですが、完璧にはならないでしょう。
 医療機関が保有している医療機器の添付文書の電子データをダウンロードして保有しておけば、ある程度の回避策にはなります。

 ただし、見落としが無いとも言い切れません。
 過去に、コンビネーション医薬品と呼ばれる、例えばプレフィルドシリンジやインスリンペンのような筐体は医療機器だが中身の医薬品として販売されている物について、不具合発生時に医療機器側のデータベースに記録がなく、院内薬局では未採用で門前薬局の管理下、院内に情報が無いという事態がありました。


オープンデータ化やアクセスフリーに(私案)

 過去、短時間にたくさんのデータをダウンロードしようとした人が、PMDAサーバーへのアクセスを止められたと話していました。現在もブロックしているかわかりませんが、自院に採用されている数百や数千のアイテムをダウンロードするのに、1日10品しかダウンロードできないとなると困ります。

 PMDA様にはぜひ、オープンソース・オープンデータでどんどん情報公開していただき、色々な人がソフトを開発できる環境を整えて頂ければと思います。


添付文書コピーOKに(私案)

 添付文書は著作物ゆえに、勝手にコピーできません。

 ぜひ、コピーの許可を明示して貰いたいです。

 著作権を侵害しようという悪意ではなく、添付文書という性質を鑑み、著作物を目的通りに活用しようという医療従事者の行動の妨げとならない運用を望みます。


任意登録制度創設を(私案)

 古い機種の添付文書、そもそも電子データすら無いものもあります。

 全国のボランティアとなる医療機関・医療従事者が『ウチにあるので共有しましょう』というとき、PMDAのサーバーに登録できれば、JANコードも接続アプリも活用できます。

 任意登録ができない場合、仮に誰かがネット上に公開しても、それを閲覧するためにはダイレクトにURLを入力できるQRコードなど別運用のシステムが必要になってしまいます。

 良質な医療の提供や患者安全を目的とした添付文書電子化であれば、ぜひ柔軟な運用を認めて頂きたいです。


電子化裏チャンネル(私案)

 旧機種の添付文書等がデータベースに載らないのであれば、私設のデータベースを構築して、PMDAでは検索できなかった場合のバックアップ手段として医療機関が利用できれば良いなと考えています。

 権利関係の課題が解決できるまではローカルで、各院が自院のデータを自前で管理する事になると思います。
 クローズドシステムとして、不特定多数ではなく特定された相手だけが閲覧するシステムとして、運用が開始されれば医療機関としても使いやすくなると思います。

 電子化施行の2021年以降、2030年頃には不要になってしまうであろう旧機種の閲覧システムですので、これを有償化して儲けようという企業は現れないと思います。
 私たちのボランティア活動で運用できるかどうか、検討しているところです。


アプリ手入力対応

 現段階では、添文ナビではバーコード入力以外はできないようですが、ここは手入力も許可してもらえるようにお願いしたいです。

 カメラの使用許可が出るまでの対応としても必要ですが、目の前に機器がなく台帳で確認しているような場合でもバーコードが無い状況での運用を強いられます。

 POSレジ、特にホームセンターなどでは様々な形状の商品があるためバーコードリーダーが使えず手入力することがあります。
 間違い防止のためには手入力は避けたいですが、添付文書検索では誤入力があっても検索結果を見て理解し、確認できる医療従事者が使うと考えられるため、さほど問題にはならないのではと思います。




おわりに


電子化を支援したい!

 当社としての考えは電子化を後押しできるように何らかの支援をしたい、すべきだと考えています。

 紙媒体が悪ではなく、電子化の利便性を高めるために、まずはプラットフォームを構築して、その上で紙媒体と電子媒体のどちらが自院に合っているのかを選べば良いと思っています。

 当社では医療機器安全管理のコンサルティングや業務受託を行っていますので、そちらでご契約いただいている医療機関様には8月までに体制づくりを終えられるように進めていく予定です。

 本件についてのご質問やご意見、お気軽にお寄せ頂ければと思います。

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