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クラス分類ルールとGHTF | NES’s blog

 2013年の薬事法改正により旧薬事法は薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)に変わりました。

 今日は久々に内容を見直してみたいと思います。

[Link] 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律


 この頃の話題の1つにクラス分類がありました。

 医療機器をリスクに応じたクラスに分類する方法を国際ルールのようなものであるGHTF (The Global Harmonization Task Force) に近づけるという話題です。

 もう1つ、医療機器の承認/認証のルールがクラス分類や承認基準の有無により審査が変わるというものでした。




厚生労働省資料

 厚生労働省の審議会で配られた資料は今でも参考にしていますが、そのときの資料ではこのようなチャートでクラス分類の大筋を見立てる事ができるとされていました。

[Link] 厚生労働省: 薬事・食品衛生審議会 医療機器・体外診断薬部会(2013年12月2日)




クラス分類・一般的名称一覧(全件リスト)

 『MeKiKi』のウェブサイトでクラス分類の全件表示が行われています。リストは4千件以上あります。

MeKiKi: 医療機器検索(クラス分類表)

2022年1月1日追記




クラス分類ルール(分析機器を除く)


I.非侵襲型機器


1.すべての非侵襲型機器は、ルール2、ルール3、またはルール4が適用されない限り、クラスIである。

2.最終的に体内に注入、投与または導入する目的で血液、体液もしくは組織、液体、もしくは気体を供給または保存するように胃としたすべての非侵襲型機器はクラスIである。

  • 2-1
    例外:クラスIIまたはそれよりも高いクラスの能動型医療機器に接続される場合、クラスIIである
  • 2-2
    例外:血液もしくはその他の体液を保存または供給し、あるいは臓器、臓器の一部もしくは対組織を保存するように意図した場合、クラスIIである。

3.体内への注入を意図した血液、その他の体液もしくは他の液体について、その生物学的または科学的組成を変化させる事を目的としたすべての非侵襲型機器はクラスIIIである。

  • 3-1
    例外:その他の処置が濾過、遠心または気体/熱交換から成る場合はクラスIIである。

4.損傷した皮膚に接触するすべての非侵襲型機器は:
滲出駅の圧迫または吸収のために機械的なバリアとして使用するように意図した場合はクラスIである。

  • 4-1
    例外:主として真皮を超えた創傷で、二次治癒でのみ治癒の可能な創傷に使用するように意図した場合はクラスIIIである。
  • 4-2
    主として創傷の局所管理をするように意図した機器を含め、その他の場合はすべてクラスIIである。

II.侵襲型機器


5.人体開口部に関与し、外科的侵襲型機器以外のものであって、
a)能動型医療機器への接続を意図しない、
 または
b)クラスIの医療機器との接続を意図したすべての侵襲型機器は:

  • 5-1
    一時的使用を意図した場合はクラスIである。
  • 5-1
    例外:眼粘膜に使用することを意図した場合は、クラスIIである。
  • 5-2
    短期的使用を意図した場合はクラスIIである。
  • 5-3
    例外:咽頭までの口腔、鼓膜までの外耳道または鼻腔で使用する場合はクラスIである。
  • 5-4
    長期的使用を意図した場合はクラスIIIである。
  • 5-5
    例外:咽頭までの口腔、鼓膜までの外耳道または鼻腔で使用し、かつ粘膜に吸収されにくい場合はクラスIIである。
  • 5-6
    人体開口部に関与し、外科的侵襲型機器以外のものであって、クラスIIまたはそれよりも高いクラスの能動型医療機器に接続するように意図したすべての侵襲型機器はクラスIIである。

6.一時的使用を意図したすべての外科的侵襲型機器はクラスIIある。

  • 6-1
    例外:再使用可能な手術器具はクラスIである。
  • 6-2
    例外:電離放射線の形でエネルギーを供給するように意図した場合はクラスIIIである。
  • 6-3
    例外:生物学的影響を及ぼすように、或いは全体的にまたは主に吸収されるように意図した場合はクラスIIIである。
  • 6-4
    例外:デリバリー・システムにより医薬品を投与するよう意図した際、これが使用モードによっては潜在的に危険な方法である場合はクラスIIIである。
  • 6-5
    例外:特に、心臓または中心循環系の欠陥について、これらの部位に直接接触し、診断、監視または矯正するように意図した場合はクラスIVである。

7.短期的使用を意図したすべての外科的侵襲型機器はクラスIIである。

  • 7-1
    例外:医薬品を投与するように意図した場合はクラスIIIである。
  • 7-2
    例外:体内で化学変化を受けるように意図した場合は(歯牙に適用する場合を除く)クラスIIIである。
  • 7-3
    例外:電離放射線の形でエネルギーを供給するように意図した場合はクラスIIIである。
  • 7-4
    例外:生物学的影響を及ぼすように、あるいは全体的にまたは主に吸収されるように意図した場合はクラスIVである。
  • 7-5
    例外:特に、中枢神経系に直接接触して使用するように意図した場合はクラスIVである。
  • 7-6
    例外:特に心臓または中心循環系の欠陥に対して、これらの部位に直接接触し、診断、監視または矯正するように意図した場合はクラスIVである。

8.すべての植込み型機器および長期外科的侵襲型機器はクラスⅢである。

  • 8-1
    例外:歯牙に適用するように意図した場合はクラスIIである。
  • 8-2
    例外:心臓、中心循環系または中枢神経系に直接接触して使用するように意図した場合はクラスIVである。
  • 8-3
    例外:生命維持を意図した場合はクラスIVである。
  • 8-4
    例外:能動型植込み型医療機器を意図した場合はクラスIVである。
  • 8-5
    例外:生物学的影響を及ぼすように、あるいは全体的にまたは主に吸収されるように意図した場合はクラスIVである。
  • 8-6
    例外:医薬品を投与するように意図した場合はクラIVである。
  • 8-7
    例外:体内で化学変化を受けるように意図した場合は(歯牙に適用する場合を除く)クラスIVである
  • 8-8
    例外:胸部インプラントの場合はクラスIVである。

III.能動型機器に関する追加ルール


9.エネルギーを投与または交換するように意図したすべての能動型治療機器はクラスIIである。

  • 9-1
    例外:人体へ、あるいは人体からエネルギーを投与または交換するような特性を備えた際、エネルギーの性質、密度および使用部位によっては、潜在的に危険な場合はクラスIIIである。
  • 9-2
    クラスIIIの能動型治療機器の性能を制御または監視するように意図した全ての能動型機器はクラスIIIである。
    また、そのような機器の性能に直接影響を及ぼすように意図した全ての能動型機器はクラスIIIである。

10.診断を意図した能動型機器はクラスⅡである。

  • 10-1
    人体に吸収されるエネルギーを供給するように意図した場合(可視または近赤外で患者の身体を照明するために単独で使用する場合はクラスIである)、または
  • 10-2
    放射性医薬品の生体内分布を造影するように意図した場合、または
  • 10-3
    重要な生理学的プロセスの直接的な診断または監視ができるように意図した場合。
  • 10-4
    例外:特に例外:特に、
    a)例えば心機能、呼吸、中枢神経系活動などの、その変動が即座に患者の危険となるおそれがあるような、重要な生理学的パラメータを監視するように意図した場合、
    または
    b)即座に危険となる臨床状態にある患者を診断するように意図した場合はクラスIIIである。

11.医薬品、体液もしくはその他の物質を人体へまたは人体から投与および/または除去するように意図したすべての能動型機器はクラスIIである。

  • 11-1
    例外:含有物質の性質、関係する身体の部位または使用モードによっては潜在的に危険な方法である場合はクラスIIIである。

12.その他のすべての能動型機器はクラスIである。


IV.追加ルール


13.分離して使用すれば医薬品と考えられる物質を不可欠な成分として含有し、その物質が機器の働きを補助する目的で人体に作用を及ぼす場合、すべての機器はクラスIII又はクラスIVである。

14.活性または不活性を問わず、動物またはヒトの細胞/組織/その由来物から製造されまたはこれを含有する場合、すべての機器はクラスIII又はクラスIVである。

  • 14-1
    例外:不活化した動物組織もしくはその由来物から製造または含有し、正常な皮膚のみに接触する場合はクラスIである。

15.特に、医療機器を消毒または滅菌するために使用するように意図したすべての機器(消毒剤を除く)はクラスIIである。

(備考)
クラス分類ルールにおける用語の定義については、GHTFのクラス分類ルール案における用
語の定義に準拠することとする。


2.分析機器のクラス分類のルール


クラスIII

1.誤った診断結果が得られた場合に、人の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがある検査項目を測定する自己検査用測定機器

2.主たる反応系を内蔵する専用分析機器のうち、体外診断用医薬品で承認を必要とする検査項目を測定するもの

クラスII

1.誤った診断結果が得られた場合に、人の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがある検査項目以外の検査項目を測定する自己検査用測定機器

(当該診断機器による診断結果が医学的に重要な状態を確定しないもの、又は診断結果が暫定的で、適切な追加の検査によるフォローアップを必要とするものを含む)

2.主たる反応系を内蔵する専用分析機器のうち、標準品の無いもの(クラスIII品目を除く。)

クラスⅠ

その他の分析装置

(備考)
新検査項目、新測定原理、新たに自己検査用に移行するもの、新たな検査項目を測定する主たる反応系を内蔵する専用分析機器は大臣承認とし、承認の際にクラス分類を決定するものとする。




解釈

 これらの解釈は開発や製造を担う者が決めるのではなく、厚生労働省やPMDAの解釈が優先されます。

 とはいえ、どこに配慮して開発すると良いかを示しているルールになります。

 例えば一時的、短期、長期などという留置期間でクラス分類が分かれる製品の場合、性能としては1か月の留置ができても薬事承認手続きでは3日以内の留置にしてクラス分類を低く抑えようと考える場合もあります。
 まずは急性期の治療に用いて、有効性や安全性が確立されてから亜急性期や回復期にも適用していくという考え方があります。

 また、CDCガイドラインなどで、何日以内に交換するという目安が示されている物は、何カ月留置できるデバイスを作った所で臨床では受け入れられない可能性もあります。

 用途も重要になりますので、例えば同じ太さの針でもどの血管に、どのような目的で刺すのかでクラス分類が異なります。人工透析のように生体機能代行装置に接続して生命維持に関わる場合は、採血などとは目的が異なりますのでクラス分類はハイリスクの方へ属します。

 弊社が関わる医療機器開発において、このルールは確認させて頂いております。
 侵襲性があるか、血液等に触れるか、粘膜などから吸収されやすい構造かなどでおおよそのクラス分類がわかり、その企業が開発できるレベル感に合っているか、ターゲットプライスと一致するかなどを見極める事ができます。