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交換型LED規格 GX53 | 電気工事業のNES株式会社

 LED照明に適した新しい口金『GX53』についてご紹介していきます。




 ├ 交換型が注目される背景
 ├ JIS規格(C7709-1)
 ├ 53mm
 ├ 75.4mm
 ├ 75.4mm超過のランプ
 ├ Φ70~75は主力
 ├ ODELIC
 ├ GX53の買い時
 ├ E26やE17はダメか?
 ├ GX53は普及するか?




交換型が注目される背景

 20年ほど前までは白熱電球も普通に使われていながらも、徐々に電球型蛍光灯という物が広まっていました。しかしながら即応性に欠けるところがあり、廊下などパッと点灯して欲しい場所はミニクリプトン電球などが使われ続けていました。

 10年前はLED電球が徐々に安くなって来た頃、とはいえ1本1千円超ということで、まだまだ電球型蛍光灯の方が入手しやすかったです。
 その頃、LED一体型ダウンライトが3千円台で手に入るということで普及しました。

 その結果、寿命を迎え始めた近年には『ダウンライト難民』が発生しました。LEDの球切れが起きたが照明器具ごと交換なので電気工事士を要請しなければならず、1灯の交換に数万円もかかるため放置する、したがって廊下やトイレが暗いままという結果をもたらしています。

 そこで最近の新築やリフォームではランプが交換できるタイプが選ばれるようになっています。
 少し前まではミニクリプトンで使われて来たE17や、昔ながらの裸電球で使われて来たE26が多かったのですが、ここにきて新規格のGX53が多用され始めています。

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JIS規格(C7709-1)

 GX53という口金はJIS規格に制定されています。

 JIS C 7709-1(電球類の口金・受金及びそれらのゲージ並びに互換性・安全性 第1部 口金)に電球の口金がまとめられていますが、その『追補6』にGX53が記載されています。

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53mm

 JIS規格によると、GX53という口金について記号『D』で示されている2点間の距離が53mmと規定されています。

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75.4mm

 GX53のランプ商品には『GX53-1』と『GX53-1a』という商品があります。

 ランプの外径、JIS規格では『H1』で示されているランプの最大径の部分は75.4mmとなっています。

 ほとんどのメーカーが『75mm』『Φ70』などと表記して売っているGX53-1は、75.4mmを超えない設計になっているため照明器具側は75.4mm以内のランプを収容できるように設計されています。

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75.4mm超過のランプ

 この75.4mmで縛られると使用可能なLED数が頭打ちとなり、照明の明るさに限界が生まれてしまいます。

 そこで、これを超えるランプを作ることになるのですが、規格が無ければ自社オリジナルとなってしまいます。

 そのような問題をクリアすることができるのが『GX53-1a』です。

 この『a』が付いた場合には、先述の『H1』で示される最大径の部分の75.4mmは『適用しない』とJISに規定されています。

 すなわち、『GX53-1a』と記載すれば、口金部分の『D』で示される照明器具とランプの接点部分はJIS規格に準拠して製造でき、ランプの外径は自由に決められることになります。
 JIS規格の準拠品として、堂々と販売できます。

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Φ70~75は主力

 規格が2つに分かれるとはいえ、いまのGX53採用器具の主流は75ミリのGX53-1タイプです。JIS規格の75.4mmという数字を意識した商品です。

 一般的な住宅に用いる照明器具でGX53-1aはほとんどありません。

 パナソニックはΦ70としてラインアップ、東芝はΦ75としてラインアップしています。

Panasonic: LEDフラットランプ搭載照明器具シリーズ

TOSHIBA: LEDユニットフラット形シリーズ

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ODELIC

 筆者が電気工事士になった頃はオーヤマ照明というブランドだったと思いますが、ODELIC(オーデリック)という照明器具メーカーがGX53のダウンライトで攻めています。

 調光と調色が付いて8,800円ですので、相当に安くなったなという感じです。

 100Wタイプと60Wタイプが混在していても良いということなので、LDKの演出にはかなり使いやすい器具だと思います。

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GX53の買い時

 LED照明を検討するタイミングが買い時、1回設置したら10年くらいは球切れも起こさないので、いま照明を検討していればGX53を優先的に候補すべきだと思います。

 LED一体型のダウンライトで日本メーカーの最安品は3千円台、GX53だとODELICで4千円台です。
 球切れを起こしたときLED一体型であれば工事費が発生するので1台だけなら1~2万円、10台一斉に交換であれば工事費は1台あたり3千円くらいだと思います。器具代は別です。
 GX53であれば球切れを起こしたとき、DIYで交換可能ですので工事費はゼロ、ランプ代として10年後なら1千円台で済むと思います。少なくとも器具とセットで4千円台なので、ランプ単体がそれを超えることはないはずです。

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E26やE17はダメか?

 昔からあるE26などの電球型のLEDランプも市販されていますので、これはこれで有用です。

 下図は小物撮影用のステージ照明です。ライティングレールにたくさんのLED電球が付いていますが、これらはE26口金のランプです。

 昔の裸電球に比べれば熱は出ないですし、消費電力は少ないですし、ガラスではなくプラスチックなので軽くて安全です。 

 上の写真に映っている分すべてで消費電力は150Wくらいくらいです。昔なら1本で100Wくらい、これだけの本数を点灯させようと思ったら専用回路が1つ必要なほどでした。
 調達費用はレールと工事費抜きで1万円くらいです。


 では、なぜメーカーがE17やE26の口金を使ったダウンライトを推してこないかというと、サイズ感だと思います。

 口金部分の深さだけで数センチあり、E26では電球本体と合わせて10cmくらいになります。
 GX53であればランプ全体の高さが4cmも無いので、ダウンライトの埋込深さは6~8cmあれば足ります。直付にしても同様に出っ張りが少ないです。

 高気密、高断熱の家が増える中で、断熱材に影響を与えない方が優れていますし、設置できる場所が多い、設置できず困ってしまう可能性が低い方が好まれます。

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GX53は普及するか?

 勝手な推測ですが、年50万軒が新築の戸建やマンションに入居するとして、その2割がGX53を採用、1軒あたり10台設置したとして100万台です。

 一斉にランプ寿命を迎えれば年100万本のランプ需要、1本1千円で10億円の市場です。

 実際には採用率は高まるでしょうし、賃貸住宅や店舗などもあるので何倍もの市場になると思います。

 将来のランプ需要を想定しても、照明器具メーカーとしては廉価なランプと競わなければならないE17やE26よりも、LEDに専用化されているGX53にシフトして当然だと思います。

 GX53-1aという自由度のある規格が存在することで、ビーム球や投光器ランプの分野にも広がりが見られると思います。

 照明器具の意匠性にも大きな影響を及ぼすと考えています。すでにODELICはGX53の形状を活かした照明器具をいくつもラインアップしています。
 昔であればチューリップ形のガラスシェードを付けたシャンデリア風照明が多くありましたが、フラットなランプゆえにできる天井面を活かした照明が出てきています。

 結論として、GX53は普及すると見込んでいます。

国土交通省:建築・住宅関係統計

国土交通省:令和3年度 住宅経済関連データ

ODELIC:WEBカタログ