在宅医療BCP | BCP | NES株式会社

在宅医療におけるBCP

事業所BCP

 在宅医療BCPには大きく2つ、事業所向けと患者宅向けがあります。

 事業所向けのBCPでは、一般の企業用BCPと、医療BCPの混成のようなBCPを策定します。

 発災した瞬間、その場に患者が居る訳ではないので、最初の30分でできる事は限られています。

 それよりも、離れた場所にいる患者をどうケアするのか、そもそも誰の管理下にあると考えるべきなのか、検討材料がたくさんあります。



患宅BCP

 患者宅では医療系と生活系の両面から、療養住環境という視点で検討します。

 医療サービス事業者が介入すべき点は診療の継続に関する面ですが、ケアに関わる家族や家屋が無くては前提条件が設定できません。

 患者側からみれば、BCPは自身のケアに関する事項がすべてになります。
 医療側からみれば、患宅BCPは1つ1つがセパレートされているもののサービス事業者とは接点があり、個別には考えられない部分が生じてしまいます。

 『発災後すぐに看護師が自宅に来る』というBCPがベストかもしれませんが、看護師は受け持ちがいくつもありますし、発災時にどこに居るかわかりません。看護師も被災者になる可能性があります。

 さまざまな状況を想定しなければならいのが患宅BCPの特徴です。



どのようなご相談でも

 弊社の医療BCPコンサルティングは、医療機関様の進捗に関わらずご相談頂けます。

 まだワーキングも立ち上がっていない、防災委員会から分科させたい、そのような準備段階のお手伝いも実践しています。

 急いでほしい、丸投げに近い状態で任せたい、たたき台としてのBCPが欲しい、どのようなご要望もお聞かせください。

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事業所BCP

脅威

 『事業所としての脅威とは何か』とお聞きするところからBCP策定をはじめます。

 質問の仕方を変えると『貴所における重要業務は?』『それを阻害する要因は?』というところから組み立てられます。

 例えば、訪問看護事業所において訪問できない事が困る、その要因を考えると移動できなければサービスが提供できない、移動困難といば車が使えないこと、などとひも解きます。
 車が使えない要因としては車両故障、ガス欠、道路寸断、運転免許失効などが考えられ、ガス欠と道路寸断は震災でも起こり得る事象です。

 脅威の1つの災害がありますが、危害を考えると『地震による交通混乱と通信遮断』とするのも良いかもしれません。



Phase

 災害時は時相ごとに活動内容が変わります。

 在宅医療においては、建物倒壊などによる急性外傷などは範疇では無く災害拠点病院等に任せる事となり、それよりも在宅酸素など途切れることがじわりと生命危機に近づいてしまうような患者のケアが重要になります。

 台風など予見できる災害の場合には、また異なる時相で行動することになります。



患者志向

 医療サービス事業者にとってのサービス対象は患者です。

 顧客と言う見方をすると、処方医や高齢者施設など依頼元を顧客と見る事もできますが、非常事態において人道的な面からも患者の方向に意識が向けられるのは当然です。

 患者をどう救うか、どう守るかなど重く考える前に、まずは平時から提供しているサービスを続けなければならいないのか、続けるには何が要るのか、考える事から始めます。



職員志向

 職員も被災者の一人であり、その家族や友人も被災者である可能性が高いです。

 発災直後は医療者としての使命感もありわが身を振り返らずに医療に没頭する人が多いですが、経時的に家族や自宅が心配になり、仕事を続けることに疑念を持つ事もあります。

 家族の安否確認、自宅の状況把握、発災後のどこかの時点で帰宅できる時間を作ったり、家族で職場近くの避難所へ移動する機会を設けるなど、職員へのケアも必要になります。

 医療はヒトが介在しなければ成り立たないサービスです。
 特に在宅の場合は『あの人』と属人性で成り立っている場合もあるので、職員志向のBCPは重要になります。



備え

 備える物としては備蓄品としての物資が想定されます。
 職員が帰宅せずとも仕事ができるように食糧や寝袋などがあると良いでしょう。

 通信インフラは重要になるため固定電話、携帯電話、その他の通信手段の確保、それらの電源の確保は重要です。

 モノがあってもコトが起こらなければ何も始まりません。
 通信手段があっても通信相手が居なければ成り立ちません。患者宅に救急隊を派遣してもらいたくても、救急の本部との連絡手段を知らなければ要請はできません。
 病院にはEMISという災害時の情報管理システムが配備されていますが、クリニックや訪問看護ステーションにはありません。

 無い物ねだりは時間がかかる作業ですので、いま発災しても良いように無い中でどう進めるかを検討するのが当社のBCPです。



BCP策定実務

 当社ではBCP策定の裏に隠れる様々な個別事情をお聞きした上で、最適なBCP策定へのナビゲーションを行います。

 ある程度の骨子部分は当社にお任せいただく事も可能ですし、現在の業務を骨子にBCP化するような方法でも可能です。

 BCPでは短期的でも業務を停止させないための継続と、廃業に追い込まれないための長期的継続の両面から計画を立てます。

 BCPのマネジメント体制や実装、更新など先々まで続く信頼関係を構築しながらBCP策定に取組んでおります。




患者宅BCP

脅威

 在宅医療サービスを受けている患者にとっての脅威は何でしょうか。

 医療との接点が断たれる事が脅威の場合もあれば、インフラが遮断する事が脅威の場合もあります。

 お薬さえあれば大丈夫という患者さんも、そのお薬が手に入らなければ脅威になります。
 東日本大震災では津波でお薬が流され、DMAT等の救援隊は外傷メインのため精神科の処方薬が手に入らず困りました。

 処方内容から鑑みた脅威定義、目標設定が求められます



民家の要塞化

 在宅医療を受けている患者の住まいは自宅か高齢者施設です。

 高齢者施設であれば免震や制震構造、消火設備や自動火災警報器、非常用発電などが備わっている可能性がありますが、民家にはそれほどの設備があるのは珍しいです。

 患者が避難せず自宅待機(在宅避難)する場合、民家を要塞のように籠れる場所とする必要性があるかもしれません。

 その要塞化の過程において、BCPも変化していきます。



療養住環境最適化

 弊社では『療養住環境最適化』と題した活動を行っています。

 ご自宅のリビングは家族がくつろぎ、お客さんをもてなす場である事が多いです。
 そこに患者のベッドが配置されると雰囲気が変わります。これを良しとするのか否かは各家庭の考え方ですが、良くは思わずともそこしかベッドが置けないという事もあります。

 私たちは、患者として家に帰ることが『悪』と思われないための家づくりをサポートしています。

 同時に、電源や水道、空調、カメラなど様々なインフラについても療養環境としての最適解を求め、施主様と意見交換を重ねています。



患者毎BCPカード

 在宅医療や訪問看護の事業所様が関わって患者宅BCPを策定する場合、簡単なカードを作成し患者に周知します。

 『震度6以上の地震が起きたら』というタイトルで、『急いで病院に行く必要はありません』『落ち着いたら連絡して下さい』『避難する場合は××小学校』など具体的なことを時系列に沿って記載します。

患者参加型・家族参加型BCP

 BCPはマニュアルではありません。計画です。仮のストーリーです。

 実際にはプレイヤーが舵を取り、状況に応じて進める事になりますので、現場ありきになります。

 避難しないという選択をするのは現場ですし、避難しなかった場合の生活やケアをするのも現場です。
 避難する場合も移動手段や経路、時間帯などを決めるのも実行するのも現場です。

 現場に居る患者や家族が腑に落ちていない計画は実行される可能性が低いです。
 そうなると、事業所側での想定も崩れる事になります。

 単に『1週間は自宅に居る』という計画では疑心暗鬼ですが、『お薬は1週間以上の残薬があり、仮に1日1回しか内服しなくても1週間で劇的な体調変化が起こる事は考えにくいので、1週間くらいは自宅待機』と言われれば納得しやすくなります。
 患者が1週間自宅待機するのであれば、家族も1週間分の食糧などを貯えようと行動が喚起され、BCPのディテールが高まります。



備え

 生き抜くための食糧や燃料の備蓄は各家庭にお願いせざるを得ません。

 もしものときに手助けをしてもらえるようご近所や自治会に協力要請をするのも患者や家族の仕事になりますが、その際の説明資料などは医療機関も協力することがあります。

 例えば『この病気はうつりません(感染症ではありません)』『2時間毎の寝返りが必要です』『酸素ボンベが無くなると息苦しくなります』などの病気や身体に関する説明を、一般市民にもわかりやすく説明するための資料を提供します。

 よく災害後に『寝たきりのお子さんが居るとは知らなかった』『訪問サービスの人が来ると思っていた』などご近所さんが患宅で起きている事を知らない、触れづらいといった事が明らかになることがあります。

 昔は『向こう三軒両隣』『隣組』などという言葉に象徴されるように数軒の小さなコミュニティーが存在し、その連携は緊密でしたが、現代では様変わりしています。
 しかし人間、義理人情や互助の精神がなくなった訳ではないので関係が構築できれば非常に手を差し伸べてもらえるかもしれません。

 BCP策定において重要となる『現場』には、ご近所を含めたリソースの分析も重要になります。



BCP策定実務

 当社では患者毎のBCP策定、あるいは雛型の作成をお手伝いいたします。

 必要に応じて療養住環境の最適化、患宅要塞化に向けたコンサルティングも行います。




在宅避難

自宅に居続ける

 自宅で過ごす被災生活、これからは普遍化するかもしれません。COVID-19で在宅ワークや遠隔授業が試行され、一部では定着しています。

 災害時は水と食料を最低3日分、できれば1週間分備えておく必要があります。

 あとは医療をどう継続するのか、そこが重要になります。



生きるための食事

 人間、食べなければ生きていけません。

 避難所等での配給もありますが、避難所まで行かずに自宅で済ませることができれば外に出ずに過ごすことができます。

 大地震後であれば瓦礫が道にあふれ、余震で落下物もあるかもしれない屋外を出歩いて食事を調達するより、宅内で済ませた方が安全です。
 大雨や大雪では出歩くこと自体が難しいので、災害を想定してみましょう。



衛生

 食事は我慢できても、トイレは我慢できません。

 上水が断水している場合、下水が損壊して流れない場合、色々と想定されますがトイレが使えないのは生活に大きな支障を来たします。

 手を洗うことも衛生状態の維持には必要です。

 1週間も風呂に入らないというのは不快感も募ります。



温度管理

 真夏は百葉箱で35℃超、日向では40℃を簡単に超えます。
 平時であればエアコンで暑さをしのぎますが、停電していればエアコンは使えません。

 暑さは人間だけでなく、食品を傷めます。
 冷蔵庫が使えなければ簡単に腐ります。

 真冬も厳しいです。
 地域差はありますが、人間が凍えずに居られる温度ではない日も少なくありません。

 温度管理、生き抜くために重要です。




エネルギーインフラ対策

水道

 上水道の断水は目に見えてわかりやすいですが、下水管の損傷は気づきづらいことがあります。どちらも損壊の恐れがありますので注意します。

 上水道は大きく生活用水と飲食用水に分けて考えます。
 生活用水はトイレ、手洗い、風呂、洗濯などに使う水で、多少の雑菌や濁りは許容できます。
 一方で飲食用水は下痢や腹痛に直結しますので衛生的でなければなりません。

 飲食用水はペットボトルで長期保存できる商品がありますので、そちらの備蓄をお薦めします。
 理想的には1人1日2リットル、4人家族なら1日8リットル、3日分なら24リットルです。1週間分なら56リットル、500mLペットボトル100本以上です。

 生活用水は浴槽に水を張っておくというのが一般的に言われる方法ですが、浴槽にぬめりが付きやすいため継続しづらい方法です。初期投資は必要ですが簡便な方法として貯湯槽があります。エネファームやエコキュートなどの商品名で売られていますが、深夜電力などでお湯を沸かして貯めておく貯湯槽があれば、キレイなお湯が100リットル以上確保でき、それを生活用水に回すことができます。

長期保存できるペットボトルの水です。無味無臭のシンプルな水です。500mLあたり85円ほど、高いか安いか微妙なところです。
水をろ過して清浄化する装置です。手動ポンプ式なので、電源は不要です。手動ポンプなので、大量の水が必要な場合は体力が要ります。風呂や洗濯で1日150リットル、7日間で1トンの水を使えば1リットルあたり40円くらいになります。災害が起こらなければ使わないので、それまでは4万円の在庫品です。長野にあるミヤサカ工業さんの『コッくん』シリーズの1つです。
 水中に沈めて使うポンプです。池の水を抜くときなどに使用される物ですが、災害時に用水路から生活用水を汲み上げるのに使うことができます。災害時は思わぬ物が用水路に流れている可能性がありますので、飲用はやめたほうが良いですが、トイレを流す程度であればさほど問題ないでしょう。このポンプは私たちも実機を保有し、実際に使っています。家の前の用水路まで行くには、延長コードも必要でした。
 建築現場ではおなじみのヒーターです。バケツに水を張って、ヒーターを投げ込んで電源投入、そのバケツに缶コーヒーを入れておくと10時のお茶の時間に温かいコーヒーが飲めるという訳です。200リットルのお風呂を沸かすにはパワー不足ですが、洗髪や洗濯には使えると思います。


電力

 電化が進んだ現在、電力喪失は相当なダメージです。

 冷蔵庫、電子レンジ、炊飯器、どれも炊事に欠かせません。
 洗濯機、代替手段はなかなかありません。

 電気は発電所から送電線を経て各家庭に配られます。源泉を見れば発電機、家庭でも発電機があれば電源を確保することができます。

 太陽光発電は晴天の昼間しか使えませんが、燃料備蓄が要らない電源です。
 そこにエンジン式の発電機と、蓄電池を併用すれば1日中電力を確保することができます。

 蓄電池は据え置き型だけでなく、電気自動車も蓄電池として使えます。

 ホンダのエンジンを積んだカセットガスが燃料の発電機です。約900Wの電力が使えます。2台連結すれば倍の1800Wまで使えます。カセットガスボンベを何本備蓄するか、不足分をどうやって調達するかがカギとなりますが、30本くらいあれば2~3日は過ごせます。
ガソリン式発電機。出力はだいたいenepoと同じ、ガソリン式の発電機です。車からガソリンを抜き出せれば、長時間の使用に対応できます。100V用ですが、車用の12Vの出力端子も付いています。
100V出力が得られる蓄電池です。太陽光発電やエンジン発電機と併用することで、電力の安定供給に使えます。瞬間であれば1000Wまでの出力に対応できるので、冷蔵庫やエアコンなどモーターが動き始めるときの始動電流への対応が期待できます。例えば太陽光発電の出力が350Wの場合、消費電力300Wの冷蔵庫が使えるように思えて、実は始動電流が大きいので使えません。蓄電池を介して電力供給してやれば、動作させることができるかもしれません。

ガス・灯油・熱

 ガスや灯油で給湯器を動かしている家庭では、熱源の代替が必要になります。

 特に都市ガスは供給網が途絶えると停電と同じように何十万戸が一斉に停止してしまいます。

 プロパンガスや灯油タンクは転倒防止策で持続可能性が高まります。

 万能性の高い調理器具です。酒屋の鍋料理だけの物ではありません。煮る、蒸す、焼くの何でも使えますし、火おこしや後処理も簡単です。少々贅沢ですが2台あると調理効率が劇的に改善されます。例えば、カレー鍋と土鍋炊飯を同時並行的に進めようと思ってもコンロが1口しかなければ並行できません。コンロの上にはタコ焼き用の鉄板やケトル、鍋、フライパンなど様々な調理器具を置いて使い分けできますので、必須アイテムです。
 ガスの利点は燃焼性が良く、気化させることなくそのまま使えるので低温でも性能に差が出にくいです。ガスボンベの利点は保管性です。ガソリンは腐りますが、ガスは10年後も変わらないという特徴があります。ガソリンは保管方法を誤れば大火災を起こします。ガスボンベは食品庫などにも片づけられるくらい手軽です。その安全性や簡便性を活用したストーブがあります。平時に使うには燃料費が高いのですが、不完全燃焼の危険性も少ないので、使い勝手の良いストーブだと思います。



通信・情報

通信

 電話やインターネットは現代社会には欠かせないツールですが、災害時にはインフラとして機能しない可能性があります。

 その要因として内因性と外因性があります。
 スマホなどの故障や電池切れ、Wi-Fiアンテナの電源喪失、宅内配線の断絶などユーザー側に原因がある場合は通信事業者にクレームを言っても改善しません。
 一方で電柱倒壊や輻輳状態で通信そのものが途絶している場合には、宅内でじたばたしても何も起こりません。近年は携帯通信会社が移動通信車というアンテナを積んだ車両を配備して代替通信を提供してくれますので、携帯電話は1~2日で応急的ですが復旧します。



携帯電話・モバイル通信

 携帯電話は単に通信機器として使うだけではなくなりました。

 新型コロナウイルス感染症流行拡大では、濃厚接触者アプリが厚生労働省から配布されましたが、アリバイ管理に活用できることが認知されました。

 災害時、被災地にどれだけの人が居るのか、危険な場所から携帯端末の電波が発信されていないかなど安否確認にも利用できるようになりました。

 1人1台の時代ゆえに、端末=個人と考えられ、もし携帯端末をどこかで紛失すると誤った安否情報が流れるかもしれませんので、発災時の管理も重要になります。



固定電話

 近年はあまり重要視されなくなりました。

 在宅避難時には使えますが、携帯電話の方が便利です。

 光回線などでは停電でも通話不能となりますので、冗長性は低いと思います。

 公衆電話は冗長性の高さに期待が集まりますが、一方で設置台数は激減していますので、災害時につかえるかどうかはわかりません。



テレビ

 昔は地震を感じたらNHKというのが身についていたかもしれませんが、最近はスマホアプリの方が欲しい情報を選べるようになり、またそもそも家にテレビが無いという人も増えました。

 速報はテレビに頼らずとも、在宅避難生活の暇を埋める手段として、テレビ視聴は重要なツールになります。

 特にネットがつながらない状態であれば、撮りだめた録画や、DVDなどを観て時間を過ごします。