プロトタイピング | 医工連携 | NES株式会社

空想から具現化

 単に試作品(Prototype)をつくることがプロトタイピング(Prototyping)ではありません。

 言語化が難しい事と、実体化が難しい事を含めて、すべてを出し合い、共有する作業です。

 曲線や肌触りなどは言葉ではなくモノで示す価値がありますし、説明のしやすさや覚えやすさなどは形に示すのは難しいです。

 また、医療行為などは直接試作品に関わる訳ではありませんが開発する上では重要であり、避けるべき事、含めるべき事などもプロトタイピングの工程の中で共有していきます。


齟齬をなくす

 同じ社内に居ても齟齬は発生するのに、他社であればなおさら、それが異業種であればさらに可能性が高く、医療と産業ほどの違いがあれば齟齬が無い方が珍しいかもしれません。

 そうならないように、プロトタイピングで理解を共有します。

 当たり前と思っている事も、相手には当たり前でない事があります。
 例えば『糖尿病患者さんが使うのでスイッチは大きめ』という表現でも齟齬が生じます。
 多くの企業が生産年齢の集団、しかも健常者中心です。1cmのレバーを操作するのは簡単でしょうし、目視確認もできると思います。
 一方、医療側は糖尿病性網膜症で視力が低下、糖尿病性神経症で手先の感覚が鈍いなどユーザーの疾患を想像し、大きな押ボタンを想像しているかもしれません。

 もし大きな押ボタンを設置するとなった場合、全体のデザインにも影響しますし、価格にも影響があるかもしれません。
 あとから気づいたのでは手戻りが多くなりますので、早めに気づくためにプロトタイピングに真剣に取り組みます。


スポンサーにも響く

 自社開発の場合は意識する事も少ないと思いますが、外部から資金調達して開発を行う場合には、スポンサーへの配慮も必要になります。

 プロトタイピングで生みだされた試作品やアイディア集は、スポンサーへの進捗報告にも使えます。
 過去に基本設計を担当させて頂いた案件では、プロトタイピングの様子をスポンサーがマジックミラー越しに見る事ができる部屋を設けました。

プロトタイピングの様子をマジックミラー越しに見る事ができる特別室

ファシリテーター

 医工連携のプロトタイピング、とくに初期はファシリテーターが必要です。

 互いに何を言いたいかわからないですし、理解が進みません。

 A点からB点まで患者を運ぶという課題に対し、言葉足らずであればベッドが勝手に動くものを作ってしまうかもしれません。
 しかし、院内には身体の不自由な人が多く衝突事故の危険があり工場内の物流とは違う事とか、そもそも病室のベッドは廊下を曲がり切れないなどの諸事情があるかもしれません。
 製造側からも、総重量が患者体重プラス50kgと100kgでは費用感なども異なるので、そうした点も詰めたいであろうが、上手く説明しないと伝わりません。

 私たちが、ファシリテーターとなり、会話を盛り上げます。


3Dプリンタ

 私たちは3Dプリンタを保有しています。

 これまでに幾つもの試作品を作り、プロトタイピングに役立ててきました。

 この試作を見ながらディスカッションして、原理を考案したり、製造方法をデザインしたりします。

 医工連携のコンサルタントが自ら3Dプリンタを扱い、医と工の意見を集約したサンプルの造形までを行っているのは、非常に珍しい事です。
 私たちは結果・成果を目指し、最善策の提供に努めます。


雑誌に掲載されました。

 弊社のプロトタイピングについて、医療従事者向けの雑誌『Clinical Engineering』に掲載されました。

 2020年5月号の特集『医工連携を実践するために必要なこと』の中で『ものづくり企業を知ることの重要性』というテーマを頂戴して弊社の西謙一が執筆させて頂きました。

[Link] 学研メディカル秀潤社:Clinical Engineering Vol.31 No.5