療養住環境 | NES株式会社

 『療養住環境』(りょーよーじゅーかんきょー)とは、弊社の造語です。ゆえにネット検索しても出てきません。

 この言葉の意図するところは、療養と生活の空間としての両立や最適化です。




療養環境

 『療養しやすい環境』『療養に専念できる環境』『医療とのアクセスが良い環境』など多少の意見の違いがあるかもしれませんが、概ね診察や治療を受ける場としての最適性が求められると思います。

 白いシーツ、白い壁、白衣といったものは血液などが見えやすいという利点があります。清潔感もある色です。

 ベッドの四方にスペースがあり、全方向からの処置や観察がしやすい、看護師らが複数居ても処置できる設計です。

 医療用廃棄物のゴミ箱、医療酸素や吸引、ME機器用のコンセントが近くにあるのも特徴的です。




住環境

 生活の基盤となる衣食住のひとつ『住』は、日本国憲法第二十五条の『すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。』に通ずるところがあります。

 雨風をしのぐ、家財を保管するといったことが住環境の基本的な要件になります。

 そこに快適性や利便性を求めてカスタマイズしていくことで、人それぞれの住環境が出来上がっていきます。

 多くの住環境が、生活を第一に考えられており、療養することを全く考えていない住環境が大半です。

【参考】日本国憲法
【参考】生活保護法




診療と生活

 入院すると、1日の大半をベッドで過ごすことになります。

 検温や採血などで1日が始まり、洗面などを済ませて朝食、9時を過ぎれば点滴やリハビリが始まり、そのあとは昼食、回診や処置などがある人も居ますが暇を持て余す人も居る午後を過ごして夕食、夜9時には消灯となって就寝します。

 ベッド上で診療するのは当然ですが、食事や休憩もベッド上です。人によっては排泄もベッド上かベッド脇です。

 病院は専ら療養環境であるため、住環境には配慮が及びません。
 自宅は専ら住環境であるため、療養環境には配慮が及びません。

 自宅療養が必要となった場合、生活を中心とした住環境に、療養環境を加える必要があります。




療養住環境(1)療養志向

 病気か怪我かわかりませんが、医療機関での療養を経て自宅に戻って来た場合を考えてみます。

 生活のための空間で療養をしなければならない、そのときに何が必要になるのかを考えます。

 風邪をひいて寝込んだ場合でも、手の届く範囲にティシュとゴミ箱は欲しいと思います。冷たいスポーツドリンクを飲みたければ冷蔵庫を用意するか、水筒に入れて枕元に置く必要があります。体温計やパルスオキシメータも近くにあると便利です。

 訪問看護や介護を受ける場合にはどのような配慮が必要であるのか、よく考えなければなりません。




療養住環境(2)家族志向

 自室での療養は1つの選択肢ですが、長期化する場合には家族との過ごし方についても検討することになります。

 療養者と家族とが触れ合う時間を増やし、家族の目が届きやすい場所に療養者を置く場合、LDKが第一候補に挙がります。

 ソファとテレビが置かれたリビングに、療養者のベッドを置くとすればどのような配慮が必要でしょうか。

 家族の生活リズムとの調和が必要ですし、ベッド上で排泄するのであれば、家族の食事の時間帯などとの調整も必要です。

 療養者が親であるか、子であるか、独居であるかによっても考え方に大きな振り幅があります。




療養住環境(3)社会志向

 療養者が引きこもりになる必要はありません。

 家の中では活発に動き回り、来客を迎え入れることも想定されます。

 テレワークで仕事を続ける人も居られて不思議ではない時代です。

 外来受診だけでなく、買物や食事に出かけることもあると思います。

 社会との関係を途絶えさせないことを意識した療養住環境も重要です。




療養住環境最適化サービス

 療養住環境について、まずは医療機関にご相談ください。

 住宅のリフォームをお考えの場合は業者さんにもご相談頂く必要がありますが、建築のプロである業者さんが医療や介護などに詳しいかどうか、そのご経験なども併せてお問い合わせされると良いと思います。

 弊社では、療養住環境の最適化に向けたコンサルティングサービスを提供しています。
 設計や施工などの建築工事は請け負いまえせんので、中立的な立場から、工事ありきではなく福祉用具やDIYなども含めた提案に努めています。


 特に災害対策、BCPについてはユニークなコンテンツを持ち合わせています。

 弊社は電気工事業者(兵庫県知事第300333号)でもあり、停電対策については自験例を多く持ち合わせています。