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【ニーズ】転倒・転落予防(離床センサ・臥床モニタ・起き上がり抑制) | NES株式会社

 このページには恐らく存在しているであろうニーズを掲載していますが、当社の独創が含まれます。情報源、言葉の真意、市場分析の角度や確度、開発手法など著作者の意図を読み誤りますと開発は想定通りには進まない可能性が高まります。プロジェクト進行の際には同レベル以上の調査や分析なさる事をお奨めします。
 見誤った場合の事例をこちらに掲載しています。

課題

 一人で歩く事に不安がある患者や入所者を、一人で歩かせる事は危険です。
 歩いてはならないという事が理解できても、それを常に実行するのは困難な場合があります。それは睡眠薬を服用していたり、認知症の症状であったり。

 抑制帯などを使わず、起き上がろうとした人を感知する器具があったら良いなと言うニーズは以前からあります。
 しかし、既存のデバイスでは感知できない範囲があったり、誤感知が多かったり、設置が面倒であったりと課題が山積しています。

 一人で歩き回ってほしくない人を、ベッドや椅子から離れる前に感知するか、離れられないようにしたい、それがニーズです。

 本課題の解決は患者の転倒・転落が減るという事故減少効果が数値的にも見やすい効果です。
 しかし、偽アラームに振り回されたり、繰返し離床する患者が減ることで看護師業務の軽減に大きく寄与することが期待されています。



背景

 足元に不安がある患者や入所者は数多くいます。
 ほとんど歩けない人は、歩きません。
 元気に歩ける人は、歩いて構いません。
 歩けなくはないが、転んでしまいそうな人や、手術後など数日前の歩けていたイメージと現在の身体状態が一致しない人は、転倒や転落の危険性が高いです。

 『起き上がる時はナースコールで呼んでください』と言っても遠慮して呼ばない人、睡眠導入剤などが効いて思考が停滞している人、認知症などで見当識障害がある人、小児などで理解が難しい人など、見守る側の思い通りになる訳ではありません。

 そこで、ベッドから離れようとしている人を感知できれば良いのではないかと離床センサーがいくつも開発されましたが、ゴールデンスタンダードと言える物は出現していません。

 現場では『離床した』ことよりも『離床しようとしている』人を検知できなければ、報知された時には転倒・転落してしまっている事も少なくありません。

 しかしながら、テレビのリモコンを取ろうとしている動きまで『離床』と判断してアラームが鳴っていては、いずれはオオカミ少年症候群のように、アラームを無視するようになってしまいます。

 転倒や転落が発生すれば、医療機関等の責任として追及される事が多くあります。
 身体拘束は極力避けたいという想いが医療・看護側にはあり、拘束はしないが事故は抑止しようと努めています。




既存品

 離床センサーは様々な方式の物が開発され、現在も市販されています。

 研究段階で消えて行った物もたくさんあります。
 時代と共にセンサーも種類が増え、価格も下がっています。



クリップ式離床センサー

 患者の着衣の襟などにクリップを付けて、クリップが引っ張られると発報するセンサーです。
 対象者は大人である事が多いので、異物が装着されていると、上手にクリップを外してくれますので、いつの間にかセンサーがオフの状態になっています。

ホトロン: うーご君 HB-TV3

ホトロン:あゆみちゃん HB-WTV3

エクセルエンジニアリング:マグネットセンサー

ケアコム:転倒むし

ニプロ:転倒むし

メディカルプロジェクト:クリップセンサー

竹中エンジニアリング:徘徊お知らせ はるお君



ビーム式・赤外線式離床センサー

 建物の防犯にも使われているビーム式や赤外線式のセンサーの応用です。
 所定の検知範囲に人が入ると発報します。
 設置の煩わしさが看護師らの不評を得る事が多い商品です。
 端座位でテレビを見たり、食事をしている間はセンサーをオフにする事がありますが、その間に離床されてしまったり食後にセンサーを再起動させる事を忘れてインシデント扱いになったりします。

ホトロン:置くだけポール君 HB-H1

エクセルエンジニアリング:赤外線ダブルセンサーかんたん

メディカルプロジェクト:ビームセンサー

メディカルプロジェクト:赤外線センサー

竹中エンジニアリング:人の動きセンサー

トクソー技研:キャッチくん

ハカルプラス:超音波センサー CARE ai

テクノスジャパン:超音波・赤外線コール



フロアマット式離床センサー

 ベッドサイドの床にマットを敷いて、人が乗ると発報します。
 看護師が乗っても発報します。車椅子や歩行器、オーバーテーブルが乗っても発報します。

 重いベッドが乗り、方向転換すると内部のセンサーが壊れることがあります。
 そうならないようにマットを避けることが看護師の手間になり、精神的に圧迫を受けます。

ホトロン:たためる薄型 マッ太君 HB-UST

エクセルエンジニアリング:フロアセンサー

ケアコム:フロアセンサー(ケアコム純正)

村中医療器:マットセンサー

メディカルプロジェクト:ベッドサイドマットセンサー

竹中エンジニアリング:マットセンサー

トクソー技研:ふむナールLW

ハカルプラス:ふむふむセンサー CARE ai

テクノスジャパン:スマット/コールマット



ベッドマット式離床センサー

 ベッドマットの下などに設置し、寝ている状態をセンサーします。既定の位置に体重が掛かったり、重さを検知しなくなったら発報します。

 平らなベッド(フレーム)の上に平らなマットレスが乗っていますが、そこに部分的にセンサーマットを敷くため平らではなくなります。
 この平らで無い環境は体圧のバランスを崩し、褥瘡を誘発するのではないかと考える人もいます。
 メーカー側でも『褥瘡は起こらない』とは言い切れないので、採用されないケースが散見されます。

 褥瘡対策としてベッドサイズにピタリと合うサイズのマットを敷けば良いのではないかと考えますが、ベッドの通気性が無くなり、マット上に汗が溜まるほど濡れてしまいます。

エクセルエンジニアリング:ベッドセンサー

エクセルエンジニアリング:離床プレートセンサー

エクセルエンジニアリング:パッド式チェアセンサー

ケアコム:生体情報検知型離床センサー おだやかタイムmiNi

ケアコム:眠りSCAN連動

パラマウントベッド:見守り支援システム 眠りSCAN

ネオファーム:離床センサー

メディカルプロジェクト:ベッドセンサー

竹中エンジニアリング:ベッドセンサー

トクソー技研:おきナールTW2

ハカルプラス:起き上がりセンサー CARE ai

テクノスジャパン:ベッドコール/サイドコール/ピローコール



ベッド柵・フレームセンサー

 ベッド柵を強く掴んだり、体重をかけた時に発報するセンサーです。
 ベッド柵を使わずに起き上がれば検知できないので、補完的に使うツールです。

エクセルエンジニアリング:サイドレールセンサー

メディカルプロジェクト:ベッド柵センサー

テクノスジャパン:柵コール/タッチコール/介助バーコール



カメラ式・レーダー式離床センサー

 カメラのようにベッドを観察して、所定の動きがあったら発報します。
 倫理面に配慮し、カメラで普通の画像を撮影するのではなく、熱や距離などを測定して臥位や立位などを検知する物が多いです。

ミオ・コーポレーション:非接触バイタルセンサー

電導:モビネス



低床ベッド

 究極的には床との段差ゼロならベッドからの『転落事故』は無くなります。
 床に御座を敷いただけでは褥瘡になってしまいますので、実際には30cm程の低床ベッドを配置し、床にはマットを敷いて事故を回避します。

 低床ベッドから立ち上がるのはしんどいので、そのまま這って移動するのであれば転倒リスクも少なく、移動時間もかかるため他のセンサーでキャッチして転倒を未然に防ぐことにもなります。

 低床ベッドは採血や血圧測定など看護・介護する側にとっては作業がしづらい高さになりますので、昇降式のベッドが望ましいです。



先行研究・既存技術・失敗事例

 離床センサーに関する研究発表や論文などは非常にたくさんあります。

 失敗事例も探すことができると思います。15~20年前の資料も残っているので、その結果がどうなったのかを見てみればわかると思います。
 例えはMicrosoftのキネクトを使った研究は、内容は良かったのですがキネクト自体が無くなってしまったので商品としては成立しません。
 実体カメラを使う方法は倫理面から嫌われ、実用されていません。

 近未来的な研究では、自動車の衝突防止に使われているミリ波レーダーを活用したセンシングは価格も下がり、ベッドサイドにも導入が待たれるところです。
 呼吸や脈拍のセンシングもできるようになってきたので離床を監視するというよりは、全身的な見守りをしつつ、先々は検温や血圧測定なども不要になるようなセンサーが開発されるものと思われます。

 スタッフの目の代わりをするデバイスが多いのですが、声掛けなどをして離床をやめさせる研究も行われています。

民医連新聞: 手づくり離床センサーで転倒・転落を予防できた/ 富山協立病院・西3階病棟, 2002年11月1日

オムロン: 非接触で脈拍が測定できる車載用センサー



解決後にある未来

 院内のインシデント・アクシデントレポートには転倒・転落は消えることの無い日常的な事故の1つです。
 これをゼロにする事は難しくても、減る事は歓迎される事です。

 転倒・転落を考えずに仕事ができるという事は、看護や介護に携わる人々の精神的な切迫感を軽減することになり、業務軽減やストレス解放、他の業務への集中力向上につながります。

 まずは偽陽性アラームが減ることと偽陰性による事故が減ること、次にアラーム自体が鳴らずに済む離床を抑止できる安全で簡便なデバイスやサービスが創出されること、その先に看護師らの心の平穏が待っていると考えます。




事業・市場

ユーザー

 患者や入所者のために使いますが、設置等をするのは看護師や介護スタッフです。



調達者

 医療機関や高齢者施設が調達します。
 対象となる人がいつ入院・入所するかわからないので備品として持っておくことが想定されます。

 在宅医療で個人宅でも利用が見込まれますが、必要な人とそうでない人が明確に分かれます。



販売者・販路・商流

 医療ディーラーなどによる販売のほか、ベッドメーカーなどベッド周りの企業に販路の強みがあります。

 電気製品としてネット通販で買う可能性も十分にあります。

 医療安全に携わる看護師らは学会を含めクチコミの力が強いため、良い製品であれば情報は広まり、調達は多チャネル化すると考えれます。



値ごろ感

 高度な商品であっても10万円未満、比較的決裁されやすい数万円という単位が値ごろ感のようです。

 全ベッド配備を目指す場合は2~3万円程度になると考えます。

 性能を仮定した上で、実態調査をする必要がある商品です。



市況・保険

 離床センサーを持っていない医療機関は無いと思われるほど普及はしていますが、全ベッド分を保有している医療機関は非常に少ないです。
 院内で数台をシェアし、病棟間でも貸し借りをしているのが現状です。

 転倒事故などを起こせば、その後の治療費や慰謝料など数十万円~数百万円は病院の持ち出しになる可能性があります。




開発

ながれ

 既存商品で満足されていない理由を現場でヒアリングします。

 これまでに多くの商品を実用してきた看護師が対象になります。

 『こうあるべき』『ここが問題』と指摘できる看護師は限られているため人選や人脈が重要になります。

 課題が明確になれば開発をするだけです。
 恐らく、技術的にクリアできても価格面で折り合わない事が容易に想定できるため、高度な技術を安価に提供できる企業やシーズを探す必要があります。

 販路は医療安全系が適切であると考えます。



パートナーシップ

 解決すべき課題、技術的なハードルによってパートナーが異なります。

 問題意識を持ち、解決策を一緒に考えられる看護師の存在は欠かせないと考えます。

 販売戦略にコミットメントできる医療従事者、医療ディーラーやメーカー、宣伝広告に携わるデザイナーなども重要なパートナーです。




ソリューション

案1.ベッド全面シート

 薄いシート状の圧電素子を使い、ベッド上のどの位置に、どのような姿勢で居るかを検知するセンサーを製作します。
 ベッドの通気性を保つため、ベッドのフレームに合わせる必要があります。

 寝返りなども記録できれば、体位交換のタイミングも逃すことなく、また体圧分散の状況も記録できれば免荷すべき位置も特定できます。

 価格を抑えて全ベッド配備ができる総額提示ができれば、1施設あたりの物量が増えて事業性が高まります。



案2.筋電センシングシーツ

 人が起き上がろうとするとき、身体のどこかに力を入れるため筋肉に電位が発生します。

 何らかの方法で筋電を検出できれば、人が動こうとしている事は察知できます。
 その動きがリモコンを取ろうとしているのか、お茶を飲もうとしているのか、端座位になろうとしているのか、見分けられるようになれば離床センサーとしては早めの察知が可能になります。