カテゴリー
BLOG 医工連携 医療機器・設備・環境

クラス分類ルールとGHTF | NES株式会社

 2013年の薬事法改正により旧薬事法は薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)に変わりました。

 今日は久々に内容を見直してみたいと思います。

[Link] 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律


 この頃の話題の1つにクラス分類がありました。

 医療機器をリスクに応じたクラスに分類する方法を国際ルールのようなものであるGHTF (The Global Harmonization Task Force) に近づけるという話題です。

 もう1つ、医療機器の承認/認証のルールがクラス分類や承認基準の有無により審査が変わるというものでした。




厚生労働省資料

 厚生労働省の審議会で配られた資料は今でも参考にしていますが、そのときの資料ではこのようなチャートでクラス分類の大筋を見立てる事ができるとされていました。

[Link] 厚生労働省: 薬事・食品衛生審議会 医療機器・体外診断薬部会(2013年12月2日)




クラス分類ルール(分析機器を除く)


I.非侵襲型機器


1.すべての非侵襲型機器は、ルール2、ルール3、またはルール4が適用されない限り、クラスIである。

2.最終的に体内に注入、投与または導入する目的で血液、体液もしくは組織、液体、もしくは気体を供給または保存するように胃としたすべての非侵襲型機器はクラスIである。

  • 2-1
    例外:クラスIIまたはそれよりも高いクラスの能動型医療機器に接続される場合、クラスIIである
  • 2-2
    例外:血液もしくはその他の体液を保存または供給し、あるいは臓器、臓器の一部もしくは対組織を保存するように意図した場合、クラスIIである。

3.体内への注入を意図した血液、その他の体液もしくは他の液体について、その生物学的または科学的組成を変化させる事を目的としたすべての非侵襲型機器はクラスIIIである。

  • 3-1
    例外:その他の処置が濾過、遠心または気体/熱交換から成る場合はクラスIIである。

4.損傷した皮膚に接触するすべての非侵襲型機器は:
滲出駅の圧迫または吸収のために機械的なバリアとして使用するように意図した場合はクラスIである。

  • 4-1
    例外:主として真皮を超えた創傷で、二次治癒でのみ治癒の可能な創傷に使用するように意図した場合はクラスIIIである。
  • 4-2
    主として創傷の局所管理をするように意図した機器を含め、その他の場合はすべてクラスIIである。

II.侵襲型機器


5.人体開口部に関与し、外科的侵襲型機器以外のものであって、
a)能動型医療機器への接続を意図しない、
 または
b)クラスIの医療機器との接続を意図したすべての侵襲型機器は:

  • 5-1
    一時的使用を意図した場合はクラスIである。
  • 5-1
    例外:眼粘膜に使用することを意図した場合は、クラスIIである。
  • 5-2
    短期的使用を意図した場合はクラスIIである。
  • 5-3
    例外:咽頭までの口腔、鼓膜までの外耳道または鼻腔で使用する場合はクラスIである。
  • 5-4
    長期的使用を意図した場合はクラスIIIである。
  • 5-5
    例外:咽頭までの口腔、鼓膜までの外耳道または鼻腔で使用し、かつ粘膜に吸収されにくい場合はクラスIIである。
  • 5-6
    人体開口部に関与し、外科的侵襲型機器以外のものであって、クラスIIまたはそれよりも高いクラスの能動型医療機器に接続するように意図したすべての侵襲型機器はクラスIIである。

6.一時的使用を意図したすべての外科的侵襲型機器はクラスIIある。

  • 6-1
    例外:再使用可能な手術器具はクラスIである。
  • 6-2
    例外:電離放射線の形でエネルギーを供給するように意図した場合はクラスIIIである。
  • 6-3
    例外:生物学的影響を及ぼすように、或いは全体的にまたは主に吸収されるように意図した場合はクラスIIIである。
  • 6-4
    例外:デリバリー・システムにより医薬品を投与するよう意図した際、これが使用モードによっては潜在的に危険な方法である場合はクラスIIIである。
  • 6-5
    例外:特に、心臓または中心循環系の欠陥について、これらの部位に直接接触し、診断、監視または矯正するように意図した場合はクラスIVである。

7.短期的使用を意図したすべての外科的侵襲型機器はクラスIIである。

  • 7-1
    例外:医薬品を投与するように意図した場合はクラスIIIである。
  • 7-2
    例外:体内で化学変化を受けるように意図した場合は(歯牙に適用する場合を除く)クラスIIIである。
  • 7-3
    例外:電離放射線の形でエネルギーを供給するように意図した場合はクラスIIIである。
  • 7-4
    例外:生物学的影響を及ぼすように、あるいは全体的にまたは主に吸収されるように意図した場合はクラスIVである。
  • 7-5
    例外:特に、中枢神経系に直接接触して使用するように意図した場合はクラスIVである。
  • 7-6
    例外:特に心臓または中心循環系の欠陥に対して、これらの部位に直接接触し、診断、監視または矯正するように意図した場合はクラスIVである。

8.すべての植込み型機器および長期外科的侵襲型機器はクラスⅢである。

  • 8-1
    例外:歯牙に適用するように意図した場合はクラスIIである。
  • 8-2
    例外:心臓、中心循環系または中枢神経系に直接接触して使用するように意図した場合はクラスIVである。
  • 8-3
    例外:生命維持を意図した場合はクラスIVである。
  • 8-4
    例外:能動型植込み型医療機器を意図した場合はクラスIVである。
  • 8-5
    例外:生物学的影響を及ぼすように、あるいは全体的にまたは主に吸収されるように意図した場合はクラスIVである。
  • 8-6
    例外:医薬品を投与するように意図した場合はクラIVである。
  • 8-7
    例外:体内で化学変化を受けるように意図した場合は(歯牙に適用する場合を除く)クラスIVである
  • 8-8
    例外:胸部インプラントの場合はクラスIVである。

III.能動型機器に関する追加ルール


9.エネルギーを投与または交換するように意図したすべての能動型治療機器はクラスIIである。

  • 9-1
    例外:人体へ、あるいは人体からエネルギーを投与または交換するような特性を備えた際、エネルギーの性質、密度および使用部位によっては、潜在的に危険な場合はクラスIIIである。
  • 9-2
    クラスIIIの能動型治療機器の性能を制御または監視するように意図した全ての能動型機器はクラスIIIである。
    また、そのような機器の性能に直接影響を及ぼすように意図した全ての能動型機器はクラスIIIである。

10.診断を意図した能動型機器はクラスⅡである。

  • 10-1
    人体に吸収されるエネルギーを供給するように意図した場合(可視または近赤外で患者の身体を照明するために単独で使用する場合はクラスIである)、または
  • 10-2
    放射性医薬品の生体内分布を造影するように意図した場合、または
  • 10-3
    重要な生理学的プロセスの直接的な診断または監視ができるように意図した場合。
  • 10-4
    例外:特に例外:特に、
    a)例えば心機能、呼吸、中枢神経系活動などの、その変動が即座に患者の危険となるおそれがあるような、重要な生理学的パラメータを監視するように意図した場合、
    または
    b)即座に危険となる臨床状態にある患者を診断するように意図した場合はクラスIIIである。

11.医薬品、体液もしくはその他の物質を人体へまたは人体から投与および/または除去するように意図したすべての能動型機器はクラスIIである。

  • 11-1
    例外:含有物質の性質、関係する身体の部位または使用モードによっては潜在的に危険な方法である場合はクラスIIIである。

12.その他のすべての能動型機器はクラスIである。


IV.追加ルール


13.分離して使用すれば医薬品と考えられる物質を不可欠な成分として含有し、その物質が機器の働きを補助する目的で人体に作用を及ぼす場合、すべての機器はクラスIII又はクラスIVである。

14.活性または不活性を問わず、動物またはヒトの細胞/組織/その由来物から製造されまたはこれを含有する場合、すべての機器はクラスIII又はクラスIVである。

  • 14-1
    例外:不活化した動物組織もしくはその由来物から製造または含有し、正常な皮膚のみに接触する場合はクラスIである。

15.特に、医療機器を消毒または滅菌するために使用するように意図したすべての機器(消毒剤を除く)はクラスIIである。

(備考)
クラス分類ルールにおける用語の定義については、GHTFのクラス分類ルール案における用
語の定義に準拠することとする。


2.分析機器のクラス分類のルール


クラスIII

1.誤った診断結果が得られた場合に、人の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがある検査項目を測定する自己検査用測定機器

2.主たる反応系を内蔵する専用分析機器のうち、体外診断用医薬品で承認を必要とする検査項目を測定するもの

クラスII

1.誤った診断結果が得られた場合に、人の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがある検査項目以外の検査項目を測定する自己検査用測定機器

(当該診断機器による診断結果が医学的に重要な状態を確定しないもの、又は診断結果が暫定的で、適切な追加の検査によるフォローアップを必要とするものを含む)

2.主たる反応系を内蔵する専用分析機器のうち、標準品の無いもの(クラスIII品目を除く。)

クラスⅠ

その他の分析装置

(備考)
新検査項目、新測定原理、新たに自己検査用に移行するもの、新たな検査項目を測定する主たる反応系を内蔵する専用分析機器は大臣承認とし、承認の際にクラス分類を決定するものとする。




解釈

 これらの解釈は開発や製造を担う者が決めるのではなく、厚生労働省やPMDAの解釈が優先されます。

 とはいえ、どこに配慮して開発すると良いかを示しているルールになります。

 例えば一時的、短期、長期などという留置期間でクラス分類が分かれる製品の場合、性能としては1か月の留置ができても薬事承認手続きでは3日以内の留置にしてクラス分類を低く抑えようと考える場合もあります。
 まずは急性期の治療に用いて、有効性や安全性が確立されてから亜急性期や回復期にも適用していくという考え方があります。

 また、CDCガイドラインなどで、何日以内に交換するという目安が示されている物は、何カ月留置できるデバイスを作った所で臨床では受け入れられない可能性もあります。

 用途も重要になりますので、例えば同じ太さの針でもどの血管に、どのような目的で刺すのかでクラス分類が異なります。人工透析のように生体機能代行装置に接続して生命維持に関わる場合は、採血などとは目的が異なりますのでクラス分類はハイリスクの方へ属します。

 弊社が関わる医療機器開発において、このルールは確認させて頂いております。
 侵襲性があるか、血液等に触れるか、粘膜などから吸収されやすい構造かなどでおおよそのクラス分類がわかり、その企業が開発できるレベル感に合っているか、ターゲットプライスと一致するかなどを見極める事ができます。

カテゴリー
BCP Press Rerease お知らせ 医工連携 講演

BCPと医工連携について3つの演題を学会発表 | NES株式会社


Press release

BCPと医工連携について3つの演題を学会発表

 弊社主力事業であるBCP(事業継続計画)と医工連携事業化推進について、弊社代表が学会発表します。

 BCPの演題は、弊社が推進するGOA(目標志向行動)をBCPに取り入れた事例と成果について発表します。京阪神の3つの病院でのBCP策定実績に基づき、GOAがどのようにして活かされるかを紹介します。本来であれば聴講者とのディスカッションにより課題点を見つける予定でしたが、今回は質疑応答がございません。

 医工連携については2つの演題があり、1つは中電病院の元山明子氏と北浜製作所との共同開発案件の事例報告になります。元山氏には共同演者にもなって貰っています。

 もう1つの演題は一般社団法人医療健康機器開発協会における医工連携のニーズ収集や活用に関する内容の発表であり、こちらは同協会理事でもあるベルピアノ病院の村上佳代氏が共同演者になっております。

 第23回日本医療マネジメント学会は6月末に大阪国際会議場にて開催を予定しておりましたが、新型コロナウイルス感染症ワクチンの大規模接種会場となった事で現地開催が急遽とり止めとなり、明日7月15日よりオンデマンドでの開催に切り替わりました。会期中、世界のどこからでも発表を見る事ができます。

 弊社では学会発表を通じ、自社の考え方や活動について忌憚なき意見を集める努力をしています。


プレスリリース: BCPと医工連携について3つの演題を学会発表(NES株式会社)


学会発表用スライドの一例

2021年7月14日
NES株式会社




災害医療 1-C-01
BCP(事業継続計画)の実行性向上を目指したGOA(目標志向行動)基調の戦略策定

 脅威に立ち向かうための行動として、屈強な設備や体制で臨むことができれば完璧かもしれませんが、医療においてはあまりにタスクが多いため、現場裁量に任せざるを得ない面があります。

 そこで現場裁量の中でも秩序を保つ手段としてGOA (Goal-Oriented Action)という考えかたをBCPに導入しています。

 今回、その実践について発表させて頂きます。

BCP(事業継続計画)の実行性向上を目指したGOA(目標志向行動)基調の戦略策定
表紙スライド
BCP(事業継続計画)の実行性向上を目指したGOA(目標志向行動)基調の戦略策定


医療安全:チーム医療 1-E-41
看護業務への負荷最小化を目指した実用的なエア漏れ点検器具の医工連携による開発

  医工連携は医療と工学が連携すれば良いというものではなく、同じ課題を抱えている多くの人に成果物を届ける事が重要となります。

 弊社ではGatekeeperという役割を作り、医工間の境界領域を最適化して成果物の事業化、商品として流通する事を目指しています。

 今回は『カフのエア漏れ』について事例を報告させて頂きます。

看護業務への負荷最小化を目指した実用的なエア漏れ点検器具の医工連携による開発
表紙
看護業務への負荷最小化を目指した実用的なエア漏れ点検器具の医工連携による開発


病院運営:病院マネジメント、その他 1-I-12
臨床業務改善を目指したマネジメントされた医工連携の環境整備

 臨床業務で『困った』『面倒だ』というものがあっても、簡単には改善できません。

 企業のシーズを使って簡単に解決できれば良いなということで、一般社団法人医療健康機器開発協会がニーズ探索部会を設置して活動を開始しました。

 その事例報告と、今後の展望について発表させて頂きます。

臨床業務改善を目指したマネジメントされた医工連携の環境整備
表紙スライド
臨床業務改善を目指したマネジメントされた医工連携の環境整備



第23回日本医療マネジメント学会学術総会

 学会は中之島にある大阪国際会議場(グランキューブ大阪)ではなく、オンデマンドで開催されます。

 会期中、どの演題も好きな時間、好きな場所で聴講することができます。

[Link] 第23回日本医療マネジメント学会学術総会




お問い合わせ

  本件に関するお問い合わせはこちらからお願い致します。

カテゴリー
BLOG 医工連携

行き場を無くした医療用ガウン | NES株式会社

 『行き場を無くした医療用ガウン』とは、兵庫県豊岡市の株式会社由利さんが抱える不良在庫です。

 本来はカバンづくり専門の株式会社由利が医療用ガウンを在庫してる理由は新型コロナウイルス感染症流行拡大です。

 2020年、医療用の防護具が不足した際、医療用ガウンも不足していたため政府が何百万枚も調達をしましたが、そもそも国内で製造している会社が少なかったので、調達は容易ではありませんでした。

 そこで、兵庫県鞄工業組合が一念発起し、数十社合同で約100万枚のガウンを製造し、国に納入しました。
 この兵庫県鞄工業組合の理事長が株式会社由利の由利社長です。

 日本政府への納入が終わり、組合としての共同作業は解散しましたが、個社としての由利社長に米国のバイヤーからガウンに関する問い合わせがありました。

 米国向けに提供すべく製造した5万着の医療用ガウンが、米国へ行く事なく在庫になってしまい、今回の不良在庫となりました。

 このお話を弊社代表の西謙一がお聞きしたのが2020年末、本当は2021年1月に由利社長に会うべく豊岡市へ行く予定でしたが大雪で中止、Zoomで面談させて頂き詳細をお聞きしました。
 その後も幾度かリモート面談し、医療ディーラーなどに販売を打診しましたが、品質が良すぎて価格が合わないという事で、どこも見送りとなりました。

 このままでは高額の在庫を抱えたままになってしまうため、私も参加している活動『Medical Design Lab.』に相談したところ、クリエイティブディレクターの北村竜也氏よりクラウドファンディングの提案があり、彼にお願いする形で資金調達が始まりました。

【参考】ReadyFor: 行き場をなくした医療用ガウンを医療従事者に届けたい!


 由利社長からメッセージを頂戴していますので、良かったらご覧ください。

カテゴリー
Press Rerease research 医工連携

全国の医療機関リストのExcelデータ無償提供開始、および集計システムの自社開発 | NES株式会社


Press release

全国の医療機関リストのExcelデータ無償提供開始、および集計システムの自社開発について

 平素より弊社事業につきまして、ご理解とご高配を賜り厚く御礼申し上げます。

 弊社の主要事業であります医工連携事業化推進コンサルティングにおきましてお客様より、成果物の販売先となる医療機関のリストを御請求頂くことがあります。弊社では最新データを迅速に提供できるよう新たにアプリケーションソフトウェアを開発し、ご契約先様へExcelデータを無償提供するサービスを開始しました。

 厚生労働省の地方厚生局では毎月、最新の保険医療機関・保険薬局の指定一覧を公開しておりますが、そのフォーマットは厚生局間で統一されておらず、同じ局内でも異なるフォーマットを使用している場合があります。フォーマット自体も集計しづらい物があり、エクセルデータで1施設1行ではなく複数行で情報を示しているフォーマットが存在し宛名ラベルの作成などには不向きなデータとなっています。

 このたび弊社ではVisual Basic 6.0を用いたシステム開発を独自に行い、厚生局が公開するデータから47都道府県を統一フォーマットでExcelデータ化するアプリケーションソフトウェアを開発しました。厚生局からのダウンロードは自動化できませんが、都道府県名を付けたExcelファイルを同一フォルダに収納する事でワンクリックで47都道府県のデータをインポートしデータベースを作成する事が可能となりました。

 ソフトウェアは社内で使用しますが、お取引先様や連携先様にはExcelデータを無償提供いたします。


プレスリリース: 全国の医療機関リストのExcelデータ無償提供開始、および集計システムの自社開発について


出力されるExcelデータ

2021年5月24日
NES株式会社




サンプルデータ(見本)

 当社で集計して無償提供するExcelデータの見本です。

 1つは全47都道府県の400床以上の医療機関(病院)を1つのエクセルファイルにまとめたものです。

 もう1つは兵庫県内の医療機関(病院および診療所)を病床の多い順にリスト化したエクセルファイルです。

47都道府県の400床以上の病院リスト
兵庫県内の病院・診療所リスト



データ出典

 データは当社で調査する訳ではありません。

 厚生労働省(地方厚生局)が毎月公開するデータに基づいたリスト作成を行います。

北海道厚生局 https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/hokkaido/

東北厚生局 https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/tohoku/

関東信越厚生局 https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kantoshinetsu/

東海北陸厚生局 https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/tokaihokuriku/

近畿厚生局 https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kinki/

中国四国厚生局 https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/chugokushikoku/

四国厚生支局 https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/shikoku/

九州厚生局 https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kyushu/

厚生労働省: 医療施設調査・病院報告(結果の概要)




独自の集計システム

都道府県データをインポートしDB化

 当社が独自開発したシステムでは、厚生局のホームページに掲載される都道府県別のExcelデータを独自のアルゴリズムで読込み、独自のファイルに取り込んでデータベース化する仕組みとなっています。

 都道府県別のExcelデータは統一されたフォーマットではないため、そのタイプ別に処理を分けています。
 見た目には1つのシステムですが、内部的にはいくつかの異なるプログラムが書かれています。



DBから出力

 データベース化した医療機関情報は、様々な条件でExcelファイルとして出力できます。

 病院限定、有床クリニック限定、400床以上限定、兵庫県限定などExcel出力前に調整が可能なため、Excelで47都道府県分の集計をしなおすような必要はありません。

 本システムは医工連携の販売戦略に活用する目的があるため、Excel上のリストの並び順は病床順だけでなく、エリアがわかりやすいように所在地順にも並べる事ができます。

 特に医工連携では、連携する医療機関が在る場合が多く、その医療機関から物理的に近い医療機関への営業活動が奏功しやすいという事もあり、所在地で絞り込むことが有意義になります。



開発言語を手入力

 今回の開発言語はVisual Basic 6.0(VB6)です。
 この開発言語は1998年秋にリリースされた古い言語なので、色々と課題があるため他人に提供するシステムには使いませんが自己完結するシステムの開発に専ら利用しています。

 VB6を使う理由は『20年来の使い慣れた言語』だからです。
 Visual Studioも保有しているため、しっかりしたシステムはそちらで開発しますが、今回のようにインポートとエクスポートの2つしか機能がないような場合、手引書などを読まずにプログラミングできるVB6を利用してしまう事が多いです。

 今回は5月18日に開発を開始し、5月20日までにプロトタイプが完成、幾度かのインポート/エクスポート試験を経て5月21日に完成しました。4日間の作業です。

日経XTech: マイクロソフトの最新開発ツールの発売日と価格が決定 (1998年9月4日)



手抜きアイコン

 外部にリリースして人目につくのであればアイコンも入念に検討しましが、今回は内部でわかれば良いということで、簡単なアイコンにしました。




お問い合わせ

  本件に関するお問い合わせはこちらからお願い致します。

カテゴリー
Press Rerease 医工連携

AMED競争的資金の申請支援をした事業が補助金を獲得 | NES株式会社


Press release

AMED競争的資金の申請支援をした事業が補助金を獲得

 弊社が申請支援をさせて頂いた事業がAMEDの競争的資金を獲得しました。

 AMED(日本医療研究開発機構)が公募した令和3年度『医工連携イノベーション推進事業(開発・事業化事業)』には40課題が応募され、7課題が採択されました。この内の1課題について、当社が申請書作成などにおける全面サポートサービスを提供させて頂きました。

 本事業の研究開発費は1課題あたり年間6,000万円、治験実施年度は1億1,500万円という規模で行われる事業であり、経済産業省の施策に近いため事業化を重要視しています。すなわち、開発段階に資金提供はするが実際に商品として流通できるか否かが採択の評価に大きく影響すると考えられます。

 国の予算が手当された競争的資金は国民から集めた税金が投入されています。採択された事業は、国益に資する事業である必要があり、申請書にはそれが理解できる内容が求められます。

 弊社の西謙一(代表取締役)はこれまで、多くの競争的資金の申請に関わり、自らも主任研究者として研究費を獲得するなど、申請業務には独自のノウハウを有していました。今回採択された事業については、ご依頼元様のご要望に沿う事が出来る知見や経験があったため、申請作業をご一緒させて頂きました。作業班には弊社の連携先から本事業に適した人材も招聘し取組みました。

 弊社ではAMED事業に限らず、多種多様な競争的資金へのサポートを実施しております。申請のみならず事業中のコンソーシアム内の調整役や、医工連携専門アドバイザーとしての参画なども行っております。

 今後も、国益に資する研究事業に貢献できるよう体制を強化して参ります。


プレスリリース: AMED競争的資金の申請支援をした事業が補助金を獲得


2021年5月12日
NES株式会社




関連リンク

AMED: 医工連携イノベーション推進事業

AMED: 令和3年度『医工連携イノベーション推進事業(開発・事業化事業)』の採択課題について

AMED: 令和3年度『医工連携イノベーション推進事業(開発・事業化事業)』に係る公募について

AMED: 令和3年度 医工連携イノベーション推進事業 開発・事業化事業 公募要項

AMED: 令和3年度 医工連携イノベーション推進事業 開発・事業化事業 課題評価委員一覧




Keyword

AMED

 AMEDとは日本医療研究開発機構の事であり、通称『エーメド』と呼ばれています。

 第二期安倍内閣時代の日本再興戦略により『日本版NIHを』という流れから誕生した組織です。

 NIH (National Institutes of Health) とはアメリカ国立衛生研究所のことです。

 AMEDの発足により、文部科学省、厚生労働省、経済産業省の医療・ヘルスケアに関わる研究費がAMEDに集約されるようになり、組織横断的な研究開発が期待されています。

[Link] AMED

[Link] NIH



医工連携イノベーション推進事業

 医療機器開発に関する研究助成などを行う事業です。

 プログラムディレクターは妙中義之先生です。

 この事業の芽生えは平成22年度補正予算で経済産業省がスタートさせた課題解決型医療機器等開発事業です。
 その後、医工連携事業化推進事業に名を変え、数年前から医工連携イノベーション推進事業となっています。

[Link] AMED: 医工連携イノベーション推進事業




お問い合わせ

  本件に関するお問い合わせはこちらからお願い致します。

カテゴリー
BLOG 医工連携

AMEDの医工連携事業 | NES株式会社

国立研究開発法人日本医療研究開発機構 - AMED -

司令塔

 2013年の第二次安倍内閣で策定された『日本再興戦略』では健康寿命の延伸とともに、今後拡大する医療・ヘルスケア分野を成長産業ともとらえる旨の記載があり、実行組織として司令塔機能の創設が閣議決定されました。

 当時『日本版NIH』とも言われ、省庁間の縦割りを排し、国策として医療やヘルスケア全般にわたり研究開発戦略を担う機関の創設が検討されました。

 2014年2月には『健康・医療戦略推進法案』が閣議決定され、5月に成立し並行して『独立行政法人日本医療研究開発機構法』も成立しました。

 2015年4月に国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)が設立され、初代理事長には慶応大学医学部長を務めていた末松誠先生が就任されました。

 司令塔として、簡単にいうと文部科学省、厚生労働省、経済産業省、内閣府がそれぞれに実施している医療系の研究開発や補助事業などをAMEDに集約させ、ワンストップで事業の調整を行う機関として発足しています。

[Link] 日本経済新聞: 政府が日本版NIH検討 医療研究、司令塔作りに壁 曖昧な役割 屋上屋の懸念(2013年5月31日)
[Link] 日本経済新聞: 初代理事長に末松慶大医学部長 医療研究開発機構(2014年10月29日)


AMED(エーメド)

 医療分野の研究成果を早期実用化し、その成果を待っている患者や医療従事者へ確実に届けることを目指しています。

 AMED自体が研究するのではなく、AMEDが課題とするテーマに応じた様々な研究を支援する形で進められています。
 AMED発足後から基礎研究を始めていては当初何十年も成果が出づらいですが、国内最先端の研究チームをAMEDがサポートすることで最短で成果を挙げる仕組みとしています。

 専門家集団である学会とも連携を強化し、ビッグデータにも対応できる基盤を構築しています。

 アカデミア(学)だけの研究助成ではなく、産業界に対する手厚い助成事業も行われています。医療の特殊性や本邦の超高齢社会などを鑑みた産学官連携を推進しています。

[Link] 日本医療研究開発機構: 法人案内




発足当時のAMED

発足前夜

 2010年より少し前あたりから、厚労省・文科省・経産省・内閣府が同じステージで意見を交わす場面を見かけるようになりました。

 莫大な医療消費がある循環器領域、山中先生がノーベル賞を受賞する前の再生医療、革新的な治療法に期待が膨らむがん医療、さまざまな学会やシンポジウムで多省庁が意見交換する様子を見ました。

 この頃、医科ではない工学系などの大学では自動車や宇宙の研究から超高齢社会を見据えた医療系の研究へ目を向ける先生が増えたのも実感していました。

 他国で開発された医薬品を輸入すれば日本国民の治療はできますが、日本国民が欲しい治療薬が海外にあるとは限りません。
 また、高齢者の絶対数が増えて行く中で、輸入に依存し続けると雇用も納税も外国にばかり流れて行くことになりますので、2013年の日本再興戦略があったのだと思います。

[Link] 首相官邸: 日本再興戦略 - JAPAN is BACK - (2013年6月14日)


発足当初

 発足当初(2015年4月)に講演資料を見ると、文科省・厚労省・経産省が持っている予算の内、医療に関するものを約1,200億円がAMEDの采配で研究助成や資金援助に使われる計画になっていました。

 プロジェクトは大きく9つが走り、『オールジャパン』での『医薬品創出』『医療機器開発』が医療に詳しくない国民にもわかりやすいプロジェクトであると思います。

 他に革新的医療技術創出拠点プロジェクト、再生医療の実現化ハイウェイ構想、疾病克服に向けたゲノム医療実現化プロジェクト、ジャパン・キャンサーリサーチプロジェクト、脳とこころの健康大国実現プロジェクト、新興・再興感染症制御プロジェクト、難病克服プロジェクトが走り出しました。

 再生医療の『ハイウェイ』については薬事法改正により施行された薬機法(医薬品医療機器等法)で、再生医療製品については『世界最速実用化』とも言われる承認制度を実装しました。iPS細胞の発祥国としても知られる日本が、再生医療で世界をリードする基盤が次々と構築されていきました。

 弊社関係者が最も関与するのが『オールジャパンでの医療機器開発』です。
 この中に複数の事業が並走し、それぞれの分野において成果を出すことを目指しています。

 9つのプロジェクトにはマネジャーとしてプログラムディレクター(PD)が配置され、各事業にはプログラムスーパーバイザー(PS)が責任者として置かれます。その下にプログラムオフィサー(PO)が置かれ、PSとPOで事業を計画し、運営していきます。
 PSやPOは各専門領域における第一人者的な人物が据えられており『日本代表チーム』といったイメージが持たれます。

 AMEDの組織体制については下図のとおりで発足しています。
 職員300人中の200人が任期付きですが、多くの人が新しい組織に関わり、巣立っていくというサイクルが適正にまわれば良いと思ってみています。

 このような体制でスタートしたAMEDですが、3年、5年と経過する中で時代のニーズにあった形に変化し、より多くの課題を少しでも早く解決すべく研究開発を推進しています。




AMED採択事業のサポート

採択に向けたサポート

 弊社ではAMEDに限らず、競争的資金の獲得に向けた様々なお手伝いを実施しております。

 過去、AMED関係では医工連携事業化推進事業、医工連携イノベーション推進事業において提案書(申請書)の作成支援などを行った実績があります。

 研究ですので、研究をなさっている中核人材に記載してもらう文章や図画は多くなりますが、それを提案書に沿うように構成・校正し、採択に向けて調整を図ります。
 まっさらな状態、白紙の提案書から一緒に考える、ときにはコンソーシアム参加企業まで当社で探してくるような事も行っています。

 競争的資金の『目的』を熟考し、どのような提案が採択されるのかを見据えた提案書作成に努めています。

事業スキームの考案と図式化(著作者:西謙一)
コンソーシアム構築と体制図作成(著作者:西謙一)

採択後のサポート

 AMED事業に採択されたあとの事務処理対応や事業化に向けた進捗管理、倫理教育などを総合的にサポートします。

 過去にお手伝いさせて頂いた事例では、処理ミスにより研究費不正とレッテルを貼られないようにという事で、コンソーシアムに参加する全企業を訪問して、AMEDルールの共通の認識を持った上で事務処理をして頂きました。

 採択後のサポートは1~2月頃に作業のピークを迎えますが、弊社では夏~秋にかけて仕込み、ピークの分散を図って確実な年度末処理の実施に取組んでいます。


自らコンソーシアムに参加

 稀なケースではございますが、弊社がコンソーシアムに参加する事もあります。

 弊社は、アドバイザーの立場であれば比較的使いやすい企業であると考えております。

 この『アドバイザー』が『推奨』となった背景には、企業や研究者のプロダクトアウト型の研究開発で上手く事業化が上手く行かなかった例が散見されたためと聞いております。
 文部科学省などの資金では基礎研究も多く行われますが、経済産業省関連の予算では事業化の推進が念頭にあり、実際に皆が使えるデバイスやサービスの開発を目指しているため、作って終わりというものではありません。

 平成22年度補正予算から始まった医工連携事業ですが、私たちは当時から関わっているため、こうした変遷も見ながら、どのようなコンサルティングが求められているかを考え、サービスを提供しています。


AMED関連事業受託実績

 弊社ではAMEDが展開する製品評価サービスを受託し、調査を実施した事が幾度かあります。

 調査員として医師らへインタビューする人員には医療従事者を充て、ネット検索では出てこないような質問を投げかけ、事業に役立つ情報を引出しています。

[Link] NES: ユーザー評価・製品評価




AMED提案書FAQ

 AMED事業への採択には、まず提案書(応募用紙)に記入してエントリーする必要があります。
 誰もがエントリーできるようにわかりやすく作成されていますが、コロナの影響で説明会が行われなくなりましたので、少し補足が必要になっているかもしれません。

 よくいただくご質問について、下記のとおりご紹介いたします。
 個別に検討が必要な事も多いので、下記を鵜呑みにせずコンサルタントにご相談されると良いと思います。


Q.1社だけで応募できますか?

 原則、できません。
 体制として『代表機関』と『分担機関』の共同体(コンソーシアム)が必要であり、そのメンバーとして『中小企業』『製造販売企業』『医療機関』の3つが必須です。
 中小企業が製造販売企業を兼ねる事は可能です。
 医療機関まで兼ねる事ができる中小企業であれば1社での申請も不可能ではないですが、実施体制は評価対象ですので、十分な体制が取れなければ採択される可能性が低くなってしまいます。


Q.中小企業の定義はありますか?

 あります。下表をご参照ください。


Q.みなし大企業とは何ですか?

 みなし大企業とは、資本金等の基準では中小企業であるが、下記の定義に照らして合致する企業を指します。

  • 発行済株式の総数または出資金額の2分の1以上が同一の大企業(外国法人含む)の所有に属している企業
  • 発行済株式の総数または出資金額の3分の2以上が複数の大企業(外国法人含む)の所有に属している企業
  • 大企業(外国法人含む)の役員または職員を兼ねている者が役員総数の2分の1以上を占めている法人

 みなし大企業であっても、中小企業として応募することはできます。
 ただし、人件費の計上ができません。


Q.間接経費は計上できますか?

 できます。
 直接経費の30%を目安に手当されます。


Q.経費の費目間の移動・変更はできますか?

 できます。
 研究開発計画との整合性・妥当性があればAMEDの承認を経ずに一定額まで可能です。
 AMEDの承認が得られれば幅が広がります。


Q.e-Radとは?

 e-Rad(イーラド/イーラッド)とは府省共通研究開発管理システムの事で、研究開発に関する手続きのオンラインシステムです。
 公募事業で直接関係してくるのが研究者ID、識別番号です。
 識別番号は法人と個人のそれぞれに与えられます。
 法人の新規登録には2週間程度かかりますので、AMED事業に応募しようと思うならば、先行してe-Radは申請しておきます。申請には履歴事項全部証明書を同封した郵送手続が必要です。
 個人のID取得に時間はさほどかかりません(法人がe-RadのIDを取得済の場合)。また、個人が過去に所属していた機関で個人IDを取得していれば、転籍先でも同じIDを使う事ができます。筆者も研究機関所属時代のIDを今でも使っています。

[Link] e-Rad

カテゴリー
お知らせ 医工連携

医工連携の困りごと | NES株式会社

あなたの困りごとは?

医工連携の困りごと

 私たちはニーズ志向です。
 現場のご意見を拝聴し、傾聴し、課題解消に取り組んでいます。

 私たちはマーケットインを推進しています。
 私たちコンサルタントにとってのマーケットインは医工連携のプレイヤーである企業や医療者の皆さんが形成するマーケットです。

 『お困りごとはございませんか?』と問いかけさせて頂いております。




医療従事者とのコミュニケーション

意思疎通に不安

 共通言語を持たない外国人との会話は意思疎通に苦労します。

 翻訳アプリを使えばだいたいの事は伝わりますが、行間を読むことは難しいです。意味深な言葉を発していても、意味深であることすら気づかないこともあります。

 産業界と医療界は互いに専門性の高い仕事をしており、それが融合することで医工連携の本領は発揮されますが、それ以前の専門間の意思疎通ができなければ融合も連携も生まれません。


Interprofessional

 インタープロフェッショナルとは『異業種間の』『異種職業間の』という意味があります。

 この"interprofessional"に意思疎通の阻害要因が存在しています。

 私たちはこの『間』(あいだ)を取り持つ仕事をしています。
 外国人との間で言えば翻訳家です。
 単に直訳するのではなく、相手の文化や志向を考慮した上で言葉を伝え、気付きを与えます。


ナースはマルチスキル、マルチタスク

 看護師は非常に多彩な業務を行っており、医療現場のあらゆる箇所で課題や不満を持っています。

 看護師の意見に傾聴することで、思わぬビッグビジネスと出会ったこともあります。

 薬事承認申請の要らないような雑品ネタも多くあり、中小企業としては関係しやすい案件もあります。

 私たちは、看護師とのコミュニケーションが取れます。
 ナースと一緒に医工連携を進めてきた実績があります。




医療従事者の要望

同席要請

 医工連携に取組む医療従事者からの要請で、企業面談に弊社コンサルタントが同席することがよくあります。

 医療従事者側から企業に対しては『わかる言葉で説明して下さい』と要望はしていますが、異業種連携の経験が少ないと、何が専門用語であるかもわかならなくなってしまっています。

 弊社コンサルからは『こう言いたいのですか?』『例えばこういう物を作れるという事ですか?』と言葉を置き換えながら会話が成り立つようにサポートさせて頂いております。


雇い主の違い

 医療従事者からの要請で同席する場合、コンサルの雇い主は医療従事者です。

 翻訳サービスは両者の理解を得るためのものなので両者にサービスが提供されますが、企業側の理解があまりに進まないようであれば、本来は企業側がコンサルを雇い、同席させるべきではないかという意見が出される事があります。

 また、翻訳され情報を理解できても、それをどう活かすべきかなどのコンサルティング的なサービスは提供されないため、商機を逸してしまう可能性もあります。

 ニーズ志向の課題解決型医工連携では、医療従事者は明確なニーズを持ち、解決したい課題を理解しているため多少の齟齬があっても先に進める事ができますが、企業側が誤った理解をしていると、大きな手戻りが発生し、経済的にも精神的にもダメージが大きくなることがあります。

 相手方との歩調合せ、まずは言葉の理解からですが、同じ土俵に立って意見交換ができるくらいになるまで、コンサルタントを同席させることをお勧めします。




マーケットイン

ニーズ探索

 『ニーズ志向』『マーケットイン』などと言われますが、いったいどこにニーズがあるのか分からないという企業の方々も多いと思います。

 ニーズ探索の方法は確立されているようで、確立されていません。

 ニーズ発表会やニーズ投稿サイトなどがありますが、そこで出会えるニーズは限定的であると考えられます。

 『医工連携ニーズ』として発表されている物が非常に少ないのが現状です。ニーズではあったとしても事業性が無ければ事業者側に魅力がないのでマッチングは上手くいきません。

 誰もが入手できてしまうニーズなので、事業性がないという事もあります。


価値あるニーズ

 ビジネスとして価値あるニーズはどこになるのでしょうか。

 おそらく、ニーズ発表会で出会える可能性は相当に低いと思います。

 事業者側に嗅覚があれば、ニーズの断片から拾い上げる事ができるかもしれませんが、発表者側はあくまで医療従事者、現場の困りごとなどを発表してくださいと依頼を受けているのでビジネスまで配慮することは範疇外です。

 ビジネス的な価値のあるニーズは、それを目的に発掘しているところに行けば見つかります。
 院内に目利き役が居る医療機関はごく限られていますが、無い訳ではありません。

ビジネスの立場からの目利き
医療の立場からの目利き

見やすいニーズ情報

 医療側の背景などがあまり分からない場合、ニーズ情報を投げかけられてもピンと来ない事があります。

 ビジネスとして欲しい情報を付加したニーズ情報には価値がありますが、そうした情報はどこにでもある訳ではありません。

 では、どこで見つければ良いのでしょうか。

 その1つの方策がコンサルタントの利用です。
 当初はコンサルタントにニーズを咀嚼したシートを作ってもらうと良いでしょう。それが読みやすければ、そのコンサルタントを継続して使えば良いですし、自社で作れるレベルになれば内製化すれば良いと思います。

 貴社で医療従事者を育成するという方法もあります。
 ただし、ニーズ発信源の一人を育成しても、ニーズは多方面から集めることになるので、都度育成する必要があります。
 育成した医療従事者を、顧問(コンサルタント)として雇い入れることもできるので、結局は顧問人材が居ると良いということになります。

 下図は私たちのニーズ咀嚼シートです。
 このニーズ自体は私たちが勝手に想像した事案ですので不正確なことも含まれます。サンプルとしてご覧頂ければと思います。




法規制は敵or味方?

薬機法(薬事法)

 『薬事法』(やくじほう)と呼ばれてきた法律は、医薬品と医療機器を章立てで分けて別々に規定すべきとの考え方に基づき薬機法に変わりました。

 法の目的は大きく変わらず品質・有効性・安全性の確保によって危害が広まらないことを第一に考えられています。

[Link] 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律


敵でも壁でもない!?

 よく薬機法が上市を妨げる壁や敵かのように説述される方が居られますが、必ずしも敵であるとは言えません。

 例えば注射針を売りたいと思ったときに薬機法がなければ『人に刺すための道具』は凶器であると認定されてしまうかもしれません。
 人に刺すという危険行為をしてでも得るべき価値があるからこそ許可される道具であるために、何らかの根拠が必要ですし安全基準も必要です。

 どのような危険が潜み、どのような試験をすれば安全性が証明できるかという根拠が積みあがっていない新規の医療機器には審査期間も長期に必要になりますが、既に認証基準がある医療機器は審査に要する時間はさほど長くはありません。


Regulatory Science

 レギュラトリーサイエンスとは『科学技術の成果を人と社会に役立てることを目的に、根拠に基づく的確な予測、評価、判断を行い、科学技術の成果を人と社会との調和の上で最も望ましい姿に調整するための科学』とされています(第4次科学技術基本計画平成23年8月19日閣議決定)。

 2014年5月30日に制定された健康医療戦略推進法では『医療分野の研究開発の成果の実用化に際し、その品質、有効性及び安全性を科学的知見に基づき適正かつ迅速に予測、評価及び判断することに関する科学の振興』を図ることが国の方針として打ち出されています。

 薬事に関する法規制は国民の健康を守ると同時に、科学技術の進歩にも寄与するものと考えられます。

[Link] PMDA: レギュラトリーサイエンスについて


決めつけない

 ときどき『これは医療機器だ』『クラス2くらいだね』と根拠もなく法解釈を決めてしまう人や企業があります。

 先行する医療機器の競合品として出す場合は医療機器と断定できますが、新しく考案された機器が法に基づく医療機器になるとは限りません。

 例えば『これは解熱作用のある冷たい枕』だと言っても、解熱作用を証明できなければ効果効能は謳えません。根拠もなく効果効能を謳うと薬機法違反です。
 この場合、単に『氷枕』として販売すれば雑品ですが、効果効能は謳えませんので、どうしても解熱作用を謳いたい場合は薬機法で認めてもらうための基準や規格が必要になります。そのための実験や資料作成が必要になります。

 熱が出た時には『熱を下げたい』と思い氷枕や保冷剤を使う人が一定数居ると仮定し、その人たちの何割かは何らかの効果が高い物を求めているとすれば、解熱効果を謳わずとも需要に応じる事ができると思います。

 私たちは薬事コンサルをお引き受けできますが、薬事規制対象外であるかもしれない可能性についてもご案内しております。

 医療現場の課題解消が主たる目的であり、それがビジネスとして成り立つことが副題にあるとすれば、薬機法の承認や認証を得ることに執着する必要はないと考えています。
 一緒に、事業戦略を策定いたします。

氷嚢を吊るす器具は昔からある
鞄を展示する器具も機能は類似



ご意見拝聴

医家の率直な意見を

 自分たちの開発物やコンセプトが正しいかどうか、医療従事者から率直な意見が聴きたいと思いませんか。

 既に医師や看護師が関与して開発している案件では特に聞きづらい状況になっており『この人の言ってることは本当かな?』と疑心暗鬼になることもしばしばです。


覆面調査

 自社がどのような物を開発し、何を課題としているかが他者に漏れることを恐れることは当然のことです。

 そのようなときには覆面調査が役立ちます。

 私たちは覆面調査の経験が幾度もあります。

 質問内容や質問相手などを慎重に選び、有意義な情報を密やかに入手するのが私たちの覆面調査です。


ショッキングな…

 率直なご意見を賜ると、ときどきショッキングなことが起こります。

 せっかく開発してきたものが酷評を受けることもあります。
 市場があると信じて開発してきたものが、誰も必要としていなかったり、既に解決策が見出されていたりします。

 酷な現実ですが、無用なものを提供されても医療側は喜びませんし、企業も利益が得られないので、私たちは現実をお話しします。

 コンサル側が自身の金儲けを優先すれば、開発を続けさせて顧問契約を延長、再調査をさせて再び委託費を貰う、そんな事が考えられます、しかしながら私たちは、依頼元の利益を重視して現実をお話ししています。
 『無駄な開発を続けずに済んだ』と思って頂けるよう、丁寧に説明させて頂きます。


ネットワークあります

 私たちは医療従事者(有資格者)です。

 医療従事者ゆえに、独自のネットワークがあります。独特の言い回しができます。

 面接形式でインタビューする場合もあれば、カフェやレストランで食事を目の前にして忌憚なき意見を得ることもあります。

 結局は売れるか否かが事業の永続性に大きく関わるので、売れるポイントを引き出すのが調査の目的になります。

 大病院も無床クリニックも医療機関ですが一緒くたにせず、個別の意見として拝聴しています。




誰がどうやって売るのか?

医療機器販売

 医療機器のメーカーは『医療機器製造販売業』、販売店は『医療機器販売業』の業許可が必要です。これだけで1つのハードルになりますので、怪しい業者さんの参入余地は少ないです。

 クリーンな企業同士、同じ免許の中で競合他社とのバッティングは確率が上がります。

 医療機器販売会社には地域特性や商品偏重などがあります。

 独特の商習慣もあります。


津々浦々

 病院は8千以上、診療所は10万以上、歯科医院は6万以上あります。

 コンビニが5万軒を超えましたが郵便局はその半分くらいです。医療機関がいかに多いかがわかると思います。

 人口の少ない『僻地』と呼ばれるところにも病気になる人は居ます。

 この全国津々浦々にある医療機関に商品をPRし、納品していくための術を新規参入企業が構築するのは容易ではありません。

 貴社では、どのような戦略をお持ちでしょうか。


買い手

 医療機器メーカーですら見誤ることがある買い手。

 開発をするときのパートナーが必ずしもユーザーであるとは限りません。調達担当者と現場ユーザーも不一致であることがあります。

 例えば血糖測定器は試薬が関係するため薬局が調達窓口になることがありますが、普段のユーザーは看護師か患者です。血糖測定そ指示するのは医師です。故障などは臨床工学技士に振られます。検査の範疇なので管理が臨床検査技師の場合もあります。
 血糖測定を試薬に焦点を絞りすぎると対象を見誤ってしまいます。

 特に患者が直接関わるような商品の場合『文字が小さい』『難しい表示が多い』などの理由で調達が拒否される場合があります。
 開発した医師が欲しかった情報と、患者に与えるべき情報の乖離が売れない商品を作ってしまっています。




 当社には医療機器開発や事業化に関するノウハウが蓄積しています。

 当社単体では卓越したノウハウとは言えませんが、独自のネットワーク、アライアンスを活用する事で優れたコンサルファームにも引けを取らないサービスが提供できると考えています。

 お困りの事、この先の不安を抱えておられる方、お気軽にご相談ください。

ヘルスケア・医療機器、サービスの創出と課題解決をお手伝いします。
カテゴリー
BCP BLOG 医工連携 医療機器・設備・環境 療養住環境

コロナ自宅療養最適化準備 | NES株式会社

 COVID-19と共存する社会として、感染が拡大していても社会活動は止まりません。

 当然ながら患者が発生し続けるのですが、その発生数と受入可能数がアンバランスになれば医療崩壊が起こります。

 その前段では、自宅療養者が増えます。最初は無症状者が自宅療養、次いで軽症者、そのうち酸素投与前の中等症も軽症扱いとなり自宅、いずれは酸素投与も自宅でという事になるかもしれません。

 どんな事になっても自分は生き延びる、そう考えた時、様々な備えが必要になります。
 大震災や停電に備えるのと同じです。

 今回、筆者はいくつかの取り組みをしましたのでここに共有します。




自宅療養五選
 ├ 1.発症初期
 ├ 2.無症状・軽症
 ├ 3.選択的自宅療養
 ├ 4.退院後自宅療養
 └ 5.入院待機

病床逼迫が増やす自宅療養
 ├ 病床逼迫
 ├ 患者数とのバランス
 ├ 患者数とのアンバランス
 └ 中等症ベッドが空かない

院外療養の高水準化
 ├ ホテルの病床化
 ├ 高齢者施設では昨年末から
 └ 医療から遠い自宅療養

自衛戦略
 ├ 医療崩壊後は受診困難
 ├ まず軽症のケースから想定
 └ 中等症72時間

私の自衛策(孤軍奮闘の籠城戦)
 ├ 陰圧室
    └ 簡易陰圧システム(サイト内リンク)
 ├ 行動範囲を限定し陰圧
 ├ オゾン除菌・消臭
 ├ 呼吸苦をセルフケア
 ├ さらなる呼吸苦をセルフケア
 ├ BVM72hr
 ├ 温水消毒orオゾン3日間
 ├ 不織布の多用
 ├ 食器は使い捨て
 └ 防御マスクとガウン
    └ フルフェイスマスク(サイト内リンク)

これまでと、これから
 ├ 2020年春
 ├ 組立前
 ├ パルスオキシメーター
 ├ 陰圧だけは代用がきかない
 └ ワクチン接種まで半年の注意




自宅療養五選

1.発症初期

 COVID-19は発熱や倦怠感、味覚異常などの自覚症状から検査を受けて発症を覚知するケースがありますが、この感染から発症初期にかけては自宅に居る事になります。

 まだ病気だと気づいていない間は療養ではなく日常生活、普段通りに自宅に居ると思いますが、PCR検査等で感染に気付いていこうも次の行動までは自宅療養となります。


2.無症状・軽症

 COVID-19の検査を受ける経緯は自覚症状が無い場合でも、濃厚接触者に該当する場合や、業務上の都合で受ける場合など様々なケースが想定されます。

 無症候性の場合、措置としての入院はなく自宅療養かホテル療養が一般的です。


3.選択的自宅療養

 入院しても良いレベルであるが、自ら望んで自宅療養を選ぶ人も居られます。

 仕事を続けたい、育児は止められない、親子で感染したので一緒に居たい、理由は様々です。


4.退院後自宅療養

 軽症者に近い位置づけになりますが、入院加療を終えて快方に向かっているという事で自宅療養となるケースです。

 他の疾患でも同じですが、入院の必要が無くなれば外来や往診に切り替わります。
 COVID-19の場合、感染させてしまう恐れがあるため行動制限付きの退院となる場合があります。


5.入院待機

 入院を希望しても調整がつくまで待機期間が発生します。

 病床にゆとりがある場合は入院先は1時間程度で決まり、配車された搬送車両に乗車して入院するまで半日前後です。

 病床が逼迫してくると、この待機期間が長引きます。




病床逼迫が増やす自宅療養

病床逼迫

 平時であっても呼吸器感染症の重症者を受け入れられる医療機関は限定的であり、そのベッド数はさほど多くありません。
 加えて、予防法や治療法が確立していない新興感染症の重症者となると受入も容易ではありません。

 ベッドや人工呼吸器などの製品を買ってきても、ケアする人材が居なければ病床は増えませんし、24時間365日のケアには交代要員が必要なので、増床は容易な事ではありません。


患者数とのバランス

 従前の感染症指定医療機関としては下表のとおりで、新感染症を担当する特定感染症指定医療機関は2床、エボラやペストなどを担当する第一種は4床、SARSなどを担当する第二種の感染症病床は72床でした。

 平時にはエボラもSARSも患者は居ませんし、仮に発生しても今回のCOVID-19のようにまん延する事は無かったので下表の病床数で逼迫する事はありませんでした。

特定一種二種
感染
二種
結核
二種
一般
りんくう総合医療センター226
大阪市立総合医療センター132
堺市立総合医療センター16
市立豊中病院14
市立ひらかた病院8
府立大阪はびきの医療センター6606
大阪刀根山医療センター
高槻赤十字病院6
大阪府結核予防会 大阪病院30
仁泉会 阪奈病院123
大阪市立十三市民病院391
国立近畿中央呼吸器センター40

[Link] 厚生労働省:感染症指定医療機関の指定状況


患者数とのアンバランス

 COVID-19用の重症病床、例えば大阪府では224床(2021年4月15日現在)です。府内の全病床数は106,767(2021年1月現在)なので0.2%です。人口は約880万人なので約4万人に1床です。

 1日の新規感染者が1,000人超、仮に全員が14日間で治るとしても14日目には累計14,000人の患者が居る事になります。
 仮に3%が重症化すると1日30人、重症病床を1週間程で埋める数になります。

 重症化すれば入院期間は長引くため、軽症者にように2週間で治っていく人とは差が出ます。重症病床は簡単には空床にはなりません。

 新規感染者が増えるペースと、増床するペースがアンバランスになりつつあり、この先には医療崩壊があります。

[Link] 厚生労働省:医療施設(静態・動態)調査・病院報告
[Link] 大阪府:令和3年4月14日 知事記者会見内容


中等症ベッドが空かない

 重症病床に入った患者の症状が軽快し中等症になっても退院は容易ではありません。この退院調整の難航も病床逼迫を助長しています。

 中等症を診る医療機関では、重症病床で診てもらいたい患者を送り出せないと中等症病床を空けられないだけでなく、症状が重ければより多くのリソースを割くことになり、それによって利用できる病床数を減らさざるを得なくなります。

 変異株では症状の進行が早まったとも言われており、中等症病床の待機患者は増加、軽症ゆえにホテルや自宅、高齢者施設で待機していた患者の病態が変化しても入院できない状況になりつつあります。




院外療養の高水準化

ホテルの病床化

 ホテル療養は経過観察、大阪で言えば大阪府看護協会が全面的に協力し宿泊者の病態を見ています。

 病床が逼迫する中でホテル療養者に対し、治療を開始する動きが出てきました。

 まずは軽症から中等症に至る過程での、入院までの時間を安全に過ごすための酸素投与ができるように機器が配備され、現場に駐在する看護師へのレクチャーが行われました。


高齢者施設では昨年末から

 あまり報道されていませんが、大都市圏では昨年末、病床が逼迫し入院調整が困難になる時期・地域がありました。

 特に高齢者施設からの入院受入要請が多かったようで、受入までに1日以上かかるケースもあったと言います。

 平時から高齢者施設には医師や看護師による訪問診療が行われており、対症療法のようなケアは実施できるため、生命危機には至らぬ中で入院を待つことができたようです。

日本経済新聞・2020年12月31日朝刊
読売新聞・2020年12月10日朝刊

医療から遠い自宅療養

 ホテル療養や高齢者施設の場合は建物内に看護師らが常駐していますが、自宅には医療従事者は居ません。
 コロナ感染者である事から、救急車を要請しても色々と準備に時間がかかり、入院受入先の照会にも時間がかかります。

 病床逼迫により、自宅から病院への移動にあったハードルはますます高くなり、いよいよ自宅での本格的な診療を考えなければならない時期に差し掛かっていると思われます。

読売新聞・2021年1月18日朝刊
日本経済新聞・2020年12月19日朝刊



自衛戦略

医療崩壊後は受診困難

 2020年2月、まだ『新型肺炎』などと呼ばれていたCOVID-19ですが、マスクや消毒液は枯渇し、大阪のミナミでは中国人観光客の姿が消えました。
 3月、筆者は米国ニューヨーク州の数字を見て警戒感を強めました。新規感染者が倍々と増え、数週で1万人を超えました。死者数は、平時の死亡する人数の倍、遺体安置の場所が足りないほどになりました。

 ニューヨークでは医療崩壊が起こり、拠点病院ではロビーやカフェにも患者を置いて診療せざるを得ない状況でした。

 日本でも医療崩壊が起これば災害時のようにロビーに患者が溢れるような状況になると思いますが、そこへ行っても治療を受けられる確約はありません。


まず軽症のケースから想定

 医療崩壊が起こらなくても、病床逼迫時は軽症者は安易に受診できるとは考えられません。

 自宅療養を強いられたとき、家族に感染させないための対策が求められます。

 そのためには自らを隔離し、あらゆる面で家族との接触を断つ事が必要になります。


中等症72時間

 中等症であっても病床が逼迫していれば入院までに時間を要するでしょう。
 局地的に病床不足であれば遠方への搬送や救援人材により多少の調整ができると思いますが、広域で病床不足の場合は、ベッドが空くまで身動きが取れないでしょう。

 中等症からの軽快化も重症化も72時間の猶予があれば見極めがつくのではないかと考え、中等症で72時間、自宅で療養できる手段を考えました。




私の自衛策
(孤軍奮闘の籠城戦)

陰圧室

 無症状であってもウイルスをばら撒く可能性があるため、感染の可能性のある段階から完治までは隔離が必要だと考えました。

 居室の1つを陰圧化する事で感染拡大を防止できるだろうと考え、陰圧システムを開発しました。

 機材は中核となるファン以外はホームセンターで調達できる物で構築しました。
 まずは完成イメージをデザインし、木材を使ってカタチを作るところからスタートです。

 だいたいイメージした通りのモノが作れました。
 ファンを動かすと轟音を立てて圧のある風を吹き出していましたので、装置自体はひとまず完成です。

 次に排気の方法について検討しました。
 強く吸い出せば、吸われた側は陰圧になると考えると、部屋に装置を置いて屋外に排気する方法が必要になります。
 そこで作ったのが窓用の器材です。スタイロフォームという床下の断熱などで使われる建材を窓の高さにカット、定着カラーというダクトを接続するための金物を押し当てて穴を開け、そのまま装着する事で排気用の器具を自作しました。

 下の動画は2020年4月9日の物です。
 木製の簡易陰圧装置と発泡フォームの排気器具でも陰圧が掛かる事を可視化しようと撮影しました。
 あくまで自宅用、自衛のための陰圧装置ですので厳密な差圧は測定していません。

 この木製のDIY陰圧装置はのちに、弊社とSISM(シズン)様の共同開発品として鋼製ボディに進化し、市販化されています。
 医療機関や高齢者施設で使用される事を想定していますが、上述のとおり在宅用から開発が始まっていますので、自宅療養用にもご利用いただけます。

簡易陰圧システムに関する話題を集めています

行動範囲を限定し陰圧

 呼気中のウイルスはマスク装着で漏出を最小化、換気により浮遊量は安全域になるようにと考えました。

 部屋から出てトイレまでは最短化、感染者がトイレに行く際には家族は廊下に出ることを禁止、療養に使用している陰圧室のドアを開放しトイレの空気を陰圧室に引き込む事で、感染者の動線上の空気は陰圧室に引き込まれるようにしようと考えました。

 ドアの取っ手など手を触れる部分は直接触らず、使い捨てのビニル手袋を装着する事で接触感染を予防、更に次亜塩素酸ナトリウム希釈液で消毒して立ち去る事で感染リスクを低減させる事にしました。


オゾン除菌・消臭

 陰圧装置は排気時にウイルス等を強制的に捨ててしまいます。One wayなので屋外に捨てられたら戻って来ません。

 空気清浄機はフィルタで濾すだけなので、フィルタにウイルスが残ります。
 フィルタを通らない空気はウイルスが残ったままの不変です。

 オゾン発生装置は、オゾンをまき散らします。
 オゾンは出会ったウイルス等を酸化分解します。
 ニオイの元も酸化分解します。

 療養中の部屋、トイレ等の周辺空間の除菌にオゾンを利用する予定で準備しています。
 しばらく風呂には入れないので、消臭も期待しています。

オゾン消臭器
オゾン消臭器 Air Success S
普段はゴミ箱の消臭にも利用
小型・軽量・静音。マグネットでどこへでも付き、USBスマホバッテリで動きます。ファンもフィルタも無いので手入れがラク、消耗品も買い足す必要はありません。

呼吸苦をセルフケア

 筆者が臨床に立っていた頃の名残で聴診器があります。

 筆者宅にはネブライザという薬剤を吸入する装置が2機種あります。エアロゾル問題で耳鼻科などでは休眠中ですが、自宅であれば心置きなく使えます。

 聴診器で肺の音を聴く必要性はあまりありませんが、ネブライザは薬液無しで水だけで使うと加湿器のような物になります。
 ネバっとした痰が絡んで来たら、水で使おうと思います。


さらなる呼吸苦をセルフケア

 自らの力で呼吸しても酸素加が追い付かないときには、呼吸を補助するツールが必要になります。

 睡眠時無呼吸症候群ではCPAP(Continuous Positive Airway Pressure)という持続的陽圧換気が行われます。
 これは気管内挿管というものはせず、マスクを鼻や口に当てて換気を補助します。

 同じような方法で呼吸を助ける方法にバッグバルブマスク(Bag Valve Mask)という用手的な換気方法があります。
 バッグを手で圧迫するとマスクから空気が送り込まれる物で、救急の現場では日常的に使われています。

 筆者はこれをネット通販で買いました。

 筆者が呼吸苦になったときは、自分でBVMを操作するつもりです。
 家族が呼吸苦になったときは、筆者がBVMを操作するつもりです。

BVMを手に取って説明するクオモNY州知事
ネット通販で実際に購入したBVM

BVM72hr

 BVMは数秒に1回のペースで圧迫操作(吸気)が必要です。

 人工呼吸器のように機械式でなければ、人間がタイミングよく圧迫しなければ患者は吸気の機会を失います。

 そこで使うのがメトロノームです。

 医療従事者であっても研修で10分くらいの操作をすることはありますが、30分以上する事は少ないです。
 筆者がメトロノームに関心を持ったのは災害対策、BCPの一環として復電までの72時間、用手換気をするためです。

 COVID-19でも72時間の自宅待機を想定しているので、メトロノームの有用性が試されるかもしれません。

BVMの正確性向上にメトロノーム
BVMは用手操作が必要
メトロノームであればデジタルもアナログも関係なく使えます。コンパクトさでデジタルを選んでいます。もし、どこかへ搬送となれば、荷物は少ない方が良いと思います。これを使うシーンでは、救急車も来ない想定です。

 一般的な呼吸回数は1分間に10回程度、1呼吸は6秒程です。
 メトロノームのリズムは60回/min、そして6回に1回は鐘を鳴らすような設定にすると、そのタイミングでバッグを圧迫するということが条件反射的に実行できます。

 本当にメトロノームが良いのか、実験して学会発表しました。
 なにも使わずに個人の感覚だけで実施する場合と、時計を見ながら6秒に1回する場合と、メトロノームの場合を比較したところ、メトロノームを使う方法が有意差を持って正確である事がわかりました。

[発表スライド] 西 謙一: 医療BCP(事業継続計画)策定における人工呼吸器代替手段の最適化検討と評価法開発(PDF)


温水消毒orオゾン3日間

 身体がウイルスに侵されている状態では、身体から出る汗などにもウイルスが居る可能性があります。

 部屋の掃除は患者自らでもできそうですが、洗濯は道具と水が必要になるため部屋では難しいです。

 ウイルスの付着した布製品の感染制御には『80℃10分』という数字があります。
 家の中で80℃の湯を10分間維持し、洗濯物を浸せる環境は無いと思いますが、自宅療養の準備をする期間があれば検討する価値はあるかもしれません。

 私案では、トタンのタライにドブ漬けのヒーターで80℃をキープ、衣類はチャック袋に入れて湯を汚さないという作戦が良いかなと思っています。
 大きなタライはドリフなどで上から落ちてくる以外は使途が無さそうなので、ブリキのバケツでも良いかなと思います。

ある世代以上であれば、コントで頭上に落ちてくるイメージのあるたらいです。金属製です。
ヒーターが剥き出しになっているような製品です。温度調節器を使って適温のお湯を沸かす事ができます。

 熱湯消毒よりも手軽そうなのがオゾンです。
 メーカーさんは許してくれない思いますが、私は90Lのゴミ袋に布製品を入れて、オゾン発生装置(Air Success)をUSBバッテリに接続して同じゴミ袋の中に入れて消臭に利用する事があります。
 例えばスリッパなんかはニオイが取れます。スーツも焼肉やタバコのニオイから解放されます。

 今回はCOVID-19を対象に考えているので、3日くらい、自然にウイルスが消える分とオゾンのパワーの併用で殺菌しようかと計画しています。

針電極と多重リング電極によるオゾン発生
Air Success Miniをバッテリに接続してビニル袋内でマスクを消毒・消臭

不織布の多用

 ベッドシーツ、枕カバー、あらゆる布製品を使い捨ての不織布に置き換える、これで洗濯物を減らす事ができます。

 不織布は様々なサイズが販売されていますので、中にはベッドシーツくらいの物もありますが、入手困難であればロールタイプの物を買うと良いです。
 数十メートル巻のロールであれば、ベッドの長さ分くらいは簡単に取れます。それを何列か敷くことでベッドシーツにもなります。ただし、段差ができるので褥瘡にならないようにと考えると、やはりタオルやシーツが要りそうです。

 発熱の具合によって、併用もアリだと思います。
 私宅にはロールの不織布を配備済です。

防水のペーパーシーツです。幅90cmなのでシングルベッドくらいです。COVID-19感染拡大初期には長期的に品切れでした。

食器は使い捨て

 食事は家族と同じ物を食べたいと思いますが、食器は使い捨てにする予定です。

 バーベキュー用に買ってある食器を使います。

 飲料はペットボトルで済ませると良いと思います。
 冷蔵庫の予備は持てないと思いますので、常温でも飲める飲料を用意しておくと良いと思います。

シモジマの紙皿(GPY-26)です。50枚で千円ちょっと、1枚20円程は災害備蓄としては安いと思います。昼と夜、1日2枚の消費で1か月近くになります。

防御マスクとガウン

 家族や他人にケアをしてもらわなければならないとき、部屋に入ってもらうのはリスクが高いです。

 どうしてもというときには、以下の個人防護具(PPE)を装着してもらう予定です。

  • フルフェイスマスク(自作)
  • ガウン(医療用)
  • グローブ(ビニル手袋)

 2020年春には工事用のゴーグルと防塵マスクを買いましたが、その後、国立京都医療センターの救急医のリクエストを受けてフルフェイス型のマスクを開発したので、もし自宅療養となれば人工鼻を装着してフルフェイスで対応してもらいます。
 または、患者がフルフェイスマスク、または防塵マスクを装着してウイルスをまき散らさないという方法も考えます。

工事用ゴーグル
工事用防塵マスク

 アイソレーションガウンを着て、人工鼻搭載のフルフェイスマスクをかぶり、ビニル手袋などを身に付ければ病院内での防護に近いレベルになります。
 家族ケアにどのレベルが必要かわかりませんが、安全のため揃えられるものは揃えて、備えています。

アイソレーションガウン
自作の人工鼻搭載フルフェイスマスク
使い捨てのガウンです。簡易な作業であればこれでも十分だと思います。気になるようでしたら、衣服はジャージなどを用意して、その場で脱ぎ着してもらい、生活空間にはウイルスを持ち込まない配慮をすれば良いかと思います。



これまでと、これから

2020年春

 2020年の3月頃に上述のモノは揃えました。

 当時注文した物で、いまだに納入されないパルスオキシメーターはさておき、だいたいの物は調達できています。


組立前

 まだ準備中ですが、園芸用のテントを買いました。

 宅内にテントを張って、ウイルスの漏れをより少なくしようと考えています。

 ただし、何日もテントの中に居るのは精神的に参りそうですし、エアコンの風も行き届かないので、様子観察です。


パルスオキシメーター

 パルスオキシメーターの入手はつい最近です。
 2021年3月に親戚からいただきました。

 ただし、これはパルスオキシメーターとは呼べないと思います。
 医療機器の認証を取っていない製品のようです。

 医療機器であれば本来、本体や箱に表示すべき文言がありますが、この製品にはありませんでした。
 添付文書も付いていません。

親戚にもらった測定デバイス
病院で使われる使われるパルスオキシメーター

陰圧だけは代用がきかない

 ここまで色々と書きましたが、代用がきかないのは陰圧システムとバッグバルブマスクだと思います。

 聴診器やパルスオキシメーターはそのものを代用するものがありませんが肩で呼吸をする、紫の唇、顔面蒼白で血の巡りが悪そうであれば数値で見なくてもわかると思います。

 バッグバルブマスクについては医療機器であり、医療従事者が取り扱うべきものですが、今回は緊急事態を想定しているので、もし入手できれば持っていても良いと思います。

 陰圧装置は雑品です。医療機器では無いので誰でも取り扱うことができます。
 一家に一台という物でもありませんが、自治会に一台以上あっても良いようなレベル感だと思います。
 大阪府内で1日千人、10日で1万人の患者発生という事は、10日もすれば880人に1人が感染経験者、1か月もすると300人に1人が感染経験者になります。
 200世帯、500人くらい居る自治会なら、1か月の内に1~2世帯は感染者がいる計算になります。

 私案ですが、自治会内で感染者が発生したら陰圧装置を買う、それまでは準備だけしておくという事で良いと思います。
 感染者が出たらすぐに買う、治ったら自治会の資産として保有し次の感染者発生時に貸与する、こうすることで何かあっても安心な地域になると思います。

簡易陰圧装置パンフレット(PDF)

簡易陰圧システムに関する話題を集めています

ワクチン接種まで半年の注意

 ワクチンの効果があることを前提に、国民の接種がある程度まで終わるとされる半年後まで、COVID-19に感染しない努力をします。

 社会活動をゼロにしては会社も成り立たなくなってしまいますのでリモートを活用し、人との接触8割減を実践しながら、ビジネスを成り立たせていきます。

 仕事の半分は医療機関・医療従事者との関係ですので、そちらはワクチン接種が先行している関係から、比較的ハードルが下がりそうな気配が見えています。

カテゴリー
BLOG 医工連携 医療機器・設備・環境

臨床工学技士の業務拡大・地位向上・社会進出 | NES株式会社

 今回はブログという場所を借りて、臨床工学技士の過去と未来を見つめ、今後の業務拡大や地位向上がどうなるのか、どうすべきか私見を述べたいと思います。

 なるべくデータなどの客観的なものを引用・参照しますが、あくまで私見です。
 正しくないこと、偏った意見もあるかもしれませんが、どうかご容赦頂ければと思います。
(メンタル弱めですので厳しい言葉で簡単に倒れます)

 『私見』であることをお忘れなく。


臨床工学技士?

 臨床工学技士(りんしょうこうがくぎし)という言葉すら聞いたことが無い、記憶に無いという人が多いと思います。

 試しにGoogle Trendsでどのくらい検索されているか調べてみると、看護師と比較してしまうとほぼゼロでした。

Google Trendsにおける『臨床工学技士』(青)と『看護師』(赤)の比較

 そこで東海道新幹線の駅で比較してみると『三河安城』より少し検索される回数が少ない事がわかりました。

Google Trendsにおける『臨床工学技士』(青)と『三河安城』(赤)の比較

 検索トレンドで言うと、季節やトピックで動くものがありますが、そういったものでもありません。

Google Trendsにおける『臨床工学技士』(青)と『マンゴー』(赤)の比較

 実は2020年のCOVID-19の流行拡大によりテレビで臨床工学技士という名称が取り上げられたのですが、トレンドには反映されていません。
 同時に紹介されていたキーワード『ECMO』『エクモ』はスパイクが見えるほどのトレンドワードになりました。

英字『ECMO』(赤)との比較
カタカナ『エクモ』(赤)との比較

 スパイク状のトレンド急上昇があったのは『集中治療』でした。下図でいうと『集中治療』が急上昇後に『ECMO』が急上昇しています。

『臨床工学技士』(青)と『集中治療』(赤)の比較
『ECMO』(青)と『集中治療』(赤)の比較



これはブログ上の私見です。



臨床工学技士とは

昭和末期

 臨床工学技士とは、臨床工学技士法に基づいて『名称独占』を許された有資格者の事を指します。
 臨床工学技士を名乗る事ができるのは臨床工学技士のみですが、業務は医師や看護師とオーバーラップしますので業務独占ではありません。

 臨床工学技士法は昭和62年法律第60号、すなわち昭和62年(1987年)にできた法律です。


生命維持管理装置の操作/ME機器保守点検

 厚生労働省の職業紹介によれば臨床工学技士は人工呼吸器や血液浄化装置などの生命維持管理装置の操作などを行う仕事と、医療機器全般の点検等を行う職業であると紹介されています。

厚生労働省職業紹介動画(臨床工学技士)

臨床工学技士主体組織は病院オンリー!?

 主たる構成員が臨床工学技士であり、その存在目的が臨床工学である組織は、医療機関に在っても驚きませんが、企業にあるというのは非常に珍しいと思います。

 当社は法人自体が『臨床工学部』のような物なので、珍しい存在かもしれませんが、今後のビジネスの動向によっては医師や薬剤師など多職種連携で構成される可能性もあります。

 以前、東証一部上場企業に居たとき、営業本部の再生医療担当は3人中2人が臨床工学技士でした。再生医療という固有の目的のために組織されていたのですが、営業系とその他で分けると、その他すべては臨床工学技士が担っていました。

 とはいえ、ほとんどの臨床工学技士が医療機関で働く人、組織も医療機関に属するのが普通の事、常識という感があります。


臨床工学技士数

 2021年3月の第34回国家試験を終えての累計合格者数は50,143人(当社集計)です。

 同年の第110回看護師国家試験は受験者数66,124人、合格者数59,769人でした。
 単年で臨床工学技士の34年分の累計を上回ることからも、いかに技士数が少ないかがよくわかります。

 雑な数字ですが、日本には病院が8千軒、診療所が10万軒あります。臨床工学技士の合格者全員が病院勤務した場合でも病院1軒あたり6人程度です。全員が診療所勤務だとすると1軒あたり0.5人、すなわち全病院への常勤配置は不可能です。

受験者数合格者数合格率
医師9,9109,05891.4%
歯科医師3,2842,12364.6%
保健師7,8347,38794.3%
助産師2,1082,10099.6%
看護師66,12459,76990.4%
診療放射線技師2,9532,17773.7%
臨床検査技師5,1154,10180.2%
理学療法士11,9469,43479.0%
作業療法士5,5494,51081.3%
視能訓練士85077491.1%
言語聴覚士2,5461,76669.4%
薬剤師14,0319,63468.7%
義肢装具士22716572.7%
臨床工学技士2,6522,23284.2%
2021年3月 国家試験合格者発表

[Link] 厚生労働省: 国家試験合格発表




生い立ち

学校では教わらない

 臨床工学技士がどのようにして誕生したのか、養成課程の授業で詳しく触れる事はありませんでした。

 医師であればヒポクラテス、看護師であればナイチンゲール、診療放射線技師であればレントゲン、それぞれの職種の原点となる人物が居て、戦前戦後の様々な法改正を経て職業と免許が一致して存在する、その経緯についても養成課程で学びます。

 臨床工学技士の誕生『秘話』について、人工臓器学会誌39巻3号(2010年)に『太田和夫先生の死を悼む』という追悼特集が組まれ、その中で臨床工学技士についても触れられています。


法制化前のエンジニア

 臨床工学技士法が制定される前の現任者はtherapistよりはengineerに寄った存在であったと考えられます。

 therapistとして働く法的根拠が無かった時代は、専門的な技術者としてengineerとtechnicianの職域で働いていました。

 透析技術認定士として透析室付きで働く人も居れば、機械室付きで透析液供給や装置保守点検など完全にバックヤードで働く人も居ました。

 手術室ではいわゆる『立会い』としてメーカーから来て人工心肺を操作する人や、麻酔科に所属して現場雑務をこなす技術者も多く存在しました。

 いまでも臨床工学技士を『テク』さんなどと呼ぶ施設がありますがtechnicianとして働いていた名残りです。


国会での議論スタート(1987年)

 第百八回国会衆議院社会労働委員会議録第三号によれば『臨床工学技士法案』について厚生省の斎藤国務大臣から説明が行われています。

 太田和夫先生のおっしゃった、医療の進歩に伴って法律も変化していくべきとの発言に沿うような『時代とともに』という言葉が添えられ説明されています。

P13抜粋
P19抜粋

名称独占・三年課程

 法案ができるまでに有識者らで素案が作られたと思いますが、出された法案は『名称独占』と『三年課程』が特徴でした。
 主な内容は下記の通りで、いわゆる『チーム医療』が法案に明記されている事は非常にユニークです。

  1. 臨床工学技士とは、厚生大臣の免許を受けて、臨床工学技士の名称を用いて、医師の指示のもとに、生命時管理装置の操作及び保守点検を行うことを業とする者
  2. 臨床工学技士になるためには、臨床工学技士国家試験に合格し、厚生大臣の免許を受けなければならない
  3. 国家試験を受験するためには、高等学校卒業後、一定の養成所等において、三年以上臨床工学技士として必要な知識及び技能を修得すること、大学において一定の科目を修めて卒業したこと等を必要
  4. 臨床工学技士は、その業務を行うに当たっては、医師その他の医療関係者との緊密な連携に努めなければならない
  5. 臨床工学技士でない者は、臨床工学技士という名称またはこれに紛らわしい名称を用いてはならない

 法律ができるまでの間に名称独占と業務独占の議論は無かったようですが、三年課程ではなく大学四年間とすべきではないかとの意見は出された記録があります。


想定技士数

 法案の中では人数についても触れられています。

 当時、透析施設が1,587軒、患者数66,300人、透析療法に関わる技術者が約5,700人というデータが示されました。
 人工心肺手術は17,000件というデータも示されました。

 10年後の透析患者数は1.5倍の10万人、人工心肺手術は2倍の35,000件を予想していました。

 必要技士数は15,000~20,000人、毎年400~500人程度の養成が必要と述べています。

 1985年に66,310人であった透析患者は5年後の1990年に103,296人に、10年後の1995年には154,413人に増えました。


中曽根康弘総理大臣の下で法制化

 国会に提出された議案は採決され、臨床工学技士法は法律となることが決まりました。

 法文を読んでいくと、当時の時代背景と今との違いがいくつか見えます。例えば絶対的欠格事由は今の条文とだいぶ違います。

 何はともあれ、臨床工学技士が誕生することになりました。


ロゴマークは体外循環

 ロゴマークについては養成課程で教わることはなく、免許取得後も職場や職能団体で話題に挙がる事もありませんでした。

 下図は免許証に印刷されているロゴマークです。

 いったい何だろうと思い、厚生労働省の免許証を所掌する部署に問い合わせました。
 すると『人工心肺の体外循環を模している』『チューブに血液と酸素が交わる』という意味である事を教えてくれました。
 ただし、誰が、どういった経緯でデザインし、決定したかは不明でした。




これはブログ上の私見です。



マネジャー職

透析医療と臨床工学技士

 臨床工学技士と人工透析は切り離す事の出来ない関係にあります。

 免許誕生から20年程は透析患者数の1割程の数をキープ、透析患者増に合わせて技士も増えていました。

 しかしながら、その関係は2010年頃には解消され、技士はグングンと増えていきました。

臨床工学技士数と透析患者数の相対グラフ

 透析装置の台数との関係を示したグラフです。
 装置の増加率は低く、軽微な増加にとどまっているのに対して技士数は増加曲線が右肩上がり、増え方に相関性が無さそうに見えるグラフになっています。

臨床工学技士数(左軸)と透析装置数(右軸)の実数変遷

[Link] 日本透析医学会: わが国の慢性透析療法の現況


技士長数

 必要技士数を議論する前に、キャリアパスの先にあるポストについて検討します。

 技士長というポストはいったいいくつあるのか、私にとってはこれが重要でした。

 例えば、2007年の第五次医療法改正で新たに設けられた医療機器安全管理という業務に対し、2008年に付いた診療報酬では常勤技士が居れば算定できるかことになっています。
 算定には施設届出が必要で、最初の年は病院2,103、診療所186施設の届出がありました。

 届出数は制度開始からほとんど増えておらず3千に満たない程度、うち診療所は3百程度で横ばいです。

 常勤技士が1人でも居れば算定届出はしていると考えると、技士長のポストは3,000にも満たないと考えられます。


技士長席3千は多い?少ない?

 臨床工学技士の発行免許数は5万を超えました。仮に4万人が医療機関で臨床工学技士として働いているとすれば、3千の技士長ポストに就いている人は7.5%です。

 日本の労働力人口は6,868万人、中小も合わせ企業数は400万社とする5.8%の人が社長です。
 社長以外も含め年収1,000万円超の給与を貰っている人は約5%、これは源泉徴収でのデータですのでフリーランスで稼いでいる人を含めればもっと多いと思います。

 さて、技士長のポスト7.5%は労働力人口全体から見れば高い数字ですが、常勤者に絞ると社長率に近づくかもしれません。

 社会人が社長になれる確率は低そうですが、社長は辞令を受けて任命されるだけでなく、自ら起業すれば社長になれるので、生涯で社長になれる確率は意外と高いです。
 すなわち、現在社長である人の人口比率と、社長になれる確率は一致しないという事です。

 技士長になれるかなれないか、これも確率では言い表せない事がたくさん潜在しています。

[Link] 総務省: 労働力調査
[Link] 経済産業省: 経済産業省企業活動基本調査
[Link] 国税庁: 民間給与実態統計調査


適任・適性

 技士長は実力主義か年功序列か、これは組織ごとに違う事は明らかだと思います。

 実力主義を掲げていても、臨床工学技士にとっての実力とは何かが不明瞭なケースが散見されます。

 臨床能力に長けていても、免許の範囲が限定されるため医師や看護師の代わりを務める事はできないため、臨床については医師や看護師が要職に就くことが必然です。

 マネジャーへの要求は、職種に関係なくマネジメント力です。
 課員を束ね、チーム力を高める事はマネジャーの仕事です。
 業務範疇、特に専門的な部分がつつがなく、平穏に維持される事もマネジャーの仕事です。
 トラブルが発生したとき、速やかに、的確に、確実に収束へと向かわせる事もマネジャーの仕事です。

 マネジメントができない人はマネジャーになれません。
 技士長になるためには、マネジメントが出来る事が要件になります。


順番待ち?

 マネジメント力があり、周りからの人望が厚く、他の職種のマネジャーから推される人が居ても、技士長のポストに空席が無ければ技士長にはなれません。

 現任の技士長が退職するか、降格するか、異動するか、概ねこの3つが技士長ポストが空く状況です。

 技士長が優秀で事務長になったので技士長ポストが空いた、という話題もちらほらと聞きますが、稀です。

 定年退職を待つというのが多くの施設で見られますが、例えば2年先輩の技士が技士長になったとすれば、その人が定年になるまで技士長となり、自分は定年前の2年間だけ技士長になれる可能性がある、という事になります。

 現状、早い者がちの施設も少なくないので、技士長になれない将来を憂慮して退職してしまう技士も少なくありません。


個人攻撃も現実

 マネジャーが降格か退職さえすれば席が空く、席が空けば次は自分だと思う人も中には居ます。

 降格させるにはスキャンダルが必要かもしれません。
 法人が降格人事を発令するにはよっぽどの事件が必要ですので窃盗やわいせつなどが無ければ降格は考えづらいです。

 そうなると退職です。
 精神的に追い込めば退職するかもしれないと考える人が居るようで、SNSなどを通じて誹謗中傷されたというマネジャーさんも居られます。

 患者のために、診療のために課内で意見が対立するのは前向きで良いかもしれませんが、個人を攻撃するだけの衝突は課内の人間関係の悪化のみならず、組織全体から見て課の評判を落としかねません。

 筆者も病院でマネジャー職にあったときはSNSでの誹謗中傷も浴びましたが、病院組織が守ってくれました。
 病院組織としては、自院のスタッフがSNSに書き込んでないと信じる声明を発表した上で病院から警察に相談されました。
 残念ながら自院スタッフが書き込んでしまったという事が警察の捜査で特定されました。
 これを教訓に個人攻撃ではなく、スタッフとしてどうしたいのか、マネジャー個人の問題なのか組織の問題なのか、しっかりコミュニケーションを取りながら課題解決していくことが確認され、課内の結束も緊密になりました。


ポストを増やせば良い!?

 マネジャーのポストが増えれば、技士内での骨肉の争いは減り、順当に勝ち取って行こうとする人が増えるのではないかと思います。

 ポストの増やし方については色々な考え方がありますが、原則として能力を認めてもらう事、他と比べて優れていることを示す必要があります。

 個人として優秀で、臨床工学部門に置いておくのはもったいない、物品管理や情報システムなどMEにも関係する部署で活躍してもらいたいと経営層が考えれば配置換もあるでしょう。
 個人の能力に依存している場合、後任が臨床工学技士となる可能性は低いかもしれませんが、道は開かれます。

 職種としての適任が認められる方が後続へも響くため、課を挙げて新たなチャレンジをする、職能団体としてレベルアップを図るなど1つの塊が動く事の方が影響力も大きくなります。

 まだ臨床工学技士の雇用が無い医療機関が部署を立ち上げればそこには技士長ポストが生まれる可能性が高まります。
 どんなに院内で活躍していても他院に部署が開設される訳ではないので、職能団体による社会活動・社会連携が期待されます。


技士は多忙!?

 充足か不足かと聞かれると、不足しているという意見をあちらこちらで聴きます。

 近年では医療機器の業者立会基準や医療機器安全管理義務化などにより臨床・保守の両面で業務量が増えました。
 内視鏡や心カテなど低侵襲治療の拡大はデバイスの多様性や治療室の効率運用などの二次的影響をもたらし、臨床工学業務を増やしました。

 日々の業務で忙しさを感じる技士が増え、臨床側からも参画を求められ、雇用は伸びているようです。




これはブログ上の私見です。



充足!?不足!?

右肩上がり

 臨床工学技士が足りているか否かを述べる前に、現状について整理しておきます。

 1988年からの移行期間に数千名の有資格者が誕生し、その後は養成校の開設が続き、2006~2010年の5年間は合格者が平均1,529名となり横ばいかと思われましたが、リーマンショックの影響があるのか養成校開設ラッシュが到来し2014年には合格者数が2千人を超え、以降は横ばいとなっています。

 合格者数が2,413人で過去最多となった第30回国家試験の時点で免許誕生から30年、仮に大学新卒で22歳であった第1回の合格者は52歳、定年までまだまだあります。
 移行期間であった最初の5年間の合格者数は7,887人ですが、6年目からの10年間の合格者は8,520と低調でした。

 最近5年間の合格者の平均が年2,205人ですが、このペースのままですと、定年退職者が出始めてもしばらくは新規合格者数が大きく上回るため、生産年齢の有資格者数は増加の一途です。

臨床工学技士合格者推移(未来シミュレーション)
直近5回の合格者数の平均値を元に、合格後38年で現場を去る仮定で現役人数をシミュレーション

医業収入への影響

 臨床工学技士の雇用を増やす事で、医療機関にとっての収入が増えるか否かという点について、詳しい解析をしている医療機関や臨床工学技士はどれだけ居るか私はわかりません。

 『医業』は事業活動ですので原資が無ければ回りません。原資は診療報酬として得ますが、In/Outのバランスが取れなければ続きません。

 医師や看護師は診療の基本的な部分を担っているため、医業収入に直結して考えられる部分が多いです。
 診療放射線技師や臨床検査技師はともに、検査を受ける患者数や装置数などから適正人数を算段しやすく、収支もわかりやすいです。

 臨床工学技士はわかりづらいです。

 自らの費用対効果や資産価値はどのくらいなのか、病院全体の経営的な数字から見た適正人数や実施すべき業務とはどのようなものなのか。

 院内会議で『あなた方の関わる診療報酬の算定額はいくらですか?』と聞かれる事があります。
 企業で言えば売上高です。
 私は、ほぼ『ゼロ』としか回答できませんでした。


個人収入への影響

 一般的に給与は組織全体のベースに、職種や部署における付加価値を掛けたような基本給があり、更に個人は組織全体のベースに、職種や部署における付加価値を掛けたような基本給があり、更に個人の能力や勤続年数に対する付加価値として基本給増額や諸手当が付きます。

 まず、臨床工学技士として医療機関に雇われたときにどのような賃金になるか、ある程度は決まってしまっていると思います。
 医療技術員として検査技師さんらと同列の場合もあれば、建築設備等の技術員の賃金テーブルに準ずる場合、臨床工学技士のための給与体系が用意されている場合など、様々です。

 一般的に給与が増える要因は事業への貢献度です。
 たくさん仕事をして増える場合もあれば、病院のイメージアップになる活躍したり、コストダウンを成功させたりと様々です。


総額からの換算

 透析専門施設などではわかりやすいのですが、透析回数(患者数)が施設収入に直結し、設備費や人件費に充当できる額は年間を通じてだいたい決まっています。

 仮に、施設の人件費総額が2億円、現状で技士は半分の1億円の人件費が充当されている場合、技士が20人でも30人でも技士業務に割り当てられる人件費は1億円が限界です。
 いま、25人で透析を回していれば1人平均400万円ですが、質を落とさず20人で回せれば平均500万円に増額できます。

 外来慢性維持透析の施設ように患者の増減が少ない施設では人件費は予算化されるので、予算増額は容易な事ではありません。

 増額する手段としては他職種の仕事を奪う方法があります。
 免許の範囲を逸脱して看護師業務を担う事はできませんが、免許されている範囲でのタスクシフトは実際に行われています。


成長係数ゼロ??

 一般企業では、会社がある程度の成長をする事で社員の給与も増えていきます。
 新卒で雇用した若者も20年経てばベテラン、20年間同額の給与では働いてくれないと思いますので、少なからず昇給が必要です。

 医療機関では経済的成長というものは構造的に考えづらいのですが、従業員の昇給は必要です。

 ある施設では4人で人件費2,000万円、比較的多いなという印象があったのですが、10年後も同予算でした。段々と若手の給与が増え、反対にマネジャーは漸減しました。
 最終的には、業務内容にベテラン級のスキルは要らない、概ね10年目がスキルとして飽和状態、ゆえに給与もその頃が上限というのが経営側の判断でした。

 部署としての成長を描き、課員の成長も想定し、永続性ある組織運営ができなければ、3年目の若手も20年目のベテランも同じ給与になってしまいます。


仕事を増やす

 課の成長のためには仕事を増やす必要性がありますが、むやみやたらと仕事を抱えれば良い物ではありません。
 増やし方にも精査が必要です。

 透析室の清掃を技士業務に採用する事は悪くないのですが、技士が清掃する必要性については検討が必要です。透析室の繁忙期に臨床業務も清掃業務も中途半端になっては意味がありません。
 清掃をマネジメントし、アウトソーシングの清掃業者を適正管理する事は課の成長に寄与するかもしれません。

 臨床工学技士の専門性を鑑み、どのような業務を広げる事が良い事か考える必要があります。




これはブログ上の私見です。



臨床工学技士の業務拡大

他院に倣う

 業務拡大の第一歩は他院の臨床工学技士の動向を知る事です。

 学会などで『こんなことできました』という発表があるので、聴講し、質問し、吸収します。

 同級生も同業者であると思いますので、仲間に聞いて回るのも良い手立てだと思います。


他職種を観察

 院内には医師や看護師をはじめ多くの職種が働いています。

 その業務の中には、その職種では無くても良い物があります。
 あるいは、他職種に適任者が居る場合があります。

 人手不足で困り、ある特定の時間帯に30分、1~2名の応援が欲しいという業務があるかもしれません。

 私が診療技術部門のマネジメントでは、臨床工学技士、臨床検査技師、診療放射線技師の3職種をミックスした組織運営を試みました。
 早出当番は朝8時まで透析室プライミング、監督者として臨床工学技士1名、他の要因は他職種とし、この時間帯に病棟の人工呼吸器等のラウンドも臨床工学技士が済ませます。
 8時~9時半頃まで採血室と透析室で穿刺ピークを迎えるため人員を集中投下しピークを乗り切ります。後半になると放射線科も徐々に患者が増え1日の中のピークを迎えます。
 昼過ぎには採血はほぼ終了、透析室では回収が始まるため人員は透析に偏り、それが終わると早出当番は退勤となります。

 上記の試みは診療放射線技師、臨床検査技師、臨床工学技士の3職種の業務を見直した結果ですが、どの部署でも1人を雇用する程ではないが0.1人分の仕事の担い手が欲しい、と思う事があるので、それを見つけ出す事ができると有意義です。


数字を知る

 ビジネスの世界では、数字を制する者が優位に立てる傾向にあります。

 業務拡大を目指す場合、業務や物品の費用や収入について知る必要があります。

 例えば、時給2,500円の看護師が内視鏡の洗浄をしているとします。これを時給1,500円の人が担えれば1時間あたり1,000円のコストダウンになります。
 しかし、処置室でガーゼ交換などの看護業務をしながら、手が空いた時に内視鏡洗浄をしている場合、他の業務をこなせない人を処置室に配置すると無駄が生じます。

 時間、場所、ヒト、モノ、カネ、色々な要素を考慮するためには数字を知る事が重要です。


余地を探す

 余地を探す事が業務開拓に有効に作用します。

 余地を探すには目利きの力が必要です。

 余地を見つけた時、それが臨床工学技士業務になり得るのかを判断する力も必要です。

 そして、技士業務にした場合の効果やデメリットについて検討します。
 検討する視点は技士側だけでなく、医療機関・組織全体にとってどうなのか、患者らサービスを受ける側はどうか、出入業者はどうかなど『三方よし』となるような視点が必要です。


心カテ業務は先人たちのおかげ

 心臓カテーテル検査の実施場所は診療放射線技師の持ち場、検査ゆえに臨床検査技師の業務範疇、様々な処置が発生する事から看護師が欠かせない、というものでした。

 そこに臨床工学技士が進出し、定席を確保するまでの道のりは平坦では無かったと思います。
 私の居た病院でも、臨床工学技士が座る席はありましたが端の方の段差があるところで座りづらい場所でした。
 そのようなアウェイなところから、カテ業務に臨床工学技士が居る事が当たり前になるまで、十年や二十年もの蓄積があったと思います。


近年は内視鏡業務確立

 2010年より前、内視鏡の検査も治療も件数が伸びている中で専門的に関与している臨床工学技士はまだまだ少数でした。

 私も先進的な取り組みをしている臨床工学技士に合うために倉敷まで行ったことがあります。
 なぜ内視鏡専門の技士になろうと思ったのか、医師や看護師からは何を期待されているのか、内視鏡技士に未来はあるのか、色々と聞きました。

 今では専ら内視鏡室で働くという臨床工学技士も珍しくなく、養成課程ではあまり触れられなかった消化器の生理や解剖について詳しい技士も多くなりました。

 とは言え、消化器専門のクリニックで雇われる事は滅多になく、常勤するほどの費用対効果が無いと見られているのかもしれません。
 クリニックで雇われるためには、勤務時間内をフルに埋められるだけの仕事を作るか、医師業務の時間短縮や負担軽減につながる付加価値の高い仕事をする必要があります。
 例えば、時短勤務中の女性医師が3時間の勤務中に1人でも多くの内視鏡検査を実施できる体制を確立、臨床工学技士の関与なしではできないとなれば、その3時間に大きな付加価値が生まれます。
 医事課業務、送迎者運転、ビル管理、開業医ならではのニーズに応える事も業務拡大・雇用拡大につながる可能性があります。


安易な拡大は逆効果

 一概には言えませんが、医療機器安全管理業務を手広く実施しようとお考えになる臨床工学技士は少なくありません。

 何を目的とするのか見失ってしまうと、無駄が多いコストセンターと化してしまいます。

 現場から『困った!』と呼び出されてすぐに対応、迅速な解決を目指すための体制づくりは有意義だと思います。

 壊れた機器をすぐに直す事は良いような、そうでもないような曖昧な領域になります。
 故障しないように日頃から予防保全(メンテナンス)をする、誤った取扱いをしないように教育研修するといった事は有意義だと思います。
 故障してしまった後は代替機を提供すれば現場は満足です。院内で修理する必要のある機器かどうか、近年はその判断が求められるようになっています。

 予備機が無く、即時修理が必要な医療機器はそう多くありません。例えば輸液ポンプや人工呼吸器などは、院内でも代替機の手配が比較的容易だと思います。
 これらをいつでも院内修理できるようにするためには、複数名をメーカー研修に派遣し、工具を保有し、部品を在庫する必要があります。
 部品だけで常時100万円も在庫があれば、資産が100万円も眠っている事になります。紛失してしまった、機種変更して使わなくなったとなれば在庫は資産ではなく廃棄物になります。

 私が技士長を務めていたとき、院内修理を徐々に削りました。
 その理由には、人材育成の無駄を実感していた事があります。滅多に使う事のないスキルのために時間とお金を掛ける事の無駄、研修に行った者が退職すれば丸ごと損失になる事、修理よりも他の研修を受けたいと思っているスタッフのストレスや士気低下につながっている事などが挙げられます。

 透析装置は200台近くあったので全員にメンテナンス技術を身に付けてもらいましたが、その教育係には定年退職者を活用しました。ベテランの技を後世に残しつつ、デッドタイムの最短化、適正管理を目指しました。


片道切符

 臨床工学技士の本分、価値とは何でしょうか。

 もし、臨床に重きを置くチームの場合、用度課や施設課などに進出した技士は元のチームには戻れないかもしれません。
 今後、臨床工学技士免状を取得してゼネコンやビルメンに就職する人が居てもおかしくありません。そうした人は最初から臨床のチームには参画して居ませんが、病院という組織に属し、臨床工学技士という共通ライセンスで同じ部署になるかもしれませんん。

 このような非臨床型の臨床工学技士を、非臨床だからと受け入れないのか、多様性を認めて受け入れるのか、業務拡大する上では検討すべき課題であります。


再生医療

 再生医療は臨床のような、非臨床のような、少し曖昧な領域になる可能性があります。

 患者から採取した組織や細胞などを遠心分離やフィルタなどの方法で分類し、増やし、保管し、投与します。

 腹水濾過濃縮再静注や自己血回収では似たような操作を行っているため、臨床工学技士には馴染がある業務かもしれません。

 この業務に我こそはと乗り出している臨床検査技師さんは、ピペット操作や顕微鏡観察のスキルがあり、病理などの現場経験が活かされる仕事として医師からも信頼されています。

 今後、再生医療をどのような位置づけにするのか、臨床工学技士の業界全体の動きが注目されます。


これから開拓

 私見ですが、これから開拓すべきはICT・AI・IoTなどの情報通信技術系と、在宅医療ではないかと考えます。この2つはオーバーラップする部分もあり、私も研究しています。

 電子カルテは医療従事者が記録し、参照する物でした。見読性、保存性、真正性を守るためのエンジニアが必要でした。

 AIでは医療従事者への提案が行われたり、患者に行動変容を起こしたりする機能が備わるため、新たな管理手法が求められます。
 特に診療報酬も算定できる医療機器としてのアプリは、医療機器ゆえの安全管理も求められます。

 10年程前からAIの工学者から『医療側での管理に適した人材は?』との質問を受ける事がありました。
 医療機器として、医療従事者による管理が求められます。

 IoTについても新しい時代に入ります。
 モノの所在管理やログデータ参照など便利に使える一方で、データの盗難やハッキングによる意図せぬ動作などからハードウェアを守る事も重要になります。
 人工呼吸器が在宅でも買物中でも常時監視できる事の有用性と危険性をマネジメントする人材が必要になります。
 ゼロリスクが難しい医療ゆえに、新しい管理手法を確立するのも臨床工学技士の職責ではないかと思います。


在宅医療への進出

 これまでの臨床工学技士業務は医療機関の中、大きなハコに閉じこもって仕事をするのが普通でした。

 2020年はCOVID-19の影響もあり入院患者数は激減、外来も含め病院の往来や滞在は最小化、最短化する動きが加速しました。

 今後、高齢者数は増加しますが病床は減少へ向かい、在宅医療は拡大します。

 療養住環境は様変わりし、一部では病棟模擬とでもいうようなしっかりした設備を備える家庭も出てくるでしょう。
 夫婦や家族の生活環境を残しつつ、療養者の居心地の良い環境づくりも試行錯誤が続くと思います。

 人工呼吸療法、抗がん剤治療、血液浄化療法、様々なME機器を使う高度な治療が在宅で行われ、それを安全に施行するために臨床工学技士の在宅進出が求められます。


過去は私も開拓者

 新しい業務へのチャレンジは、私も経験者の一人です。




これはブログ上の私見です。



私の業務拡大

ME創成期

 ME(エムイー)と言えば、という人物としては小野哲章先生、加納隆先生、高倉照彦先生、挙げればきりがありませんが、諸先生方がMEというモノを確立して下さいました。

 このようなパイオニアに私も直接、ご指導して頂いた事があります。また、雑誌Clinical Engineeringでは特集記事の執筆でご一緒させて頂いた事もあります。貴重な経験です。

 MEは医工学の世界から生まれましたが、臨床工学技士は同じく医工学から派生した人工臓器を生業とする方向に進み、養成課程でも人工腎臓、人工心肺、人工呼吸器に多くの時間を割きました。


医療機器安全管理黎明期

 2000年問題で医療機器安全管理の重要性が認識された頃、臨床工学技士業務の1つとして医療機器安全管理が意識されましたが、普及には至りませんでした。

 その要因の1つに『臨床』があったと思います。

 臨床工学技士は『臨床』or『工学』を選択的に生業とするものではなく臨床の中の工学的分野、医と工の学際領域を担うものですが、臨床寄りの技士が多かったのではないかと考えます。


MEより透析と言われて

 2000年~2005年頃、筆者は多くの医療機関へ見学に行きました。
 免許取得前、学生時代でしたので就職先候補も探しながら、技士の現況も知ろうと思っての見学でしたが、残念な実状を知る事になりました。

『ME管理ソフトを買ってもらえないからME管理はしない』

 異口同音にこうおっしゃる先輩技士が多い事に驚きました。

 そして、このような現状を放置しておくと、医療機器安全管理という仕事は臨床工学技士の業務にはならないだろうと思いました。
 人工透析や人工心肺でご活躍の諸先輩方は生涯、そちらで食べて行けると思いますが、これから技士になろう、技士になって医療機器安全管理を生業にしようと思う技士のタマゴにとって、その道を閉ざされるような、残念な気持ちになりました。

『透析もできないような技士は、技士じゃない』

 これも多くの施設で言われました。
 医療機器安全管理などと言う前に、透析くらいできるようになってから言いなさい、という意味合いでした。


CEME誕生の背景

 『ME管理ソフトを買ってもらえないからME管理はしない』という言葉を逆手にとって、ME管理ソフトがあればME管理をしないなどと言えなくなるだろうと考え、筆者はソフトを独自に開発し、無償提供しました。

 2002年、大学2回生で開発を始め、2005年の国家試験直前に完成、国家試験を終えて間もない2005年4月にリリースしました。

 医療機器安全管理ソフトはタダで手に入るようになり、買ってもらえないから管理しないという言い訳はできなくなりました。

 無償提供の目的は『業務拡大』と『地位向上』です。

 月給が手取りで20万円以下、乳児の居る生活苦の中でも無償提供を続けた結果、4年間で400施設程に無償提供できました。

 この無償提供は順風満帆というものではありませんでした。
 職能団体の長から恐ろしい言葉で圧をかけられたり、大ホールで講演なさる大学病院所属の技士から根拠の無い酷評をされたりと、敵が多いなと感じる出来事はたくさんありました。
 他方で救う神にも出会う事ができました。私の活動に賛同してくださり、応援して下さった先輩技士や医師の存在は、いまでも感謝し続けています。本当に救われました。

 医療機器安全管理業務は私が確立した物ではありません。
 しかし、その普及に少しでも貢献できるようにと起こした活動です。


MEを任されて

 免許を取得して3年目の平社員に白羽の矢が立てられました。
 地方技士会の学術委員会に参加しないかというお誘いで会議に参加すると『ME部門長』の役を命ぜられました。

 これほど光栄な事はありません。多くの皆さんに医療機器安全管理の魅力を知ってもらう、職能団体として横並びでレベルアップを図る絶好の機会だと思いました。

 私費で製本機を調達し、勉強会の資料を私費で製本して配布したところ、勘違いなさった幹部から公費を無駄遣いする悪者として吊るし上げられてしまいました。
 弁明の機会も与えられなかったので、最終的には退会する事になりました。

 同じ頃、ある病院では筆者にME室の立ち上げを任せて下さいました。
 半年はかかると言われた仕事を2カ月程で形づくり院内にME管理を実装しました。
 3か月目には院内で血管内治療センターの開設があり、オープニングスタッフとして参画しました。

機種統一は未実施、点検器具はメスシリンダのみ
3畳程の部屋に机を2つ置いて1人でスタート

2008年には脳血管内治療に専従

 2008年、脳血管内治療を実施する施設はさほど多くはなく、デバイスも新しいものが次々と誕生する頃でした。

 筆者は脳血管内治療は全症例に清潔で参加、各種デバイスの組立やプライミングなどの準備を清潔野で行っていました。

 脳動脈コイルは各社でデタッチツールが異なるため、それぞれの使い方を覚え、特徴を知り、安全・確実な治療に貢献しました。

 毎朝の医局カンファレンス、夕方に行われる症例検討会にも参加させてもらい、技士として何ができるかを検討し、医師らと議論を重ねて技士業務を確立していきました。

 脳神経外科の学会でポスター発表した際、意外にも第一線でご活躍の著名な先生が質問に来られており『臨床工学技士を雇えばそのような仕事をしてくれますか?』と訊かれました。
 これには回答に苦しみました。技士の世界では脳血管内治療について何も議論されていないので『私以外にこのような仕事をして、この学会に参加している技士が居ないと思います』としか答えられませんでした。

 業務拡大のチャンスでしたが、この時点では静観せざるを得ませんでした。


2009年には再生医療に専従

 iPS細胞の山中伸弥先生がノーベル賞を受賞される前、2009年に筆者は再生医療に専従する臨床工学技士として活動していました。
 山中先生のご講演も幾度か聴講させて頂き、anti-iPSを自称する先生からも直接ご意見を聴き、未来の再生医療の姿を想像する日々でした。

 当時の再生医療関連の学会に参加しても、多くが研究者、一部に臨床医が居るという程度で臨床工学技士の姿はありませんでした。

 当時の再生医療では、再生細胞がどのような作用をするのかについて追及する先生と、再生細胞を効率よく集める方法を研究する先生が居られました。
 後者について研究している先生に対し、人工腎臓のようなフィルトレーションや、セルセーバーのような遠心分離は有用かと尋ねるのがルーティーンでしたが、多くの先生がそれらの類似行為で臨床では使われるだろうと話していました。

 再生医療が臨床応用されるためには、こうしたデバイスを現場で扱える人材が必要であり、臨床工学技士への期待感も述べられていましたが、肝心の臨床工学技士が再生医療研究には参画していないため、あまり現実には近づきませんでした。


2010年には医工連携に専従

 2010年、医工連携という言葉はまだメジャーではなかったと思います。2009年の医学系学会で厚生労働省、文部科学省、経済産業省が同時に登壇して議論する姿が『珍しい』『画期的』と言われていたのを覚えています。そういった時代です。

 筆者は国立循環器病研究センターが独立行政法人化と同時に開設した研究開発基盤センターの公募に応募し、医工連携に専従する研究員として雇用されました。当時の応募条件には臨床経験と民間企業での経験が求められていました。

 大学の産学連携では職員の研究シーズなどを熟知し、その価値を高めるための対外的活動が多いようでしたが、筆者はセンター長らと共に現場の『声』に耳を傾ける活動をしました。
 看護師の不満、患者の意見、ここに市場性のあるニーズが潜在しているとの仮説を実証しました。

 筆者は専従者でしたので時間をたっぷりと使いました。
 ある年は180社と面談、週1回は白衣を着てリスクマネジャーと共に病棟をラウンド、ときどき研究所の先生の下へ行き雑談を交わしながら情報収集する、といった事をしていました。

 臨床工学技士が医工連携に関わる価値を創造できるよう、様々なチャレンジをし、一定の成果も残しました。

 この頃、ライフワークとして『医工連携くまもとモデル』の確立に努めていました。
 仕組み作りに対価は貰わないが、地域で医工連携に参画する企業が増えれば技士の需要も高まるだろうと見込んで活動しました。
 目標は参画企業30社、顧問としての技士雇用を年間300万円分。10人が30万円の副業を持てれば、10人の年収が1割増になるのではないかと考えました。

 3年がかりで構築したこのシステムは2014年、経済産業省九州経済産業局・熊本県庁・熊本市役所・熊本県工業連合会の協力を得て、熊本県臨床工学技士会の全面的な参画の下でキックオフすることができました。
 熊本県臨床工学技士会の会長と九州経済産業局を引き合わせたのは筆者です。県庁の担当者と引き合わせたのも筆者です。地道な活動を通じ、地域に医工連携の輪をつくりました。

医工連携くまもとモデル
医工連携くまもとモデル

医療機器・設備同時的管理

 医療機器安全管理は臨床工学技士業務として定着しつつあります。管理ゆえにマネジメントが必要ですが、どこまでマネジメントできているのか、施設間の差が顕著に見られます。

 管理が行き届くかどうかという評価をする上で、リスクマネジメントという視点・手法があります。
 例えば停電や断水が発生したとき、危害を最小化する手立てが構築されているのかを評価します。
 ME機器自体が故障しないのは当たり前の事、そのために予防保全などを実施していると思いますが、これはメーカーなど外部人材でも出来る事です。
 院内の設備や人員などのファクターが関与した時点で外部からのアクセスは急激に弱まり、内部でのリスクマネジメントが重要となります。

 筆者は電気工事士を経て臨床工学技士になった経緯から、設備と機器の両方の安全管理を研究してきました。

 著名な小野哲章先生が設備管理に対し『負荷としての医療機器』という言葉で、医療という独特な環境下での設備管理の在り方を力説されていた事が強く印象に残っています。

 コンビニが停電するとPOSレジが使えず販売ができない、冷凍庫が溶け出す、防犯機能が遮断するなど経済的な危害が生じますが人命や健康への被害は考えづらいです。
 医療機関が停電すると生命維持管理装置やバイタルサインモニタに影響が及び、診療の維持継続が難しくなったとき、生命に危機が及ぶ可能性があります。
 こうした負荷の違いを考えなければ適正な設備管理はできないと小野先生は訴えていたと思います。

 筆者も臨床工学技士の端くれとして、設備に明るいという利点を活かして医療機器と設備の同時管理という新業務の確立に取り組んでいます。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

BCP

 臨床工学技士業界における『BCP』の認知度はわかりませんが、2018年の日本臨床工学会で筆者がBCPを題材にした一般演題を登録したところ、ある関係者から『採点者がBCPを知らないので受賞は難しいと思います』と言われました。

 2011年3月11日、筆者はガス会社の人と病院の停電対策に関する打合せをしていました。その日、東日本大震災が発生し医療機関でも停電が発生、その後には計画停電もありました。
 この震災以前は停電しない病院づくりを研究していましたが、以降は停電しても強靭に立ち向かえる病院を研究しています。

 2000年頃から続けてきた停電や災害に関する研究は20年経過し、様々なデータを蓄積することができました。

 2020年、COVID-19で世間が大変な中、BCPに関する講演依頼を複数頂戴することができました。
 全国自治体病院協議会様の有償セミナーでは多数の方々にビデオ視聴して頂きました。国立宇多野病院様からは1月に院内医療安全研修での講演、12月には筆者が策定したBCPを同院で採用して頂きました。

 災害医療はDMATなど専門家が居ますが、災害時の医療は専門家不在であっても各院が工夫して診療を継続します。
 どのような医療機関であってもBCPは必要であると考え、特に病床規模の小さな病院や、専門性の高い病院からの要望に応えられるよう、BCPの研究を続けています。

 BCPが臨床工学技士業務になるかはわかりませんが、筆者は工学的視点を取り入れたコンサルティングを実践しています。
 例えばBVM、用手換気を何時間もしなければならないときにどうすれば正確に長時間継続できるかを実験しました。メトロノームを聴きながら用手換気すると正確にできそうであることがわかりました。


 同じように、停電すると冷蔵庫の中身はどうなるのだろうという事が、わかっていそうで分からないという状況でした。
 真夏に何度も冷凍冷蔵庫の電源を切っては温度を測定するという事を繰り返しました。
 このデータは、ある医療機関において医薬品保管の参考として使われ、復電後に医薬品を使うべきか否かの議論の材料となっています。
 COVID-19のワクチンの運搬や保管にも是非ご活用頂きたいデータだと思います。




これはブログ上の私見です。



業務拡大するべき?

有効求人倍率0.49

 2018年の日本臨床工学会で一般演題として発表した筆者の研究に『有効求人倍率0.49』という数字があります。

 これは、臨床工学技士数が増え続け、透析患者減少などによる技士需要の低下が重なった時の数字です。

 働きたくても雇ってもらえるのが半数になるか、技士全員の給与を半分にして全員の雇用を守るのか、いずれにしても痛みがあります。

 この数字を改善する方法は技士免許の保有者を減らすか、雇用を増やすかの二択です。


安っぽくない

 低賃金でも働くのが臨床工学技士、そんなステータスは要らないと思います。

 チョット高くても出す価値がある、かつてのMade in Japanの製品のように、一定の信頼や価値があるステータスなら欲しいと思います。

 『おじいちゃんは昔、臨床工学技士だった』と話したときに、孫からどう見られるか、そんなことまで考えて、引退間近の人もこれから技士を目指す人も、皆が協力してステータスの維持向上を図る事にデメリットは無いのではないかと考えます。


技士友愛会

 名称は互助会でも共済会でも何でも良いですが、良いときも悪い時も互いのためになる緩い会があっても良いかなと思います。

 いま、技士が訴えられたとき、臨床工学技士に精通した弁護士を探す事ができるでしょうか。
 医療行為について訴えられたとき、その行為を擁護するための証言者確保や根拠の提示ができるでしょうか。
 こんな悪い事を想像したくなくても、いつか誰かは訴えられると思いますので、備えあれば患いなしです。

 ネガティブな事が起こる前にポジティブに動く、そう考えると臨床工学技士の業務拡大についても『誰かが代表して開拓』という事に、皆で資金を集め、見込みのある人材に突破口を開いてもらう、そうした活動も必要ではないかと思います。

 例えば実用化が期待される再生医療の研究室に出向し、実用化のためのデバイス開発の中で臨床工学技士業務と結びつけ、再生医療の普及が技士雇用の拡大につながるストーリーを実装する、という事もすべきではないかと考えます。


士業を応援

 待機児童問題で騒がれる保育ですが、保育士免状保有者の半数が保育士として働いていません。
 その第一の理由が低賃金、次いで労働環境だそうです。
 キツイ職場であるにも関わらず低賃金であれば、せっかく養成校を出て取得した免許も使わない、という事のようです。

 同じ『士』を名乗る臨床工学技士も明日は我が身です。

 サムライ同士、課題を共有し、助け合うのも1つの手だと思います。




これはブログ上の私見です。



ご意見・ご相談

 臨床工学技士の業務拡大についてご意見やご相談はお気軽にお寄せください。

 無償です。相談したからといって費用はかかりません。

 苦言や批判もお聞きしますが、メンタルはさほど強くないので、匿名で追い詰めるような行為はご遠慮ください。

お問い合わせ


関連する講演等

第23回近畿臨床工学会 (2016年11月13日10:40~12:10・第1会場)
シンポジウム『変革』
Syn-4 臨床工学技士業務枯渇回避に向けた新規業務としての医工連携と経済・社会・産業への関り

[Link] 第23回近畿臨床工学会


第21回近畿臨床工学会 (2014年10月11日15:00~17:00・第1会場)
パネルディスカッション『未来を託す技士を育てるために、負託に応える技士になるために』
オーバービュー…これからの30年に向かって

[Link] 第21回近畿臨床工学会

カテゴリー
AI・IoT・Computer BLOG 医工連携

PCファイル総背番号制支援システムの開発 ~QMS省令・ISO13485対応を目指す~ | NES株式会社

 紙媒体の場合、ファイル管理が部署内では統一されていたり、会社全体でもファイルの型番まで指定されていたりと、統制がとれている事がよくあります。

 パソコンとなると、添付ファイルで貰ったときのファイル名にしても、Wordファイル等の印刷体裁にしても、個人差が大きいと思う事、ありませんか。

 今日は無秩序から統制へ、我流から標準化へという話題です。


ファイル共有の基本

ファイル管理は自己流

 みなさんはパソコンの中のファイル・フォルダ管理はどのようになさっているでしょうか。

 ファイル名に日付を入れる、案件名や取引先名を入れるなど工夫されている人は多いと思います。

 ファイル名は考えずフォルダで分ける、デスクトップに貼り付けて時間があるときに分類する、管理方法は様々だと思います。


他人が見てわかる(?)

 自分のパソコンを他人が操作して、すぐにファイルを見つけられるか、何のファイルか判断できるか、そう考えてみたとき、あなたのパソコン内はいかがでしょうか。

 業務で指示されたファイルを提出するという事には慣れていても、ファイルを共有して誰もが見てわかるようにするとなると、簡単ではない事に気づきます。


無尽蔵な

 業務でパソコンを使うのは当たり前、毎日メールの送受信があり、WordやExcel、PDFなどのファイルが行きかいます。

 無尽蔵とも言えるようなファイルの管理は容易な事ではありません。


無秩序では統制困難

 他人とファイルを共有する事を目指す上で、無秩序ではその実現可能性は高まりません。

 何らかのルールを明示し、そのルールに従って共有することで全体の統制が取れるようになります。




何のために統制するのか?

標準化

 このような内部での統制が必要になるのは、何らかの標準化が生じた時です。

 『ISO』の取得経験がある方々は標準化にも馴染みがあるかもしれません。

 誰がしても同じ結果、誰が見てもわかる、成功も失敗も検証できる、標準化とはこのような目的で行われます。


ISO

 ISOはInternational Organization for Standardizationの略称で国際標準化機構などと訳されます。

 ISO9001やISO14001などはマネジメントシステム規格に基づく認証制度で、その適格性を認証されれば『ISO9001取得』などと公明正大に広告することができます。

 認証基準に適合しているか否が評価されるため、評価を受ける側は基準に合わせて職場環境を整えていきます。


ISO13485

 ISO13485は医療機器や体外診断薬を対象としたマネジメントシステムです。

 品質管理、そこから及ぶリスクマネジメントを対象としています。医療機器が事故と結びつく要因は製造や使用方法の問題だけではなく設計段階でも滅菌や配送の段階でもリスクが仕込まれてしまう可能性があるため、医療機器のライフサイクルを見据えた品質管理が求められています。


QMS

 QMSはQuality Management Systemの略称で、品質管理システムと訳されます。

 前述のISOは法令ではなくいわば民間認証のようなもので、検定の合否に法的な影響はありません。

 一方で医薬品医療機器等法(旧薬事法)は法律のため遵守義務があります。

 医療機器におけるQMSとはすなわちQMS省令を指す事が多く、QMS省令は正しくは『医療機器及び体外診断用医薬品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令』という法令を指しています。

[Link] 医療機器及び体外診断用医薬品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令


医療機器をつくるために統制する

 『何のために統制するのか?』と問われると、当社の関りが深い医工連携で言えば『医療機器をつくるため』と答えられると思います。

 民生品であれば企画して、作って、売るという流れを自社判断、社内基準で進める事もできますが、医療機器においては統制された管理下で作られた物で無ければ世に出せません。

 例えレポート1枚であっても、統制された中にあるか否かで、その真価に大きな違いが生まれます。




ファイル総背番号制と医療機器

なぜ総背番号なのか?

 新しい医療機器を企画し、開発し、試作し、製造し、販売するという流れの中で、なぜファイルの総背番号という話題が出てくるのでしょうか。

 それは、適正なマネジメントの実施のためです。


存在しない事の確証も重要

 『悪魔の証明』とは、存在しないものを、存在しないと証明することで『宇宙人は居ない』と証明するのが難しいといった意味合いで使われます。

 過去から現在にかけて、一度も作成したことが無いファイル、受け取ったことが無いファイルが存在するのか否かの確証はどこで得る物でしょうか。

 全ファイルをしっかりと管理していれば、台帳に無いのだから存在しないと言い切りやすくなります。


医療では当たり前(!?)

 以前、病院勤務時代に保健所から『○○の検査は実施していますか?』と聞かれたので『はい!』と答えると、『では証憑類を拝見します』というお決まりの流れになりました。

 通常通り検査済リストや手順書を提示すると『検査していないものがわかるリストを出してください』と言われました。
 私は想定内でしたので、すぐにそういったリストが提示できるようにシステムを構築していましたが、他部署では面を食らった感じで手間取っていました。

 研修会などでも『未受講者リスト』の提出を求められるため、これまでに開発した研修会出欠管理システムでは未受講者リストを表示する機能を搭載していました。




総背番号はどうやって付与したか

付与システムの開発

 フォルダ名を指定すれば、自動的に全ファイル名を抽出してExcelシートを作成するシステムを開発しました。
 Excelに出力する際に、上から順に固有番号を付けていく事も並行することで、対象の全ファイルに背番号が付くことになります。


これは台帳作成システム

 今回開発したシステムは、その瞬間を切り取って一覧表にするシステムです。

 このあとから出入りするファイルは監視できません。

 したがって、このシステムでは管理の最初となる台帳をつくるに過ぎず、このあとは従業員の皆さんがルールに従って台帳に登録していく必要があります。


どんなルールが要るのか?

 理想的にはファイル作成時点、遅くともファイル共有の時点で台帳に登録します。

 登録時にはなるべく、どんな目的で作成された、どんな情報が入っているファイルであるかを明示します。

 新規作成ファイルはもちろんですが、過去のファイル群もExcel台帳にはファイル名しか記録されないので、目的や内容を付記していく必要があります。


電子カルテの三原則

  電子カルテの三原則とは見読性、真正性、保存性の3つを指します。

 医療情報に該当するものを電子管理する場合にはこの三原則を遵守します。
 私たちはこの三原則に基づくシステムを開発した経験があり、実際に医療機関の従業者としてシステムユーザーでもあったのでなじみがあります。

 今回のファイル管理においてもこの三原則を意識してルールづくりを行っています。

[Link] 厚生労働省: 医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第5.1版(令和3年1月)




システム開発の裏側

Visual Basic 6.0

 今回のシステム開発はMicrosoftのVisual Basic 6.0を使って行いました。

 20年以上前にリリースされた開発言語ですが、いまだに使っています。

 Visual Studio2005や2010も手元にはありますが、20年来の使い慣れたVB6で開発しました。


プログラムの構成

  DirListBoxで対象となるフォルダを選んでもらい、実行ボタンを押す事でサブフォルダを含めたすべてのファイル名を抽出するプログラムが動きます。

 ファイル名は『buf = Dir(Path & "\*.*"』というコードで抜き出し、『Do While buf <>""』というDo~Loopでbufに入れたファイル名一覧の末端までDo処理を続けることで、そのフォルダ内の全ファイル名を取り出しました。

 次にExcelのセルにデータを転記するプログラムを作り、セル1つずつにデータを転記していきました。


完全内製

 今回のシステムは構成などの企画からプログラミング、動作確認まで社内で完結しています。

 そもそも、もうしたシステムが必要だというニーズ抽出も社内ですが、ニーズがあるのか検証は終わって居ません。
 欲しいという人が現れるのを待つばかりです。




 今回はVisual Basic 6.0を使って、パソコン用ファイルに背番号となるIDを付与するシステムを独自開発しました。

 開発は土日を活用し、電話やメールで集中力が途切れない中で行いました。
 プログラミングはマルチタスク、同時にいくつもの出入り口や処理室をつくるため、集中が途切れると、もう一度すべてを見直さなければなりません。
 論理性が求められるため、論理的な不具合はバグとなってプログラムを異常な物にしてしまいます。

 最近、医工連携では3Dプリンタを活用する事が増えていますが、コンピュータープログラミングもお客さんに喜んでもらえました。