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臨床工学技士キャリア形成 | NES株式会社

 臨床工学技士とは、医療技術系の国家資格(免許)の1つで、臨床工学技士法により定められています。

 免許が無ければ臨床工学技士を名乗れない名称独占はありますが、臨床工学技士にしかできない業務独占はありません。

 業務独占がないという事はすなわち、同じ仕事を他の免許でも実施できる事になります。

 競合する相手が同じ臨床工学技士だけでなく、他職種にも居る中で、どのようなキャリアを形成していくと良いでしょうか。

 3~4年の養成課程を経て臨床工学技士になった者の、その先の何十年かをどう生きるのか、そのための礎について考えます。




臨床工学技士業務

 臨床工学技士は業務独占が無いので、決められた仕事がある訳ではありません。

 日本臨床工学技士会という職能団体のホームページを見ると長い間、以下の9項目を臨床工学技士業務として掲げています。

  • 呼吸治療業務
  • 人工心肺業務
  • 血液浄化業務
  • 手術室業務
  • 心血管カテーテル業務
  • 集中治療業務
  • 高気圧酸素業務
  • ペースメーカ/ICD業務
  • 医療機器管理業務

 医療機器管理以外は専門とする医系学会があり、専門学会に行けば医師や看護師ともディスカッションしている姿を見ます。
 これらの業務を深く掘り下げて、専門として仕事をなさっている臨床工学技士も少なくありません。




9大業務以外

 前述の業務に従事していない臨床工学技士も、免許を持っていれば臨床工学技士を名乗れます。

 その代表的なものの1つに教育研究系の仕事があります。
 養成課程は50以上ありますので千人前後は教育研究系の仕事に就く臨床工学技士が居ると思います。

 先ほどの9大業務を王道とすれば、筆者は王道の臨床工学技士人生を歩んでいない可能性があります。
 医療機器安全管理は王道の中にありましたが、医療機器安全管理システムの開発や配布は既に病院外の仕事なので、王道より邪道に近いかもしれません。
 臨床系では脳血管内治療や再生医療に専門的に携わりました。どちらも、臨床工学技士が適任者になると思いました。
 医療設備安全管理は比較的新しい考え方で、理想像としてはダブルライセンスで従事するスタイルです。後述します。

 9大業務以外の業務としては他に、以下のようなものが知られています。

  • 内視鏡業務
  • 直介業務
  • 洗浄滅菌業務
  • 事務長・事務系業務



登るべきハシゴ

 出世では『階段をのぼる』という表現が用いられますが、職業人としての知識や技術を身に付けていく過程ではハシゴを用いる事があります。

 臨床工学技士のキャリアを形成する上で、何を身に付けなければならないかを知っている技士は少ないのではないかと思います。

 職能団体として確固たる生涯学習は行われていないですし、その指針や綱領も示されていません。業務指針はありますが、個別の業務ではなく、何を以って臨床工学技士を形づくるのかといった基調するものが示されていません。

 示されていない事は悪い事ではありません。
 自由に形づくっても良いと前向きにとらえる事もできます。

 いま、日本の社会で『臨床工学技士』と言って、何の仕事をする人か答えられる人は、医師や看護師のそれに比べて相当に少ないと思います。
 医療従事者に臨床工学技士の基盤や本分を訊ねても、答えがバラバラになるのではないかと思います。

 臨床工学技士は内外から『こういう人を言う』という確固たるものが無いのが現状です。

 




看護師のラダー(ハシゴ)

 看護師は『切れ目のない看護提供システムが不可欠』という考えの下に、『看護実線能力の保証』に向けた取り組みを何年も続けてきました。

 看護師は大病院でも無床診療所でも雇用され、活躍しています。

 病床規模により教育システムには差が出てしまう事は仕方ない事ですが、教育システムが整わないから低いレベルの看護を提供して良いという事はないですし、低いレベルの教育しか受けられないという事も望ましい姿ではありません。

 そこで日本看護協会では、全国レベルで標準化された看護実践能力の育成指標を策定し、看護師の能力を客観的に評価できるシステムを開発しました。

 看護師は皆、1つの体系的な生涯教育システムを用い、誰もが同じ基準で能力を評価され、自らの現在位置や目指すべきレベルを把握する事ができます。

[Link] 日本看護協会: 生涯学習支援 看護師のクリニカルラダー




先の見えないハシゴ

 臨床工学技士がいま、キャリアラダーを作るとどうなるでしょうか。

 おそらく施設間でレベル基準がバラバラ、比較ができないのではないかと思います。

 さらに、そのハシゴを登った先にある到達点は、行ってみなければわからないというあみだくじのようなラダーかもしれません。

 一段ずつ着実に登ってゴールを目指すのがハシゴの本来の目的です。一段抜かしは無用ですし、壊れたハシゴを使うのも誤りです。

 人が一段ずつ登れる間隔にステップがあり、登り切るまで壊れず、登る先の目標が見えるハシゴが必要になります。




テーラーメイド

 登るべきハシゴが見つからないのであれば、作れば良いです。

 自作しても良いと思いますが、目標設定とそこまでの過程については、通った事のある経験者の助言を得る事は重要です。

 本来であれば、諸先輩方が相談員となり、後輩たちのハシゴづくりを手伝ってあげるべきですが、そのようなシステムはありませんし、おそらく信頼関係を築く事も容易ではないと思います。

 まずは、自分の人生設計に必要なハシゴ(キャリアラダー)を作るために必要な情報を与えてくれる人材を探すところから始めなければなりません。

 筆者は、相談を受ければキャリアラダーづくりをお手伝いしようと思っています。
 近々、自らが所属する県の技士会に提案する予定です。




Technician
Therapist
Manager

 臨床工学技士として、目指す像はどこにあるでしょうか。

 キャリア形成を考える際に、今の自分はどこにあり、何を目指すのかを明確にしていく必要があります。

 昭和62年に制定された臨床工学技士法ですが、その審議の段階では4年制大学にするか否かの話題がありました。
 要約すると、マンパワーとして臨床工学技士が必要なので、4年もの教育は必要としないという結論でした。

 私的な解釈ですが、Technicianとしての臨床工学技士像があったように思います。

 2010年の臨床工学技士業務指針改定によりTherapist寄りに考え方は近づいた感じがしますが、養成課程は3年制のままですし生涯教育についても有資格者全員に共通するものは創設されていません。

 海外では人工透析1つをみてもTherapistとTechnicianの差は大きく、給与面でも倍ほどの差があります。日本の臨床工学技士は両方の業務を同じ資格で担っています。

 そして、Managementを身に付けたManagerが少ないように感じます。もしManagerを目指してキャリア形成するのであれば、Managementをどう身に付けていくかを真剣に考える必要があります。おそらく、臨床工学技士以外の世界で身に付ける事が望まれると思います。

 MBA(経営学修士)を取得している臨床工学技士は少なくありません。もちろん、医師や看護師では相当多いです。医療従事者は臨床で活躍してナンボという考えもありますが、臨床家が臨床家らしく働き続けられる環境づくりをするマネジャーの存在も重要です。




ロードマップ

 筆者は大学4回生の夏、自分の歩む臨床工学技士人生についていくつかのマップを作りました。
 東京の大学病院への就職、大阪の専門病院への就職、地元に戻っての就職など、まずは臨床工学技士のスタートをどこで切るかを想像しました。
 そして、10年後の立ち位置、20年後の立ち位置を想像してマップを仕上げていきました。

 キャリアラダーも必要ですが、そもそも自分のゴールはどこにあり、どこを辿って行こうとしているのかオリエンテーションを付ける必要があると思います。

 筆者は大学病院も専門病院も選びませんでした。
 30歳で臨床工学技士免状取得。そこから専門病院の臨床で5年の経験を経て基礎を築き、更に5年で専門性を高めていると40歳です。40歳で専門一本でしか来ておらず、論文も少々というレベルでは、他の40歳と比較されると劣るなと思いました。

 30歳で新人というハンデを、イニシアティブに変える方法を模索しました。




Self management index

 看護師であれば標準化された指標がありますが、臨床工学技士には存在しないのであれば、自己評価するしかありません。

 若い内は同級生らと『私は穿刺した』『夜勤をしている』など何の仕事をしたかで競ったりしている姿を見かけますが、これは指標や評価とは直結しません。

 用意したハシゴの何段目まで来たのか、その段階の行動目標を達成できているのか、可能な限り客観的に評価します。

 例えば透析の穿刺については、穿刺を経験したからゴールと言う事ではなく『安全な穿刺』や『トラブルを予見した準備』など臨床家として求められるスキルが身について、それを行動として展開できているかが重要になります。


 褒められる事ではありませんが、筆者は穿刺が上手とは言えませんでした。ゆえに失敗しないように準備は怠りませんし、患者との信頼関係構築のための努力を惜しみませんでした。
 穿刺にかかる時間はベテラン看護師の倍くらい、透析患者さんにとって5分の遅れは苛立ちを覚えるレベルですが、穿刺に来るなとは言われずに済みました。

 筆者が求めていた行動目標は素早い穿刺ではなく、確実な穿刺でしたので、このレベルをいつしかクリアしていました。
 同僚や先輩から『遅い』とは言われ続けましたが、私のラダーに『急ぐ』というキーワードは入っていないので、早める努力はしましたが、キャリアラダーとは別の次元で対応しました。




行動

 キャリア形成には行動が伴います。

 こんな人材になりたいと夢見るのもありですし、定時退勤して確実に給与を貰う人生もありです。それぞれが目指すところが違うのは必然です。

 今は到達していないステージを目指すには、何らかの行動が求められます。痛みや犠牲が伴う事もあります。

 目標への到達が早い方が良いか、遅い方が良いかはわかりませんが、手遅れになってはそれまでの苦労が水の泡です。

 筆者は30歳で臨床工学技士になりましたが、20代であれば許されそうな事でも、年齢の問題でNGという事がありました。
 未熟であれば叱られて終わりの事でも、成熟してからでは呆れられたり、見なかった事にされたりします。

 注意を受けている間が花、若い内に無茶はした方が良いと思います。

 『ここで働かせてください!』という勢いで、20代後半だが大学生という事で東京の大学病院の透析室で勝手に研修を受けた期間がありました。
 学生研修ではゴミ掃除などはさせてはいけないそうですが、任意で勝手に来ている人なので、朝のプライミング後は段ボールを壊して捨てに行く仕事もさせて頂きました。ゴミ捨ての時間が軽減された分、技士さんに色々と教わりました。

 若い時の苦労は買ってでもした方が良いと思います。




鍛錬

 ひと言で『トレーニング』と言っても、色々とあります。

 筆者は『鍛錬』という方がわかりやすいと思っています。

 高みを望むキャリア形成には、鍛錬は欠かせないと考えます。

 ハイレベルなスキルを身に付けるのもその1つです。

 医師は基本的な事として知っている知識の最低レベルが高いです。その上で専門を持ち、その分野での最低レベルを習得しています。この最低レベルが相当なハイレベルです。そこから更に専門と言える特殊能力を身に付けています。

 その超ハイレベルな医師が持つスキルに並べるように腕を磨く事も鍛錬としては有意義だと思います。聴診のスキルを高め、僅かな雑音も聞き逃さず医師に上申できるようになれば、それは特別なスキルと自負できると思います。

 これまで多くの卓越した人材と出会ってきましたが、皆さんの考える最低レベルは相当に高いところにあります。
 その上で、特別と言えそうな知識や技術をいくつも持っており、どの分野でも専門家のように話ができる方々です。

 筆者もそうなれるように努力はしました。
 臨床工学技士ではあまり持っている人が居ないスキルをいくつか身に付ける事はできました。
 専門家と対等に渡り合える程ではありませんが、専門家と意見交換させて頂けるレベルには至ったものもあります。
 独学で習得したコンピュータープログラミングは、情報工学の先生からはチープと言われましたが、暇人しか作らないようなソフトをいくつも完成させ、世の中の役に立つことはできました。

 日々、鍛錬を続けていくことがキャリア形成には欠かせないと考えます。




何をする?

 具体的にどのような事をしてキャリア形成の礎を築いていくのか、いくつか要点をお示しします。


(1)やりたがらない仕事

 苦労の1つに『他人がやりたがらない仕事』があります。

 時間を見つけてME機器を磨き上げる、そうした小さなことの積み上げから始めるのも良いと思います。

 筆者は、他職種がやりたがらない仕事で、臨床工学技士でも出来る仕事を探していました。
 例えば臨床統計。学会等から年1回報告を求められますが、この集計は手間です。

 退勤時刻にタイムカードを押して、医局に行って作業した事が何度もあります。
 夜な夜な透析室でカルテをまとめ直し、データ化した事もあります。

 その経験が直接活きる事もあります。
 そうした姿を見て、新たなチャンスを貰える事もあります。


(2)苦手な人

 苦手な人とは関りを減らしたいのが普通です。

 あえて、苦手な人と食事に行ってみるのも人生経験としてはプラスに働く事があります。

 こちらが苦手意識を持っていれば、相手にも気づかれている場合があります。

 苦手に思ってしまう原因を探り、相手がどのような思考に基づいて、自分が苦手だと思ってしまう行動に出るのかを直接聞き出す事ができると、その後の人間関係構築には物凄いヒントになります。


(3)院外活動

 苦労と言うべきかどうかわかりませんが、院外活動に積極的に参加している人は、けっこう打たれ強い人が多い気がします。

 院外で行われる勉強会の手伝いをしたり、研究会の下働きのような事をしても1円も貰えません。
 上司でも無い人に指示を貰い、現場で荷物を運んだり受付をしたり、面識のない人たちと飲みに行ったりするのが初期段階です。

 筆者は職能団体の地方会(都道府県技士会)の学術委員として月1~2回は夜の勉強会の受付などを手伝いに行きました。
 土日に印刷物の封筒詰めをしに大学病院へ行く事もありました。

 職場の医師の手伝いで荷物運びから始めた活動もあります。

 医系職なので医系の団体のお手伝いをするのが一般的ですが、全く異なる事をしている人も居ます。


(4)学術活動

 筆者は免許を取った年から学術活動をしていましたが『生意気だ』と何度も言われました。会場で『俺に挨拶がない』と因縁を付けて来る臨床工学技士も居ました。
 しかし無視して学術活動を続けていました。
 キャリア形成の中で、学術活動は不可避だと考えていたからです。

 臨床工学技士として成功しているように見える方々にお話を伺うと、皆さん何らかの形で学術活動をされています。

 1年に1回は発表する、常に新しいテーマを考えて実験するといった話はよく聞きます。

 学術活動をする事で、自らの研究や考え方に対し示唆に富む至適や批判を受ける事ができます。同僚に同じ専門を持つ人が居なくても、外で評価を受ける事が出来ます。
 レベルの基準はなくとも、その考え方が共感される物なのか否かはわかりますし、例え反対意見が多くても、誤りである事が実証されない限りは仮説として残ります。

 最初は稚拙な発表でも仕方ないと思います。
 回を重ねるごとに自らが成長していくのがわかりますし、周囲からも徐々にレベルの高い指摘を受ける事になります。


(5)学会での質問は出会い

 学会には単に参加して発表、あるいは聴講で終わらせません。

 他人の発表に対し質問するのが礼儀です。フロアーが静まりかえっていると、プレゼンが下手だったのか、場違いな発表だったのかと不安になります。

 質問する事で、自身の考え方が相手に伝わりますし、会場内から賛同や反対の意見が出ることもしばしばです。

 筆者は免許取得後数年目の学会で、ある人の一般演題に質問をしました。セッションが終わって某大学病院のボスが近づいて来て『兄ちゃん、質問してたよね。良いねぇ』と言って飲みに連れて行ってくれました。
 質問から火が付き、セッション後に廊下で延々と意見交換した事もあります。

 リモート開催になって質問の機会を与えられない事が多くなったのは残念です。
 しかし、せっかく聴講したのであれば、何かの機会に発表者に質問を投げかける事ができるようアンテナを張っておく事も良いと思います。


(6)受講

 都道府県技士会や学会等でも多くの勉強会が開催されています。リモート主流の時代に入り、遠隔地にセミナーにも参加しやすくなりました。

 臨床工学技士として基本的な事を知るための受講は本来の価値があって良いと思います。

 視点を変えると、よく知っている事について受講して、講師はどのような方法で受講者を満足させようとしているかを見るのも実は面白いです。
 内容については熟知している分野であれば、それぞれのキーワードの置き方や、理解の深め方などが勉強になります。

 筆者は専門外、医療以外のセミナーも多く受講しました。

 産業廃棄物、食品、防犯、家電、ジャンルは問いません。異業種のスタンダードな考え方を知る事が大事です。
 ある時、ロケットなどを造っているIHIの機械系のセミナーを受講しました。技術力は高いが、それだけで判断しないというお話でした。潜水艦や原子力発電など高度な技術があっても、医療などは市場を知らないので参入しないと話していました。

 どこにどのような技術があり、それが医療に応用できるか否かを知っておくことも臨床工学技士として必要だと思っています。


(7)趣味を極める

 たかが趣味だと侮らない方が良いと思います。

 同好者・愛好者の仲間に意外な人物が居る事もあります。

 そうした棚ぼた的な事よりも、何かを続ける、極めるという事にはキャリア形成において重要な要素があります。

 筆者は学生時代に手話をしていました。サークルに参加して手話を経験した人はたくさん居ると思います。
 筆者は聾唖者と飲みに行くくらい仲良くなり、会話し続けられるレベルの手話も身に付けました。
 手話は言語なので、幼稚園児が言葉を覚えるようにして自然に身に付きますが、人間関係は言葉だけでは形成されません。

 趣味のようなものでも、極めていくと新境地が開けてきます。




こんな事もできる

 一般的に、誰もがしておいた方が良さそうな事とは別に、関心があればチャレンジしてみても良いかなと思う項目をあげておきます。


(1)資格

 検定試験は知識レベルを示すのに役立ちますが、免許ではありません。

 免許とは文字通り免じて許される行為が伴います。
 医療だけでなく弁護士や税理士も免許です。

 臨床工学技士のキャリア形成において、臨床工学技士以外の免許(資格)を取得する事には意義があると考えます。

 臨床工学技士は医学と工学の学際領域に生まれた資格ですので、仮に医学系の資格を臨床工学技士免状とした場合、相対する工学系の免許は持っていない事になります。

 筆者は電気工事士の免許を持っていますが、ME機器と電気設備の密接性から考えると、多くの臨床工学技士が電気工事士免状を取得するべきだと考えます。

 今後の在宅医療を考えると、療養住環境を整備する上で、医学と工学の両方の知識と経験、さらに免許まで持っている人材が居ると強いと思います。


(2)転職・インターンシップ

 1か所で長く勤めあげる事は、立派なことです。称えられて当然だと思います。

 キャリア形成の面では、自身にマッチしたキャリアパスがあれば良いですが、無さそうであれば転職をするというのも良い方法だと考えます。

 海外では、高校卒業後に就職して社会を知り、そこから大学へ行って自分の進路を決め、在学中にインターンシップで色々な仕事を経験するということが普遍的に行われています。

 私の知り合いは、オリンピックに関する仕事のインターンシップを経験し、多国籍の人的ネットワークを築いた人が居ます。


(3)副業・兼業・復業

 いわゆるサイドビジネスです。

 業種を問わず、何でも良いと思います。

 講演活動や執筆活動であれば兼業許可が下りやすいと思います。

 アパート経営など不動産管理も良いビジネスだと思います。中古の集合住宅なら1千万円くらいから投資できます。

 フリマアプリでの物販も良いですが、キャリア形成に役立つという程の量を扱うには大変だと思います。

 スキルを売るプラットフォームも多くありますので、そちらの方がお勧めですが、売れるスキルを身に付けるのは容易ではありません。

 ココナラやビザスク、くらしのマーケット、ジモティなど手軽に利用できる物が多くありますので、まずは自身がユーザーになってみて様子を見るのも良いと思います。

 筆者も、スキルを切り売りして経験を積み、腕が錆びないようにライフワーク的に継続しています。




副業のはじめ方:プチ起業

 副業を始めるにしても、いったい何をすべきかわからないというご相談を受けます。

 職場に隠れてアルバイトをするのも副業の1つですが、キャリア形成という面での副業には幅があると思います。

 『アントレプレナー』(Entrepreneur)とは起業家のことで、綿密に計画を立ててゼロから会社を興し、事業を創出するような人物像が描かれます。人生を掛けてこの事業を成功させるぞという勢いや覚悟を感じる、やや重々しさもあります。この起業家精神を『アントレプレナーシップ』(Entrepreneurship)と呼びます。
 アントレプレナーについては日本での解釈と、海外での解釈は異なる部分がありますので、機会があれば米国などアントレプレナーシップが浸透している国の情報も参考にしてください。

[Link] Entrepreneur.com


 本業では副業の場合には『マイクロアントレプレナー』という考え方があります。
 小さく起業して、小さく稼ぐ、リスクは小さく、開業資金も小さくなります。

 本業としての起業であれば開業費は100万円くらいを目安にし、自身の給与分の売上を出す事が当面の目標となります。
 マイクロアントレプレナーは身の丈にあった起業をするため、開業資金は手持ち金だけで始めることができます。

 以下に、マイクロアントレプレナーの事例を紹介します。すべては筆者が経験した事があるサービスです。


(1)小売・個人取引

 物を仕入れて売るという基本的な商取引を学ぶことができます。

 手段としてはPayPayフリマやヤフオク!などが手軽に始められる個人間取引です。

 もう少しお店らしくするならばBASEというプラットフォームがあります。香取慎吾さんがCMに出ていたので記憶にある方も居られるかもしれません。
 BASEで用意されたスペース(サイト)に商品を陳列すれば開業です。商品写真などは自分で載せる必要があります。このサービスを利用すれば売上金の回収はだいぶ楽になります。当然ながら手数料は取られます。

 仕入れず自作して売る事もできます。
 手芸品は『ハンドメイド』というくくりでかなりの数が販売されています。工業製品と違い一点物、手作りゆえの曖昧さがあってもクレーム対象とはならない点が出品のハードルを下げています。

PayPayフリマ

ヤフオク!

BASE


(2)スキルで個人商店

 自分の持っているスキルを活かした遠隔サービスを展開できるプラットフォームがあります。

 吉岡里穂さんがCMに出演していました。その前は和牛さんたちでした。

 個人のお悩み相談のような物から、プレゼン資料やロゴデザインなどビジネス寄りの物まで多種多様な出品があります。

 単にスキルがあれば売れるものではなく、どのようなサービスに需要があるのかを見抜く力が試されます。

 例えば臨床工学技士養成課程の学生向けのサービスを思いついたとしても、学生は8千人も居ないと思います。その中でサービス利用対象となる人が1%だとすれば80人です。この少人数に訴求するのは骨が折れる仕事です。

 良いサービスを創造できれば、coconalaの中だけでも月数万円の売り上げは出せると思います。

coconala


(3)スキルで覆面コンサル

 覆面というほど匿名性は無いのですが、ビザスクというプラットフォームがあります。

 このビザスクという知見をシェアする仕組みを創出した端羽英子CEOがすごいなと思っていますが、端羽さんのお陰でマイクロアントレプレナーも活躍の場を持つことができていると思います。

 スポットコンサルティングですので、コンサルティング能力が問われます。

 1件1時間で3万円くらいが相場です。依頼する側は大手企業であれば情報力がある中でのスポットコンサルですので相応のレベル感を求めてきます。
 中小企業の場合は限られた予算の中で3万円の負担ですので、色々な事を知りたいと意気込んで面談に臨みます。

ビザスク




副業のはじめ方:個人事業主として受託

 副業はマイクロアントレプレナーだけのものではありません。しっかり起業して副業を続ける事もできます。

 わかりやすいところで言えばアパート経営があります。
 新築でも既築物件でも良いのですが、アパートを持って入居者を募り、家賃を収入としている医療従事者は居るでしょう。立派な経営者です。
 不動産業であれば病院も兼業を認めやすいので、駐車場やビルなど資産は様々ですが兼業申請している人の中には不動産業は多いと思います。

 不動産業には、不動産取得のための資金が必要であり、場合によっては借金もします。何千万円という単位です。

 ここでは臨床工学技士のキャリア形成を話題にしていますので、臨床工学技士らしい事業について紹介します。

 当社では医療機器安全管理業務を病院様から受託して、人材を配置してお仕事をさせて頂いております。
 その中のある事案では、当社が病院様と契約をしていますが、現場の実務は臨床工学技士と受委託契約を締結して、当社から委託しています。
 受託側の臨床工学技士は個人事業主です。税務署にしっかりと届け出て貰っています。

 当社は株式会社です。法人格という物があり、社会的責務があり、一定の社会的信用もあります。病院と契約する上では法人格の有無は重要になりますし、そもそも事前の営業活動も必要です。
 副業として病院と直接契約を締結する事は容易ではないと思います。

 当社ではME管理のスキルが内部にあり、マネジメントは内製化できますので販売を担う商社機能と、マネジメントを担う管理機能、MEサービスと言う商品を生み出す企画開発機能を自社内で行っています。
 サービス提供を担う実務部隊は自社にこだわる必要がないためリーズナブルな方法として臨床工学技士の個人事業主に委託しています。

 このビジネスモデルは何件かのお引き合いを頂いております。今後は受託できる臨床工学技士を増やし、質の高いMEサービスを良心的な価格で提供できるようにと考えています。

 このような仕事があるとわかっていれば、本業として勤めている医療機関でも様々な視点で臨床工学業務に従事するようになると思いますので、キャリア形成との相乗効果は発揮しやすいと思っています。




副業のはじめ方:仕事を創造

 本業とするには需給バランスが悪く、誰も本業とはしないだろうというビジネスを創造することが、副業を生み出す事にもなり得ます。

 例えば、透析室の装置入替を機種選定から図面作成、工事中の工程管理までの請負仕事があったとします。
 このような事案自体が年に数十件しか発生しない上に、それをすべて受託しても1~2人の雇用がギリギリだとします。
 本業にするならば独占的に仕事を確保できるビジネスモデルが必要ですが、それが無理なら副業ですべき仕事になります。

 このような仕事を『私にはできる』と言っているだけでは、お金を払って依頼しようなどという事にならないので、『私に任せればこういうメリットがある』というPRをしなければなりません。

 実際には色々と難しい事があると思います。
 自動車を購入する際にアドバイザーを付ける人は滅多に居らず自動車販売員と購入者は直接やり取りします。
 住宅を建てるときでも同様です。
 透析装置を買う時に、外部のコンサルを雇い入れるという文化を醸成するところから必要になります。

 一方で、パイオニアとなれば競争力があり、価格面や案件獲得などで優位性が出ます。




臨床工学技士のキャリア相談

 臨床工学技士のキャリア形成に関するご相談を承ります。

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BCP Press Rerease 医工連携 医療機器・設備・環境 講演

3日連続3回登壇・第50回日本医療福祉設備学会 | NES株式会社


Press release

第50回日本医療福祉設備学会で3日連続・3回登壇します。

 50回目の開催となる日本医療福祉設備学会にて、弊社代表が3日連続で登壇します。

 初日(11月24日)はサテライトセッションとしてHOSPEX Japan 2021の会場にて『物資枯渇改善に貢献するホスピタルエンジニア(CHE)の目標志向活動(GOA)』と題した講演を予定しております。CHEとは、一般社団法人日本医療福祉設備協会が主宰する検定試験であり、演者である西謙一は第1回試験で取得しております。

 2日目は学会の本会場にて一般演題『停電対応の分散化による医療BCP実行性向上』を発表します。重厚長大な発電設備に依存せず、小出力発電設備を分散的に院内配備する事による停電対応について論じます。

 3日目は一般演題『後発機器の緊急的供給を目指した医工連携による感染制御機器開発』を発表します。昨年春から取り組んで参りました簡易陰圧システムの開発ストーリーに沿って行動や判断の良し悪しを聴衆の皆様と共に判断し、今後の参考にして行きたいと考えております。

 いずれの話題も根底にはBCPがあり、非常時であっても混乱を最小化して業務を続ける事を目指しています。弊社では目標志向の活動を推進する『GOA』(Goal-oriented action)をBCPに取り入れ、特に医療では平時に行っていた診療を止める訳にはいかないため、その継続のために選び得る手段を豊富にするためのトレーニング等をサービスとして提供しています。


プレスリリース: 3日連続3回登壇・第50回日本医療福祉設備学会(NES株式会社)


2021年9月24日
NES株式会社


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  本件に関するお問い合わせはこちらからお願い致します。




外部リンク

第50回日本医療福祉設備学会 (HEAJ-50)

HOSPEX Japan 2021 (ホスペックス・ジャパン2021)

株式会社シズン(SISM)

株式会社昭栄 (ガス電くん)




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BLOG 医療機器・設備・環境 療養住環境

家族内感染予防を目指す自宅療養者のゾーニング | NES株式会社

 COVID-19の感染が始まった当初は、無症状であっても措置として入院させていました。

 病床が逼迫したため宿泊療養や自宅療養が始まりました。
 宿泊療養は、宿泊者全員がCOVID-19陽性者のため隣室との隔離は行われませんが、医療従事者やホテル従業員とは隔離されています。
 自宅療養の場合、自助努力は求められますが、特に措置はないため、宅内クラスターも発生しています。

 もし、自身や家族が感染者となった場合、どのように隔離をするべきか、検討してみましたので共有します。




ゾーニング

 ゾーニング(zoning)とは、区域分けです。

 感染症対策でゾーニングと言えば、病原体に汚染されている区域と、そうではない区域を分けることを言います。

 病原体で汚染されていると既定する区域を『汚染区域』と言います。病原体の有無を検査する訳ではなく、汚染されているものとして扱う区域です。管理者が定義します。

 汚染区域以外を『清潔区域』とします。
 病原体が無い事を確定する事は難しいので、汚染されないように注意し、適宜消毒等を行って汚染から守ります。




レッド・グリーン・イエロー

 ゾーニングは汚染区域をレッドゾーン、清潔区域をグリーンゾーンと呼ぶことがあります。

 病院で言えば感染患者の診療を行う区域をレッドゾーン、それ以外をグリーンゾーンとしますが、この2つだけでは運用上の課題があります。

 レッドゾーンに居る患者は区域内で療養を続けますが、スタッフは出入りが発生します。
 スタッフは感染していない前提ですので、レッドゾーンへ行って感染してしまわないように感染防護します。

 汚染区域内では防護具を外せないため、レッドゾーンから退避した場所で外します。
 この脱衣する場所がイエローゾーンになります。




感染の機会

 濃厚接触を通知するアプリがありますが、これはCOVID-19陽性者と『概ね1メートル以内の距離で15分以上の近接した状態にあった場合』に通知されます。

[Link] 厚生労働省: 接触確認アプリ


 普段の家族との距離は1メートル以内にもなりますし、15分以上の接触にもなりますので、簡単に濃厚接触者となります。

 もし、同居する家族に陽性者が居れば濃厚接触者になりやすく、濃厚接触者ゆえに感染しやすいです。

 濃厚接触の危険は既知であるが、軽症者等は自宅療養か宿泊療養かの2択になりますので、自宅療養を選ぶ場合は十分な注意が必要です。




療養住環境におけるゾーニング

 一般的なご家庭でゾーニングと言われても、容易な事ではありません。

 しかしながら、ゾーニングしなければ家族内感染のリスクは高止まりです。

 住宅は限られたスペースであり、同居人は親密な距離感で生活していますので、十分な配慮が無ければ破綻します。




ケーススタディ(1)
マンション
30代夫婦・小学生の子供・父感染

 このケースでは、よくあるマンションに住む40代代夫婦と小学生の子供の3人家族で、父親がCOVID-19に感染してしまったとします。

父:30代
母:30代
子:小学校3年生


 玄関側とベランダ側は屋外に面し、残る2面は隣家があるため窓が無いよくある造りのマンションです。

 居室Aは子供部屋、居室Bは夫婦の寝室、寝室からキッチンへ出入りができます。リビングに行くには必ずキッチンを通る必要があります。対面キッチンタイプのためLDKは1つの空間です。
 トイレは1つしかありません。


 居室Aは子供部屋ですが、屋外に面した部屋ですので、療養室はこちらにすると良いと思います。
 同じく屋外に面するリビング・ダイニング(LD)ですが、キッチンを通らなくてはならず、トイレに行くだけでも大騒動になります。そもそもキッチンとLDは空間として1つなので、療養者がLDに居てはキッチンで作業ができません。

 居室Aを療養室とする事で、COVID-19患者を1か所に固定する事ができます。

 お子様には不便を強いてしまいますが我慢してもらいましょう。勉強道具などは一時的に汚染された状態になりますので、療養開始前に部屋から持ち出しておきます。洋服なども同様です。


 この部屋に陰圧装置があると理想的です。

 マンションは気密度が高いため、居室Aに陰圧装置を設置すれば、家中の空気を居室Aに集める事ができると考えられます。古い建物であってもLDには外壁面に給気口があると思いますので最も遠い部屋からも空気の流れを作れる可能性があります。

弊社開発の簡易陰圧装置を用いた一般住宅での実験

 COVID-19患者がトイレに行く場合は、家族で申し合わせをします。

 非感染者である家族はLDKか屋外に退避します。お子様が学校から帰って来そうな時間などではお母さんが玄関の外で待機しておきます。
 家族の安全を確認したところで、患者はトイレへ行きます。このとき、居室Aとトイレのドアは開けておきます。

 陰圧装置が設置されている場合、ドアの開いている空間は陰圧化されている部屋と同圧になります。仕切られた部屋とは差圧が生まれますので、下図では居室A・廊下・トイレの3箇所が同圧、そして扉で仕切られた居室B・キッチン・洗面脱衣室が常圧で同圧となり、陰圧装置が置かれているエリアと差圧が生じます。

 論理的に言えばキッチン等へウイルスが流入しない状態です。

 もし、陰圧装置が無い場合はレッドゾーンもグリーンゾーンも同圧になるので、感染防御を徹底するのであれば扉を目張りします。


 COVID-19患者が用を足した後は居室Aに戻って扉を閉めます。これで居室Aが宅内で最も空気圧が低い部屋になります。

 この時点では、廊下やトイレにはウイルスが残っている可能性があります。特にトイレは患者が直接触れた物が多いので要注意です。

 子供が触れる前に、大人が掃除をします。
 市販の使い捨てワイプ等で清拭すれば十分ですが、ケチって1枚であちこち拭くと、汚染されたワイプでウイルスを広めてしまう恐れがありますので、あまり無理のない範囲で交換します。

 換気する事が望ましいですが、オゾン発生装置などで空気を浄化するのも良い手立てだと思います。空気清浄機も効果は期待できますが、フィルタに付着した新型コロナウイルスを除去する事は難しいと思いますので、フィルタ交換時に感染しないようにご注意ください。


 同様の手段で入浴も可能だと思います。

 患者の着替えは居室Aで行い、洗面脱衣室への滞在時間は最小化すると良いです。掃除漏れがあって感染するリスクを低減します。

 脱いだ衣類はビニル袋に入れておきます。相当な濃厚接触物ですので滅菌するつもりで居た方が良いです。
 ウイルスに栄養を与えなければ、布の上では1週間程度で死滅するという話もありますので、洗濯にリスクを感じるようであれば1週間放置してしまいましょう。


 マンションの場合は気密性が高いので、陰圧装置を設置できればかなりコントロールしやすいと思います。

 トイレが1か所しかない点は要注意です。
 COVID-19患者は高熱等でしんどいところですが、可能な限り汚さず、家族の安全に注意しましょう。







ケーススタディ(2)
2階建て・一戸建て
50代夫婦・大学生・高校生・母感染

 このケースでは、市街地に多い2階建ての一戸建て住宅に住む家族をモデルに、母親がCOVID-19に感染してしまったとします。

父:50代
母:50代
子:20代・男・大学生
子:10代・女・高校生

 4LDKの一戸建てに4人暮らし、トイレは2か所あります。1階にはLDKと水回りがあります。

2階
1階

 この間取りであれば、2階の居室Aがトイレの隣なので使いやすいと思います。


 2階でトイレに行く場合は下図のようになります。

 居室Aとトイレの間は最短距離なので、そこだけが汚染区域になるのですが、空間として廊下全体がつながりますし、階段も仕切りがないので汚染区域・準汚染区域になります。

 できれば、廊下と階段の間を仕切るか、居室Aとトイレをつなぐ廊下だけを隔離できるように仕切りを作れると良いです。


 こ汚染区域のように最小化するためには陰圧装置を設置する必要があります。

 2階にはトイレに換気扇があると思いますが廊下や居室には換気扇が無いと思います。1階のキッチンや浴室には大きめの換気扇があり、特にキッチンの換気扇は強めだと思います。
 すなわち、キッチンが家の中で最も低圧になるので、2階のコロナウイルスは1階へと向かって動き出してしまう可能性があります。

 下図は掃き出し窓に陰圧装置を設置した例です。ベランダをイメージした設置例です。

弊社開発の簡易陰圧装置を用いた一般住宅での実験

 一戸建てでは、居室から浴室までの動線が長くなるのが課題です。

 下図が浴室までのルートであり、このときにレッドゾーンになってしまう箇所です。

2階
1階

 これだけの範囲が立ち入れなくなるのは困りますので、おすすめとしては患者を包んでしまう方法です。

 養蜂場などで見かける事もある、ツナギ型の防護服を着てしまうのがわかりやすいですが、身体を丸ごと覆ってしまいます。


 感染性のウイルスを撒き散らしやすいのが鼻と口ですので、ここを覆う必要もあります。
 無症状や軽症で、20~30秒くらいは息止めできるのであれば口をハンカチで覆って、なるべく息をしないように浴室まで移動してもらうのが良いと思います。
 防毒マスクを使ってもらうのも良いと思います。完全にバリアできる訳ではありませんが、ネット通販などで容易に入手できる中では、目が細かいフィルターを使う事ができるデバイスです。

 これが上手くいけば、レッドゾーンは居室Aと浴室に限定し、それ以外の箇所はイエローゾーンと考えることができます。

 私宅では、下記のガウンを用意しています。ツナギタイプではありませんが膝丈まであり、とりあえず1人でも容易に脱着できるので、これと防毒マスクを併用して家の中を動こうと思っています。

私宅に準備中のガウン
1枚ずつパックされて売っている

 患者がウイルスをまき散らさなかった場合のゾーニングです。

 手すりなどは清拭するべきだと思いますが、空間としてはさほど掃除の必要性がないと思います。

2階
1階

 このお宅では居室Aを使う方法を検討しましたが、2階の部屋であればどこでも良いとは思います。なるべく、トイレとの距離を短くすると良いと思います。

 陰圧装置を使う事を前提にする場合は、無窓室は使えませんが、一戸建てであればだいたいは窓があると思いますので、さほど心配はないと思います。




突っ張り棒で仕切り

 療養部屋とトイレの間を1つの空間にしたいと思っても簡単な事ではありません。

 順調にいけば約2週間の療養生活のために大規模な工事はしたくないでしょうし、工事をしている時間も無いと思います。

 壁に穴を開けずに、仮設で壁を作る方法があります。

 それは『突っ張り棒』です。
 突っ張り棒の平安伸銅工業さんが出しているLABRICO(ラブリコ)を使ったDIYです。

 2X4(ツーバイフォー)という木材の端に突っ張り役の金物を取り付ける方法で簡単に柱が建ちます。
 その柱に適当な壁を取り付けます。今回はウイルスを広げない事が目的なのでゴミ袋をホチキスで貼り付けても良いと思います。

 天井から床まで、1つの壁ができます。

私宅では窓枠に柱を新設
アイアンタイプの中身と箱
平安伸銅工業のLABRICOは2×4木材のアジャスターです。アイアンタイプは金属製なので屋外使用できます。使い方は簡単で、突っ張りたい場所の長さを図り、2X4木材をカットし、木材の端にLABRICOを取り付けるだけです。実際にAmazonで注文して使ってみましたが、しっかりしていて安心感・安定感があります。



トイレの管理

 トイレは敷物や便座カバーなど掃除しづらい物は予め撤去しておきます。

 無意識にタオルを使ってしまいますので、タオルも撤去してペーパータオルにしておくと良いです。

 トイレットペーパーを別々にするのは難しいので、COVID-19患者が出た後の掃除の際、トイレットペーパーの表側に面している1周分を捨てておきましょう。ペーパーホルダーの消毒ももちろん必要です。

 徹底的な消毒をする場合には次亜塩素酸ナトリウムを0.1%(1,000ppm)に調整したもので清拭が推奨されています。市販の次亜塩素酸ナトリウム(ハイターなど)は6%の物が多いので希釈して使います。

トイレは拭き取りやすさを最優先(写真はゴチャゴチャしてます)



簡易陰圧装置

 簡易陰圧装置を設置することで、一般住宅や高齢者施設等でも陰圧室を作る事ができます。

 陰圧室があれば、他の部屋より空気圧が低いので、その部屋から外に空気を漏らす心配が減ります。
 したがって、隣室など同じ建物内に居る人々への感染を抑止することができます。

 当社で考案した簡易陰圧装置は自宅療養のために開発を始めたので、一般家庭に簡単に取付できます。
 2階などによくある腰高窓に設置可能です。
 1階やベランダ面などにある掃き出し窓にも設置可能です。

腰高窓への排気
掃き出し窓への排気

 部屋に換気扇があれば、それを外して一時的に簡易陰圧装置の排気口として使う事もできます。
 この方法がおそらく、金物代などが一番安く済むと思います。

 上に示した写真はすべて、一般木造住宅で試験しています。
 1990年代築のごくありふれた木造住宅で設置できています。最新である必要はありません。





キッチン換気扇

 キッチンの換気扇は強力です。
 陰圧装置よりは弱いですが、もし宅内に給気口が無ければ陰圧装置と空気の取り合いになり、陰圧装置の仕事の妨げになる可能性があります。

 キッチンの近くの窓を1つ開ける事で給気が確保できますのでキッチンは気密にしないようにします。




浴室は半日インターバル

 『エアロゾル感染』が危険と言われたCOVID-19ですが、浴室にはエアロゾル化した物がたくさん浮遊してしまいます。

 乾燥させればエアロゾルも浮遊しなくなりますので、患者が入浴した後は換気扇や乾燥機を使って浴室内を十分に換気・乾燥させてから使うと良いです。

 家族が夜7時に入浴するなら、患者は朝のうちに入浴して昼間は換気・乾燥の時間に充てると良いでしょう。




掃除用個人防護具

 家族はグリーンゾーンに居るべきですが、どうしても掃除等でイエローゾーンに進入することがあります。

 そのとき、もっとも危険なのが鼻と口です。

 そこで私宅では、塗装工や解体工が使う産業用の防塵マスクを用意しています。
 一度だけ装着してみましたが、激しく運動しようと思うと苦しいです。ゆっくり呼吸する分には、さほど抵抗なく、ある程度は安心して空気を吸う事ができました。




次亜塩素酸ナトリウム・浸漬法

 新型コロナウイルスで注目された次亜塩素酸ナトリウムとは、簡単に言うとハイターです。厳密に言うと界面活性剤が入っている商品もあったり色々なのですが、細かい事は置いておきます。

 この次亜塩素酸ナトリウムは濃ければ良いという物ではありません。至適濃度という物があります。

 患者の接触部位などは0.05%(500ppm)の次亜塩素酸ナトリウムで清拭します。

 リネン類は250ppm(0.025%)の次亜塩素酸ナトリウムに30分浸漬してから選択します。次亜塩素酸ナトリウムが使えない衣類等では熱湯消毒という方法もあります。




熱湯消毒

 新型コロナウイルスに限らず、ノロウイルスなどが付着した衣類などは熱湯消毒が必要になります。

 患者が着ていたもの、使用済のタオルやシーツ、場合によっては靴なども対象になります。

 家庭で熱湯消毒をするのは容易ではなく、特に大きな物は準備が大変です。

 ガイドラインでは『80℃・10分』となっているので、衣類が浸かる程度の大きな容器に、80℃以上の湯を10分間維持できなければなりません。

 昨年、病院のリネン類の熱湯消毒の相談があった際には、寸胴鍋とぶっ込みヒーターを紹介しました。
 建設現場ではお馴染みなのですが、冬場にコーヒーなどを温めるのに使っています。

 これらの道具と、キッチンにある鍋やヤカン、電気ケトルなどを組み合わせれば『80℃・10分』も実現可能性が高まると思います。

 衣類が熱湯に触れる必要はないので、二次感染防止の観点から衣類は袋に入れた状態で適当に水を注いで口を縛り、袋の外の熱が衣類に行き渡る様にして熱湯消毒します。
 繊維によっては高温で縮んでしまう物もあります。ご注意ください。




急変対応備蓄:BVM

 ゾーニングして療養していても、ときには重症化してしまう人がいます。

 救急搬送の順番待ちも、感染者があまりにも多ければ数時間や数日待ちにもなり得ます。

 私宅には人工呼吸器の代わりをする事ができるBag Valve Maskというデバイスがあります。

 これがあれば助かるという物ではありませんが、救急の現場などで多用されている用手換気と呼ばれるものです。

 もしかすると一家に一台、あると良いのかもしれませんが、使い方を誤ると医師法に抵触する恐れがあります。
 現在、Amazonなどでは入手できないようです。




急変対応備蓄:酸素濃縮器

 肺炎とは、肺から酸素を取り込みづらいほどの炎症を起こしている状態です。

 酸素が取り込めなければ、息苦しくなります。
 普段は6秒に1回の呼吸が、2~3秒に1回に縮めても追い付かないほど苦しくなります。

 回数では酸素が稼げないのであれば、吸う酸素の濃度を高くしてあげれば解決できる場合があります。
 待機の21%の酸素より、倍の酸素を吸えば肺から血中へ取り込まれる酸素も増えます。

 酸素ボンベを用いる方法が一般的にありますが、酸素濃縮器というデバイスを使う方法もあります。

 医療機器と、そうでない物がありますのでご注意ください。
 下記の例は医療機器ではないので、誰でもネット通販などで入手可能です。医療機器ではないので、治療用ではありません。
 参考情報としてご覧頂ければと思います。

※.薬事申請などのご相談は弊社の医工連携事業で承っております。




お困りでしたらご相談を

 自宅療養をしなければならず、家族への感染が心配でこのサイトをご覧になった方は、まだ不安が解消されていないと思います。

 当方でお役に立てるようでしたら、可能な限りお話をお聞きしますのでお気軽にお問合せ下さい。
 相談に答えたからすぐに費用を請求という事はありません。

 保健所さんもお忙しくされていますので、少しでもお役に立てばと思います。

お問い合わせ



関連資料

弊社関係


厚生労働省

新型コロナウイルス感染症の軽症者等に係る宿泊療養及び自宅療養の対象並びに自治体における対応に向けた準備について(事務連絡):2020年4月2日

『新型コロナウイルス感染症の軽症者等の宿泊療養マニュアル』の送付について(事務連絡):2020年4月2日

新型コロナウイルス感染症患者が自宅療養を行う場合の患者へのフォローアップ及び自宅療養時の感染管理対策について(事務連絡):2020年4月2日

『新型コロナウイルス感染症の軽度者等に係る宿泊療養及び自宅療養の対象並びに自治体における対応に向けた準備について』等の周知について(事務連絡):2020年4月3日

医療機関における新型コロナウイルスに感染する危険のある寝具類の取扱いについて:2020年4月24日


国立国際医療研究センター
国立感染症研究所

新型コロナウイルス感染症に対する感染管理:2021年6月30日

急性期病院における新型コロナウイルス感染症アウトブレイクでのゾーニングの考え方:2020年7月9日

行政関連

香川県:ゾーニングのポイント, 2020年10月

カテゴリー
BLOG 医工連携 医療機器・設備・環境

プログラム医療機器 | NES株式会社

 従来、ソフトウェア単体で医療機器として認められることは無く、パソコンなどのハードウェアと一体となって承認/認証を受けていました。

 2014年に施行された薬機法では、ソフトウェアを単体で流通する事を可能としました。
 すなわち、ソフトウェアも規制の対象になりました。




プログラムの医療機器への該当性に関するガイドライン

 2021年3月31日に『プログラムの医療機器該当性に関するガイドライン』が厚生労働省(医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課/医療機器審査管理課)から発行されました。

 並行して、該当/非該当の事例の紹介も行われています。

 該当/非該当については厚生労働省にメールで問い合わせることができます。
 PMDAにも相談窓口がありますので、これから申請しようとする方々や、非該当品として広告を打ちたい方など、確認にご利用頂ければと思います。


 確認もせずに思い込みで開発をしてしまうと、あとで残念な結果が待っている事もあります。

 1つ明らかな事として、病院で使うから医療機器だという事はありません。

 例えば順番待ちの番号札を電子化したシステムは、ペーパーレスでウェブ上で動作するアプリも増えていますが、これは医療機器ではありません。

 処方されたお薬の情報を記録するシステムも、単に記録を保存し参照するだけなので医療機器ではありません。

受付呼出番号システム
おくすり手帳

[Link] 厚生労働省: プログラムの医療機器該当性に関するガイドラインについて, 薬生機審発0331第1号, 薬生監麻発0331第15号, 令和3年3月31日

[Link] 厚生労働省: 医療機器プログラム事例データベース (Excelファイル)

[Link] 厚生労働省: プログラムの医療機器該当性の相談について, 事務連絡, 令和3年3月31日

[Link] PMDA: SaMD一元的相談窓口(医療機器プログラム総合相談)




攻めれば医療機器

 おくすり手帳は医療機器ではありませんが、そこに効果効能を謳えば規制対象となります。

 『禁煙アプリ』は日々の経過を記録するものですが、そこに助言を加えて行動変容を促すことで禁煙効果を高めるものであり、治験を実施して有効性が認められました。

 2020年に日本で初めての治療アプリとして薬事承認(製造販売承認)を受けました。

 その後の中医協(中央社会保険医療協議会)での審議を経て、保険収載されました。
 一般的に言えば患者の自己負担は3割、残る7割は保険でカバーされる事になりました。

 社会保険の仕組みを使うか否かは企業の戦略に依るので、今後は保険を使わない自由診療専用の治療アプリも出現するかもしれません。




該当性の基本的な考え方

1.医療機器で得られたデータ(画像を含む)を加工・処理し、診断又は治療に用いるための指標、画像、グラフ等を作成するプログラム

  1. 診断に用いるため、画像診断機器で撮影した画像を汎用コンピュータ等に表示するプログラム(診療記録としての保管・表示用を除く)
  2. 画像診断機器で撮影した画像や検査機器で得られた検査データを加工・処理し、病巣の存在する候補位置の表示や、病変又は異常値の検出の支援を行うプログラム(CADe: Computer-Aided Detection)
  3. CADe 機能に加え、病変の良悪性鑑別や疾病の進行度等の定量的なデータ、診断結果の候補やリスク評価に関する情報等を提供して診断支援を行うプログラム(CADx: Computer-Aided Diagnosis)
  4. 放射性医薬品等を用いて核医学診断装置等で撮影した画像上の放射性医薬品等の濃度の経時的変化データを処理して生理学的なパラメータ(組織血流量、負荷応答性、基質代謝量、受容体結合能等)を計算し、健常人群等との統計的な比較を行うプログラム
  5. 簡易血糖測定器等の医療機器から得られたデータを加工・処理して糖尿病の重症度等の新たな指標の提示を行うプログラム
  6. 一つ又は複数の検査機器から得られた検査データや画像を加工・処理し、診断のための情報を提示するプログラム(例えば、眼底カメラ、眼撮影装置、その他眼科向検査機器から得られた画像や検査データを加工・処理し、眼球の組織・細胞や層構造について、形状・面積・厚さ・体積・濃度・色等を表示、形態情報との相関比較を行うプログラム)

2.治療計画・方法の決定を支援するためのプログラム(シミュレーションを含む)

  1. CT 等の画像診断機器から得られる画像データを加工・処理し、歯やインプラントの位置のイメージ画像の表示、歯科の矯正又はインプラント治療の術式シミュレーションにより、治療法の候補の提示及び評価・診断を行い、治療計画の作成、及び期待される治療結果の予測を行うプログラム
  2. 放射線治療における患者への放射線の照射をシミュレーションし、人体組織における吸収線量分布の推定値を計算するためのプログラム(RTPS: 放射線治療計画システム)
  3. 画像を用いて脳神経外科手術、形成外科、耳鼻咽喉科、脊椎外科等の手術をナビゲーションするためのプログラム
  4. CT 等の画像診断機器で撮影した画像を加工・処理して、整形外科手術の術前計画を作成するためのプログラム
  5. 画像診断機器や検査機器で得られたデータを加工・処理し、手術結果のシミュレーションを行い、術者による術式・アプローチの選択の支援や、手術時に手術機器で使用するパラメータの計算を行うプログラム (例えば、角膜トポグラフィ機能をもつレフラクト・ケラトメータで取得した角膜形状データを基に、屈折矯正手術における角膜不正成分を考慮した手術結果のシミュレーションを行い、レーザの照射データを作成するプログラム (屈折矯正手術レーザ照射データ作成プログラム))
  6. 患者の体重等のデータから麻酔薬の投与量を容易な検証ができない方法により算出し、投与を支援するプログラム



非該当ケース

1.医療機器で取得したデータを、診療記録として用いるために転送、保管、表示を行うプログラム

  1. 医療機器で取得したデータを、可逆圧縮以外のデータの加工を行わずに、他のプログラム等に転送するプログラム (データ表示機能を有しないデータ転送プログラム)
  2. 診療記録として患者情報及び検査情報の表示、編集を行うために、医療機器で取得したデータのデータフォーマットの変換、ファイルの結合等を行うプログラム
  3. CT 等の画像診断機器で撮影した画像を診療記録のために転送、保管、表示するプログラム
  4. 検査項目の入力、表示、出力を行い、患者ごとの複数の検査結果を継時的に保管・管理するプログラム
  5. 事前に入力した患者 ID や氏名等のパラメータを複数の医療機器に転送し、設定するプログラム(パラメータそのものは加工せず転送するものに限る)

2.データ(画像は除く)を加工・処理するためのプログラム(診断に用いるものを除く)

  1. 医療機器で得られたデータを加工・処理して、汎用コンピュータ等で表示するプログラム(例えば、睡眠時無呼吸症候群の在宅治療で使用する CPAP(持続式陽圧呼吸療法)装置のデータ(無呼吸・低呼吸指数、供給圧力、使用時間等)を、SD カード等から汎用コンピュータ等で読み込み一覧表等を作成・表示するプログラム
  2. 腹膜透析装置等の医療機器を稼働させるための設定値パラメータ又は動作履歴データを用いて、汎用コンピュータ等でグラフの作成、データの表示、保管を行うプログラム
  3. 検査データの有意差検定等の統計処理を行うプログラム

3. 教育用プログラム

  1. 医学教育の一環として、医療関係者がメディカルトレーニング用教材として使用する、又は以前受けたトレーニングを補強するために使用することを目的としたプログラム
  2. 教育の一環として、手術手技の実施状況を撮影し、手術室外の医局等のディスプレイ等にビデオ表示することでライブ情報を共有させるためにデジタル画像を転送・表示させるためのプログラム

4.患者説明用プログラム

  1. ① 患者へ治療方法等を説明するため、アニメーションや画像により構成される術式等の説明用プログラム

5.メンテナンス用プログラム

  1. 医療機器の消耗品の交換時期、保守点検の実施時期等の情報を転送、記録、表示するプログラム (医療機関内の複数の医療機器の使用状況等をネットワーク経由で記録・表示させるプログラムを含む)
  2. 輸液ポンプ等の医療機器の動作履歴や稼働状況の自己点検プログラム
  3. 内視鏡洗浄消毒器等の医療機器の運転履歴、機器 ID、担当者 ID 等を記録・表示するプログラム

6.院内業務支援プログラム

  1. インターネットを利用して診療予約を行うためのプログラム
  2. 総合コンピュータシステム(レセコン・カルテコン)において、入力されたカルテ情報から情報提供用文書の出力、受付、会計業務、レセプト総括発行等の集計作業を行うプログラム
  3. 医療機器の販売管理、在庫管理、入出庫管理、設置場所の管理のためのプログラム
  4. 医療機器の添付文書の集中管理を行うため、複数の医療機器の添付文書を保管・表示するプログラム

7.健康管理用プログラム

  1. 日常的な健康管理のため、個人の健康状態を示す計測値 (体重、血圧、心拍数、血糖値等)を表示、転送、保管するプログラム
  2. 電子血圧計等の医療機器から得られたデータを転送し、個人の記録管理用として表示、保管、グラフ化するプログラム
  3. 個人の服薬履歴管理や母子の健康履歴管理のために、既存のお薬手帳や母子手帳の情報の一部又は全部を表示、記録するプログラム
  4. 個人の健康履歴データを単なる記録のために健康管理サービス提供者と共有するプログラム (診断に使用しないものに限る)
  5. 携帯情報端末内蔵のセンサ等を利用して個人の健康情報 (体動等)を検知し、生活環境の改善を目的として家電機器などを制御するプログラム
  6. 携帯情報端末内蔵のセンサ等を利用して個人の健康情報 (歩数等)を検知し、健康増進や体力向上を目的として生活改善メニューの提示や実施状況に応じたアドバイスを行うプログラム
  7. 健康診断のため、氏名等の受診者情報、受付情報、検査項目、検査機器の使用状況や問診する医師のスケジュール等健康診断の実施に関する情報及び健康診断の検査・診断データを管理し、健康診断の結果の通知表を作成するプログラム
  8. 健康診断の結果を入力、保管、管理し、受診者への報告用データや結果を表形式等に作成するプログラム
  9. 保健指導の指導状況を入力、保管、管理し、実績報告のためのデータを作成するプログラム
  10. 健康診断の問診結果、受診者の生活習慣関連情報、生活習慣改善の指導状況、改善状況に関する情報を入力、保管、管理し、生活習慣の改善のために学会等により予め設定された保健指導の助言候補から該当候補を提示するプログラム

8.一般医療機器 (機能の障害等が生じた場合でも人の生命及び健康に影響を与えるおそれがほとんどないもの)に相当するプログラム (新施行令により、医療機器の範囲から除外されるもの)

  1. 汎用コンピュータや携帯情報端末等を使用して視力検査及び色覚検査を行うためのプログラム (一般医療機器の「視力表」や「色覚検査表」と同等の機能を発揮するプログラム)
  2. 携帯情報端末内蔵のセンサ等を用いて、体動を検出するプログラム (一般医療機器の「体動センサ」と同等の機能を発揮するプログラム)
  3. 「ディスクリート方式臨床化学自動分析装置」等の一般医療機器である分析装置から得られた測定値を転送、保管、表示 (グラフ化)するプログラム
  4. 添付文書の用法用量・使用上の注意や、治療指針、ガイドラインなど公知の投与量の増減に対応する薬剤の投与量を提示するプログラム(薬物投与支援用プログラム)

[Link] 厚生労働省: プログラムの医療機器への該当性に関する基本的な考え方について, 薬食監麻発1114第5号, 平成26年11月14日




医療機器として販売

 医療用のソフトウェアをプログラム医療機器として販売するためには薬事申請が必要になります。

 その工程には医療機器製造業、製造販売業、販売業が必要になります。


製造業

 医療機器製造業は登録制(届出制)です。
 登録申請又は登録更新申請に当たっては、必要に応じて製造所の実地確認があります。

 プログラム医療機器では組立や滅菌工程はありませんが設計工程があります。
 言い換えると『設計』のみ規制対象となります。

 プログラムをCDに書き込むような製造工程は規制対象にならない可能性がありますが、プログラミングを行ってソフトウェアとしての形にしていく工程は製造業が必要になると考えられます。

設計主たる組立
主たる製造工程
滅菌最終製品の保管
医療機器プログラム× × ×
医療機器プログラムを記録した
記録媒体たる医療機器
× ×
一般医療機器 ×
上記以外の医療機器

製造販売業

 これまで医療機器と呼ばれて来た物と同様に、高度管理医療機器や管理医療機器などの種類に応じて第一種医療機器製造版倍業又は第二種医療機器製造販売業許可を取得している必要があります。


販売業

 ネット販売であっても医療機器プログラムを販売するには販売業が必要になります。

 USBメモリやCDなど記録媒体の販売については他の医療機器と同様に取り扱う営業所ごとに許可又は届出が必要です。

 ネット経由 (電気通信回線)で提供する医療機器プログラムが高度管理医療機器ならば販売業許可が、管理医療機器ならば販売業届出が必要です。
 ネット販売について広告する場合、一般人を対象としないように留意点があります。

  1. 販売業者の氏名又は名称及び住所
  2. 電話番号その他連絡先
  3. その他必要な事項

承認/認証

 プログラム医療機器の承認/認証の申請には下図のような書類の提出が求められます。

 慣れておられる方々であれば普通に書ける書類だと思います。

[Link] 厚生労働省: 医療機器プログラムの承認申請に関するガイダンスの公表について, 事務連絡, 平成28年3月31日




実際に売れているのか?

 プログラム医療機器は実際に売れているのかわかりませんでしたが、回収情報を見て『売れているなぁ』と思いました。

 睡眠評価用の計測ソフトは約1か月で450本出荷したという記録を目にしました。

 このソフトウェアは睡眠評価という機器も診断も確立された中でのソフトウェアですが、ソフトウェア単体の医療機器が徐々に定着していっているのを感じました。

[Link] PMDA: 医療機器回収情報クラスII(医療機器), SAS計測ソフトウェア




診断から治療へ

 診断用のプログラムは散見されていましたが、治療用は2020年になってようやく承認がありました。

 製薬メーカーも開発費が抑えられ、グローバル展開しやすいデジタル治療(DTx)に開発の目を向けており、特に精神疾患の改善などは早めの上市が見込まれます。

[Link] PMDA: 審議結果報告書, 禁煙治療補助システム, 令和2年6月19日

[Link] 日本経済新聞: 禁煙アプリを保険適用 治療用は国内初、外来で活用 (2020年11月11日)

[Link] 日経XTECH: CureAppが治療用アプリの保険適用で2つの提言、従来型だと割に合わないわけ (2021年6月10日)

[Link] 日経産業新聞: デジタル治療、スマホで心動かす アステラスなど開発 (2021年6月13日)




私たちが考える今後のプログラム医療機器

リハビリ支援プログラム

 怪我をしてリハビリを受けた事がある人は感じている人も多いのではないかと思いますが、回復期間中に占めるリハビリの時間が短いという課題があります。

 入院中であっても平日に30分~1時間程度です。
 月~金で5時間リハビリを受けても1週168時間の3%です。

 外来になると週1~2回、1週間の1%程です。自宅からの通院や病院待合室に居る時間の方が長いという人も居るでしょう。

 ここで考えるリハビリ支援プログラムとは、セルフメディケーションを兼ねたものです。

 例えば、週1回の外来で診察を受けて1週間分のリハビリをプログラムして貰います。診察日は理学療法士によるリハビリを受けながら、1週間自身で行うリハビリについて指導を受けます。
 患者は次の診察日まで自身でリハビリを行います。このリハビリを支援するプログラム(アプリ)では、カメラなどを組み合わせて適正なリハビリが行われているかを観察します。
 誤った運動をすると怪我の恐れがありますので、適正な運動だけをして機能回復する点に有効性と安全性が関わります。
 想定以上に回復が早い場合は受診を促して次のステップに進む事もできますし、リハビリが奏功しなければ他の治療法を模索する事にもなります。

 リハビリとは、誰かが手を添えてゆっくり曲げ伸ばしするような方法だけではなく、椅子に座って膝を伸ばすといった患者自身の意志だけでできるものも多くあります。

 こうした支援プログラム(アプリ)は医療側から見れば、患者がどの程度のリハビリを行った上での回復状況であるかわかるため、治療方針を立てやすくなります。

 これは保険者にとってもメリットがあります。努力している人は保険負担が少ないのであれば、アプリを積極的に導入して回復を促すことができます。
 財政がひっ迫する保険制度において、保険者の負担を軽減する方法は迎合されますので、開発の価値はあると思います。


麻酔管理プログラム

 麻酔科医不足が顕在化され北日本などでは2千万~3千万円の年俸で募集をしても応募者ゼロという状況が散見されます。

 結果、1人の麻酔科医が何列もの手術を同時に管理する事になり、それが社会問題化しました。

 麻酔の目的は『麻酔すること』です。
 適正な麻酔をするためには痛みを感じないようにしつつ、呼吸抑制や循環不全を起こさないように調整しなければなりません。

 麻酔科医の判断にはバイタルサインモニタや血液検査の結果が深く関わります。
 手術の進行状況や輸血の量なども関係します。
 多くが客観的情報に基づくものであり、患者自身を目視して得る主観的情報は僅かであるとすれば、麻酔管理の補助プログラムが作れると考えます。
 一歩踏み込んで、麻酔薬の調整まで実施できると良いと思います。

 私が臨床業務に従事していた医療機関では、カテーテル室と手術室で同時に手術が行われる事が日常的でした。
 手術室に入るには着替えも必要なので、麻酔科医が手術室を離れる事は容易ではありません。
 カテーテル室では麻酔科医ではなく外科医が麻酔管理を実施している事も少なくなく、その間は本業である外科業務はしていません。

 予期せぬトラブルを想定し麻酔科医が院内に居るべきではありますが、麻酔科医を補助する麻酔管理システムはニーズがあるのではないかと思います。

 麻酔科医の人数は増やす施策をとりつつ、業務負荷は軽減できるようにすれば、麻酔科医が担い得る業務範疇が広がり、麻酔科医の多様性も広がると思います。

 個人的には、ペインクリニックが増えてくれる事を期待しています。
 私は腰痛持ち、腰椎椎間板ヘルニアですが、近所にたまたま良いクリニックを見つけられたので助かっています。病院がお休みの年末年始でも治療してもらえました。
 麻酔科医は術中麻酔だけが業務範疇ではないので、人の『痛み』の治療にも期待しています。

 ある国の医師が留学先から帰国する際、自国に帰っても同じ手術はできないと話していました。
 それはチームが無いためです。留学先と同じレベルの麻酔科医や看護師が必要なため、例えば移植術のような高度な治療ができないそうです。
 そうしたとき、医療先進国で培われたノウハウを詰め込んだ麻酔管理システムがあると、救える患者が増えるかもしれません。

[Link] 日本麻酔科学会: 麻酔科医マンパワー不足に対する日本麻酔科学会の提言 (2005年2月9日)


穿刺支援プログラム

 血管に針を刺すという行為は昔から変わりませんが、その必要性は高まっています。

 治療薬や治療法が多様化し、穿刺さえできれば治療が開始できるという状況において、穿刺を失敗したから有効な治療法を選択しなかったという事がどこまで許容されるかわかりません。

 以前、穿刺の練習モデルの開発において『お婆ちゃんの細く蛇行した血管』モデルの開発を要望しました。
 企業側からは嫌がられましたが、看護師からは歓迎されましたのでニーズがあると思います。

 高齢化によって、硬化した細い血管へのアクセスの頻度は高くなっています。
 また、日本は世界有数の乳幼児死亡率低率国であり、命は助かったものの治療を待つ児が多く居ます。発達段階の小児は血管が補足、さらに持病のある小児は発達に遅れが見られより細い血管である事があります。

 超音波診断装置(エコー)のハンディタイプが価格低下と共に臨床でも多用されるようになっています。これはハードウェアです。このデバイスは表皮より深部をモノクロ画像で見る物です。グラフィック処理により画像がカラー化される事はあります。

 一方で肉眼で見えている皮膚や血管とは異なる画像です。
 穿刺支援プログラムに求めらえる機能は、肉眼で見て穿刺すべき位置をガイドすることです。

 超音波診断装置などの体内の情報と、ウエアラブル眼鏡などの視点から見る穿刺部位の画像を組合せガイドし、さらに刺入角度を調整する機能や、血管に入った事を知らせる機能などを付加し、安全で確実な穿刺を支援するプログラムをイメージしています。

 私自身、穿刺は好きではありませんでした。
 慢性維持透析において、もし穿刺を失敗してシャント(透析用に造設した血管)を傷つけてしまったときの代償の大きさを考えるといつも緊張していました。
 シャント新設となれば1か月くらい入院する事になり、特に職を持って社会に出ている現役世代の方々には影響が大きくなります。もしかすると職を失い、生活保護の対象になってしまうかもしれません。

 医療従事者はその責任を負わされるかどうかわかりませんが、自責の念は消え去らないでしょう。

 この緊張感を少しでも和らげ、助けるツールが欲しいと思っている医療従事者は確実に居ます。

 超音波診断装置と複数のカメラを組み合わせなければできないかもしれませんが、ハードウェアを売る会社はたくさんあるので、それをつなげるハブのようなソフトウェアが出現すれば、ハード屋さんが一生懸命に販売してくれるかもしれません。


まだまだある

 プログラム医療機器に関する構想はまだまだいくつかあります。関係者からの聞き取りや、独自の市場調査を重ね、これぞという企画を生み出そうと考えています。

 筆者が後期高齢者になるまでしばらくありますが、自身が医療のお世話になる機会が増えるころまでに、必要そうなアプリが出そろう事を期待し、検討しています。




 私たちは独自に磨いた嗅覚でニーズを探索し、市場性を評価し、実現可能性を検討しています。

 私たちはコンサルティングが本業ですので、モノづくりはしません。ただし、ソフトウェア(アプリ)の場合は企画段階である程度は結果が見えてきますので、良い企画が生み出せるように検討を重ねています。

 コンサルティングや共同開発などについて、お気軽にお問合せ頂ければ幸いです。

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医療機関の電波安全 | NES株式会社

 医療機関では様々な電子機器を使用します。この中には強い電波や特定周波数の電波に弱い物も存在します。

 また、医療機器自体が電波を利用する物もあります。医用テレメーターと呼ばれる心電図などのバイタルサインを電波で飛ばす仕組みは古くから用いられています。特殊なところでは電気メスも電磁波を利用している物があります。

 医療機関では患者の生命や健康を扱っており、電波(電磁波)が悪い方向へ作用しないように注意が必要です。

 この分野には小野哲章先生や加納隆先生ら臨床工学技士に所縁にある先生方が様々な研究を行い、安全に向けた啓発をされてきました。

 先月末、新たな手引書が公開されたのでご紹介します。




安全に電波を利用するための三原則

原則1 電波を利用している現状や発生しうるリスクと対策の把握

 どこでどのような電波利用機器を使っているのか、それらの電波利用機器ではどのようなトラブルが発生しうるのか、また、トラブルの予防策や解決策はどのようなものがあるのか、といった点を関係者が把握。

原則2 電波を管理する体制の構築

 医療機関内で各部門が個別に電波利用機器を管理するだけではなく、管理情報を部門横断的に共有する体制を構築。

原則3 電波を利用するための対策の検討と実施

 原則1と原則2の実施状況を踏まえ、電波利用機器調達時~機器運用時~トラブル発生時に必要となる対策を検討し、必要に応じて実施。




医療機関で電波を安全に利用するための取組概要

原則1 電波を利用している現状や発生しうるリスクと対策の把握

◇医療機関内の各部署で電波利用機器の管理とリスト化
◇電波利用環境の調査
◇電波利用に伴う潜在的なリスクの確認
◇リスク低減方法と影響発生時の対策方法の確認

原則2 電波を管理する体制の構築

◇各部門における電波管理担当者の確保
◇電波利用安全管理委員会や窓口(電波利用コーディネータ)の設置
◇機器等調達時の連携体制
◇電波利用ルールの策定
◇リテラシーの向上
◇役割分担と責任の明確化

原則3 電波を利用するための対策の検討と実施

◇機器の調達時、メンテナンス等実施時、トラブル発生時のそれぞれで電波を安全に利用するための対策の検討と実施




医療機関において安心・安全に電波を利用するための手引き(改定版)

 電波環境協議会とは電波を利用する関係団体で構成された『不要電波による障害を防止し除去するための対策を協議する』協議会です。

 その中に医療機関向けの活動があり、今回の手引書公開に至っています。

 この手引書公開は総務省のホームページでも報道発表として総合通信基盤局から公表されています。国家機関からの発表資料ですので、相応に信頼できると思います。

 手引書の目次は以下のようになっています。


1. 手引きの位置付け
 1-1. 目的
 1-2. 手引きの対象者

2. 手引きのポイント
 2-1. 医療機関で電波を利用する際に生じるトラブル事例
 2-2. 電波利用に関する問題の主な課題
 2-3. 安心・安全に電波を利用するための3原則
 2-4. 医療機関で電波を安全に利用するための取組概要
  1)電波利用状況の把握とリスク対策
  2)電波管理のための体制構築
  3)電波を利用するための検討と実施

3. 電波を利用している現状や発生しうるリスクと対策の把握
 3-1. 医療機関における電波利用の例
 3-2. 医用テレメータ
  1)システムの概要
  2)無線チャネルの確認
  3)医用テレメータの電波環境の測定方法(簡易な方法)
  4)医用テレメータのトラブル事例
  5)医療機関における対応策
  6)医用テレメータ製造販売業者における留意事項
 3-3. 無線LAN
  1)システムの概要
  2)無線チャネルの確認
  3)無線LANの電波環境の測定方法(簡易な方法)
  4)無線LANのトラブル事例
  5)医療機関における対応策
  6)無線LANネットワーク整備・保守事業者における留意事項
 3-4. 携帯電話
  1)システムの概要
  2)無線チャネルの確認
  3)携帯電話の電波環境の確認方法(簡易な方法)
  4)携帯電話に関する課題
  5)医療機関における対応策
  6)携帯電話事業者における留意事項
3-5. その他の機器について
  1)微弱無線設備
  2)小電力無線局
  3)高周波利用設備
  4)RFID
  5)トランシーバ
  6)PHS・次世代自営無線

4. 医療機関において電波を管理する体制等の整備
 4-1. 医療機関の各部門における電波管理担当者の確保
 4-2. 電波利用安全管理委員会や窓口(電波利用コーディネータ)の設置
 4-3. 医用電気機器、情報機器・各種設備・サービス調達時の連携体制の構築
 4-4. 電波の安全利用に関するルールの策定
 4-5. 電波管理に関するリテラシー向上
 4-6. 関係機関との役割分担と責任の明確化

5. 困ったときは

6. 今後の検討予定事項と本手引きへの反映
 参考1 電波について
 参考2 離隔距離について
  1)離隔距離の設定に関する参考情報
  2)医用電気機器のEMC規格に基づく離隔距離について
参考3 電波環境の測定方法(高度な方法)
  1)電気電子機器からの不要電波
  2)医用テレメータ
  3)無線LAN
  4)携帯電話
  5)次世代PHS(sXGP方式)
参考4 医療機関の建築物の特殊性
参考5 よくある質問と回答(Q&A)
  1)医用テレメータ
  2)無線LAN
  3)携帯電話
  4)その他
参考6 安心・安全な電波利用のためのエリア別の対策実施例
参考7 電波環境協議会の公開資料及び医療機関アンケート調査

[Link] 電波環境協議会: 「医療機関において安心・安全に電波を利用するための手引き(改定版)」等の公表について(2021年7月30日)

[Link] 総務省: 「医療機関において安心・安全に電波を利用するための手引き(改定版)」等の公表




パブコメ

 今回の手引書改訂版の公開前に、パブリックコメントの募集がありました。

 1つずつ丁寧に回答が示されています。

[Link] 「医療機関において安心・安全に電波を利用するための手引き(改定版)」等の内容充実のための意見募集に対して提出されたご意見とそれに対する考え方(案)




エッセンス版

 手引書は100ページ超えの超大作という感じですが、A4判1枚で紹介するエッセンス版が同時発行されています。

 チェックポイントが示されているので、院内に掲示して啓発するのに役立ちそうです。

 たぶん印刷を意識して、高画質の物を用意して下さっています。

[Link] 電波環境協議会: 医療機関において安心・安全に電波を利用するための手引き エッセンス版 (2021年7月改定版)




安全が目的、危険なら使わない

 手引書改訂前に行われたアンケート調査でも明らかになっていましたが、今後の電波利用に関する拡大は期待され、特にコロナの影響を受けてオンライン面会は普及すると考えられます。

 医療機関でも無線LANの導入が広がり、携帯電話の位置づけも単に連絡手段という物から変わってきているので、安全が確保されるのであれば使用が広がると思います。

 一方で、医療機関は診療の場であり、診療上の必要性が低いものを、患者に危険を近づけてまで実施する事は考えられません。ナースコールが無線化されない理由も、このあたりにあります。

病院で多用される無線式バイタルサインモニタ
飲食店で多用される呼出システム

 例えば、『ナースコール通話中に心電図モニタが途切れる事はありますが、患者が売店に居ても通話できるので便利です』という商品があったとしても、採用する医療機関は稀だと思います。
 会話ができている患者の心電図は遮断されても致死的ではないと思いますが、他の患者への影響が懸念されます。
 致死的不整脈が出ている患者のモニタが途絶え、気づいた時には手遅れであったという事は許容しがたい事象です。

 このテレメーターの問題については以前、高市早苗さんが総務大臣であったときに調査を実施しました。

 その時に作成した手引書を大臣に手渡していたのが臨床工学技士の加納隆先生です。
 たまたま、ニュースを見ていたら知った顔が映っているなと思って写真に撮りました。これが2016年4月です。

 高市大臣が危惧したのは、電波切れで心電図がナースステーションに届いていないという事実を、私的に見舞いに行った病院で知った事がきっかけでした。
 電波切れの状態を看護師さんが『よくあること』と言っていた事が恐ろしく感じたそうです。
 大臣は奈良選出、奈良県臨床工学技士会の方々は自分の病院ではないかと冷や汗をかいたと言っていました。

 医療事故調が入るほどの大事件になる前に、改善が進められているようですので良かったです。


 本題とはずれますが、このアンケートが秀逸だなと感じたのが調査対象施設です。
 よくある調査では大病院の意見に引っ張られてしまうのですが、この調査では200床未満が3分の2を占めるようになっています。病院と呼ばれる施設の6割は200床未満ですので、現実に沿った調査であると考えられます。

[Link] 電波環境協議会: 2020年度医療機関における適正な電波利用推進に関する調査の結果 病院編

[Link] 電波環境協議会: 2020年度医療機関における適正な電波利用推進に関する調査の結果 有床診療所編




街中の危険

 手引書の『参考2 離隔距離について』をご覧いただくと詳しく書かれていますが、心臓ペースメーカーのように患者を治療しながら街中へ持ち出される医療機器については、医療機関内での電波対策とは異なる注意が必要です。

 携帯電話が普及した頃、ペースメーカーの近くで使うと危険であるという啓発が行われました。
 技術の進歩や携帯電話の普及に伴い、エリアを分ける事で対応する流れになりました。

 電車の中では『優先座席付近や混雑した車内では電源をお切りください』といったアナウンスが流れるようになり、空いている普通席であれば堂々とスマホを触れます。

 院内でも待合室などで『携帯電話使用可能エリア』などの看板を大きく掲げる事で、ペースメーカーなどを持っている(植え込んでいる)患者に暗に近づかないように注意喚起しています。

 実は携帯電話はさほど危険でないことが分かっていますが、社会に根付いた配慮ですので、これはしばらく続くでしょう。

 その後、新たに危険が見つかったのが万引き防止用のゲートでした。
 CDショップやアパレルなどでよく見かけますが、出入口に立てられたゲートで商品タグを検出するという物です。このゲートが発する電波によってペースメーカーが誤作動する可能性があるため、現在では『店員にお声掛けください』などのステッカーが貼ってあると思います。

 最近の事例では電気自動車の充電器から出る電磁波が危険では無いかとの報告があります。
 短時間で大容量のエネルギーを移しますので、電磁波も相応に発せられます。急速充電器は三相200V(交流)を直流500Vに変換しますので、この変圧器や変流器などの装置類から電磁波が漏れ出ています。

[Link] 総務省: 電波の植込み型医療機器及び在宅医療機器等への影響に関する調査報告書

[Link] NTT DoCoMo: 携帯電話・スマートフォンの発する電波に関する医療機器への電磁干渉調査, NTT DOCOMOテクニカル・ジャーナル, Vol. 26 No.2 pp.56-61(2018年7月)

[Link] 総務省: 電波の医用機器等への影響に関する調査結果(平成16年6月18日)

[Link] ANA: 心臓ペースメーカーや、金属製の固定具がお体に入ったお客様

[Link] 一般社団法人次世代自動車振興センター: 普通充電器と急速充電器




危険に曝されても安全

 心臓ペースメーカーを植込まれている人にとって不安が広がる世の中かと思われそうな電波状況ですが、致死的なダメージを受ける事は少ないと考えても良いかと思います。

 ペースメーカーには自己防衛的な安全機構が備わっており、外から強い電波を受けて記憶装置にダメージを受けた場合、自動的にリセットされてペーシングを続けます。
 仮に心拍数を毎分80回に設定してあったとして、ダメージを受けたらリセットされて毎分60回になってしまうが、電気刺激は続けるという機能です。細かい事を言うと心臓を刺激する電圧や時間などもリセットされます。

 ペースメーカー外来で気づくことが多いのですが、IoTの時代ですので、今後はイベントが起こった直後から把握ができるようになると思います。

 安全性は確保されているものの、常時電磁波の危険と隣り合わせとなる職業に就き続ける事は難しいと思います。




院内安全管理体制

 医療機関には電波を管理する部署が無いと言っても過言ではないと思います。

 医用テレメータはME部、PHSの管理は総務部、無線LANは情報システム部とそれぞれに管理され、その管理対象はチャネル等であって周波数や電波干渉などは対象としていません。
 また、患者やスタッフが持ち込む携帯電話は管理者不在、門前に待つタクシーの無線なども院内には管理者不在です。

 さらに、近くに病院がある場合には医用テレメータや医用PHSなどのチャネル(周波数)が干渉する恐れがあり、病院間の協議が必要な場合がありますが、互いに管理者不在で話に進展がないという事も少なくありません。

 手引書では『電波利用安全管理委員会』の構成例を示しています。

◇医用電気機器管理者(調達部門・保守部門、医療機器管理部門、医用テレメータの無線チャネル管理者等)
◇電波利用機器管理者(無線LAN等を運用する医療情報部門、医用テレメータの無線チャネル管理者、施設管理部門等)
◇外部の管理事業者の管理部門(財務・総務等)



ワンストップ窓口『電波利用コーディネータ』

 『電波といえば○○さん』と院内でコントロールできる司令塔のような人が居ると管理がスムースです。

 何かの有資格者と言うよりは、院内で横断的に活動できるオールラウンダー的な人材が有用だと思います。
 また、医療安全に熱意があり、臨床をわかっている人が適任であると考えられます。

 臨床工学技士は適任者のひとつの職種であると考えられますが、臨床工学技士を常勤配置し診療報酬『医療機器安全管理料I』の算定届出をしている施設は3千程しかなく、残る5千程の病院には臨床工学技士は不在であると考えられます。
 診療放射線技師を英訳すると"Radiologist"や"Radiographer"、"Radiological Technologists"ですが、共通して"radio"が入っています。無線に詳しいかわかりませんが、管理者として候補できる職種であると考えられます。

 オールラウンダーとしては看護師に優る職種は無いと思います。どこの部署にも関与していますので、電波環境に関心を持つ看護師さんが居れば、電波利用コーディネーターの適任者だと思います。




院内セミナー

 医療安全研修などのテーマとして電波利用を取り上げてみてはいかがでしょうか。

 視点としては『電波が使えないとき』が良いかなと思います。医用テレメータや院内PHSが使えない時、業務にどのような支障があるのかを知ってもらう事が身近だと思います。

 電波利用を阻害する要因に何があるのかを知る事で、注意すべき点が院内で共有できると思います。

 付随情報として、ペースメーカーなど治療器への影響なども知ってもらう事で、スタッフのリテラシーを高める事ができると思います。

 当社では、電波環境に詳しい医療従事者や研究者と連携し、院内のリテラシー向上のお手伝いをしています。

 ご要望があれば、貴院の研修会等に先生方をご案内する事も可能ですので、お気軽にお問合せ下さい。

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感染性廃棄物に志向した医療機器開発 | NES株式会社

 医療機器等の開発と言えば、用途や機能に意識が集中しがちですが、廃棄物処理という視点は見落とされている部分かもしれません。

 産業界では既にSDGs活動として廃棄物を減らす動きが出ているが、医療現場から出される廃棄物には独特の事情がある。

 廃棄物処理だけをシーズに参入する方法もあれば、既存商品との差別化に廃棄物処理を提示する方法も考えられる。




廃棄物処理法

 本邦でのゴミ処理は廃棄物処理法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)に規定されています。

 この法律の目的を簡単に述べると、ゴミを減らす事と、適正な処理による公衆衛生の維持向上です。

 ゴミは大きくは一般廃棄物と産業廃棄物に分類されます。

[Link] 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)

[Link] 廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令(廃棄物処理法施行令)




感染性廃棄物

 感染性廃棄物は産業廃棄物の中の『特別管理廃棄物』に指定される物が想定されます。

 実際、細かい事を言えば病院で鼻血が付いたガーゼは感染性廃棄物ですが、家の中で鼻血を拭いたティシュなどは一般廃棄物として処理されていると思いますので、色々な事を踏まえて廃棄物は分類されます。

[Link] 環境省: 廃棄物処理法に基づく感染性廃棄物処理マニュアル(平成30年3月)




医工連携の要素はどこに?

 廃棄物処理法の目的にも合致する部分として、ゴミの減量があります。

 ゴミを増やさない方法か、現に存在するゴミを減らす方法があります。

 人工透析では体外で血液を処理するための血液回路や人工腎臓(ダイアライザ)がありますが、治療後は生理的食塩水と残血で満たされています。
 この液体を抜き捨てる事でゴミの重量を減らす事ができるので治療後に液体を抜いている施設も少なくありません。

 液体を抜いた後の容器等は空気が充填されています。
 この容器等を破砕して小さくすることで、ゴミの容積を圧縮する事ができます。1回あたりの運搬量が増やせるため経済効果が期待できます。

 感染性廃棄物は更に細分化され、感染性一般廃棄物か感染性産業廃棄物かで処理料は変わりますし、そもそも『感染性』を付けられなければ一般ゴミと同じ様に処分できます。




小さな気づき

 あるデバイスを使う際に、毎回トレーを用意している事がわかりました。

 トレーは汚染されるため、毎回洗浄が必要でした。

 あるデバイスの梱包を工夫し、使い捨てトレーを兼ねられるようにしたところ、現場では積極的に採用され他社との差別化につながりました。

 元々はゴミとして捨てられていた梱包材が、1つ仕事をこなしてからゴミになる事でそこに価値が生まれ、さらにトレーの洗浄手間を省く事にもつながりました。

 同じように、病院でよく使われるゴミ袋と同じサイズに調整したパッケージは、やはりゴミ袋として使われるようになりました。

 現場に出入りし、現場の意見を拝聴しなければわからない事ですが、些細な事がビジネスに大きな影響を与える可能性があります。




分別しやすい

 先日、ある開業医とゴミの分別について意見交換しました。

 滅菌済のパッケージは感染性ゼロのはず、それを上手に捨てれば感染性廃棄物では無いというのは論理的に正しい事だと思います。

 一般ゴミの世界では紙ごみとプラごみが分別されています。
 この滅菌済みのパッケージも紙とプラを分ける必要がありますが、そもそも全体がプラか紙のどちらかで作られていれば分別も簡単であるという意見で一致しました。

 典型的な滅菌パックは背面が紙、前面が透明ビニルという物です。紙には通気性があり、滅菌インジケーターも印刷できて良かったのですが、近年は全面が同じ素材のパックも珍しくありません。




固い段ボール

 医療で使われる物の多くが高単価です。

 そして清潔を維持しなければなりません。

 必然的に外装の段ボールは堅牢な物になります。

 解体は手間ですし、潰した段ボールを重ねていくと、1つ1つが分厚いのですぐに山のように積みあがります。

 以前、透析病院の技士長をしていたとき、1日200人の透析患者を迎えていたのでゴミの量も相応に多かったです。
 生理的食塩水だけでも10本入が20箱、ダイアライザや血液回路、注射針、ガーゼ等の処置パック、透析液などすべてが箱単位で消費されるので、毎日段ボールが山積みでした。
 これの処理に時給換算2千円の人員を毎日1~2時間充当していたので、何とか集約化して時給千円のパートタイマーさんにスイッチできないかと模索しました。

 メーカーに梱包の変更を依頼しても、全国32万人の透析患者の内の400人では影響力がありませんでしたが、もう少し経済性をシミュレーションして賛同者を増やせば、変わったかもしれません。

 梱包の堅牢性は必要かもしれませんが、分厚い段ボールに代わる何かには期待があると思います。




ゴミの二次利用

 感染性廃棄物は処理されて終わりという事になっていますが、この廃棄物が何かに利用できれば処理費用を軽減する事ができます。

 安直な考えで言えば燃料です。
 ビニル製のディスポ製品が多いので、燃やす事はできそうですが、発生するガスの処理など課題はあります。

 まとめて滅菌して感染性を無くせば有効活用できるかもしれません。

 ほとんどの人が使って捨てる事を考えていますので、医工連携の視点で言えば、捨てた後の事をひそかに考えてみるのも有意義だと思います。




品目別処理

 ほとんどの医療機関が、廃棄物処理は1社に委託していると思います。
 受託する側も1社にまとめてもらう事で人員配置や車両配備のコスト軽減にもつながります。

 あえて、そこに切り込むビジネスもあるかもしれません。

 採血管などの筒状容器専門、包帯やガーゼなど布製品専門、注射針専門、カテーテル等の長尺物専門など、何か専門とした処理業者あるいは、処理機があっても良いかもしれません。

 病院側も処理業者側も困っている品目があれば、咎められることなく参入できると思いますが、誰も困っていない領域で無理に市場をこじ開けようとしても、そこは参入余地が無いかもしれません。




当社では

 新規の医療機器開発等では梱包なども細かく助言させて頂いております。

 また、廃棄物だけにフォーカスした新規開発についてもコンサルティングさせて頂きます。

 更に、シングルユースデバイス(SUD)の再使用(再製造)に関する開発にも注力しています。回収から分解や洗浄、再組立、再滅菌、再製造品流通までトータルでサポートします。




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クラス分類ルールとGHTF | NES株式会社

 2013年の薬事法改正により旧薬事法は薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)に変わりました。

 今日は久々に内容を見直してみたいと思います。

[Link] 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律


 この頃の話題の1つにクラス分類がありました。

 医療機器をリスクに応じたクラスに分類する方法を国際ルールのようなものであるGHTF (The Global Harmonization Task Force) に近づけるという話題です。

 もう1つ、医療機器の承認/認証のルールがクラス分類や承認基準の有無により審査が変わるというものでした。




厚生労働省資料

 厚生労働省の審議会で配られた資料は今でも参考にしていますが、そのときの資料ではこのようなチャートでクラス分類の大筋を見立てる事ができるとされていました。

[Link] 厚生労働省: 薬事・食品衛生審議会 医療機器・体外診断薬部会(2013年12月2日)




クラス分類ルール(分析機器を除く)


I.非侵襲型機器


1.すべての非侵襲型機器は、ルール2、ルール3、またはルール4が適用されない限り、クラスIである。

2.最終的に体内に注入、投与または導入する目的で血液、体液もしくは組織、液体、もしくは気体を供給または保存するように胃としたすべての非侵襲型機器はクラスIである。

  • 2-1
    例外:クラスIIまたはそれよりも高いクラスの能動型医療機器に接続される場合、クラスIIである
  • 2-2
    例外:血液もしくはその他の体液を保存または供給し、あるいは臓器、臓器の一部もしくは対組織を保存するように意図した場合、クラスIIである。

3.体内への注入を意図した血液、その他の体液もしくは他の液体について、その生物学的または科学的組成を変化させる事を目的としたすべての非侵襲型機器はクラスIIIである。

  • 3-1
    例外:その他の処置が濾過、遠心または気体/熱交換から成る場合はクラスIIである。

4.損傷した皮膚に接触するすべての非侵襲型機器は:
滲出駅の圧迫または吸収のために機械的なバリアとして使用するように意図した場合はクラスIである。

  • 4-1
    例外:主として真皮を超えた創傷で、二次治癒でのみ治癒の可能な創傷に使用するように意図した場合はクラスIIIである。
  • 4-2
    主として創傷の局所管理をするように意図した機器を含め、その他の場合はすべてクラスIIである。

II.侵襲型機器


5.人体開口部に関与し、外科的侵襲型機器以外のものであって、
a)能動型医療機器への接続を意図しない、
 または
b)クラスIの医療機器との接続を意図したすべての侵襲型機器は:

  • 5-1
    一時的使用を意図した場合はクラスIである。
  • 5-1
    例外:眼粘膜に使用することを意図した場合は、クラスIIである。
  • 5-2
    短期的使用を意図した場合はクラスIIである。
  • 5-3
    例外:咽頭までの口腔、鼓膜までの外耳道または鼻腔で使用する場合はクラスIである。
  • 5-4
    長期的使用を意図した場合はクラスIIIである。
  • 5-5
    例外:咽頭までの口腔、鼓膜までの外耳道または鼻腔で使用し、かつ粘膜に吸収されにくい場合はクラスIIである。
  • 5-6
    人体開口部に関与し、外科的侵襲型機器以外のものであって、クラスIIまたはそれよりも高いクラスの能動型医療機器に接続するように意図したすべての侵襲型機器はクラスIIである。

6.一時的使用を意図したすべての外科的侵襲型機器はクラスIIある。

  • 6-1
    例外:再使用可能な手術器具はクラスIである。
  • 6-2
    例外:電離放射線の形でエネルギーを供給するように意図した場合はクラスIIIである。
  • 6-3
    例外:生物学的影響を及ぼすように、或いは全体的にまたは主に吸収されるように意図した場合はクラスIIIである。
  • 6-4
    例外:デリバリー・システムにより医薬品を投与するよう意図した際、これが使用モードによっては潜在的に危険な方法である場合はクラスIIIである。
  • 6-5
    例外:特に、心臓または中心循環系の欠陥について、これらの部位に直接接触し、診断、監視または矯正するように意図した場合はクラスIVである。

7.短期的使用を意図したすべての外科的侵襲型機器はクラスIIである。

  • 7-1
    例外:医薬品を投与するように意図した場合はクラスIIIである。
  • 7-2
    例外:体内で化学変化を受けるように意図した場合は(歯牙に適用する場合を除く)クラスIIIである。
  • 7-3
    例外:電離放射線の形でエネルギーを供給するように意図した場合はクラスIIIである。
  • 7-4
    例外:生物学的影響を及ぼすように、あるいは全体的にまたは主に吸収されるように意図した場合はクラスIVである。
  • 7-5
    例外:特に、中枢神経系に直接接触して使用するように意図した場合はクラスIVである。
  • 7-6
    例外:特に心臓または中心循環系の欠陥に対して、これらの部位に直接接触し、診断、監視または矯正するように意図した場合はクラスIVである。

8.すべての植込み型機器および長期外科的侵襲型機器はクラスⅢである。

  • 8-1
    例外:歯牙に適用するように意図した場合はクラスIIである。
  • 8-2
    例外:心臓、中心循環系または中枢神経系に直接接触して使用するように意図した場合はクラスIVである。
  • 8-3
    例外:生命維持を意図した場合はクラスIVである。
  • 8-4
    例外:能動型植込み型医療機器を意図した場合はクラスIVである。
  • 8-5
    例外:生物学的影響を及ぼすように、あるいは全体的にまたは主に吸収されるように意図した場合はクラスIVである。
  • 8-6
    例外:医薬品を投与するように意図した場合はクラIVである。
  • 8-7
    例外:体内で化学変化を受けるように意図した場合は(歯牙に適用する場合を除く)クラスIVである
  • 8-8
    例外:胸部インプラントの場合はクラスIVである。

III.能動型機器に関する追加ルール


9.エネルギーを投与または交換するように意図したすべての能動型治療機器はクラスIIである。

  • 9-1
    例外:人体へ、あるいは人体からエネルギーを投与または交換するような特性を備えた際、エネルギーの性質、密度および使用部位によっては、潜在的に危険な場合はクラスIIIである。
  • 9-2
    クラスIIIの能動型治療機器の性能を制御または監視するように意図した全ての能動型機器はクラスIIIである。
    また、そのような機器の性能に直接影響を及ぼすように意図した全ての能動型機器はクラスIIIである。

10.診断を意図した能動型機器はクラスⅡである。

  • 10-1
    人体に吸収されるエネルギーを供給するように意図した場合(可視または近赤外で患者の身体を照明するために単独で使用する場合はクラスIである)、または
  • 10-2
    放射性医薬品の生体内分布を造影するように意図した場合、または
  • 10-3
    重要な生理学的プロセスの直接的な診断または監視ができるように意図した場合。
  • 10-4
    例外:特に例外:特に、
    a)例えば心機能、呼吸、中枢神経系活動などの、その変動が即座に患者の危険となるおそれがあるような、重要な生理学的パラメータを監視するように意図した場合、
    または
    b)即座に危険となる臨床状態にある患者を診断するように意図した場合はクラスIIIである。

11.医薬品、体液もしくはその他の物質を人体へまたは人体から投与および/または除去するように意図したすべての能動型機器はクラスIIである。

  • 11-1
    例外:含有物質の性質、関係する身体の部位または使用モードによっては潜在的に危険な方法である場合はクラスIIIである。

12.その他のすべての能動型機器はクラスIである。


IV.追加ルール


13.分離して使用すれば医薬品と考えられる物質を不可欠な成分として含有し、その物質が機器の働きを補助する目的で人体に作用を及ぼす場合、すべての機器はクラスIII又はクラスIVである。

14.活性または不活性を問わず、動物またはヒトの細胞/組織/その由来物から製造されまたはこれを含有する場合、すべての機器はクラスIII又はクラスIVである。

  • 14-1
    例外:不活化した動物組織もしくはその由来物から製造または含有し、正常な皮膚のみに接触する場合はクラスIである。

15.特に、医療機器を消毒または滅菌するために使用するように意図したすべての機器(消毒剤を除く)はクラスIIである。

(備考)
クラス分類ルールにおける用語の定義については、GHTFのクラス分類ルール案における用
語の定義に準拠することとする。


2.分析機器のクラス分類のルール


クラスIII

1.誤った診断結果が得られた場合に、人の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがある検査項目を測定する自己検査用測定機器

2.主たる反応系を内蔵する専用分析機器のうち、体外診断用医薬品で承認を必要とする検査項目を測定するもの

クラスII

1.誤った診断結果が得られた場合に、人の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがある検査項目以外の検査項目を測定する自己検査用測定機器

(当該診断機器による診断結果が医学的に重要な状態を確定しないもの、又は診断結果が暫定的で、適切な追加の検査によるフォローアップを必要とするものを含む)

2.主たる反応系を内蔵する専用分析機器のうち、標準品の無いもの(クラスIII品目を除く。)

クラスⅠ

その他の分析装置

(備考)
新検査項目、新測定原理、新たに自己検査用に移行するもの、新たな検査項目を測定する主たる反応系を内蔵する専用分析機器は大臣承認とし、承認の際にクラス分類を決定するものとする。




解釈

 これらの解釈は開発や製造を担う者が決めるのではなく、厚生労働省やPMDAの解釈が優先されます。

 とはいえ、どこに配慮して開発すると良いかを示しているルールになります。

 例えば一時的、短期、長期などという留置期間でクラス分類が分かれる製品の場合、性能としては1か月の留置ができても薬事承認手続きでは3日以内の留置にしてクラス分類を低く抑えようと考える場合もあります。
 まずは急性期の治療に用いて、有効性や安全性が確立されてから亜急性期や回復期にも適用していくという考え方があります。

 また、CDCガイドラインなどで、何日以内に交換するという目安が示されている物は、何カ月留置できるデバイスを作った所で臨床では受け入れられない可能性もあります。

 用途も重要になりますので、例えば同じ太さの針でもどの血管に、どのような目的で刺すのかでクラス分類が異なります。人工透析のように生体機能代行装置に接続して生命維持に関わる場合は、採血などとは目的が異なりますのでクラス分類はハイリスクの方へ属します。

 弊社が関わる医療機器開発において、このルールは確認させて頂いております。
 侵襲性があるか、血液等に触れるか、粘膜などから吸収されやすい構造かなどでおおよそのクラス分類がわかり、その企業が開発できるレベル感に合っているか、ターゲットプライスと一致するかなどを見極める事ができます。

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看護業務用の動画マニュアル制作 | NES株式会社

看護業務は多種多様

 1人の患者に対する診療をみても、いくつもの業務が関わります。採血や血圧測定、問診、点滴、食事、精算、ベッドメイクなど1泊の検査入院でも数十はあります。

 一般病棟であれば50床分の業務が並行して行われます。

 病院全体でみれば病棟や外来以外に、手術室、検査室、処置室、中央材料室など専門分化された部門ごとに業務があります。

 日常業務としての看護はマルチタスク、さまざまな事を習得していなければ業務ができません。




ME機器は多種多様

 医療機器の高度化や普遍化により診療水準は底上げされてきましたが、機器を扱う側にとっては覚える事が増えました。

 聴診器、体温計、血圧計、パルスオキシメータなどは以前から測定原理が変わらず形状も似ているため新機種が発売されても学習すべき差分は少ないです。

 バイタルサインモニタ(ベッドサイドモニタ)や人工呼吸器などもさほど新しい機能は加わっていませんが、メーカー毎に操作性が異なるため機種毎に覚えるべきことが発生してしまいます。
 また、心電図や呼吸管理について自信がない看護師にとっては機種間の差の前に、そもそもの原理や用語の理解にも苦しむ場面があります。

 専門性の高い医療機器は、専門家にとって『普通』のレベルではありますが、関わりの薄い人にとっては難解な機器である場合が多くあります。

20世紀のベッドサイドモニタ
21世紀のベッドサイドモニタ



生命維持管理装置の動画マニュアル

 COVID-19で知られるようになったECMO(エクモ)は体外に血液を導き出して酸素を加え、再び体内に戻す治療法ですが、これに使われる装置はPCPS(percutaneous cardiopulmonary support, 経皮的心肺補助法)と呼ばれる物です。

 心臓や肺が著しく機能を損なっている患者に対して使われるので救急やICU(集中治療室)で使われます。
 ときには1分1秒を争うときもあり、PCPSを組み立てる作業(プライミング)はミスなく最短で行わなければなりません。

 PCPSの保有台数は大病院であっても何十台もある訳ではなく関わるスタッフは限定的です。実際の患者に使用される物でプライミングを経験できるスタッフも限定的です。

 緊張感ある臨床でミスなく、時間通りに作業ができるようにと動画マニュアルを制作した事があります。
 弊社代表の西謙一もこの研究に参加しています。約10年前の研究です。

 平時に見るマニュアルは教育的、要点を説明しながら本番でのミスを回避しようと制作されています。
 実時間バージョンのマニュアルもあり、こちらはベテランスタッフが落ち着いて作業している様子を撮影しており、ノーカットで実際にかかる作業時間分の動画となっています。

 慌ててしまう場面ではありますが、並走者が居る感覚で動画を見ながらプライミングができる、何よりもミスをしては時間ロスが大きいのでミスを生じさせないことが第一、それを実現できる動画を私たちは制作しました。

[Link] 上園惠子: PCPSプライミングにおけるDVDによる教育効果, 2012(平成24)年度循環器疾患看護研究助成研究業績報告集, 公益財団法人循環器病研究振興財団




ミスのポイントをおさえる

 マニュアルづくりで注意を払う点は、予見できるミスを回避することです。

 機器が動作するための方法については習得は早いです。機能しなければ使えない訳ですから、その点は関心事です。

 機器に対する危険予知ができない状況を、危険予知もできるオペレーターに育成するために、動画にも工夫を凝らします。

 現在は国立循環器病研究センターを離れて企業として仕事をしていますが、その生業の中でも看護業務マニュアルの制作に関わることがあります。

 過去の経験を活かし、業務が円滑に進むように、そして安全が守られるように、陰ながらサポートさせて頂いております。

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添付文書の電子化(2021年8月~) | NES株式会社

医療機器添付文書の電子化
 ├ 医療機器等の添付文書電子化
 ├ 著作物
 ├ 文化庁に問合せ
 ├ 指先にA4用紙
 └ バーコードで管理できる

バーコードのしくみとはたらき
 ├ 使うのはGTIN
 ├ 簡単に言えばJANコードで管理
 ├ 本体表示はGS1-128
 ├ バーコードリーダーの違い
 ├ ソフトウェア上の処理
 ├ GS1-128を分解してみる
 └ 0と1に分けてソフトを作る

添付文書電子化の運用イメージ
 ├ 走査方法の確立
 ├ コードと情報を紐づける
 ├ 紐づけはリダイレクトページ
 ├ 添文ナビ(GS1 Japan)
 └ 試用と仕様

NESが想定する課題と対応案
 ├ 課題(1)大規模リコール
 ├ 課題(2)古い機種
 ├ 課題(3)カメラ使用許可
 ├ 課題(4)ネット使用許可
 ├ 課題(5)バーコード本体表示
 ├ 課題(6)GS1コード変更
 ├ サーバーダウン対応策
 ├ オープンデータ化やアクセスフリーに(私案)
 ├ 添付文書コピーOKに(私案)
 ├ 任意登録制度創設を(私案)
 ├ 電子化裏チャンネル(私案)
 └ アプリ手入力対応

おわりに
 └ 電子化を支援したい!




医療機器等の添付文書電子化

 次の薬機法改正の大きな話題として、添付文書の電子化があります。

 添付文書とは、医療機器や医薬品に『添付』される『文書』で、A4用紙8ページ以内、本体に同梱・同封が基本でした。
 20個入1箱で20枚同梱というのは昔の事で、近年は簡略化されていたものの、紙媒体が添付されるのが当然でした。

 薬事法改正があった2005年(平成17年6月)より、PMDAのホームページで添付文書が検索できるようになりましたが、すべてを検索する事ができない、検索できても紙媒体は必要ということで、医療機関での運用には紙媒体が使われてきました。

[Link] 厚生労働省: 医薬品等の注意事項等情報の提供について, 厚生労働省医薬・生活衛生局医薬安全対策課長, 薬生安発 0219 第1号, 令和3年2月19日

[Link] 厚生労働省: 改正薬機法の施行に向けた対応状況について, 資料4-1, 令和2年度第2回薬事・食品衛生審議会 医療機器・再生医療等製品安全対策部会, 2021年3月25日

[Link] 厚生労働省: 薬機法改正に向けた対応状況について 添付文書の電子化、トレーサビリティの確保, 資料5-1, 令和2年度第1回薬事・食品衛生審議会 医療機器・再生医療等製品安全対策部会, 2020年10月14日

[Link] PMDA: 添付文書の電子化について

[Link] 厚生労働省: 薬事法及び採血及び供血あつせん業取締法の一部を改正する法律等の施行について, 厚生労働省医薬食品局長, 薬食発第0709004号, 平成16年7月9日


著作物

 筆者は医療機器安全管理システムの開発をしていたので2005年当時のこともよく覚えていますが、電子化されていない添付文書をスキャンして電子化しようとしたとき、著作権の壁に当たりました。

 当時、T社に輸液ポンプ等の添付文書の電子データを請求しましたが平成17年以前の物は紙媒体のみの提供であり、社内でも電子化できないとの事でした。
 病院が勝手に電子化することもできず、本体に紙の添付文書をぶら下げて運用していました。

著作権

文化庁に問合せ

 著作権の所掌は文化庁です。
 当時、文化庁主催のセミナーに参加し質問しました。

 学校教育などでは特例が認められていますが、医療には特例がないので、著作権者が下図のような自由利用マークを付けない限り、普通の著作物として扱われるとのことでした。

 院内でしか利用しないのですが、公正な運用のためには添付されてきた紙媒体を使うしかないようです。

[Link] 文化庁: 著作権


指先にA4用紙

 病院勤務時代、保健所から、医療機器それぞれの添付文書が即座に参照できるようにと指導されました。

 具体的な方法を訊ねると、本体に添付文書(紙)をぶら下げる方法を指導されました。
 パルスオキシメーターという指先に取り付けるタイプも、小さな本体にA4判の紙をラミネートしてぶら下げることになってしまいます。

パルスオキシメーター
パルスオキシメーター

バーコードで管理できる

 法改正後は、情報の取得にバーコードが利用できるようになるため、携帯端末でカシャっとすれば添付文書を閲覧できます。

 院内でカメラを使うことをどうするのか迷う面もありますが、急いでいるときに紙を探すより、便利になります。

 ME機器にぶら下げていた添付文書はラミネートしているとはいえ、拭き取り掃除も大変でしたし、紐は汚いと思っていたので、これでシール1枚で管理できるようになります。

添文ナビ



使うのはGTIN

 "GTIN"とは『ジーティン』と読みますが、Global Trade Item Numberの略で商品の識別を行う記号、識別子です。

 スーパーやコンビニで活用されているバーコードは"JAN"(ジャン)を使っていますが、GTINではJANも包含します。
 JANは国際ルール(GS1)に則り、日本では45か49で始まる事業者コードと、その事業者が任意で決める商品用のコード、チェックディジットの合計13桁の数字で商品を識別しています。
 使える記号は数字だけです。事業者コードが9桁の場合、チェックディジットが1桁あるので商品用に使える数字は3桁です。

GTIN

[Link] GS1 Japan: GTINとは


簡単に言えばJANコードで管理

 今回の添付文書電子化では、GTINの14桁、すなわちJANコードの頭に1桁加えたコード(GTIN-14)を使います。

 一般的に医療機器に本体表示されているGTINコードは、JANの13桁の前に"0"(ゼロ)を付けた14桁の表示だと思います。

GS1-128

[Link] GS1 Japan: GS1事業者コード・JANコード(GTIN)とは


本体表示はGS1-128

 JANだと申し上げた矢先ですが、医療機器本体に表示されているバーコードはJANコードではありません。

 JANコードは数字しか使えないので1桁あたりで0~9までの10種類を識別できれば良く、上限13桁のため全体の幅も狭く、制約が多い分だけ白黒の棒模様(データーバー)はシンプルです。

 一方、医療機器本体表示に使われるGS1-128は、データーバーの種別ではCODE128という物を使います。
 CODE128は数字、アルファベット、記号が使え、更に制御記号を埋め込む事もできます。
 その分、バーは複雑になるため、情報が多いからとバーコード全体を幅広にできないのであれば、バーとバーの間隔を狭くして表示しなくてはならず、密なコードになりがちです。

 CODE128(GS1-128)では『01』という記号を入れて『今からGTIN14を14桁で示します』と宣言してから14桁を表示するので、バーコードリーダーでは最低でも16桁のコードを読み込む事になります。
 実際には16桁の可読記号以外にスタートコード、ストップコード、チェックディジットが入るのでバーコード全体は長くなります。

添文ナビ

[Link] GS1 Japan: 識別コード


バーコードリーダーの違い

 JANコードとCODE128は白黒の縦線で表現するバーコードという意味では共通しますが、その中身は全く異なるものです。

 互換性も共通性も無いコードなので、バーコードリーダー側も相応に調整が必要になります。

 バーコードリーダーは仕様を確認すると、どのタイプのコードを走査できるか記載されています。
 何種類ものコードが走査できる仕様であったとしても、JANとCODE128が同時に走査できるとは限りません。

 物流の世界で考えれば、例えばコンビニの在庫管理システムであればJAN以外のコードは走査させたくないが、レジでは料金代理収納用にCODE128も走査したい、という需要があります。バーコードリーダーをJAN専用にしておけば、CODE128を走査しても反応しません。

 バーコードリーダー本体の相場はCCD式が5千円~1万円程、レーザー式が1万~2万円程です。ワイヤレスになると更に5千円程高くなります。
 機種によってはCODE128(GS1-128)のように密なバーコードを走査できない物があるので、これから調達される場合は注意しましょう。

GS1 Databar対応、0.076mmの高分解能、走査速度200スキャン/秒、走査を音と振動で確認、本体重量85g、USB接続。※.QRコードは走査不可

ソフトウェア上の処理

 JANコードは走査すると素直に13桁(または8桁)の数字がそのままキーボードで打ち込んだように入力されます。

 CODE128は制御記号を使う事ができますし、最小のJAN13桁を読みたくてもゼロ補正されたGTINの14桁と識別子01の16桁が読み込まれるため、ここから必要な情報を選び出す必要があります。

GS1-128
JAN(13)バーコード
GS1-128
GS1-128バーコード

GS1-128を分解してみる

 GS1-128を処理するソフトウェアでは符号から内容を想定しなければなりません。

 頭に『01』が付いたから、次の14桁目まではGTIN14で、その内の下13桁はJANコードだと仕分けする必要があります。

 例示した画像にある『17』という符号は使用期限として使われ、これは6桁という決まりがあるので17のあとは6桁目までYYMMDD形式だと想定して読み取ります。

 『10』から始まる数字はロット番号です。これは桁数に決まりが無く長さは任意、アルファベットが使われる事もあります。
 シリアル番号の場合は『21』から始まります。ME機器の場合はシリアル番号の方が多いと思います。
 バーコードの事を考えるとアルファベットは使ってもらいたくありません。CODE128は2桁の数字が並ぶ場合にはコード幅を短くできる特徴があり、すべて2桁数字ならバー間が密にならずに済みます。

GS1-128
GTIN14(JAN)を表わす01
GS1-128
GS1-128

 下図には人間の視覚情報として不要なものもバーコード内に含まれています。
 冒頭で『今からCODE-Cで始めます』というスタートコードが6本の線で表現されています。
 線は細い、中間、太い、極太の4種類が白黒2種類あるので8種類の線を組み合わせます。ここで使った5本とは、中黒-細白-細黒-中白-太黒-細白の6本です。

 ストップコードは、中黒-太白-太黒-細白-細黒-細白-中黒の7本の線で表現されています。

 CODE-128は基本的に3本の黒(バー)と3本の白(スペース)で表現されます。ストップコードだけ例外です。

GS1-128

0と1に分けてソフトを作る

 以前、筆者はGS1-128バーコードを出力するソフトウェアを開発した事があります。

 そのときは、106種類あるキャラクタコードをすべてプログラムの中に打ち込みました。
 CODE-A、CODE-B、CODE-Cがあるので316種類のデータを取り扱う事になります。

 106種類あるキャラクタ、ストップコードを除く105種類は白黒3本ずつの6本の線で表現されています。
 4種類の線を6本組み合わせてキャラクタを構成していますが、105種類あるキャラクタのどれも幅は同じです。

 そこに着目し、一番細い線の幅でキャラクタを切ると10本分であることがわかりました。
 すなわち、10桁の白と黒、0と1で表現できます。

 キャラクタ1個あたり10桁の2進数、キャラクタ10個でも100桁になります。
 この演算処理を内包したソフトウェアを作ることでGS1-128を扱うことができるようになります。

 下図は開発したソフトウェアで出力したGS1-128バーコード付きラベルの一例です。
 インクが滲むようなプリンタですとバーコードが潰れてしまいますが、家庭用のインクジェットプリンタで純正インクを使えば概ね印刷可能でした。
 名刺サイズで印刷するタイプは管理台帳などを想定し、例えば修理に出している場合でも機器のバーコードは手元に置いておき、間違いが起こりにくい管理ができるようにしました。

GS1-128
汎用プリンタで印刷できるGS1-128バーコード付きラベル(A4判21面)
GS1-128
A4判10面の場合は機器画像も挿入可能



走査方法の確立

 バーコードもQRコードも人間の目での可読性はありません。

 まずは、医療機器本体に表示されているバーコードやQRコードを走査するツールが必要になります。

 最もわかりやすいハードウェアはバーコードリーダーです。そのためだけのデバイスです。
 近年はスマートフォンのカメラ高精細化により、画像認識でバーコード等も走査できますので情報端末でも対応可能です。

添文ナビ
バーコードリーダーなら3歳児でも走査できる(自験例)

コードと情報を紐づける

 13桁のJANコードがわかっても、厚生労働省(実際はPMDA)のデータベースから情報が引き出せなければ意味がありません。

 PMDAの想定している運用方法では『医療機器安全性情報掲載システム』を経由して紐づけするようです。

 『リダイレクト』という表現をしていますが、13桁のJANコードを送ると、医療機器安全性情報掲載システムのデータベースから添付文書IDを抜き出し、その添付文書を表示するという仕組みになります。
 データベースとマッチングという負荷のかかる仕事はPMDAのサーバーで対応してくれるようです。

添文ナビ

[Link] PMDA: 添付文書電子化における外箱の符号からのリンクに関する技術的情報(業者向け)


紐づけはリダイレクトページ

 GTIN-14から該当機種を探して情報提供する流れは、PMDAが提供するリダイレクトページへアクセスします。

 リダイレクトページは下記のURLの仕様になっています。

●添付文書を直接閲覧するためのリダイレクトページ

添文ナビ

https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/bookSearch/01/{GTIN14}


●関連文書一覧を閲覧するためのリダイレクトページ

添文ナビ

https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/rdSearch/01/{GTIN14}


添文ナビ(GS1 Japan)

 GS1 Japan(一般財団法人流通システム開発センター)が『添文ナビ』というアプリをリリースしています。

 AppleのiPhoneなどで使えるものと、Android版があります。

添文ナビ
添文ナビ iOS版
添文ナビ
添文ナビ Android版

[Link] 添文ナビ(iOS)
[Link] 添文ナビ(Android)
[Link] GS1 Japan


 アプリを起動すると初回は動作許可を求められます。
 カメラとフォルダ・ファイルへのアクセスを許可します。

添文ナビ
カメラへのアクセス許可
添文ナビ
フォルダ・ファイルへのアクセス許可

 アプリを起動するとスキャン画面が表示されます。

 スキャン画面の画像の枠内にバーコードを映すとスキャンが行われます。

 スキャンしたバーコードがGS1-128であれば、それを自動的に分解してGTIN-14(JANコード)を取り出します。

 下図の例ではGTIN-14が"00681490488624"という商品、滅菌期限が"2009/08/05"、ロット番号"4591M"という商品でしたが、しっかりと読み出しされています。

添文ナビ
スキャン画面
添文ナビ
GS1-128データ内容表示画面

 今回、いくつかの古い医療機器や診療材料をスキャンしてみましたが、添付文書が掲載されていないため下図のような『条件に該当する添付文書はありませんでした。』というメッセージが出てしましました。

 院内にある医療機器で1台でもこれが出てしまうと、完全電子化への移行ができないため当面、機器を廃棄するまでは紙媒体との併用になってしまいます。

添文ナビ

 データ連係が上手くいくと、下図のような画面を見る事ができます。

 今回、スマホで見ましたが、添付文書の文字や画像はかなり鮮明でした。
 タブレットやパソコンなどの大きな画面を用意しなくて良さそうです。

添文ナビ
添付文書ボタンを押した画面
添文ナビ
関連文書ボタンを押した画面

試用と仕様

 添文ナビをダウンロードしても試用できないと思いましたので、お試し用のバーコードを作ってみました。
 今日の時点ではTE-281NはPMDAのサイトには掲載されていないようです。

●超音波診断装置 XARIO 200 TUS-X200

添付文書リダイレクトページ
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/bookSearch/01/04987670100758

関連文書リダイレクトページ
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/rdSearch/01/04987670100758

添文ナビ
(01)04987670100758(21)NES

●テルフュージョン輸液ポンプ TE-281N

添付文書リダイレクトページ
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/bookSearch/01/04582270690298

関連文書リダイレクトページ
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/rdSearch/01/04582270690298

添文ナビ
(01)04582270690298(21)NES

●テルフュージョン輸液ポンプ TE-161SA

添付文書リダイレクトページ
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/bookSearch/01/04987350361455

関連文書リダイレクトページ
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/rdSearch/01/04987350361455

添文ナビ
(01)04987350361455(21)NES
添文ナビ
添文ナビ
添文ナビ



課題(1)大規模リコール

 普段の管理で添付文書を参照する機会は少ないと思いますので、サーバーがパンクするほどの事はないと思います。

 しかし、大規模な回収情報などが出ると状況は一変します。

 PMDAの安全性情報にはアクセスが集中するため、PMDAのサーバーに使われている回線は輻輳状態になるでしょう。
 回収情報には大抵『添付文書を参考』『添付文書に記載』などの文言が並ぶので、添付文書検索も高負荷になると思います。

[Link] PMDA: 医薬品・医療機器等安全性情報

[Link] PMDA: 回収情報(医療機器)


課題(2)古い機種

 2021年8月の添付文書掲載義務化以前は、義務ではありません。
 すなわち、2021年8月以前に終売となる医療機器は掲載されない可能性があります。

 医療機器は10年や15年は使われる物が多くあります。

 もし2020年調達品で廃番、未掲載の機器があると、その機器を廃棄する2030~2035年頃までは紙媒体での運用をせざるを得ない機器が存在してしまいます。

[Link] PMDA: 添付文書情報を初めて掲載する方へ~医療機器~


課題(3)カメラ使用許可

 院内では情報管理規程により写真撮影が制限され、スタッフに支給されている携帯端末(昔で言うPHS)にカメラが搭載されていない場合や、使用制限が掛けられている場合があります。

 院内でカメラが使えなければ、添文ナビのようなアプリは使えません。


課題(4)ネット使用許可

 電子カルテなどの医療情報システム(HIS)はインターネットから切り離された隔離空間のネットワークを使用している場合があります。

 院内にはインターネット接続できる端末が限られており、添付文書を見る事ができる場所がごく一部に限られてしまう可能性があります。

 また、看護師らが携行する通信端末(PHSやナースコールに代わるスマホ端末)には、ローカルエリア用のWi-Fiは接続できても、インターネットには接続できない場合が多いです。

 推測ですが、添文ナビのようなアプリを指定してネット接続させる方法は存在すると思います。
 ただし、アプリがどのような経路をたどって情報を得るのか、ユーザー側のどのような情報を取得しようとしているのか、そういった情報が公開されていなければ安易に接続はさせてもらえないと思います。


課題(5)バーコード本体表示

 当社で軽く調べた結果ですので詳細はわかりませんが、調達から10年以上経過している医療機器の多くがGS1-128バーコードの本体表示が行われていません。

 比較的新しい医療機器でも、人工透析装置のように場所を移動しない医療機器にはバーコード表示が無いような傾向を感じました。

 バーコードが無いにも関わらず、バーコードでの運用に切り替えるような動きは好ましくありません。
 JANコードやGTIN-14を普段から目にしている医療従事者は稀だと思いますので、手入力しようにもコードを調べる所から始まりますので、当面は困る人が居るでしょう。


課題(6)GS1コード変更

 機能や外観など工業製品としての変更が無くても、販売者が変更になると、型番やGS1コードは変更になります。
 特にGS1コードはJANコード由来、すなわち企業コードを含むため変更せざるを得ません。

 何かあった時の連絡先は、承継した企業になるので添付文書は新しい物を参照したいところですが、GS1コードの不一致により古い方の添付文書が参照される可能性があります。

 一方で、知らぬ間に承継企業の添付文書に紐づいてしまって困る事もあります。
 院内では『A社の人工呼吸器』として定着していた物が、知らぬ間にB社になっていたとき、ちょっとした混乱が起こります。
 医療機器の呼称や愛称は正しく呼ぶ事よりも、取り違えなどのミスをしない事が重要ですので、メーカーが付けた商品名で呼ばれる事は多くありません。
 A社の人工呼吸器として検索をかけても1つもリストされず、B社ばかりリストされると『私の入力ミス?』と自身を疑ってしまう人も少なく無いと思います。

 メーカー側でJANコードを変更するのは仕方ありませんが、旧JAN(GS1)との整合についてはご配慮いただきたいです。



サーバーダウン対応策

 サーバーダウンへの対応として、サーバーを強化するのは良いですが、完璧にはならないでしょう。
 医療機関が保有している医療機器の添付文書の電子データをダウンロードして保有しておけば、ある程度の回避策にはなります。

 ただし、見落としが無いとも言い切れません。
 過去に、コンビネーション医薬品と呼ばれる、例えばプレフィルドシリンジやインスリンペンのような筐体は医療機器だが中身の医薬品として販売されている物について、不具合発生時に医療機器側のデータベースに記録がなく、院内薬局では未採用で門前薬局の管理下、院内に情報が無いという事態がありました。


オープンデータ化やアクセスフリーに(私案)

 過去、短時間にたくさんのデータをダウンロードしようとした人が、PMDAサーバーへのアクセスを止められたと話していました。現在もブロックしているかわかりませんが、自院に採用されている数百や数千のアイテムをダウンロードするのに、1日10品しかダウンロードできないとなると困ります。

 PMDA様にはぜひ、オープンソース・オープンデータでどんどん情報公開していただき、色々な人がソフトを開発できる環境を整えて頂ければと思います。


添付文書コピーOKに(私案)

 添付文書は著作物ゆえに、勝手にコピーできません。

 ぜひ、コピーの許可を明示して貰いたいです。

 著作権を侵害しようという悪意ではなく、添付文書という性質を鑑み、著作物を目的通りに活用しようという医療従事者の行動の妨げとならない運用を望みます。


任意登録制度創設を(私案)

 古い機種の添付文書、そもそも電子データすら無いものもあります。

 全国のボランティアとなる医療機関・医療従事者が『ウチにあるので共有しましょう』というとき、PMDAのサーバーに登録できれば、JANコードも接続アプリも活用できます。

 任意登録ができない場合、仮に誰かがネット上に公開しても、それを閲覧するためにはダイレクトにURLを入力できるQRコードなど別運用のシステムが必要になってしまいます。

 良質な医療の提供や患者安全を目的とした添付文書電子化であれば、ぜひ柔軟な運用を認めて頂きたいです。


電子化裏チャンネル(私案)

 旧機種の添付文書等がデータベースに載らないのであれば、私設のデータベースを構築して、PMDAでは検索できなかった場合のバックアップ手段として医療機関が利用できれば良いなと考えています。

 権利関係の課題が解決できるまではローカルで、各院が自院のデータを自前で管理する事になると思います。
 クローズドシステムとして、不特定多数ではなく特定された相手だけが閲覧するシステムとして、運用が開始されれば医療機関としても使いやすくなると思います。

 電子化施行の2021年以降、2030年頃には不要になってしまうであろう旧機種の閲覧システムですので、これを有償化して儲けようという企業は現れないと思います。
 私たちのボランティア活動で運用できるかどうか、検討しているところです。


アプリ手入力対応

 現段階では、添文ナビではバーコード入力以外はできないようですが、ここは手入力も許可してもらえるようにお願いしたいです。

 カメラの使用許可が出るまでの対応としても必要ですが、目の前に機器がなく台帳で確認しているような場合でもバーコードが無い状況での運用を強いられます。

 POSレジ、特にホームセンターなどでは様々な形状の商品があるためバーコードリーダーが使えず手入力することがあります。
 間違い防止のためには手入力は避けたいですが、添付文書検索では誤入力があっても検索結果を見て理解し、確認できる医療従事者が使うと考えられるため、さほど問題にはならないのではと思います。




おわりに


電子化を支援したい!

 当社としての考えは電子化を後押しできるように何らかの支援をしたい、すべきだと考えています。

 紙媒体が悪ではなく、電子化の利便性を高めるために、まずはプラットフォームを構築して、その上で紙媒体と電子媒体のどちらが自院に合っているのかを選べば良いと思っています。

 当社では医療機器安全管理のコンサルティングや業務受託を行っていますので、そちらでご契約いただいている医療機関様には8月までに体制づくりを終えられるように進めていく予定です。

 本件についてのご質問やご意見、お気軽にお寄せ頂ければと思います。

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コロナ自宅療養最適化準備 | NES株式会社

 COVID-19と共存する社会として、感染が拡大していても社会活動は止まりません。

 当然ながら患者が発生し続けるのですが、その発生数と受入可能数がアンバランスになれば医療崩壊が起こります。

 その前段では、自宅療養者が増えます。最初は無症状者が自宅療養、次いで軽症者、そのうち酸素投与前の中等症も軽症扱いとなり自宅、いずれは酸素投与も自宅でという事になるかもしれません。

 どんな事になっても自分は生き延びる、そう考えた時、様々な備えが必要になります。
 大震災や停電に備えるのと同じです。

 今回、筆者はいくつかの取り組みをしましたのでここに共有します。




自宅療養五選
 ├ 1.発症初期
 ├ 2.無症状・軽症
 ├ 3.選択的自宅療養
 ├ 4.退院後自宅療養
 └ 5.入院待機

病床逼迫が増やす自宅療養
 ├ 病床逼迫
 ├ 患者数とのバランス
 ├ 患者数とのアンバランス
 └ 中等症ベッドが空かない

院外療養の高水準化
 ├ ホテルの病床化
 ├ 高齢者施設では昨年末から
 └ 医療から遠い自宅療養

自衛戦略
 ├ 医療崩壊後は受診困難
 ├ まず軽症のケースから想定
 └ 中等症72時間

私の自衛策(孤軍奮闘の籠城戦)
 ├ 陰圧室
    └ 簡易陰圧システム(サイト内リンク)
 ├ 行動範囲を限定し陰圧
 ├ オゾン除菌・消臭
 ├ 呼吸苦をセルフケア
 ├ さらなる呼吸苦をセルフケア
 ├ BVM72hr
 ├ 温水消毒orオゾン3日間
 ├ 不織布の多用
 ├ 食器は使い捨て
 └ 防御マスクとガウン
    └ フルフェイスマスク(サイト内リンク)

これまでと、これから
 ├ 2020年春
 ├ 組立前
 ├ パルスオキシメーター
 ├ 陰圧だけは代用がきかない
 └ ワクチン接種まで半年の注意




自宅療養五選

1.発症初期

 COVID-19は発熱や倦怠感、味覚異常などの自覚症状から検査を受けて発症を覚知するケースがありますが、この感染から発症初期にかけては自宅に居る事になります。

 まだ病気だと気づいていない間は療養ではなく日常生活、普段通りに自宅に居ると思いますが、PCR検査等で感染に気付いていこうも次の行動までは自宅療養となります。


2.無症状・軽症

 COVID-19の検査を受ける経緯は自覚症状が無い場合でも、濃厚接触者に該当する場合や、業務上の都合で受ける場合など様々なケースが想定されます。

 無症候性の場合、措置としての入院はなく自宅療養かホテル療養が一般的です。


3.選択的自宅療養

 入院しても良いレベルであるが、自ら望んで自宅療養を選ぶ人も居られます。

 仕事を続けたい、育児は止められない、親子で感染したので一緒に居たい、理由は様々です。


4.退院後自宅療養

 軽症者に近い位置づけになりますが、入院加療を終えて快方に向かっているという事で自宅療養となるケースです。

 他の疾患でも同じですが、入院の必要が無くなれば外来や往診に切り替わります。
 COVID-19の場合、感染させてしまう恐れがあるため行動制限付きの退院となる場合があります。


5.入院待機

 入院を希望しても調整がつくまで待機期間が発生します。

 病床にゆとりがある場合は入院先は1時間程度で決まり、配車された搬送車両に乗車して入院するまで半日前後です。

 病床が逼迫してくると、この待機期間が長引きます。




病床逼迫が増やす自宅療養

病床逼迫

 平時であっても呼吸器感染症の重症者を受け入れられる医療機関は限定的であり、そのベッド数はさほど多くありません。
 加えて、予防法や治療法が確立していない新興感染症の重症者となると受入も容易ではありません。

 ベッドや人工呼吸器などの製品を買ってきても、ケアする人材が居なければ病床は増えませんし、24時間365日のケアには交代要員が必要なので、増床は容易な事ではありません。


患者数とのバランス

 従前の感染症指定医療機関としては下表のとおりで、新感染症を担当する特定感染症指定医療機関は2床、エボラやペストなどを担当する第一種は4床、SARSなどを担当する第二種の感染症病床は72床でした。

 平時にはエボラもSARSも患者は居ませんし、仮に発生しても今回のCOVID-19のようにまん延する事は無かったので下表の病床数で逼迫する事はありませんでした。

特定一種二種
感染
二種
結核
二種
一般
りんくう総合医療センター226
大阪市立総合医療センター132
堺市立総合医療センター16
市立豊中病院14
市立ひらかた病院8
府立大阪はびきの医療センター6606
大阪刀根山医療センター
高槻赤十字病院6
大阪府結核予防会 大阪病院30
仁泉会 阪奈病院123
大阪市立十三市民病院391
国立近畿中央呼吸器センター40

[Link] 厚生労働省:感染症指定医療機関の指定状況


患者数とのアンバランス

 COVID-19用の重症病床、例えば大阪府では224床(2021年4月15日現在)です。府内の全病床数は106,767(2021年1月現在)なので0.2%です。人口は約880万人なので約4万人に1床です。

 1日の新規感染者が1,000人超、仮に全員が14日間で治るとしても14日目には累計14,000人の患者が居る事になります。
 仮に3%が重症化すると1日30人、重症病床を1週間程で埋める数になります。

 重症化すれば入院期間は長引くため、軽症者にように2週間で治っていく人とは差が出ます。重症病床は簡単には空床にはなりません。

 新規感染者が増えるペースと、増床するペースがアンバランスになりつつあり、この先には医療崩壊があります。

[Link] 厚生労働省:医療施設(静態・動態)調査・病院報告
[Link] 大阪府:令和3年4月14日 知事記者会見内容


中等症ベッドが空かない

 重症病床に入った患者の症状が軽快し中等症になっても退院は容易ではありません。この退院調整の難航も病床逼迫を助長しています。

 中等症を診る医療機関では、重症病床で診てもらいたい患者を送り出せないと中等症病床を空けられないだけでなく、症状が重ければより多くのリソースを割くことになり、それによって利用できる病床数を減らさざるを得なくなります。

 変異株では症状の進行が早まったとも言われており、中等症病床の待機患者は増加、軽症ゆえにホテルや自宅、高齢者施設で待機していた患者の病態が変化しても入院できない状況になりつつあります。




院外療養の高水準化

ホテルの病床化

 ホテル療養は経過観察、大阪で言えば大阪府看護協会が全面的に協力し宿泊者の病態を見ています。

 病床が逼迫する中でホテル療養者に対し、治療を開始する動きが出てきました。

 まずは軽症から中等症に至る過程での、入院までの時間を安全に過ごすための酸素投与ができるように機器が配備され、現場に駐在する看護師へのレクチャーが行われました。


高齢者施設では昨年末から

 あまり報道されていませんが、大都市圏では昨年末、病床が逼迫し入院調整が困難になる時期・地域がありました。

 特に高齢者施設からの入院受入要請が多かったようで、受入までに1日以上かかるケースもあったと言います。

 平時から高齢者施設には医師や看護師による訪問診療が行われており、対症療法のようなケアは実施できるため、生命危機には至らぬ中で入院を待つことができたようです。

日本経済新聞・2020年12月31日朝刊
読売新聞・2020年12月10日朝刊

医療から遠い自宅療養

 ホテル療養や高齢者施設の場合は建物内に看護師らが常駐していますが、自宅には医療従事者は居ません。
 コロナ感染者である事から、救急車を要請しても色々と準備に時間がかかり、入院受入先の照会にも時間がかかります。

 病床逼迫により、自宅から病院への移動にあったハードルはますます高くなり、いよいよ自宅での本格的な診療を考えなければならない時期に差し掛かっていると思われます。

読売新聞・2021年1月18日朝刊
日本経済新聞・2020年12月19日朝刊



自衛戦略

医療崩壊後は受診困難

 2020年2月、まだ『新型肺炎』などと呼ばれていたCOVID-19ですが、マスクや消毒液は枯渇し、大阪のミナミでは中国人観光客の姿が消えました。
 3月、筆者は米国ニューヨーク州の数字を見て警戒感を強めました。新規感染者が倍々と増え、数週で1万人を超えました。死者数は、平時の死亡する人数の倍、遺体安置の場所が足りないほどになりました。

 ニューヨークでは医療崩壊が起こり、拠点病院ではロビーやカフェにも患者を置いて診療せざるを得ない状況でした。

 日本でも医療崩壊が起これば災害時のようにロビーに患者が溢れるような状況になると思いますが、そこへ行っても治療を受けられる確約はありません。


まず軽症のケースから想定

 医療崩壊が起こらなくても、病床逼迫時は軽症者は安易に受診できるとは考えられません。

 自宅療養を強いられたとき、家族に感染させないための対策が求められます。

 そのためには自らを隔離し、あらゆる面で家族との接触を断つ事が必要になります。


中等症72時間

 中等症であっても病床が逼迫していれば入院までに時間を要するでしょう。
 局地的に病床不足であれば遠方への搬送や救援人材により多少の調整ができると思いますが、広域で病床不足の場合は、ベッドが空くまで身動きが取れないでしょう。

 中等症からの軽快化も重症化も72時間の猶予があれば見極めがつくのではないかと考え、中等症で72時間、自宅で療養できる手段を考えました。




私の自衛策
(孤軍奮闘の籠城戦)

陰圧室

 無症状であってもウイルスをばら撒く可能性があるため、感染の可能性のある段階から完治までは隔離が必要だと考えました。

 居室の1つを陰圧化する事で感染拡大を防止できるだろうと考え、陰圧システムを開発しました。

 機材は中核となるファン以外はホームセンターで調達できる物で構築しました。
 まずは完成イメージをデザインし、木材を使ってカタチを作るところからスタートです。

 だいたいイメージした通りのモノが作れました。
 ファンを動かすと轟音を立てて圧のある風を吹き出していましたので、装置自体はひとまず完成です。

 次に排気の方法について検討しました。
 強く吸い出せば、吸われた側は陰圧になると考えると、部屋に装置を置いて屋外に排気する方法が必要になります。
 そこで作ったのが窓用の器材です。スタイロフォームという床下の断熱などで使われる建材を窓の高さにカット、定着カラーというダクトを接続するための金物を押し当てて穴を開け、そのまま装着する事で排気用の器具を自作しました。

 下の動画は2020年4月9日の物です。
 木製の簡易陰圧装置と発泡フォームの排気器具でも陰圧が掛かる事を可視化しようと撮影しました。
 あくまで自宅用、自衛のための陰圧装置ですので厳密な差圧は測定していません。

 この木製のDIY陰圧装置はのちに、弊社とSISM(シズン)様の共同開発品として鋼製ボディに進化し、市販化されています。
 医療機関や高齢者施設で使用される事を想定していますが、上述のとおり在宅用から開発が始まっていますので、自宅療養用にもご利用いただけます。

簡易陰圧システムに関する話題を集めています

行動範囲を限定し陰圧

 呼気中のウイルスはマスク装着で漏出を最小化、換気により浮遊量は安全域になるようにと考えました。

 部屋から出てトイレまでは最短化、感染者がトイレに行く際には家族は廊下に出ることを禁止、療養に使用している陰圧室のドアを開放しトイレの空気を陰圧室に引き込む事で、感染者の動線上の空気は陰圧室に引き込まれるようにしようと考えました。

 ドアの取っ手など手を触れる部分は直接触らず、使い捨てのビニル手袋を装着する事で接触感染を予防、更に次亜塩素酸ナトリウム希釈液で消毒して立ち去る事で感染リスクを低減させる事にしました。


オゾン除菌・消臭

 陰圧装置は排気時にウイルス等を強制的に捨ててしまいます。One wayなので屋外に捨てられたら戻って来ません。

 空気清浄機はフィルタで濾すだけなので、フィルタにウイルスが残ります。
 フィルタを通らない空気はウイルスが残ったままの不変です。

 オゾン発生装置は、オゾンをまき散らします。
 オゾンは出会ったウイルス等を酸化分解します。
 ニオイの元も酸化分解します。

 療養中の部屋、トイレ等の周辺空間の除菌にオゾンを利用する予定で準備しています。
 しばらく風呂には入れないので、消臭も期待しています。

オゾン消臭器
オゾン消臭器 Air Success S
普段はゴミ箱の消臭にも利用
小型・軽量・静音。マグネットでどこへでも付き、USBスマホバッテリで動きます。ファンもフィルタも無いので手入れがラク、消耗品も買い足す必要はありません。

呼吸苦をセルフケア

 筆者が臨床に立っていた頃の名残で聴診器があります。

 筆者宅にはネブライザという薬剤を吸入する装置が2機種あります。エアロゾル問題で耳鼻科などでは休眠中ですが、自宅であれば心置きなく使えます。

 聴診器で肺の音を聴く必要性はあまりありませんが、ネブライザは薬液無しで水だけで使うと加湿器のような物になります。
 ネバっとした痰が絡んで来たら、水で使おうと思います。


さらなる呼吸苦をセルフケア

 自らの力で呼吸しても酸素加が追い付かないときには、呼吸を補助するツールが必要になります。

 睡眠時無呼吸症候群ではCPAP(Continuous Positive Airway Pressure)という持続的陽圧換気が行われます。
 これは気管内挿管というものはせず、マスクを鼻や口に当てて換気を補助します。

 同じような方法で呼吸を助ける方法にバッグバルブマスク(Bag Valve Mask)という用手的な換気方法があります。
 バッグを手で圧迫するとマスクから空気が送り込まれる物で、救急の現場では日常的に使われています。

 筆者はこれをネット通販で買いました。

 筆者が呼吸苦になったときは、自分でBVMを操作するつもりです。
 家族が呼吸苦になったときは、筆者がBVMを操作するつもりです。

BVMを手に取って説明するクオモNY州知事
ネット通販で実際に購入したBVM

BVM72hr

 BVMは数秒に1回のペースで圧迫操作(吸気)が必要です。

 人工呼吸器のように機械式でなければ、人間がタイミングよく圧迫しなければ患者は吸気の機会を失います。

 そこで使うのがメトロノームです。

 医療従事者であっても研修で10分くらいの操作をすることはありますが、30分以上する事は少ないです。
 筆者がメトロノームに関心を持ったのは災害対策、BCPの一環として復電までの72時間、用手換気をするためです。

 COVID-19でも72時間の自宅待機を想定しているので、メトロノームの有用性が試されるかもしれません。

BVMの正確性向上にメトロノーム
BVMは用手操作が必要
メトロノームであればデジタルもアナログも関係なく使えます。コンパクトさでデジタルを選んでいます。もし、どこかへ搬送となれば、荷物は少ない方が良いと思います。これを使うシーンでは、救急車も来ない想定です。

 一般的な呼吸回数は1分間に10回程度、1呼吸は6秒程です。
 メトロノームのリズムは60回/min、そして6回に1回は鐘を鳴らすような設定にすると、そのタイミングでバッグを圧迫するということが条件反射的に実行できます。

 本当にメトロノームが良いのか、実験して学会発表しました。
 なにも使わずに個人の感覚だけで実施する場合と、時計を見ながら6秒に1回する場合と、メトロノームの場合を比較したところ、メトロノームを使う方法が有意差を持って正確である事がわかりました。

[発表スライド] 西 謙一: 医療BCP(事業継続計画)策定における人工呼吸器代替手段の最適化検討と評価法開発(PDF)


温水消毒orオゾン3日間

 身体がウイルスに侵されている状態では、身体から出る汗などにもウイルスが居る可能性があります。

 部屋の掃除は患者自らでもできそうですが、洗濯は道具と水が必要になるため部屋では難しいです。

 ウイルスの付着した布製品の感染制御には『80℃10分』という数字があります。
 家の中で80℃の湯を10分間維持し、洗濯物を浸せる環境は無いと思いますが、自宅療養の準備をする期間があれば検討する価値はあるかもしれません。

 私案では、トタンのタライにドブ漬けのヒーターで80℃をキープ、衣類はチャック袋に入れて湯を汚さないという作戦が良いかなと思っています。
 大きなタライはドリフなどで上から落ちてくる以外は使途が無さそうなので、ブリキのバケツでも良いかなと思います。

ある世代以上であれば、コントで頭上に落ちてくるイメージのあるたらいです。金属製です。
ヒーターが剥き出しになっているような製品です。温度調節器を使って適温のお湯を沸かす事ができます。

 熱湯消毒よりも手軽そうなのがオゾンです。
 メーカーさんは許してくれない思いますが、私は90Lのゴミ袋に布製品を入れて、オゾン発生装置(Air Success)をUSBバッテリに接続して同じゴミ袋の中に入れて消臭に利用する事があります。
 例えばスリッパなんかはニオイが取れます。スーツも焼肉やタバコのニオイから解放されます。

 今回はCOVID-19を対象に考えているので、3日くらい、自然にウイルスが消える分とオゾンのパワーの併用で殺菌しようかと計画しています。

針電極と多重リング電極によるオゾン発生
Air Success Miniをバッテリに接続してビニル袋内でマスクを消毒・消臭

不織布の多用

 ベッドシーツ、枕カバー、あらゆる布製品を使い捨ての不織布に置き換える、これで洗濯物を減らす事ができます。

 不織布は様々なサイズが販売されていますので、中にはベッドシーツくらいの物もありますが、入手困難であればロールタイプの物を買うと良いです。
 数十メートル巻のロールであれば、ベッドの長さ分くらいは簡単に取れます。それを何列か敷くことでベッドシーツにもなります。ただし、段差ができるので褥瘡にならないようにと考えると、やはりタオルやシーツが要りそうです。

 発熱の具合によって、併用もアリだと思います。
 私宅にはロールの不織布を配備済です。

防水のペーパーシーツです。幅90cmなのでシングルベッドくらいです。COVID-19感染拡大初期には長期的に品切れでした。

食器は使い捨て

 食事は家族と同じ物を食べたいと思いますが、食器は使い捨てにする予定です。

 バーベキュー用に買ってある食器を使います。

 飲料はペットボトルで済ませると良いと思います。
 冷蔵庫の予備は持てないと思いますので、常温でも飲める飲料を用意しておくと良いと思います。

シモジマの紙皿(GPY-26)です。50枚で千円ちょっと、1枚20円程は災害備蓄としては安いと思います。昼と夜、1日2枚の消費で1か月近くになります。

防御マスクとガウン

 家族や他人にケアをしてもらわなければならないとき、部屋に入ってもらうのはリスクが高いです。

 どうしてもというときには、以下の個人防護具(PPE)を装着してもらう予定です。

  • フルフェイスマスク(自作)
  • ガウン(医療用)
  • グローブ(ビニル手袋)

 2020年春には工事用のゴーグルと防塵マスクを買いましたが、その後、国立京都医療センターの救急医のリクエストを受けてフルフェイス型のマスクを開発したので、もし自宅療養となれば人工鼻を装着してフルフェイスで対応してもらいます。
 または、患者がフルフェイスマスク、または防塵マスクを装着してウイルスをまき散らさないという方法も考えます。

工事用ゴーグル
工事用防塵マスク

 アイソレーションガウンを着て、人工鼻搭載のフルフェイスマスクをかぶり、ビニル手袋などを身に付ければ病院内での防護に近いレベルになります。
 家族ケアにどのレベルが必要かわかりませんが、安全のため揃えられるものは揃えて、備えています。

アイソレーションガウン
自作の人工鼻搭載フルフェイスマスク
使い捨てのガウンです。簡易な作業であればこれでも十分だと思います。気になるようでしたら、衣服はジャージなどを用意して、その場で脱ぎ着してもらい、生活空間にはウイルスを持ち込まない配慮をすれば良いかと思います。



これまでと、これから

2020年春

 2020年の3月頃に上述のモノは揃えました。

 当時注文した物で、いまだに納入されないパルスオキシメーターはさておき、だいたいの物は調達できています。


組立前

 まだ準備中ですが、園芸用のテントを買いました。

 宅内にテントを張って、ウイルスの漏れをより少なくしようと考えています。

 ただし、何日もテントの中に居るのは精神的に参りそうですし、エアコンの風も行き届かないので、様子観察です。


パルスオキシメーター

 パルスオキシメーターの入手はつい最近です。
 2021年3月に親戚からいただきました。

 ただし、これはパルスオキシメーターとは呼べないと思います。
 医療機器の認証を取っていない製品のようです。

 医療機器であれば本来、本体や箱に表示すべき文言がありますが、この製品にはありませんでした。
 添付文書も付いていません。

親戚にもらった測定デバイス
病院で使われる使われるパルスオキシメーター

陰圧だけは代用がきかない

 ここまで色々と書きましたが、代用がきかないのは陰圧システムとバッグバルブマスクだと思います。

 聴診器やパルスオキシメーターはそのものを代用するものがありませんが肩で呼吸をする、紫の唇、顔面蒼白で血の巡りが悪そうであれば数値で見なくてもわかると思います。

 バッグバルブマスクについては医療機器であり、医療従事者が取り扱うべきものですが、今回は緊急事態を想定しているので、もし入手できれば持っていても良いと思います。

 陰圧装置は雑品です。医療機器では無いので誰でも取り扱うことができます。
 一家に一台という物でもありませんが、自治会に一台以上あっても良いようなレベル感だと思います。
 大阪府内で1日千人、10日で1万人の患者発生という事は、10日もすれば880人に1人が感染経験者、1か月もすると300人に1人が感染経験者になります。
 200世帯、500人くらい居る自治会なら、1か月の内に1~2世帯は感染者がいる計算になります。

 私案ですが、自治会内で感染者が発生したら陰圧装置を買う、それまでは準備だけしておくという事で良いと思います。
 感染者が出たらすぐに買う、治ったら自治会の資産として保有し次の感染者発生時に貸与する、こうすることで何かあっても安心な地域になると思います。

簡易陰圧装置パンフレット(PDF)

簡易陰圧システムに関する話題を集めています

ワクチン接種まで半年の注意

 ワクチンの効果があることを前提に、国民の接種がある程度まで終わるとされる半年後まで、COVID-19に感染しない努力をします。

 社会活動をゼロにしては会社も成り立たなくなってしまいますのでリモートを活用し、人との接触8割減を実践しながら、ビジネスを成り立たせていきます。

 仕事の半分は医療機関・医療従事者との関係ですので、そちらはワクチン接種が先行している関係から、比較的ハードルが下がりそうな気配が見えています。