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義務教育医療とセルフメディケーションによる医療崩壊回避 | NES株式会社

 ディズニーランドやUSJの入場料は年々上昇していますが、エリア拡大もしながら入場者数は増加しています。
 施設全体の入場料総額が増えても、それを負担する人が居るので破綻しません。

 高齢者人口の増加や高度な医療の普及などの要因から、医療費総額は増加しています。
 総額が増加しても、それを負担できる人が居れば問題ないのですが、社会保険システムの原資である保険料負担をする総人口は減少傾向、負担額が大きい現役世代である生産年齢人口の高齢者との比率は低下が進み、単価を引き上げる方法で何とかしのいでいるという状況だと思います。

 このままでは、社会保険システムは破綻する可能性があります。その回避策の1つに医療給付費の減少、すなわち保険で医療を受ける額を減らす方法があります。

 その方法として『義務教育医療』と『セルフメディケーション』について、検討すべきかと思います。

 今日は、そのあたりを深く掘り下げてみたいと思います。




給与の何割まで払えるか?

 サラリーマンだと『給料天引き』として健康保険料、厚生年金保険料、源泉所得税などが引かれていると思います。

 当社の所在地である兵庫県の令和3年の健康保険料を見ると、標準月額20万円の人は、介護保険第2号被保険者で24,080円、非該当で20,480円です。これに厚生年金36,600円を加えて額が社会保険料として納められます。

 この額の内、半分が被保険者(社員個人)の負担、もう半分が会社負担です。
 会社負担だから自分のお財布にダメージが無さそうですが、会社の利益が減る訳ですから、社員が押しなべて全体の負担を強いられていることになります。

(クリックで大きな画像)

 月給20万円の30歳の人は健康保険と厚生年金で28,540円天引きされていますので残りは171,460円です。ここから源泉所得税などが引かれるので手取りは15万円くらいです。

 家賃や光熱費で8万円、子供のオムツなど養育費が2万円、食費が3万円、貯金が2万円、娯楽費はゼロという家庭もあるでしょう。

 もし、健康保険料が5%増えると月額1万円、折半で5千円の負担増です。貯金を減らして子供の教育レベルを下げるか、食事を質素にするか、厳しい選択が迫られます。

 健康保険料が10%増えると、もはや子供を持つ事は絶望的になりそうです。

 もし独身であれば、家賃や光熱費で6万円、食費等を1万円、娯楽2万円、貯金3万円として月12万円で生活できるとすれば、社会保険料としてあと3万円増やせます。
 ただし、将来に希望を抱く若者は減るでしょう。結婚資金は貯まらないですし、結婚しても子育てより共働き、高齢者のために働き続ける世の中になってしまいます。
 会社の負担も厳しいです。月給20万円の人で3万円増えるという事は総額で6万円増、すなわち保険料が今の10%から40%に増えることになります。社員全体では相当な金額になります。

[Link] 協会けんぽ: 都道府県毎の保険料額表

[Link] 国税庁: 民間給与実態統計調査

[Link] Yahoo!!: 知っていますか?「年収300万円」を超える人・超えない人の差

[Link] NIKKEI Woman Smart: 年収300万円はリッチ 世界から考える日本の幸福度




現実として負担は増えるのか?

 令和3年度、介護保険の負担が始まる前の40歳未満の健康保険料は10.24%、40歳以上の介護保険負担者は12.04%です。

 この負担率は年々増加しており、2011年は9.52%と11.03%でしたので7.5%も上昇しています。

 今後も増える事は容易に想像できます。
 団塊世代が全員75歳以上になるのは目前、団塊ジュニア世代もやがては高齢者になります。団塊ジュニアの時代でも年200万人超の出生がありました。令和の時代、80万人台と3分の1程度まで落ち込んでいます。

 団塊ジュニアが全員65歳以上になるのが2040年、令和生まれが20歳になり社会に出る頃、in/outの比が3倍近くになります。

和暦西暦40歳未満
健康保険料
40~64歳
健康保険料
厚生年金保険
平成21年度20098.20%9.39%15.704%
平成22年度20109.36%10.86%16.058%
平成23年度 20119.52%11.03%16.412%
平成24年度 201210.00%11.55%16.766%
平成25年度 201310.00%11.55%17.120%
平成26年度 201410.00%11.72%17.474%
平成27年度 201510.04%11.62%17.828%
平成28年度 201610.07%11.65%18.182%
平成29年度 201710.06%11.71%18.300%
平成30年度 201810.00%11.57%18.300%
平成31年度 201910.14%11.87%18.300%
令和2年度 202010.14%11.93%18.300%
令和3年度 202110.24%12.04%18.300%

 では、65歳以上に負担してもらいましょうという事になりますが、現在45歳を過ぎてそれなりに給料を貰っている団塊ジュニア世代であっても、厚生年金18.3%に見合った年金を貰えるかわかりません。少なくとも70歳までは満足な額を貰えないと考えれば、安易に65歳以上の負担を増やそうとしても、支払えない人が続出する可能性があります。

 65歳以上から取れない分は、現役世代から取られてしまう可能性は否定できません。

[Link] 協会けんぽ: 都道府県毎の保険料額表




医療は何割の自己負担が限界?

 ひと昔前の保険医療といえば、被保険者本人の窓口負担は1割でした。
 筆者は土建組合という滅多に病院に行かない人の集団に居たので、本人負担はゼロでした。レントゲンも薬も手術もタダでしたが、休んでいる暇のない職人さん達なので、周囲で保険を使うとすれば花粉症の薬を処方してもらう時くらいでした。

 いま、3割負担だとしても高額療養費制度があるので手術をした月は8万円程が自己負担の上限になっています。

 しかし、このまま保険財政がひっ迫すれば5割負担や8割負担もあり得ると思いますし、高額療養費制度の自己負担上限も大幅に引き上げられる可能性があります。

 外来受診では、仮に5割負担になったとしても払えない額では無いと思います。
 画像検査などがあったとしても1回の診療で保険算定は3万円程度、5割負担で1万5千円程度です。

 手術などの処置が入ると一気に数十万円まで跳ね上がります。例えば『もうちょう』と呼ばれる虫垂炎の手術をした場合、ざっと30万円程になります。3割負担なら9万円なので高額療養費で少し戻って来るかどうかというところです。

 自己負担割合は5割まで引き上げても何とか払えそうですが、高額療養費制度との兼ね合いが重要になりそうです。




融資制度が先行?

 国の財政が厳しい中での医療保険の窓口負担増が実施される場合、不足を補う補助(助成)制度がつくられるには時間がかかると思われます。

 おそらく、融資制度が先行するのではないかと考えます。

 健康保険証はマイナンバーと連係されます。金融機関などの情報も連係されます。厚生年金や納税情報も連係されます。
 医療機関の窓口での支払いはキャッシュレス化され、そもそも『お金を支払う』という行為自体が窓口では行われず、診療を終えたら診察室からそのまま直帰する事になると考えます。

 処方箋は予め選択したバーチャル薬局にデータが飛ばされ、帰宅するとドローンで配達され、薬剤料なども自動支払いされと思います。

 もし、残高不足で支払いができない場合、それを理由に受診控えが起こらないように、国が無利子や低利子で融資する制度ができるのではないかと考えます。
 医療機関にとっては、回収困難な貸倒金のようなものが減り、国としては保険制度維持ができ、『健康で文化的な最低限度の生活』は担保できるようになると考えます。

 ただし、借りた金は返さねばなりません。




セルフメディケーションが普及する

 『リンデロン』(軟膏)や『ロキソニン』(錠剤)がドラッグストアで処方箋なしで買えるようになり、外来受診をする暇が無いという現役世代が便利に利用しています。

 もし、保険医療の自己負担割合が増えれば頭痛や胃痛などで外来受診する人は減り、自己判断で治療を試みる人は増えるでしょう。

 AIの普及もあり、虫刺されなど原因がある程度わかっている炎症なども、自己判断で治療されるようになると思います。

 20年前であればカゼ薬、目薬、湿布薬くらいが家の救急箱に入っていたのが、消炎鎮痛剤やステロイド外用薬はもはや普遍化しました。

 現在の診療報酬制度では、調剤薬局でお薬を受け取ると薬剤技術料などの手間賃のような物がかかり、医薬品によっては薬剤料より高いという事がざらにあります。
 前述の『リンデロン』は、薬価表で見ると『リンデロンVG軟膏』が1g27.70円となっています。手元にあるチューブは5g入りなので138.5円です。この処方箋を持って調剤薬局へ行くと薬剤技術料として調剤基本料が200~400円程、調剤料が100円かかりますので、薬剤本体より周辺費用の方が高くなっています。
 医師から発行された処方箋に『リンデロン』と書いてあった場合、患者は保険適用のある調剤薬局へ行くか、全額自費のドラッグストアへ行くか選ぶ事になります。もし、保険を使って5割負担で300円のお薬が、ドラッグストアで250円で売っていたら、ドラッグストアの方が自己負担が少なくて済みます。
 更に言うと、5割負担で300円という事は保険者も300円負担する事になりますが、患者がドラッグストアに行ってくれれば保険者の負担はゼロで済みます。この不公平感を和らげるため、リンデロンをドラッグストアで買うと100円のクーポンを保険者が発行してくれるとなれば、ドラッグストアで買うリンデロンは150円になります。

 色々な面から、セルフメディケーションは進行していく可能性があると考えます。

 高血圧薬(降圧剤)や抗菌薬など用法や用量を誤ると危険なお薬は今後も処方を必要とすると思われますが、痛みを和らげたり炎症を抑えたりする治療法は、セルフメディケーションが進むと考えられます。

[Link] 田辺三菱製薬: 薬剤技術料







処方箋と自己診断の境界領域にニーズ

 外来受診して医師の診断を受ければ、正しいお薬が処方され、中には医師の処方箋が無ければ手に入らないお薬も服用できるかもしれません。

 医師の存在は必要不可欠ですが、保険医療の自己負担増により自己判断によるセルフメディケーションも増えると考えられます。

 ただし、患者自身に自己判断能力があれば良いのですが、ネットで見て薄い知識の中で誤った薬を服用する危険もあります。
 『これだけはダメ』というお薬を指導してあげられるようなサービスには、一定の価値があると思われます。

 例えば、胸が痛いという事で痛み止めを飲もうとしている人が居た時、その痛み方が心臓疾患のサインを疑うべきであったとき、痛みを軽減してしまうと発見が遅れてしまい致死的な状況に陥るかもしれません。
 誰かが気づいて止めてあげれば良いのですが、痛みから逃れたいという事と、無駄にお金を払いたくないという心理から、自己判断してしまう可能性はあります。

 ブレーキ役だけでなく、アクセル役も求められます。
 『毛虫に刺されて腫れた』『賞味期限切れの牛乳を飲んで気持ち悪い』という相談を受けて、候補となるお薬を紹介する役割も必要だと思われます。
 制度はどうなるかわかりませんが、自由診療の範疇で医師が1回千円で電話相談を受けても良いのではないかと思います。お薬代と合わせて2千円だとしても、外来で順番待ちして5割負担とあまり変わらない額だと思います。




リテラシーを高める義務教育

 いまの義務教育の中に、医療に関する教育はほとんど入っていません。

 応急処置を習う事はありますが『習った』という既成事実はあっても、習得していつでも応用できるというレベルではないと思います。
 AEDや心肺蘇生が典型例だと思います。講習は受けたが、できるとは思えないという人が多く居ます。

 そもそも、胸を押さえながら倒れる人は心筋梗塞以外にどのような場合があるのか、そこから指導しているケースは少なく、AEDや胸骨圧迫のテクニックだけ教えている事が多いです。

 痛みの伝え方も教わる事はないです。
 シクシク、ズキズキ、ジンジン、ガンガン、ジワリとなど、表現方法が色々あり、その伝え方によって疑う病気が変わることもあります。

 頭痛についても、痛み方には色々とあります。
 『金属バットで頭を殴られるような痛み』とは、脳卒中のときに使われる事がある表現ですが、そもそもバットで殴られた経験がある人は少ないですし、近年は体罰を避けるようになったので拳で殴られた事もない子供は少なくありません。

https://youtu.be/c_ATfUKNaAs
https://youtu.be/Jed-hO-fkBE

 小中学校で可能な限り、病気について教えていく事で、自分の身体への診断能力を養う事ができると考えます。

 日焼けして皮がめくれるのは普通だが、水ぶくれができていればケアが必要である。
 鼻水が出るのはよくある事だが、妙なニオイがするときは蓄膿症を疑うべきかもしれない。
 お酒を飲むと呂律が回らなくなるが、そうでないときに呂律が回らないのは脳卒中を疑うべきかもしれない。

 小学校4年生から中学校3年生までの6年間、月2時間ずつでも100時間分くらいは教えられると思います。

 今の子供たち、その親たちはよっぽどでない限りは受診できないような社会になっているとすれば、今からセルフメディケーションの質向上に向けた教育が必要だと考えます。

https://youtu.be/0uVz4GQZHWQ






早期発見、早期治療も教育から

 がんをはじめ、多くの病気が早期発見による早期治療により、良い結果が得られる事があります。

 本当に早期発見が良いのか、時間を割いて苦しい思いまでして胃カメラを飲む必要があるのか、という話をよく耳にします。

 小中学校の間に早期発見・早期治療の利点を知り、同級生の家族がそれで助かったというエピソードまで添えられたら、一生忘れないと思います。
 中学生になったら糖尿病の健診を受け、社会人1年生になったら一度は胃カメラを飲み、その後は定期的に健診を受けて病気を見つけ出す、それが当たり前の社会になると健診の受診率も自然と高まると考えられます。

 健診受診率が高まれば当然ながら早期発見ができ、治療にかかる費用も低減できる可能性があります。

 医療費が逼迫する中で、例えば高血圧の人を増やさないための取組みは、義務教育から始まるかもしれません。




看護師配置

 義務教育に『家庭の医学』のようなものを導入するにあたり、現任の教員を再教育する必要はないと思います。

 いま、徐々にですが学校に看護師を配置する動きが出てきています。

 看護師には『潜在看護師』と呼ばれる、免許は持っているが看護師として働いていない現役世代の看護師が70万人以上居るとされています。
 その数パーセントが小中学校での教育に携わるだけで、全校への配置が可能になります。

 看護師をはじめ医療有資格者は必ず養成課程を経て、臨床実習も経て、国家試験に合格し、免状交付を受けていますので、誰もが一定水準以上の医学・医療の知識を持っています。

 ときには医師に講師を務めてもらう事も有意義ですが、日常的な教育として定着させるためには看護師の配置が期待されます。

 学校への看護師配置は『医療的ケア児』の普通校への通学とも密接に関わります。
 医療的ケア児が通学を希望したから看護師を配置するのではなく、いずれはどこでも看護師が配置されているので、学校で一定のケアが受けられるのが普遍化するのではないかと考えます。




1クラス3~4人、医療従事者

 医師や看護師ら医療従事者(有資格者)は200万人以上居るとされています。

 今後、看護師300万人時代到来などとも言われていますが、医療従事者が増える事は間違いなさそうです。

 看護師の新卒が8万人で40年代分が集まると320万人です。現実は潜在ナースになってしまう人も居るので、日本人だけでこの数になるのは難しいかもしれません。

 令和2年の出生数は84万832人でしたので、もし看護師の新卒が8万人という時代になれば1割が看護師という事です。現状の5万人余りの数字でも同級生の6~7%が看護師です。

 1クラス35人ならば、その内の3~4人は看護師になり、あと1~2人は医師や技師など他の医療従事者になる計算です。




医療従事者は高所得者ではない

 医療従事者は高給取りだという『イメージ』が先行している感がありますが、高所得とは言い難いです。

 年収1千万円を超える医師が居るのは確かですが、週6日以上出勤し、始業時の医局カンファレンス前に病棟をラウンドしたり申し送りを聞き、終業後に1日分のカルテ(診療録)を仕上げたりと週40時間労働を超えているので、時間単価は意外に低いのが日本の医療です。

 下のグラフは業種別の平均給与です。
 医療が401万円、エネルギー系は倍以上の824万円が『平均』です。金融やITも高いです。
 医療は平均給与から見るとサービス業と同等です。提供している内容もサービス業に近いですが、様々な法律の下、原則的に全員が国家資格を持って仕事をしているサービス業は他にありません。

 同級生の1割以上が平均給与が『並』の職業へ就くことになります。

業種別の平均給与

[Link] 国税庁: 民間給与実態統計調査




医療は巨大産業

 全世代を通じて、所得の1割程度が健康保険料として徴収され、更に自己負担する診療費として年数万円~数十万円の出費となると、個人消費に占める医療費の割合は衣食住に匹敵するか、それ以上の割合になる可能性があります。

 人口減少時代ですので建物需要は昭和や平成ほどの伸びは期待できません。
 交通インフラなども老朽化のリニューアルがあっても新規路線は期待できません。

 飲食や観光への考え方は、COVID-19で大きく変わりましたが次世代ではもっと新しい考え方が出てくると思います。

 その時代において、子供たちが選ぶ進路における『医療』というものの位置づけはどうなるでしょうか。

 『人の役に立ちたい』『多くの命を救いたい』という心から生まれる医療への進路だけでなく、合理性や経済性を追求したい、真正面から『稼ぎたい』と医療分野に入る人が増える可能性があります。

 医療に対するリテラシーを高めることで、医療という産業に対するイメージも変わり、上手く経済が回れば高齢者医療費の負担の在り方も変わるのではないかと考えます。







在宅医療にも貢献

 いま現在、多くの家庭で医療も介護も未経験という事で、患者や高齢者を病院や施設へ預ける以外の選択肢を持たないというケースが多いと思います。

 家で痰を吸引するのは難しい、点滴はできないと最初から諦めているケースも多くあります。

 しかしながら、医療に対するリテラシーが高まり、また身近に医療従事者が増えればこの考え方も変わって来ると思います。

 家族の協力を得ながら在宅で人工透析を毎日施行する事も難しくありません。
 テレワークが定着した2020年以降、働き方もフレキシブルになり、在宅で治療を受けながら仕事や学校も並行させる事ができるようになってきました。

 義務教育で医療を学んだ子供たちが、特定の病気に詳しくなくても、知りたいと思ったときに調べ方を知っていれば状況は今と大きく変わります。
 兄弟や友人が大病を患ったとき、それを治すのは病院であったとしても、治療後のリハビリは在宅でもできるかもしれません。その在宅医療に並走できるリテラシーを持つ人が増えれば、患者も積極的に在宅医療を選ぶかもしれません。




感染症対策にも期待

 COVID-19の流行拡大により、社会でも感染対策が広がりましたが、その対応力は千差万別でした。

 食レポなどで『消毒したからキレイ』『マスクをして安全です』というナレーションが入ったりしていましたが、医療従事者からは疑問の声が聞かれます。

 例えば消毒は、菌やウイルスを激減させる効果があったとしても、ゼロになる保証はない手段です。
 大腸菌で言えば15分に1回の細胞分裂、すなわち1個あれば15分後には2個、更に15分後には4個と増えていきます。
 消毒しても、感染しない訳ではありません。

 消毒の方法にも注意が必要でした。
 消毒液を浸した布でテーブルを拭いても、途中からは菌やウイルスを薄く伸ばしており、逆効果も懸念されます。

 どのような状況では感染が起こるのか、正しく教育し、高い水準で議論できる社会になれば、感染制御力も高まると思います。
 COVID-19に集中すれば消毒剤は限定的ですが、菌やウイルス毎に特効薬や無効薬があるので『アルコール消毒したから大丈夫』と過信すると、アルコールが効かないものによる感染症を発症する恐れがあります。

 1つ1つを覚えておく必要はありません。
 菌やウイルスによって消毒剤が異なることだけ知っていて、あとは流行に合わせてネット検索して消毒方法を知るだけで良いのです。この1歩、非常に重要です。

 『正しく恐れる』という言葉がよく聞かれた1年ですが、リテラシーが高まれば、正しく恐れる事もできるようになります。







医療崩壊させたくない

 今回の記事は私見で述べさせていただきましたが、筆者の考えているところは、医療崩壊させたくないという事です。

 保険制度が崩れれば保険医療が混乱し、それに伴って医療自体がおかしくなる可能性があります。

 従来であれば助かった病気が、何らかの混乱により助からなくなってしまう事は避けたいと思います。

 1億円の診療を受けられるようにするかどうかという議論も必要ですが、1千円のお薬をどのようにして手に入れて、どのように使うかについて、まずは考えてはどうかと思っています。

 私のデスクにはリンデロンの大衆薬と、ロキソニンの大衆薬があります。何度か外来受診した後、この薬で症状が改善されるというケースを自己判断して使っています。
 医師の皆さんに対し、私の受診料が蒸発してしまって申し訳ないと思う一方で、保険を使わず自己負担で治療ができているので小さな社会活動かなとも思っています。

 まずは保険を破綻させない、そして医療を崩壊させない、その思いで記事を書きました。

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家族内感染予防を目指す自宅療養者のゾーニング | NES株式会社

 COVID-19の感染が始まった当初は、無症状であっても措置として入院させていました。

 病床が逼迫したため宿泊療養や自宅療養が始まりました。
 宿泊療養は、宿泊者全員がCOVID-19陽性者のため隣室との隔離は行われませんが、医療従事者やホテル従業員とは隔離されています。
 自宅療養の場合、自助努力は求められますが、特に措置はないため、宅内クラスターも発生しています。

 もし、自身や家族が感染者となった場合、どのように隔離をするべきか、検討してみましたので共有します。




ゾーニング

 ゾーニング(zoning)とは、区域分けです。

 感染症対策でゾーニングと言えば、病原体に汚染されている区域と、そうではない区域を分けることを言います。

 病原体で汚染されていると既定する区域を『汚染区域』と言います。病原体の有無を検査する訳ではなく、汚染されているものとして扱う区域です。管理者が定義します。

 汚染区域以外を『清潔区域』とします。
 病原体が無い事を確定する事は難しいので、汚染されないように注意し、適宜消毒等を行って汚染から守ります。




レッド・グリーン・イエロー

 ゾーニングは汚染区域をレッドゾーン、清潔区域をグリーンゾーンと呼ぶことがあります。

 病院で言えば感染患者の診療を行う区域をレッドゾーン、それ以外をグリーンゾーンとしますが、この2つだけでは運用上の課題があります。

 レッドゾーンに居る患者は区域内で療養を続けますが、スタッフは出入りが発生します。
 スタッフは感染していない前提ですので、レッドゾーンへ行って感染してしまわないように感染防護します。

 汚染区域内では防護具を外せないため、レッドゾーンから退避した場所で外します。
 この脱衣する場所がイエローゾーンになります。




感染の機会

 濃厚接触を通知するアプリがありますが、これはCOVID-19陽性者と『概ね1メートル以内の距離で15分以上の近接した状態にあった場合』に通知されます。

[Link] 厚生労働省: 接触確認アプリ


 普段の家族との距離は1メートル以内にもなりますし、15分以上の接触にもなりますので、簡単に濃厚接触者となります。

 もし、同居する家族に陽性者が居れば濃厚接触者になりやすく、濃厚接触者ゆえに感染しやすいです。

 濃厚接触の危険は既知であるが、軽症者等は自宅療養か宿泊療養かの2択になりますので、自宅療養を選ぶ場合は十分な注意が必要です。




療養住環境におけるゾーニング

 一般的なご家庭でゾーニングと言われても、容易な事ではありません。

 しかしながら、ゾーニングしなければ家族内感染のリスクは高止まりです。

 住宅は限られたスペースであり、同居人は親密な距離感で生活していますので、十分な配慮が無ければ破綻します。




ケーススタディ(1)
マンション
30代夫婦・小学生の子供・父感染

 このケースでは、よくあるマンションに住む40代代夫婦と小学生の子供の3人家族で、父親がCOVID-19に感染してしまったとします。

父:30代
母:30代
子:小学校3年生


 玄関側とベランダ側は屋外に面し、残る2面は隣家があるため窓が無いよくある造りのマンションです。

 居室Aは子供部屋、居室Bは夫婦の寝室、寝室からキッチンへ出入りができます。リビングに行くには必ずキッチンを通る必要があります。対面キッチンタイプのためLDKは1つの空間です。
 トイレは1つしかありません。


 居室Aは子供部屋ですが、屋外に面した部屋ですので、療養室はこちらにすると良いと思います。
 同じく屋外に面するリビング・ダイニング(LD)ですが、キッチンを通らなくてはならず、トイレに行くだけでも大騒動になります。そもそもキッチンとLDは空間として1つなので、療養者がLDに居てはキッチンで作業ができません。

 居室Aを療養室とする事で、COVID-19患者を1か所に固定する事ができます。

 お子様には不便を強いてしまいますが我慢してもらいましょう。勉強道具などは一時的に汚染された状態になりますので、療養開始前に部屋から持ち出しておきます。洋服なども同様です。


 この部屋に陰圧装置があると理想的です。

 マンションは気密度が高いため、居室Aに陰圧装置を設置すれば、家中の空気を居室Aに集める事ができると考えられます。古い建物であってもLDには外壁面に給気口があると思いますので最も遠い部屋からも空気の流れを作れる可能性があります。

弊社開発の簡易陰圧装置を用いた一般住宅での実験

 COVID-19患者がトイレに行く場合は、家族で申し合わせをします。

 非感染者である家族はLDKか屋外に退避します。お子様が学校から帰って来そうな時間などではお母さんが玄関の外で待機しておきます。
 家族の安全を確認したところで、患者はトイレへ行きます。このとき、居室Aとトイレのドアは開けておきます。

 陰圧装置が設置されている場合、ドアの開いている空間は陰圧化されている部屋と同圧になります。仕切られた部屋とは差圧が生まれますので、下図では居室A・廊下・トイレの3箇所が同圧、そして扉で仕切られた居室B・キッチン・洗面脱衣室が常圧で同圧となり、陰圧装置が置かれているエリアと差圧が生じます。

 論理的に言えばキッチン等へウイルスが流入しない状態です。

 もし、陰圧装置が無い場合はレッドゾーンもグリーンゾーンも同圧になるので、感染防御を徹底するのであれば扉を目張りします。


 COVID-19患者が用を足した後は居室Aに戻って扉を閉めます。これで居室Aが宅内で最も空気圧が低い部屋になります。

 この時点では、廊下やトイレにはウイルスが残っている可能性があります。特にトイレは患者が直接触れた物が多いので要注意です。

 子供が触れる前に、大人が掃除をします。
 市販の使い捨てワイプ等で清拭すれば十分ですが、ケチって1枚であちこち拭くと、汚染されたワイプでウイルスを広めてしまう恐れがありますので、あまり無理のない範囲で交換します。

 換気する事が望ましいですが、オゾン発生装置などで空気を浄化するのも良い手立てだと思います。空気清浄機も効果は期待できますが、フィルタに付着した新型コロナウイルスを除去する事は難しいと思いますので、フィルタ交換時に感染しないようにご注意ください。


 同様の手段で入浴も可能だと思います。

 患者の着替えは居室Aで行い、洗面脱衣室への滞在時間は最小化すると良いです。掃除漏れがあって感染するリスクを低減します。

 脱いだ衣類はビニル袋に入れておきます。相当な濃厚接触物ですので滅菌するつもりで居た方が良いです。
 ウイルスに栄養を与えなければ、布の上では1週間程度で死滅するという話もありますので、洗濯にリスクを感じるようであれば1週間放置してしまいましょう。


 マンションの場合は気密性が高いので、陰圧装置を設置できればかなりコントロールしやすいと思います。

 トイレが1か所しかない点は要注意です。
 COVID-19患者は高熱等でしんどいところですが、可能な限り汚さず、家族の安全に注意しましょう。







ケーススタディ(2)
2階建て・一戸建て
50代夫婦・大学生・高校生・母感染

 このケースでは、市街地に多い2階建ての一戸建て住宅に住む家族をモデルに、母親がCOVID-19に感染してしまったとします。

父:50代
母:50代
子:20代・男・大学生
子:10代・女・高校生

 4LDKの一戸建てに4人暮らし、トイレは2か所あります。1階にはLDKと水回りがあります。

2階
1階

 この間取りであれば、2階の居室Aがトイレの隣なので使いやすいと思います。


 2階でトイレに行く場合は下図のようになります。

 居室Aとトイレの間は最短距離なので、そこだけが汚染区域になるのですが、空間として廊下全体がつながりますし、階段も仕切りがないので汚染区域・準汚染区域になります。

 できれば、廊下と階段の間を仕切るか、居室Aとトイレをつなぐ廊下だけを隔離できるように仕切りを作れると良いです。


 こ汚染区域のように最小化するためには陰圧装置を設置する必要があります。

 2階にはトイレに換気扇があると思いますが廊下や居室には換気扇が無いと思います。1階のキッチンや浴室には大きめの換気扇があり、特にキッチンの換気扇は強めだと思います。
 すなわち、キッチンが家の中で最も低圧になるので、2階のコロナウイルスは1階へと向かって動き出してしまう可能性があります。

 下図は掃き出し窓に陰圧装置を設置した例です。ベランダをイメージした設置例です。

弊社開発の簡易陰圧装置を用いた一般住宅での実験

 一戸建てでは、居室から浴室までの動線が長くなるのが課題です。

 下図が浴室までのルートであり、このときにレッドゾーンになってしまう箇所です。

2階
1階

 これだけの範囲が立ち入れなくなるのは困りますので、おすすめとしては患者を包んでしまう方法です。

 養蜂場などで見かける事もある、ツナギ型の防護服を着てしまうのがわかりやすいですが、身体を丸ごと覆ってしまいます。


 感染性のウイルスを撒き散らしやすいのが鼻と口ですので、ここを覆う必要もあります。
 無症状や軽症で、20~30秒くらいは息止めできるのであれば口をハンカチで覆って、なるべく息をしないように浴室まで移動してもらうのが良いと思います。
 防毒マスクを使ってもらうのも良いと思います。完全にバリアできる訳ではありませんが、ネット通販などで容易に入手できる中では、目が細かいフィルターを使う事ができるデバイスです。

 これが上手くいけば、レッドゾーンは居室Aと浴室に限定し、それ以外の箇所はイエローゾーンと考えることができます。

 私宅では、下記のガウンを用意しています。ツナギタイプではありませんが膝丈まであり、とりあえず1人でも容易に脱着できるので、これと防毒マスクを併用して家の中を動こうと思っています。

私宅に準備中のガウン
1枚ずつパックされて売っている

 患者がウイルスをまき散らさなかった場合のゾーニングです。

 手すりなどは清拭するべきだと思いますが、空間としてはさほど掃除の必要性がないと思います。

2階
1階

 このお宅では居室Aを使う方法を検討しましたが、2階の部屋であればどこでも良いとは思います。なるべく、トイレとの距離を短くすると良いと思います。

 陰圧装置を使う事を前提にする場合は、無窓室は使えませんが、一戸建てであればだいたいは窓があると思いますので、さほど心配はないと思います。




突っ張り棒で仕切り

 療養部屋とトイレの間を1つの空間にしたいと思っても簡単な事ではありません。

 順調にいけば約2週間の療養生活のために大規模な工事はしたくないでしょうし、工事をしている時間も無いと思います。

 壁に穴を開けずに、仮設で壁を作る方法があります。

 それは『突っ張り棒』です。
 突っ張り棒の平安伸銅工業さんが出しているLABRICO(ラブリコ)を使ったDIYです。

 2X4(ツーバイフォー)という木材の端に突っ張り役の金物を取り付ける方法で簡単に柱が建ちます。
 その柱に適当な壁を取り付けます。今回はウイルスを広げない事が目的なのでゴミ袋をホチキスで貼り付けても良いと思います。

 天井から床まで、1つの壁ができます。

私宅では窓枠に柱を新設
アイアンタイプの中身と箱
平安伸銅工業のLABRICOは2×4木材のアジャスターです。アイアンタイプは金属製なので屋外使用できます。使い方は簡単で、突っ張りたい場所の長さを図り、2X4木材をカットし、木材の端にLABRICOを取り付けるだけです。実際にAmazonで注文して使ってみましたが、しっかりしていて安心感・安定感があります。



トイレの管理

 トイレは敷物や便座カバーなど掃除しづらい物は予め撤去しておきます。

 無意識にタオルを使ってしまいますので、タオルも撤去してペーパータオルにしておくと良いです。

 トイレットペーパーを別々にするのは難しいので、COVID-19患者が出た後の掃除の際、トイレットペーパーの表側に面している1周分を捨てておきましょう。ペーパーホルダーの消毒ももちろん必要です。

 徹底的な消毒をする場合には次亜塩素酸ナトリウムを0.1%(1,000ppm)に調整したもので清拭が推奨されています。市販の次亜塩素酸ナトリウム(ハイターなど)は6%の物が多いので希釈して使います。

トイレは拭き取りやすさを最優先(写真はゴチャゴチャしてます)



簡易陰圧装置

 簡易陰圧装置を設置することで、一般住宅や高齢者施設等でも陰圧室を作る事ができます。

 陰圧室があれば、他の部屋より空気圧が低いので、その部屋から外に空気を漏らす心配が減ります。
 したがって、隣室など同じ建物内に居る人々への感染を抑止することができます。

 当社で考案した簡易陰圧装置は自宅療養のために開発を始めたので、一般家庭に簡単に取付できます。
 2階などによくある腰高窓に設置可能です。
 1階やベランダ面などにある掃き出し窓にも設置可能です。

腰高窓への排気
掃き出し窓への排気

 部屋に換気扇があれば、それを外して一時的に簡易陰圧装置の排気口として使う事もできます。
 この方法がおそらく、金物代などが一番安く済むと思います。

 上に示した写真はすべて、一般木造住宅で試験しています。
 1990年代築のごくありふれた木造住宅で設置できています。最新である必要はありません。





キッチン換気扇

 キッチンの換気扇は強力です。
 陰圧装置よりは弱いですが、もし宅内に給気口が無ければ陰圧装置と空気の取り合いになり、陰圧装置の仕事の妨げになる可能性があります。

 キッチンの近くの窓を1つ開ける事で給気が確保できますのでキッチンは気密にしないようにします。




浴室は半日インターバル

 『エアロゾル感染』が危険と言われたCOVID-19ですが、浴室にはエアロゾル化した物がたくさん浮遊してしまいます。

 乾燥させればエアロゾルも浮遊しなくなりますので、患者が入浴した後は換気扇や乾燥機を使って浴室内を十分に換気・乾燥させてから使うと良いです。

 家族が夜7時に入浴するなら、患者は朝のうちに入浴して昼間は換気・乾燥の時間に充てると良いでしょう。




掃除用個人防護具

 家族はグリーンゾーンに居るべきですが、どうしても掃除等でイエローゾーンに進入することがあります。

 そのとき、もっとも危険なのが鼻と口です。

 そこで私宅では、塗装工や解体工が使う産業用の防塵マスクを用意しています。
 一度だけ装着してみましたが、激しく運動しようと思うと苦しいです。ゆっくり呼吸する分には、さほど抵抗なく、ある程度は安心して空気を吸う事ができました。




次亜塩素酸ナトリウム・浸漬法

 新型コロナウイルスで注目された次亜塩素酸ナトリウムとは、簡単に言うとハイターです。厳密に言うと界面活性剤が入っている商品もあったり色々なのですが、細かい事は置いておきます。

 この次亜塩素酸ナトリウムは濃ければ良いという物ではありません。至適濃度という物があります。

 患者の接触部位などは0.05%(500ppm)の次亜塩素酸ナトリウムで清拭します。

 リネン類は250ppm(0.025%)の次亜塩素酸ナトリウムに30分浸漬してから選択します。次亜塩素酸ナトリウムが使えない衣類等では熱湯消毒という方法もあります。




熱湯消毒

 新型コロナウイルスに限らず、ノロウイルスなどが付着した衣類などは熱湯消毒が必要になります。

 患者が着ていたもの、使用済のタオルやシーツ、場合によっては靴なども対象になります。

 家庭で熱湯消毒をするのは容易ではなく、特に大きな物は準備が大変です。

 ガイドラインでは『80℃・10分』となっているので、衣類が浸かる程度の大きな容器に、80℃以上の湯を10分間維持できなければなりません。

 昨年、病院のリネン類の熱湯消毒の相談があった際には、寸胴鍋とぶっ込みヒーターを紹介しました。
 建設現場ではお馴染みなのですが、冬場にコーヒーなどを温めるのに使っています。

 これらの道具と、キッチンにある鍋やヤカン、電気ケトルなどを組み合わせれば『80℃・10分』も実現可能性が高まると思います。

 衣類が熱湯に触れる必要はないので、二次感染防止の観点から衣類は袋に入れた状態で適当に水を注いで口を縛り、袋の外の熱が衣類に行き渡る様にして熱湯消毒します。
 繊維によっては高温で縮んでしまう物もあります。ご注意ください。




急変対応備蓄:BVM

 ゾーニングして療養していても、ときには重症化してしまう人がいます。

 救急搬送の順番待ちも、感染者があまりにも多ければ数時間や数日待ちにもなり得ます。

 私宅には人工呼吸器の代わりをする事ができるBag Valve Maskというデバイスがあります。

 これがあれば助かるという物ではありませんが、救急の現場などで多用されている用手換気と呼ばれるものです。

 もしかすると一家に一台、あると良いのかもしれませんが、使い方を誤ると医師法に抵触する恐れがあります。
 現在、Amazonなどでは入手できないようです。




急変対応備蓄:酸素濃縮器

 肺炎とは、肺から酸素を取り込みづらいほどの炎症を起こしている状態です。

 酸素が取り込めなければ、息苦しくなります。
 普段は6秒に1回の呼吸が、2~3秒に1回に縮めても追い付かないほど苦しくなります。

 回数では酸素が稼げないのであれば、吸う酸素の濃度を高くしてあげれば解決できる場合があります。
 待機の21%の酸素より、倍の酸素を吸えば肺から血中へ取り込まれる酸素も増えます。

 酸素ボンベを用いる方法が一般的にありますが、酸素濃縮器というデバイスを使う方法もあります。

 医療機器と、そうでない物がありますのでご注意ください。
 下記の例は医療機器ではないので、誰でもネット通販などで入手可能です。医療機器ではないので、治療用ではありません。
 参考情報としてご覧頂ければと思います。

※.薬事申請などのご相談は弊社の医工連携事業で承っております。




お困りでしたらご相談を

 自宅療養をしなければならず、家族への感染が心配でこのサイトをご覧になった方は、まだ不安が解消されていないと思います。

 当方でお役に立てるようでしたら、可能な限りお話をお聞きしますのでお気軽にお問合せ下さい。
 相談に答えたからすぐに費用を請求という事はありません。

 保健所さんもお忙しくされていますので、少しでもお役に立てばと思います。

お問い合わせ



関連資料

弊社関係


厚生労働省

新型コロナウイルス感染症の軽症者等に係る宿泊療養及び自宅療養の対象並びに自治体における対応に向けた準備について(事務連絡):2020年4月2日

『新型コロナウイルス感染症の軽症者等の宿泊療養マニュアル』の送付について(事務連絡):2020年4月2日

新型コロナウイルス感染症患者が自宅療養を行う場合の患者へのフォローアップ及び自宅療養時の感染管理対策について(事務連絡):2020年4月2日

『新型コロナウイルス感染症の軽度者等に係る宿泊療養及び自宅療養の対象並びに自治体における対応に向けた準備について』等の周知について(事務連絡):2020年4月3日

医療機関における新型コロナウイルスに感染する危険のある寝具類の取扱いについて:2020年4月24日


国立国際医療研究センター
国立感染症研究所

新型コロナウイルス感染症に対する感染管理:2021年6月30日

急性期病院における新型コロナウイルス感染症アウトブレイクでのゾーニングの考え方:2020年7月9日

行政関連

香川県:ゾーニングのポイント, 2020年10月

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コロナ自宅療養最適化準備 | NES株式会社

 COVID-19と共存する社会として、感染が拡大していても社会活動は止まりません。

 当然ながら患者が発生し続けるのですが、その発生数と受入可能数がアンバランスになれば医療崩壊が起こります。

 その前段では、自宅療養者が増えます。最初は無症状者が自宅療養、次いで軽症者、そのうち酸素投与前の中等症も軽症扱いとなり自宅、いずれは酸素投与も自宅でという事になるかもしれません。

 どんな事になっても自分は生き延びる、そう考えた時、様々な備えが必要になります。
 大震災や停電に備えるのと同じです。

 今回、筆者はいくつかの取り組みをしましたのでここに共有します。




自宅療養五選
 ├ 1.発症初期
 ├ 2.無症状・軽症
 ├ 3.選択的自宅療養
 ├ 4.退院後自宅療養
 └ 5.入院待機

病床逼迫が増やす自宅療養
 ├ 病床逼迫
 ├ 患者数とのバランス
 ├ 患者数とのアンバランス
 └ 中等症ベッドが空かない

院外療養の高水準化
 ├ ホテルの病床化
 ├ 高齢者施設では昨年末から
 └ 医療から遠い自宅療養

自衛戦略
 ├ 医療崩壊後は受診困難
 ├ まず軽症のケースから想定
 └ 中等症72時間

私の自衛策(孤軍奮闘の籠城戦)
 ├ 陰圧室
    └ 簡易陰圧システム(サイト内リンク)
 ├ 行動範囲を限定し陰圧
 ├ オゾン除菌・消臭
 ├ 呼吸苦をセルフケア
 ├ さらなる呼吸苦をセルフケア
 ├ BVM72hr
 ├ 温水消毒orオゾン3日間
 ├ 不織布の多用
 ├ 食器は使い捨て
 └ 防御マスクとガウン
    └ フルフェイスマスク(サイト内リンク)

これまでと、これから
 ├ 2020年春
 ├ 組立前
 ├ パルスオキシメーター
 ├ 陰圧だけは代用がきかない
 └ ワクチン接種まで半年の注意




自宅療養五選

1.発症初期

 COVID-19は発熱や倦怠感、味覚異常などの自覚症状から検査を受けて発症を覚知するケースがありますが、この感染から発症初期にかけては自宅に居る事になります。

 まだ病気だと気づいていない間は療養ではなく日常生活、普段通りに自宅に居ると思いますが、PCR検査等で感染に気付いていこうも次の行動までは自宅療養となります。


2.無症状・軽症

 COVID-19の検査を受ける経緯は自覚症状が無い場合でも、濃厚接触者に該当する場合や、業務上の都合で受ける場合など様々なケースが想定されます。

 無症候性の場合、措置としての入院はなく自宅療養かホテル療養が一般的です。


3.選択的自宅療養

 入院しても良いレベルであるが、自ら望んで自宅療養を選ぶ人も居られます。

 仕事を続けたい、育児は止められない、親子で感染したので一緒に居たい、理由は様々です。


4.退院後自宅療養

 軽症者に近い位置づけになりますが、入院加療を終えて快方に向かっているという事で自宅療養となるケースです。

 他の疾患でも同じですが、入院の必要が無くなれば外来や往診に切り替わります。
 COVID-19の場合、感染させてしまう恐れがあるため行動制限付きの退院となる場合があります。


5.入院待機

 入院を希望しても調整がつくまで待機期間が発生します。

 病床にゆとりがある場合は入院先は1時間程度で決まり、配車された搬送車両に乗車して入院するまで半日前後です。

 病床が逼迫してくると、この待機期間が長引きます。




病床逼迫が増やす自宅療養

病床逼迫

 平時であっても呼吸器感染症の重症者を受け入れられる医療機関は限定的であり、そのベッド数はさほど多くありません。
 加えて、予防法や治療法が確立していない新興感染症の重症者となると受入も容易ではありません。

 ベッドや人工呼吸器などの製品を買ってきても、ケアする人材が居なければ病床は増えませんし、24時間365日のケアには交代要員が必要なので、増床は容易な事ではありません。


患者数とのバランス

 従前の感染症指定医療機関としては下表のとおりで、新感染症を担当する特定感染症指定医療機関は2床、エボラやペストなどを担当する第一種は4床、SARSなどを担当する第二種の感染症病床は72床でした。

 平時にはエボラもSARSも患者は居ませんし、仮に発生しても今回のCOVID-19のようにまん延する事は無かったので下表の病床数で逼迫する事はありませんでした。

特定一種二種
感染
二種
結核
二種
一般
りんくう総合医療センター226
大阪市立総合医療センター132
堺市立総合医療センター16
市立豊中病院14
市立ひらかた病院8
府立大阪はびきの医療センター6606
大阪刀根山医療センター
高槻赤十字病院6
大阪府結核予防会 大阪病院30
仁泉会 阪奈病院123
大阪市立十三市民病院391
国立近畿中央呼吸器センター40

[Link] 厚生労働省:感染症指定医療機関の指定状況


患者数とのアンバランス

 COVID-19用の重症病床、例えば大阪府では224床(2021年4月15日現在)です。府内の全病床数は106,767(2021年1月現在)なので0.2%です。人口は約880万人なので約4万人に1床です。

 1日の新規感染者が1,000人超、仮に全員が14日間で治るとしても14日目には累計14,000人の患者が居る事になります。
 仮に3%が重症化すると1日30人、重症病床を1週間程で埋める数になります。

 重症化すれば入院期間は長引くため、軽症者にように2週間で治っていく人とは差が出ます。重症病床は簡単には空床にはなりません。

 新規感染者が増えるペースと、増床するペースがアンバランスになりつつあり、この先には医療崩壊があります。

[Link] 厚生労働省:医療施設(静態・動態)調査・病院報告
[Link] 大阪府:令和3年4月14日 知事記者会見内容


中等症ベッドが空かない

 重症病床に入った患者の症状が軽快し中等症になっても退院は容易ではありません。この退院調整の難航も病床逼迫を助長しています。

 中等症を診る医療機関では、重症病床で診てもらいたい患者を送り出せないと中等症病床を空けられないだけでなく、症状が重ければより多くのリソースを割くことになり、それによって利用できる病床数を減らさざるを得なくなります。

 変異株では症状の進行が早まったとも言われており、中等症病床の待機患者は増加、軽症ゆえにホテルや自宅、高齢者施設で待機していた患者の病態が変化しても入院できない状況になりつつあります。




院外療養の高水準化

ホテルの病床化

 ホテル療養は経過観察、大阪で言えば大阪府看護協会が全面的に協力し宿泊者の病態を見ています。

 病床が逼迫する中でホテル療養者に対し、治療を開始する動きが出てきました。

 まずは軽症から中等症に至る過程での、入院までの時間を安全に過ごすための酸素投与ができるように機器が配備され、現場に駐在する看護師へのレクチャーが行われました。


高齢者施設では昨年末から

 あまり報道されていませんが、大都市圏では昨年末、病床が逼迫し入院調整が困難になる時期・地域がありました。

 特に高齢者施設からの入院受入要請が多かったようで、受入までに1日以上かかるケースもあったと言います。

 平時から高齢者施設には医師や看護師による訪問診療が行われており、対症療法のようなケアは実施できるため、生命危機には至らぬ中で入院を待つことができたようです。

日本経済新聞・2020年12月31日朝刊
読売新聞・2020年12月10日朝刊

医療から遠い自宅療養

 ホテル療養や高齢者施設の場合は建物内に看護師らが常駐していますが、自宅には医療従事者は居ません。
 コロナ感染者である事から、救急車を要請しても色々と準備に時間がかかり、入院受入先の照会にも時間がかかります。

 病床逼迫により、自宅から病院への移動にあったハードルはますます高くなり、いよいよ自宅での本格的な診療を考えなければならない時期に差し掛かっていると思われます。

読売新聞・2021年1月18日朝刊
日本経済新聞・2020年12月19日朝刊



自衛戦略

医療崩壊後は受診困難

 2020年2月、まだ『新型肺炎』などと呼ばれていたCOVID-19ですが、マスクや消毒液は枯渇し、大阪のミナミでは中国人観光客の姿が消えました。
 3月、筆者は米国ニューヨーク州の数字を見て警戒感を強めました。新規感染者が倍々と増え、数週で1万人を超えました。死者数は、平時の死亡する人数の倍、遺体安置の場所が足りないほどになりました。

 ニューヨークでは医療崩壊が起こり、拠点病院ではロビーやカフェにも患者を置いて診療せざるを得ない状況でした。

 日本でも医療崩壊が起これば災害時のようにロビーに患者が溢れるような状況になると思いますが、そこへ行っても治療を受けられる確約はありません。


まず軽症のケースから想定

 医療崩壊が起こらなくても、病床逼迫時は軽症者は安易に受診できるとは考えられません。

 自宅療養を強いられたとき、家族に感染させないための対策が求められます。

 そのためには自らを隔離し、あらゆる面で家族との接触を断つ事が必要になります。


中等症72時間

 中等症であっても病床が逼迫していれば入院までに時間を要するでしょう。
 局地的に病床不足であれば遠方への搬送や救援人材により多少の調整ができると思いますが、広域で病床不足の場合は、ベッドが空くまで身動きが取れないでしょう。

 中等症からの軽快化も重症化も72時間の猶予があれば見極めがつくのではないかと考え、中等症で72時間、自宅で療養できる手段を考えました。




私の自衛策
(孤軍奮闘の籠城戦)

陰圧室

 無症状であってもウイルスをばら撒く可能性があるため、感染の可能性のある段階から完治までは隔離が必要だと考えました。

 居室の1つを陰圧化する事で感染拡大を防止できるだろうと考え、陰圧システムを開発しました。

 機材は中核となるファン以外はホームセンターで調達できる物で構築しました。
 まずは完成イメージをデザインし、木材を使ってカタチを作るところからスタートです。

 だいたいイメージした通りのモノが作れました。
 ファンを動かすと轟音を立てて圧のある風を吹き出していましたので、装置自体はひとまず完成です。

 次に排気の方法について検討しました。
 強く吸い出せば、吸われた側は陰圧になると考えると、部屋に装置を置いて屋外に排気する方法が必要になります。
 そこで作ったのが窓用の器材です。スタイロフォームという床下の断熱などで使われる建材を窓の高さにカット、定着カラーというダクトを接続するための金物を押し当てて穴を開け、そのまま装着する事で排気用の器具を自作しました。

 下の動画は2020年4月9日の物です。
 木製の簡易陰圧装置と発泡フォームの排気器具でも陰圧が掛かる事を可視化しようと撮影しました。
 あくまで自宅用、自衛のための陰圧装置ですので厳密な差圧は測定していません。

 この木製のDIY陰圧装置はのちに、弊社とSISM(シズン)様の共同開発品として鋼製ボディに進化し、市販化されています。
 医療機関や高齢者施設で使用される事を想定していますが、上述のとおり在宅用から開発が始まっていますので、自宅療養用にもご利用いただけます。

簡易陰圧システムに関する話題を集めています

行動範囲を限定し陰圧

 呼気中のウイルスはマスク装着で漏出を最小化、換気により浮遊量は安全域になるようにと考えました。

 部屋から出てトイレまでは最短化、感染者がトイレに行く際には家族は廊下に出ることを禁止、療養に使用している陰圧室のドアを開放しトイレの空気を陰圧室に引き込む事で、感染者の動線上の空気は陰圧室に引き込まれるようにしようと考えました。

 ドアの取っ手など手を触れる部分は直接触らず、使い捨てのビニル手袋を装着する事で接触感染を予防、更に次亜塩素酸ナトリウム希釈液で消毒して立ち去る事で感染リスクを低減させる事にしました。


オゾン除菌・消臭

 陰圧装置は排気時にウイルス等を強制的に捨ててしまいます。One wayなので屋外に捨てられたら戻って来ません。

 空気清浄機はフィルタで濾すだけなので、フィルタにウイルスが残ります。
 フィルタを通らない空気はウイルスが残ったままの不変です。

 オゾン発生装置は、オゾンをまき散らします。
 オゾンは出会ったウイルス等を酸化分解します。
 ニオイの元も酸化分解します。

 療養中の部屋、トイレ等の周辺空間の除菌にオゾンを利用する予定で準備しています。
 しばらく風呂には入れないので、消臭も期待しています。

オゾン消臭器
オゾン消臭器 Air Success S
普段はゴミ箱の消臭にも利用
小型・軽量・静音。マグネットでどこへでも付き、USBスマホバッテリで動きます。ファンもフィルタも無いので手入れがラク、消耗品も買い足す必要はありません。

呼吸苦をセルフケア

 筆者が臨床に立っていた頃の名残で聴診器があります。

 筆者宅にはネブライザという薬剤を吸入する装置が2機種あります。エアロゾル問題で耳鼻科などでは休眠中ですが、自宅であれば心置きなく使えます。

 聴診器で肺の音を聴く必要性はあまりありませんが、ネブライザは薬液無しで水だけで使うと加湿器のような物になります。
 ネバっとした痰が絡んで来たら、水で使おうと思います。


さらなる呼吸苦をセルフケア

 自らの力で呼吸しても酸素加が追い付かないときには、呼吸を補助するツールが必要になります。

 睡眠時無呼吸症候群ではCPAP(Continuous Positive Airway Pressure)という持続的陽圧換気が行われます。
 これは気管内挿管というものはせず、マスクを鼻や口に当てて換気を補助します。

 同じような方法で呼吸を助ける方法にバッグバルブマスク(Bag Valve Mask)という用手的な換気方法があります。
 バッグを手で圧迫するとマスクから空気が送り込まれる物で、救急の現場では日常的に使われています。

 筆者はこれをネット通販で買いました。

 筆者が呼吸苦になったときは、自分でBVMを操作するつもりです。
 家族が呼吸苦になったときは、筆者がBVMを操作するつもりです。

BVMを手に取って説明するクオモNY州知事
ネット通販で実際に購入したBVM

BVM72hr

 BVMは数秒に1回のペースで圧迫操作(吸気)が必要です。

 人工呼吸器のように機械式でなければ、人間がタイミングよく圧迫しなければ患者は吸気の機会を失います。

 そこで使うのがメトロノームです。

 医療従事者であっても研修で10分くらいの操作をすることはありますが、30分以上する事は少ないです。
 筆者がメトロノームに関心を持ったのは災害対策、BCPの一環として復電までの72時間、用手換気をするためです。

 COVID-19でも72時間の自宅待機を想定しているので、メトロノームの有用性が試されるかもしれません。

BVMの正確性向上にメトロノーム
BVMは用手操作が必要
メトロノームであればデジタルもアナログも関係なく使えます。コンパクトさでデジタルを選んでいます。もし、どこかへ搬送となれば、荷物は少ない方が良いと思います。これを使うシーンでは、救急車も来ない想定です。

 一般的な呼吸回数は1分間に10回程度、1呼吸は6秒程です。
 メトロノームのリズムは60回/min、そして6回に1回は鐘を鳴らすような設定にすると、そのタイミングでバッグを圧迫するということが条件反射的に実行できます。

 本当にメトロノームが良いのか、実験して学会発表しました。
 なにも使わずに個人の感覚だけで実施する場合と、時計を見ながら6秒に1回する場合と、メトロノームの場合を比較したところ、メトロノームを使う方法が有意差を持って正確である事がわかりました。

[発表スライド] 西 謙一: 医療BCP(事業継続計画)策定における人工呼吸器代替手段の最適化検討と評価法開発(PDF)


温水消毒orオゾン3日間

 身体がウイルスに侵されている状態では、身体から出る汗などにもウイルスが居る可能性があります。

 部屋の掃除は患者自らでもできそうですが、洗濯は道具と水が必要になるため部屋では難しいです。

 ウイルスの付着した布製品の感染制御には『80℃10分』という数字があります。
 家の中で80℃の湯を10分間維持し、洗濯物を浸せる環境は無いと思いますが、自宅療養の準備をする期間があれば検討する価値はあるかもしれません。

 私案では、トタンのタライにドブ漬けのヒーターで80℃をキープ、衣類はチャック袋に入れて湯を汚さないという作戦が良いかなと思っています。
 大きなタライはドリフなどで上から落ちてくる以外は使途が無さそうなので、ブリキのバケツでも良いかなと思います。

ある世代以上であれば、コントで頭上に落ちてくるイメージのあるたらいです。金属製です。
ヒーターが剥き出しになっているような製品です。温度調節器を使って適温のお湯を沸かす事ができます。

 熱湯消毒よりも手軽そうなのがオゾンです。
 メーカーさんは許してくれない思いますが、私は90Lのゴミ袋に布製品を入れて、オゾン発生装置(Air Success)をUSBバッテリに接続して同じゴミ袋の中に入れて消臭に利用する事があります。
 例えばスリッパなんかはニオイが取れます。スーツも焼肉やタバコのニオイから解放されます。

 今回はCOVID-19を対象に考えているので、3日くらい、自然にウイルスが消える分とオゾンのパワーの併用で殺菌しようかと計画しています。

針電極と多重リング電極によるオゾン発生
Air Success Miniをバッテリに接続してビニル袋内でマスクを消毒・消臭

不織布の多用

 ベッドシーツ、枕カバー、あらゆる布製品を使い捨ての不織布に置き換える、これで洗濯物を減らす事ができます。

 不織布は様々なサイズが販売されていますので、中にはベッドシーツくらいの物もありますが、入手困難であればロールタイプの物を買うと良いです。
 数十メートル巻のロールであれば、ベッドの長さ分くらいは簡単に取れます。それを何列か敷くことでベッドシーツにもなります。ただし、段差ができるので褥瘡にならないようにと考えると、やはりタオルやシーツが要りそうです。

 発熱の具合によって、併用もアリだと思います。
 私宅にはロールの不織布を配備済です。

防水のペーパーシーツです。幅90cmなのでシングルベッドくらいです。COVID-19感染拡大初期には長期的に品切れでした。

食器は使い捨て

 食事は家族と同じ物を食べたいと思いますが、食器は使い捨てにする予定です。

 バーベキュー用に買ってある食器を使います。

 飲料はペットボトルで済ませると良いと思います。
 冷蔵庫の予備は持てないと思いますので、常温でも飲める飲料を用意しておくと良いと思います。

シモジマの紙皿(GPY-26)です。50枚で千円ちょっと、1枚20円程は災害備蓄としては安いと思います。昼と夜、1日2枚の消費で1か月近くになります。

防御マスクとガウン

 家族や他人にケアをしてもらわなければならないとき、部屋に入ってもらうのはリスクが高いです。

 どうしてもというときには、以下の個人防護具(PPE)を装着してもらう予定です。

  • フルフェイスマスク(自作)
  • ガウン(医療用)
  • グローブ(ビニル手袋)

 2020年春には工事用のゴーグルと防塵マスクを買いましたが、その後、国立京都医療センターの救急医のリクエストを受けてフルフェイス型のマスクを開発したので、もし自宅療養となれば人工鼻を装着してフルフェイスで対応してもらいます。
 または、患者がフルフェイスマスク、または防塵マスクを装着してウイルスをまき散らさないという方法も考えます。

工事用ゴーグル
工事用防塵マスク

 アイソレーションガウンを着て、人工鼻搭載のフルフェイスマスクをかぶり、ビニル手袋などを身に付ければ病院内での防護に近いレベルになります。
 家族ケアにどのレベルが必要かわかりませんが、安全のため揃えられるものは揃えて、備えています。

アイソレーションガウン
自作の人工鼻搭載フルフェイスマスク
使い捨てのガウンです。簡易な作業であればこれでも十分だと思います。気になるようでしたら、衣服はジャージなどを用意して、その場で脱ぎ着してもらい、生活空間にはウイルスを持ち込まない配慮をすれば良いかと思います。



これまでと、これから

2020年春

 2020年の3月頃に上述のモノは揃えました。

 当時注文した物で、いまだに納入されないパルスオキシメーターはさておき、だいたいの物は調達できています。


組立前

 まだ準備中ですが、園芸用のテントを買いました。

 宅内にテントを張って、ウイルスの漏れをより少なくしようと考えています。

 ただし、何日もテントの中に居るのは精神的に参りそうですし、エアコンの風も行き届かないので、様子観察です。


パルスオキシメーター

 パルスオキシメーターの入手はつい最近です。
 2021年3月に親戚からいただきました。

 ただし、これはパルスオキシメーターとは呼べないと思います。
 医療機器の認証を取っていない製品のようです。

 医療機器であれば本来、本体や箱に表示すべき文言がありますが、この製品にはありませんでした。
 添付文書も付いていません。

親戚にもらった測定デバイス
病院で使われる使われるパルスオキシメーター

陰圧だけは代用がきかない

 ここまで色々と書きましたが、代用がきかないのは陰圧システムとバッグバルブマスクだと思います。

 聴診器やパルスオキシメーターはそのものを代用するものがありませんが肩で呼吸をする、紫の唇、顔面蒼白で血の巡りが悪そうであれば数値で見なくてもわかると思います。

 バッグバルブマスクについては医療機器であり、医療従事者が取り扱うべきものですが、今回は緊急事態を想定しているので、もし入手できれば持っていても良いと思います。

 陰圧装置は雑品です。医療機器では無いので誰でも取り扱うことができます。
 一家に一台という物でもありませんが、自治会に一台以上あっても良いようなレベル感だと思います。
 大阪府内で1日千人、10日で1万人の患者発生という事は、10日もすれば880人に1人が感染経験者、1か月もすると300人に1人が感染経験者になります。
 200世帯、500人くらい居る自治会なら、1か月の内に1~2世帯は感染者がいる計算になります。

 私案ですが、自治会内で感染者が発生したら陰圧装置を買う、それまでは準備だけしておくという事で良いと思います。
 感染者が出たらすぐに買う、治ったら自治会の資産として保有し次の感染者発生時に貸与する、こうすることで何かあっても安心な地域になると思います。

簡易陰圧装置パンフレット(PDF)

簡易陰圧システムに関する話題を集めています

ワクチン接種まで半年の注意

 ワクチンの効果があることを前提に、国民の接種がある程度まで終わるとされる半年後まで、COVID-19に感染しない努力をします。

 社会活動をゼロにしては会社も成り立たなくなってしまいますのでリモートを活用し、人との接触8割減を実践しながら、ビジネスを成り立たせていきます。

 仕事の半分は医療機関・医療従事者との関係ですので、そちらはワクチン接種が先行している関係から、比較的ハードルが下がりそうな気配が見えています。

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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を鑑みた簡易陰圧室の実験結果 | NES株式会社

簡易陰圧室実験結果(成功)

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行により、感染症の病床は逼迫しつつあり、追加病床の整備が進められています。

 また、軽症者は病院外で療養することも想定されており、療養環境の整備が求められています。
 陰圧室とは、感染者のベッド周りを他室より低い圧に維持し、他室からの空気の流れはあっても自室からの空気流出を無くすことで、ウイルスを廊下や隣室等へ広げないための措置が施された部屋です。

 当社では、実際に圧差を生み出せる専用ファンを用いて陰圧実験を実施し、成功しましたので報告致します。

2020年4月7日
NES株式会社

[Link] 簡易陰圧装置開発プロジェクト (特設ページ)




実験内容

治療・隔離

 当社では、社員や関係者が感染したときのための隔離室を用意しています。

 一般住宅の洋室・和室ですが、専用トイレが部屋の前にあり極力他者と接触せずに生活・療養することができます。

 今回、この部屋を用いて簡易陰圧実験を実施しました。


実験

 圧差を生む専用ファンを窓に設置しました。

 廊下から部屋へと空気が流れている事を確認するために、扉前にティシュを置いて空気の流れを可視化しました。

 ティシュが部屋側へ流れていくことを確認し、実験成功としました。




販売開始

ソリューション・パッケージ

 簡易陰圧室の実現について、当社では本解決策を商品として販売することと致しました。

 本体・加工費などを含めてご案内致します。

 詳しくは、お問合せ下さい。

お問い合わせ



Keyword

COVID-19・新型コロナウイルス感染症

 新型コロナウイルス感染症、国際的にはCoronavirus disease 2019を略してCOVID-19と称されている新興感染症は、2019年末頃より流行が始まり中国湖北省武漢市では大規模な感染拡大が起こりました。

 無症状や軽症の患者も少なくありませんが、人工呼吸器が必要な重症例も多く発生し、数%の患者がお亡くなりになっています。

 季節性インフルエンザなど既知のウイルスは空気中に浮遊しても時間とともに失活するため春になれば流行が収まるといった状況を毎年繰り返していますが、今日現在、COVID-19については詳しい事がわかっておらず、予防ワクチンや治療薬は確立されていません。


陰圧室

 空気感染防御を目的として病室内を安定した陰圧(負圧)状態にして診療を行います。廊下や隣室よりも低圧であるため、空気は圧の高いところから低いところへと流れるために陰圧室からウイルス等が室外へ撒き散らされることがないとされています。

 確実な陰圧隔離を行う場合、病室の陰圧状態を安定させるために前室を設けます。廊下と前室では前室が陰圧、前室と病室では病室が陰圧になるように制御します。圧差は2.5Pa以上がCDCガイドライン上の推奨値です。

 陰圧室は隙間からでも空気を吸い込んでしまうため塵埃をも引き込むため、きれいな空気を供給するためにフィルタ付の給気口を設けます。


CDC

 CDCとはCenters for Disease Control and Preventionの略称で、米国疾病予防管理センターなどと和訳されます。医療従事者であれば『CDCガイドライン』という言葉はよく耳にしています。使い捨て診療材料の交換頻度や、消毒方法などCDCを参考にしていることが多くあります。

[Link] Centers for Disease Control and Prevention (CDC)


HEPAフィルタ

 きれいな空気を供給する上で多用されているHEPA(ヘパ)フィルタには定義があり、JIS規格では『定格風量で粒径が0.3μmの粒子に対して99.97%以上の粒子捕集率を有しており、かつ初期圧力損失が245Pa以下の性能を持つエアフィルター』とされています。

 当社では『0.3μm』に着目しており、HEPAフィルタが必ずしも有効では無いのではないかという事をお客様にご案内しております。新型コロナウイルスの径は0.1μm(100nm)程と言われておりますので0.3μmの網目であれば容易に通過できてしまいます。ただし、新型コロナウイルスの感染は飛沫感染と接触感染です。飛沫感染するときは唾液などのエアロゾルで飛散した新型コロナウイルスとなりますので、粒径は100nmよりも大きくなり、HEPAフィルタでも捕集できるようになるようです。

 また、『初期圧力損失』という表現があるように、フィルタが目詰まりを起こせば圧力損失は大きくなりフィルタの掃除や交換が必要になります。交換時にはフィルタに捕集されたウイルス等に晒されることになるため十分注意するようご案内させて頂いております。

[Link] JIS B 9908


自宅療養予想(当社独自)

 当社では今後、COVID-19陽性患者の軽症~中等症患者が院外で療養することを予想しています。それは、医療機関の病床が満杯となり、中等症と重症の境界が引き上げられることにより、従来は重症として入院していた患者も中等症として院外で療養する事になることを予想しています。

 そうならないで欲しいとは願っていますが、そのような事態になった際には自宅や高齢者施設、ホテル等でも比較的重い症状の患者を診る事になりますので、少しでもレベルの高い療養環境が即座に提供できるよう今回のような実験を行っています。

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医療的ケア児の住まい | NES株式会社

医療的ケア児の住まい

住み慣れた家

 住み慣れた家に住み続けられる幸せを感じる方は多いと思います。

 病院で生活するより、家に住みたいと思っている子も多いと思います。
 家族と触れ合う時間も、自宅の方が長くなると思います。



ケアに馴染まない家

 大抵のおうちは医療的ケア児を育てるために設計されていません。

 ベッドの周りには学習机とワードロープを置くスペースは確保していても、喀痰吸引とオムツ交換のためのスペースや電源は用意されていません。

 リビングや応接間にお客さんを通す想定があっても、子供部屋に看護師が出入することは想定していません。

 特に病院と比べてしまうと見劣りする設備となってしまいます。
 ここは病院ではないとわかっていても、高望みしてしまう親御さんも少なく無いようです。



なにかあったとき

 災害など『なにかあったらどうしよう』という不安にかられる方も少なくありません。

 娘の在宅医療にあまり積極的でないように見えたお父さんが『発電機を買ってきた』と少し驚いていたお母さんがいました。
 働きに出ているお父さんとしては、日頃のケアはお母さんに任せていても、我が子のためにできることはしたいと思っている様子が垣間見えました。

 特に災害は発生後に考え始めてもできることは限られています。
 完璧な備蓄をしても、津波や噴火が起これば逃げるしか手段がありません。

 いまできることは何か、我が家はどこまで準備しているのか、下図のチェック表でもご確認いただけます。
 満点を取る必要はありません。




医療的ケア児の療養住環境の基本

工事が始まれば後戻り困難

 住宅の新築でもリフォームでも、大工さんが工事を始めてから追加や変更することは容易ではなく、工事単価も上がります。

 つまり、工事が始まる前の構想や設計が重要になります。



専門家は誰?

 病気のことや患者をよく理解しているのは医師や看護師、住宅のリフォームや増改築に詳しいのは工務店、両者を橋渡しするケアマネジャーやソーシャルワーカー、それぞれ専門の仕事があります。

 療養住環境の専門家、居そうで居ないです。
 知っているようで、知らない。
 気づいているようで、気づいていない。

 これから在宅でケアを受ける患児、寄り添う家族、『だいたい大丈夫』では困ります。



療養生活について確認

 まずは看護師さんに、在宅で行われる医療行為などについて確認します。

 患児のケア歴が長い家族の場合、専門用語も通じてしまいましが、工務店などは通じないので、咀嚼した言い方を聞いてみましょう。

 また、喀痰吸引などの処置には慣れている看護師でも、その器材や原理などについては詳しくない場合もあります。
 どのような設備や工事が必要であるか、しっかりと話し合い、患者や家族の側も任せきりにならず、自ら考えるよう努めた方が、良い療養住環境を生み出せます。



理解度の相互確認

 療養住環境の施工実績がある工務店さんなどでも、工事の時点では何らクレームが出る事は無いと思います。

 療養が始まってから患宅へ訪問しているような工務店であれば、教訓が蓄積され良い施工をしてもらえると思います。
 あまり療養の『現場』を見たことが無い場合、上手くいっているように感じているだけかもしれません。

 要望するレベルは家庭ごとに異なると思いますので、そうしたすり合わせも大事になります。



家族の志向・思考

 同じ病気で、同じマンションに暮らす患児であったとしても、療養住環境に対する要望は同じではありません。

 診療最優先、不安を1つでも無くしたい家族の場合は『病院と同じ仕様』という要望を出すかもしれません。
 コンセントや酸素ボンベ、ナースコール、照明、ベッドなどすべてをホスピタルグレードに近づけて施工する事は無理ではありません。

 生活も重視したいと思う家族の場合は仕様が異なります。
 健常者のきょうだいが友達を連れて来ても『普通の家』と思えるような空間を残しつつ、療養もしっかりできるレベルにしたい、そう思う家族も少なくありません。

 食事をするスペースと排泄する場所は分けたいと思う家族、常に目の届くところに居て欲しいのでリビングで完結したいと思う家族、色々な考え方があります。

 この多様な考え方、すべては施主の意向であるとすれば、工務店には『どうすれば意向に沿えるか』を考えて貰わなければなりません。

 予算の都合はありますが、施主本位、患者本位で療養住環境はつくられます。



ゾーン分け

 療養住環境を計画する場合、まずはお宅をゾーン分けします。

 病院であれば病室、ナースステーション、トイレや汚物室、浴室、薬品庫、器材庫など多様な部屋があります。
 また、食事は厨房で作られ、配膳車が廊下に停車し配膳され、食後は下膳車にお膳を戻して廊下⇒エレベーターを通って厨房へと戻ります。

 住宅では大きく昼間と夜間の過ごす場所を決めます。次に、看護師ら外からケアに訪れる方々をどこで迎えるかを決めます。
 水廻りをどうするかも決めます。自宅で入浴するのか、排泄はトイレを使うのか否かを検討します。
 オムツや医療廃棄物をどこに保管するのかなどもゾーニングに関わります。



選択肢

 選択肢が多くと困ってしまう。

 そんなときには当社のコンサルティングサービスの利用をご検討ください。

 自ら選択肢を想定し、選んでいける場合はコンサルを使わなくても大丈夫かもしれません。必要かどうか、じっくりご検討ください。




医療的ケア児の現状(厚生労働省)

厚労省が医療的ケア児と家族を支えるサービスの取組紹介

 厚生労働省政策統括官付製作評価官室アフターサービス推進室では2018年12月に『医療的ケアが必要な子どもと家族が、安心して心地よく暮らすために』と題した医療的ケア児と家族を支えるサービスの取組を調査した報告書を公開しました。

 医療機器の装着が強いられる児、食事や排泄など日常生活に介助が必要な児など医療的ケア児が自宅で過ごすには、誰かの看護が必要となっています。

 その看護の一番の担い手は家族であり、主に母親です。
 各種サービスは医療的ケア児向けのサービスではありますが、同時に母親をサポートするサービスでもあります。

 詳しくは報告書をご覧ください。

厚生労働省:「医療的ケアが必要な子どもと家族が、安心して心地よく暮らすために-医療的ケア児と家族を支えるサービスの取組紹介」を公表します (2018年12月19日)

厚生労働省:『医療的ケアが必要な子どもと家族が、安心して心地よく暮らすために-医療的ケア児と家族を支えるサービスの取組紹介-』(報告書全文)




自分ケア専業会社をつくってしまう!?

自分ケア永続

 ご自身、あるいはお子様のケアに満足していますか。
 その満足しているケア、永続性はありますか。

 いま、ご自身(またはご家族)が受けている各種ケアサービスは、サービス事業者から提供されているか、ご家族の無償の労務で構築されていると思います。

 この業務のすべてを事業化し、自らのケアをするための専業法人化するという考え方を持ってみてはいかがでしょうか。

 病院の院長先生が自院に入院するように、自ら運営するケアサービス事業者に自らのケアを依頼するという構図です。



事業化のメリット

 障害のあるお子様を抱えるお母さま方からこんなお願いをされたことがあります。
 『この子の生活の場と、ある程度自立するための収入源としてグループホームを作りたい』

 実際に建物のデザインもしました。

 事業化のメリットの1つは『収入』です。
 『親なき後の子ども』の心配を軽減する狙いがあります。

 また別な理由で事業化した人もいます。
 障害者コロニーから脱出したい、社会に出て生活したいという方でした。

 事業化のメリットの1つに『自由』があります。
 障害者だけでアパートを借りることも中々できない中で、自らの居場所を自ら創り出すことができます。



リスクも顕在

 簡単に事業化できるものではありません。

 株式会社でもNPO法人でも、事業をするからには人件費や諸経費を支払っていかなければなりません。
 建物や車両には修繕や保守が必要であり、事故を起こせば賠償が必要になります。車がパンクしただけで資金ショートするような運営状況では危険です。

 サービス事業者の場合、1人のためだけに1人を雇用する訳にはいかず、勤務交代や専門の違いなども考慮して複数名の雇用が必要であり、できればケアを受ける消費者が複数必要です。
 顧客獲得のためには営業活動や宣伝広告が必要となります。市場競争に参入しなければなりません。

 グループホームの経営でも、数十年後のリフォームや建替の費用積立や、入居者確保のための様々な施策が必要になり無策であれば淘汰されていきます。
 サラリーマンであれば住宅ローンなどは組みやすいですが、収益物件の事業主として借金をするのは容易ではありません。健常者か障害者かという前に、事業者としての評価を受けなければなりません。



非現実的?

 障害者が事業化なんて非現実的ではないか、とよく言われます。
 確かにハードルは高いですが、理由は障害にはありません。事業を興すことに高いハードルがあります。

 雑貨店などはネット通販もできるので、比較的容易に事業を始められます。事業性があるか否かは、センスや仕入値など色々と作用する要素があります。

 障害者サービスを事業化するにはスキルや免許が絡み合ってきます。
 厚生労働省がサービス事業者に課す管理者等の人員配置の他、消防法の防火管理者なども配置が必要です。

 こうしたものをクリアしてまで、自分のための事業所をつくるかどうか、という意味で非現実的かもしれません。

兵庫県:障害福祉サービス事業等の指定申請手続について(居宅系、GH、相談支援)
兵庫県:障害福祉サービス(療養介護・生活介護・自立訓練・施設入所支援)の指定申請等に関する手続き
兵庫県:障害児通所支援事業の指定申請手続き



自分ケアサービスを事業化する

 自分の望むサービスをセルフプロデュースしたい、できれば色々な人にも提供したいと思うならば、やはり事業化という選択肢は有力になります。

 まずは何を事業とする法人をつくるか考えましょう。
 法人格も株式会社、NPO、社団法人など多種多様です。株式会社は書類や条件が揃っていれば登記できてしまいます。

 事業を始めることは比較的簡単ですが、事業を続けることが大変です。



同志・同士で住まう家・専用グループホーム

 事業の1つに『住まい』があります。

 いまの生活での住まいは自宅、炊事や洗濯などは母親、介護は介護事業者、看護は訪問看護事業者といった人が居たとします。
 この内の住まいをグループホームに、母親役を寮母さんのような人に任せる方法でグループホームを事業化します。

 トイレや消防設備を考えると自宅を改装するレベルではないので、適当な中古物件を探した方が良いかもしれません。

 医療や介護などの専門的サービスは1人のために訪問してもらうより、1カ所で数人のサービスをした方が事業者側も効率的ですし、サービスを受ける側も時間内により多くのサービスを受けられる可能性があります。

 1Fにテナントスペースがあるエレベーター付きの中古マンションを買い上げて大家になれば、医療的ケア児専用の賃貸マンションとして家賃収入で維持、いずれはテナントにケア事業者を誘致または起業すれば1棟で様々な用件が済む建物になります。

 それなりの資金が必要ですが、同世代・同疾患の医療的ケア児の母親5人で15戸の中古マンションを5,000万円で購入すれば1人1,000万円の負担(出資)で購入できます。
 家賃6万円なら年72万円、15戸で1,080万円。諸経費を2~3割見込んでも800万円前後が残ります。
 満室ならば月10万円程度の収入を、出資した5人は得られることになります。家賃6万円を支払っても3~5万円は残る計算となります。

障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準(2006年厚生労働省令第171号)

指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準(2006年厚生労働省令第34号)



医療的ケア児、戸建てシェアハウスに集う

 シェアハウスは比較的規制が緩和されています。
 特に障害者向けには『住宅確保要配慮者専用の住宅』として登録した場合、改修費用な家賃補助などの公的支援制度が受けられます。

 会社を創業して事業化するといった大きなものではなく、自宅を大きく改装して数名が下宿できる家の大家さんであり、管理人さんでもある、といった感じで始められます。

 我が子の世話をするの生活の一部としてこられたお母さんも、シェアハウスに住む数名の同士のような家族がいれば、ときには休むこともできます。

 少し形は違いますが、マクドナルドハウスもシェアハウスのようなものです。

国土交通省:シェアハウス ガイドブック
国土交通省:住宅セーフティネット制度について
日本経済新聞:シェアハウス生活、高齢者に広がる 同世代で支え合う(2015年11月4日)
公益財団法人ドナルド・マクドナルド・ハウス・チャリティーズ・ジャパン




当社のしごと

助言

 当社で出来る事は、助言です。

 どのような住まいづくりをしたいのかをお聞きし、間取りや設備についての助言をさせて頂きます。

 臨床経験があり、建設現場の経験もあるので、独自の視点から助言ができます。

 原則として中立的な立場に立ちコンサルティングするのが私たちの仕事なので、工費が増えても減っても損得がないため、施主本位の助言ができます。



リーズナブルに

 施工をしないのに、助言だけに費用を支払うことはコストなのか、必要経費なのか、難しいところだと思います。

 療養が始まってからの住宅改修はなかなか難しいです。追加工事はさらに難しいと思います。1回の工事でなるべく完璧に近づけておきたい、そうした願いに応えるのが私たちの仕事です。

 私たちは不可欠な存在ではありませんが、必要とされるよう努力しています。

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BCP お知らせ 療養住環境

医療的ケア児の地域と生活を知る ~震災時対応も含め~ (第9回大阪小児在宅医療を考える会) | NES株式会社


小児の医療的ケア

 2019年1月、大阪市立総合医療センターのさくらホールでイベントが開催されました。

日時:2019年1月20日(日) 09:30~13:00

会場:大阪市立総合医療センター

費用:無料

主催:大阪小児在宅医療連携協議会
後援:大阪府医師会・大阪府看護協会

【参考】日本小児在宅医療支援研究会

【参考】大阪小児在宅医療連携協議会:第9回大阪小児在宅医療を考える会

[Link] NES株式会社: 医療BCP

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BCP Press Rerease 医工連携 医療機器・設備・環境 療養住環境 講演

『講演無料キャンペーン2019春』の実施について | NES株式会社

『講演無料キャンペーン2019春』の実施について

 当社は稀少人材によるレアなサービスの提供を強みとしている零細企業です。同じ仕事をしている方々は居られますが、同じバックグラウンドの方とお会いすることがありません。

 そこで2019年は広く国民の皆様に当社事業を知っていただくことを目指し、講演事業を無償化するキャンペーンを展開します。

 講演会や研修会など形態は問わず、概ね30人以上または30社以上が集まる会合の講師を無償提供します。無償ではございますが、旅費はご負担いただきます。

 講演テーマは不問です。これまで数十回の登壇経験の中でも最多の医工連携関連、電気工事士と臨床工学技士の両実務経験から生まれた療養住環境やブラックアウトBCPなども対象です。

 本講演活動を通じて、ご参加の皆様には1つでも多くの新しい知識を身に付けて頂きたいと思っております。

2018年12月25日
NES株式会社




概要

名称

講演無料キャンペーン2019春

目的

  • 分かりづらいと言われる当社サービスの周知
  • 競合先・協業先を問わず当社事業の同士・同志を発掘

期間

2019年1月1日~3月30日

件数

最大30件(申込順)

方法

講演料(講師料)を無償化

対象

  • 病院内や会社内などで開催される内部勉強会等の場合は30名以上が出席する場合
  • 外部で開催される多数集合型の場合は30社以上が出席する場合

※.上記いずれかの条件を満たせば無償化対象

費用

  • 講演料 0円 (当社負担)
  • 交通費 依頼元負担

講師

指名できません (10回以上の講師経験のある者)

演題

要望可能(当社で通常お引き受けできるテーマに限る)

会場

依頼元が用意 (当社では場所確保や利用料負担はできません)

器材

依頼元が用意 (当社ではパソコンのみ持ち込みます)

資料

なし (ハンドアウトはございません。スライドは差し上げられません)

撮影

不可

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BCP Press Rerease 医療機器・設備・環境 療養住環境 電気工事

52時間停電で実証 現場適応性の高いNESの強靭住環境 | NES株式会社

52時間停電で実証 現場適応性の高いNESの強靭住環境

私たちが実際に被災

 2018年9月4日午後、台風21号が神戸へ上陸しました。

 電柱をも倒すと言われた風速40m/sを超える強風が吹き荒れ、関西地方では千本近い電柱が倒壊しました。
 関西電力と中部電力を合わせ300万軒超の停電が発生し、私たちの拠点がある兵庫県伊丹市でも停電が発生しました。

 9月4日の13時半頃に発生した停電は、9月6日の17時半頃まで約52時間も続きましたが、私たちは平時からの備えがあったためエアコン、冷蔵庫、洗濯機、給湯器、トイレなど生活に必要なアイテムは相当自由に使う事ができました。


受動的より能動的

 『困った時の神頼み』とは『平素は神を拝まない者が、困った時にだけ神の助けを頼みにすること』(広辞苑第六版)との事ですが、災害が起きてから神頼みをしてもすべてが叶うとは考えづらいです。

2018年9月6日
NES株式会社




こんな対応

発災

 2018年9月4日(火)午後、台風21号は神戸へ上陸しました。
 13時半頃、私たちの停電生活が始まりました。関西電力のシステムに不具合が起きたようで正確な情報はわかりませんが、この頃に100万~200万軒が停電したようです。


停電規模 ≠ 災害規模

 2018年9月6日(木)17時半頃に電力が復旧しました。
 関西電力が同日17時点の数値として延べ停電が約219万軒、未復旧(停電中)が約23.4万軒でした。復旧率は8割台でした。

 同9月6日午前3時8分に発生した北海道地震では、51時間後の8日6時の時点で99%の停電が復旧していましたので、1次災害の規模と停電規模は相関する訳ではないことが明らかになりました。


停電でも物資不足

 同時に被災する人が多ければ、救助や支援を受けられる確率は低くなります。
 更に停電は、緊急的な生命・財産の危機ではないため、支援を期待し過ぎない方が良いようです。

 今回の台風21号で言えば、近隣のスーパー、コンビニ、ドラッグストアは、停電後に1軒も開いていませんでした。自動販売機も停止するため飲食物は何も手に入りません。
 地震や暴風雨雪のような1次災害とは違い、2次災害だけでは避難所が開設されることは稀です。今回も避難所開設はなく、非常食配給や炊き出しもありません。
 今回は偶然にも3日目の朝に北海道で大地震が発生し、国民の関心は北海道へと向けられました。関西の被害状況といえば関西空港の連絡橋が中心となってしまったので、静かな停電生活となっていました。


情報不足

 ケーブルテレビが不通となり視聴不可、ネット視聴しても『関西電力社長が謝罪』と頭を下げる映像は流していましたが復旧に関わる情報は得られませんでした。受信可能なラジオ局は災害モードでは無く状況は不明なままでした。
 関西電力の停電情報ホームページがダウンしていたようで、非常に貧相な情報の中で復電を待ちました。

 騒ぐほどの被災という雰囲気がないためか、情報発信もあまりなされず、支援物資が届くとかボランティアセンターが開設されて多くの人が往来するといった状況ではありませんでした。


自衛・籠城

 私たちは自衛策を展開して自宅にこもりました。

 初動段階では懐中電灯やローソクを用意し、太陽光発電システムを自立運転に切り替えました。台風の最中ですので太陽光発電はほぼゼロでした。

 ただちに情報収集を始めましたが、ネットやラジオからは情報が得られませんでしたので、大規模停電も想定し準備を開始しました。

 ガスと水道は正常であったため、電力確保により平常を維持できました。
 電力確保ができなかった場合、ガスコンロは使えましたが給湯器は使えず、入浴はできなかったでしょう。
 近所では車中泊される方も居りました。30℃超の日にエアコンが使えず、冷蔵庫も使えない生活。40℃の酷暑をエアコンで乗り切った身体には、30℃でもエアコンなしは堪えます。




詳細

詳報

 ここでは概要をご紹介いたします。

 詳細についてはAmpiTa Projectのウェブサイトにて公開しておりますので、そちらもご参照ください。

[Link] AmpiTa: 停電52時間全記録


自家発電

 大雨の中でしたがenepo(カセットガス式可搬型発電機)を準備し始動、延長ケーブルを使って宅内に電源を取り込みました。

 この方法で冷蔵庫などコンセントに差し込む器具は動作させられますが、私たちは電気工事士として独自の処理を加え給湯器や天井照明も使えるようにしました。

 自家発電機1台でエアコンと冷蔵庫の併用が可能でした。
 洗濯機や給湯器はエアコンほどの消費電力はありませんが、途中で停まってほしくないため、エアコンを一時休止し、冷蔵庫は運転継続したままいつも通りの洗濯や入浴ができました。

バイクのホンダから出されている原付バイクほどのエンジンを積んだカセットガスを燃料とする発電機です。

食事は我慢できても、トイレは我慢できない

 トイレは平時の利便を考慮し全自動トイレ(アラウーノ)を設置していますが、従来型のタンク式も1基設置しているため誰もが平常どおりのトイレ利用をしていました。

 停電中に全自動トイレ(アラウーノ)を使うこともありましたが、手動レバーでの排水と、手桶での給水で対応できました。

自動洗浄トイレ(アラウーノ)停電時洗浄方法【動画説明】


食事も我慢しない

 食事については冷蔵庫が使えたので苦労は少なかったです。炊飯器が電力不足で使えないためレトルトパックの御飯を湯煎しました。カセットこんろでも良いので鍋に湯が沸かせることの重要性が実感されました。

 ルクルーゼのホーロー鍋調理も有用でした。朝一番に加熱調理、火を落として夕方まで放置し鶏大根を作りました。

 換気扇が使えない場合、夏場であれば調理の熱と蒸気が住環境を悪化させ、熱中症リスクを高めます。調理方法についても検討が必要です。


ビデオは視聴可

 電源が確保できれば、ビデオ視聴は可能です。

 飽きてしまった子供にはちょうど良いアイテムでした。

 ケーブルテレビの装置類にも電源供給しましたが、光回線自体にトラブルがあったようで地上波を含め受信不可でした。

 天井照明が点き、テレビがついていると正常性を感じられますが、一歩外へ出れば暗く静かな街があります。


総括

 結果として復電までに52時間もかかる停電に遭遇しました。

 平時からの備蓄と対応シミュレーションが役立ち、大きな混乱もなく3日間を過ごしました。

 電力の喪失が『電気』だけでなく給湯器にも及び、ポンプを使って給水している家庭では断水にも波及してしまいました。

 私たちの保有する冷蔵庫を医療機器や生命維持管理装置に見立てた場合、52時間の停電でも外部の力を借りることなく動作させ続けることが可能でした。
 仮に内蔵バッテリで2時間程度の停電が許容される医療機器であれば、自家発電の準備に2時間程の余裕があります。

 人工呼吸器などを使っていると停電リスクにも目が行きますが、今回は熱中症リスクを間近に感じました。
 ほんの数週間前には気温が40℃近かった日があり、死者が出てもおかしくないと思いました。さらに大量発生する熱中症患者への対応で救急隊や医療機関が混乱するとなれば、平時には助かる急患も生命危機が近くなってしまいます。
 私たちのような『備え』があれば熱中症や凍死のリスクを『軽減できる』とすれば、備えていないことをリスク要因であるととらえ、特に弱者を抱える療養環境では『身を守る術』として準備して頂ければと思います。




療養上のリスク・ハザード

hour (数時間)

 人工呼吸器などの医療機器を使用している場合、停電後2~3時間でリスクレベルが高まります。

 内蔵バッテリにより2時間程度は動作しますが、電源が途絶えれば全く動作しなくなります。

 内蔵バッテリは容易には追加補充できるものではないので、早めに患者を安全な場所へ移動させるか、自前の医療機器用外部電源の確保が必要になります。


day (日単位)

 今回の台風は、まだ気温が30℃を超えるような夏場に発生しています。

 日本の夏は熱中症リスクが高まっており、東京消防庁の発表では真夏のある期間に搬送された熱中症患者の45%が住居、そしてエアコンを使っていない人が多かったそうです。

 停電するとエアコンも扇風機も使えません。
 冷蔵庫や自動販売機が停止し冷たい飲み物も手に入りません。

 熱中症は大きな脅威です。


Emergency (緊急時の移動)

 救急車が平常ではありません。

 自宅の電話回線が使えなければ、119番通報もかかりつけ医への連絡もできません。今回の台風21号では固定電話は不通、携帯電話は使えました。

 信号が消灯しているため、交通混乱が発生し、自家用車でも救急車でも、移動時間は膨大化します。
 連鎖的に、119番通報へ対応する救急車に遅れが生じるため『いつもなら10分以内』というような想定は通じないのが実際です。




 その実践のために日頃から、あらゆる業界や人材との接点を持ち、業界用語を理解し、相互関係を築き上げています。
 これまでに培ったノウハウが独創的なアイディアを生み出し、課題解決に寄与しています。


非常時の医療を支える計画の策定や実装のお手伝いを致します。
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