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BCP BLOG

減災に向けた軽トラックの調達検討 | NES株式会社

 当社の中核事業にBCP(事業継続計画)に関するコンサルティング業務があります。

 BCP導入当初は『いま、この瞬間に災害が起きても対処できる計画』を念頭に置きますが、その後のBCP(事業継続マネジメント)では備蓄の見直しや従業員の研修などを重ねていきます。




軽トラック

 軽トラックとはトラック型の軽自動車で『軽トラ』(けいとら)と呼ばれているものです。

 一般的に座席が2つ(ツーシーター)で、車室部分はさほど広くありません。

 11年連続販売台数日本一というダイハツのHIJETは荷台長1,940mm、荷台幅1,410mmです。畳がスッポリと入るサイズです。

 車両重量は800kg程です。軽乗用車でよく売れているN-BOXが900~1,000kgなので、大人2~3人分くらい軽いです。

軽乗用車

[Link] ダイハツ: ハイゼットトラック

[Link] ホンダ: N-BOX




減災と軽トラ

 今回、減災をテーマに軽トラックの調達を検討した理由はいくつかあります。

 非常事態に陥ったとき、物資の枯渇が発生します。

 2018年に大規模停電が発生した際には、概ね30分圏内の商店はほとんど臨時休業となりました。
 当時、勘を頼りにバイクで走行し開店中のお店を見つけて物資調達できましたが、ある程度の備えがあったことや、対象人数が少なかったのでバイクに積める量で事足りました。

 職場や地域コミュニティを想定すると食料だけでも段ボール数箱になります。毛布など軽い物でも容積は大きくなりますので運搬に課題が生じます。

 また地震や台風のあとはゴミ処理も問題になります。大量のごみを処分場まで運ぶ必要がありますが、浸水した場合は泥だらけの物を乗用車の車内に積むのは気が引けます。

 災害自体を止めることはできませんが、発災後の被害を少しでも小さくするために軽トラの導入を検討しました。




合法的ではないが、人も運べる

 1度に何人もを寝かせたまま運びたい、大地震ではそうした状況が起こり得ます。

 阪神淡路大震災で大きな被害を受けた神戸市の病院には当時、リアカーで人を運んでくる光景が見られたそうです。当時でもリアカーは少なくなっていたと思いますが、今はほとんど見かけなくなっています。

 大震災では半径20kmくらいは被災し大混乱、ある程度の遠方まで患者を運ばなければ助からない事も考えられるので、最悪のケースとして人も運べるという事に価値があると考えます。

 また、酸素ボンベや人工呼吸器を搭載した車椅子は乗用車に積載しようとしてもたくさんは積めません。軽トラなら、チューブを患者につないだまま人と車椅子を荷台に積むこともできます。しかも複数積載できると思いますので、緊急避難的な考え方として軽トラの活路があるように思います。




GOA拡大

 私たちは『GOA』を推進しています。

 GOAとはgoal-oriented action、目標志向型の行動です。

 極端に言えば、目標のためには手段を選ばないという事です。

 実際には『良心と秩序に基づくGOA』として、どこまでが許容される行動であるかを事前に議論し、緩い基準を設けておきます。

 あまり強いルールで縛ると救い得る生命を落とす可能性もあるので、縛り過ぎない事が大事です。

 軽トラで何を運ぶことができるのか、軽トラをどのようなシーンで活用するのか、当社ではGOAを踏まえた議論が始まっています。




実勢価格は50~100万円

 軽トラックの車両本体価格は100万円程です。

 値引き交渉はできるのだと思います。オプションの有無でも金額が増減します。スマホ全盛時代なのでナビは要らなそうですがドライブレコーダーは欲しいところです。寒冷地仕様が必要な地域の方々も居ると思います。

 そこに軽自動車税17,300円、自動車重量税6,600円、自賠責保険料20,310円の44,210円の値引き不可な諸経費がかかります。

 新車としてディーラーさんで支払う額は100~120万円程度になると見られます。


 視点を中古車に向けると、年式の新しい物では新車並みの価格で販売されていました。

 10年落ちで10万km未満に絞ると50万円以下でも販売がありました。ただし、殆どが5速マニュアル車です。軽トラの中古車の半数以上がマニュアル車なので仕方ありません。

 走行距離を5万km程度に絞ると、平均して50万円という価格帯でした。

[Link] グーネット中古車: 軽トラック・軽バン




諸費用・維持費

 車の維持費として車検と保険があります。

 自動車保険をシミュレーションしてみました。10年前の軽トラで30歳以上ゴールド免許、本人のみ運転で試算しました。
 業務用とすると年間5万円程、自家用で年間3千km以下なら3万円程でした。災害備蓄としての軽トラであれば走行距離はそれほど多くないでしょう。

 車検については自家用軽トラとして自賠責などの法定費用が4万円程、ここに車検費用が加わって総額10万円程です。

 自動車税は車検が無い年にもかかります。軽自動車(4輪)の自家用貨物は5千円です。

 駐車場を借りる場合は月5千円~2万円くらいですが、減災のための車両を駐車場代を払ってまでという事は少ないかなと思います。




総じて月1万円~

 軽トラを買って10年で廃車にすると仮定します。

 50万円の中古車、2・4・6・8年目に車検を受けて4回で40万円、損害保険が10年で30万円とすると、合計120万円です。

 年12万円、月1万円という計算になります。実にキレイな数字になりましたが、偶然です。

 これが新車だと車両が50万円upなので170万円、120月で除すると14,166円です。

 もし事故などを起こさずに中古で売ると負担額を軽減できます。8年目の車検で手放せば2・4・6の3回車検で30万円、保険は8年分で24万円、中古買取が30万円とすると差引支出124万円となり、96月で除して12,916円となります。
 もしかすると10年目で無価値になる前に、8年で売ってしまった方が総額として安く済むかもしれません。




乗りつぶすならリースより買取(?)

 軽トラのリース費用を調べてみると新車9年リースで月々15,620円でした。下図はボーナス加算ありの場合です。

 走行できる状態を借りる(リース)ので自動車保険は別途かかります。前述の例ですと月3千円程です。

 10年乗って下取りがゼロ円だとしても、買取なら保険込で14,166円という試算でした。車検代が多少高くなったとしても十分に負担額は安いです。

 8年で乗り換えて行けば、リースで9年よりも高頻度で乗換ができて、しかも月額平均の負担額が5千円近く安くなります。




発電機を運べる

 当社では停電対策の研究を行っています。

 研究するために、機材を医療機関等へ持ち込む事もありますが、発電機となるとなかなか運べません。

 某倉庫型店舗で見かけた発電機の重量は92kg、しかもガソリンを使うという事で燃料漏れした際の影響は多大です。

 軽トラなら、そのあたりの事を気にしないで済むのでアリなのかなと思いました。

 ただし、いま当社が推しているのはLPガス(プロパンガス)発電機です。燃料の保管がラクで、災害時にも比較的調達しやすい燃料だからです。




N-BOXなら月2万円

 軽トラではなく軽ワゴンのシミュレーションもしてみます。

 ミリ波レーダーなどのセンシング技術による衝突軽減ブレーキ搭載、アイドリングストップなどのエコカー減税対象の装備を実装できる軽自動車です。

 諸費用込みで160万円くらいのようです。上を見ればオプションもたくさんあるのでキリがありません。

 自家用情報軽四輪の自動車税は7,200円、損害賠償保険(二に保険)は年3万円、車検は10万円とします。

 10年間で総費用240万円とすると120月で2万円/月となります。

 人気の軽乗用車なので、少し高めのグレード、自動スライドドアなどが付いたタイプを買って中古で売る事を想定しても良いと思います。
 8年前の車種でも走行距離が短ければ半値の80万円くらいで売られていますので、買取価格もそれなりに高いと思います。

 




車中泊や長距離ドライブならワゴン型

 『軽キャン』などと言われ軽ワゴンで車中泊する人が増えています。

 軽ワゴンなら確かに寝れます。デスクワークをするならハイエースのようなワゴン車が欲しいですが、ある程度の事は軽ワゴンでもできます。

 長距離ドライブをする際の仮眠にも軽トラより快適です。

 ある程度のグレードの軽ワゴンならドライブアシスト機能もあるので、長距離の運転もラクになります。

 ただし本体価格が倍近くになるので、月々の負担が大きくなります。備蓄用や減災用というレベルではなく、普段使いもしたくなるレベルなので、それであれば自家用車の見直しをした方が良いかもしれません。




非常事態を再考

 今回は物資調達や人の運搬など、非常時に発生する業務を支援する視点から軽トラックを検討しました。

 普段は必要ないが、非常時にのみ使用するという軽トラに月1万円以上も負担するのは少々重いと思います。

 では、常用と非常用を兼用するとどうなるか。そこを考えると軽トラではなく軽ワゴンという方向に傾いていきました。元の考えに立ち戻ると、ベッドや車いすを載せるといったこと、泥だらけのゴミを運搬すること等を考えてみるとN-BOXのような車は勿体ないなとも思います。

 10年に1度も遭遇しない非常事態だとすれば、10年間乗り続けても1度も汚れた物を載せないかもしれません。

 まずは非常時に何をしたいのかをしっかりと考えて、それに合う備蓄としての車両を再検討したいと思います。