
民間病院
(津波被災想定都市の高台立地)
特徴
こちらの医療機関様の特徴は以下のとおりです。
- 九州の東側沿岸部にある人口12万人規模の市にある病院
- 2020年代に入って移転新築、高台に立地
- 病床規模は150~199床、一般・特殊疾患・回復期リハ・地域包括ケアの病床を持つケアミックス病院
- 太平洋まで4~5km、山まで500m、最寄りの災害拠点病院まで5~6km程度

災害拠点病院ではないが….
災害拠点病院とは、災害時に多発する挫滅症候群や多発外傷、広範囲熱傷等の重篤救急患者の診療を担う特別な備えをした病院です。
この病院は、災害拠点病院ではありません。
しかしながら、災害時の備えが欠かせない病院でもあります。
この病院にとっての脅威の1つが難解トラフ巨大地震です。
大きな川を渡らないと災害拠点病院には行けませんが、ハザードマップでは橋に向かう道路が冠水する想定です。災害拠点病院周辺も津波で冠水する想定です。
高台にある希少な病院
市内の急性期病床は約800床あり、その過半数を災害拠点病院である県立病院が占めています。
津波が無ければ、災害拠点病院が多くの患者を収容し、治療できると思います。
一方で、津波が発生すると状況が一変します。津波被害を受けないと想定されている急性期病床は250床、その4分の1ほどをこの病院が占めています。
急性期全体のボリュームとしては3分の1程度に縮小していしまうため、そこに患者が集中することは避けられません。病床数不足の中で、大きなシェアを持つことになるため、災害拠点病院ではなく、公的病院でもない同院が、災害対策をしっかりと整えています。
BCP方針・戦略
脅威の定義
今回、弊社が受託した際のBCP上の脅威は『地震』でした。地震に伴って津波が発生することは想定内でした。追加作業として、『停電』も手厚くするように指示をいただきました。

提供すべき医療
最高位の災害医療は市内にある災害拠点病院(県立病院)に任せるとして、自院は既存患者を守りつつ、可能な範囲で新患へ対応します。
自院にとっての重要業務は既存患者のケアとしました。

患者想定(シミュレーション)
地域の病院をリストアップし、当該医療機関が担っている医療について示しました。
各病院の病床規模や概要を示しました。その横には津波ハザードマップを表示し、津波到来後に救急車が出入できるかどうかを視覚的にわかるようにしました。
その他、様々な手法で患者数を想定しました。

BCP上の戦略と方針
地震や津波で市内の状況が一変しても、医療を求める地域住民が行き場を失わないように、細々としていたとしても提供すべきサービスを継続するためには戦略が不可欠となります。

シミュレーション
地震に多い多発外傷などは、平時には受け入れることはないため人材も機材もないと想定されます。外傷については可能な範囲で受け入れるが、完全な治療を提供するのではなく、広域搬送までのつなぎの役割を果たす程度であったとしても、多くの人数をこなせるように備える必要がありました。
県や市の地域防災計画から外傷患者数を拾いだし、津波があった場合でも搬送できる病院の中で患者を分け合う試算を出しました。
負傷者全体で言えば何千人という単位が同院に降りかかるため、この規模の民間病院には手に負えないレベルであることは自明でした。トリアージの重要性を確認し、軽症者には2~3日待ってもらうことで、どうにか生命を落とさない医療が提供できるというギリギリのシミュレーションです。

行動計画
大綱
ヒト・モノ・情報などそれぞれについて非常時に何が起こり、どのような行動を起こすのかを書き込んでいきました。
その行動に必要となる備蓄なども併記しました。

重要業務
戦略策定時に掲げた重要業務に対する行動計画を立てました。
まずは院内の既存患者(入院患者)を守ること、次に外からの患者を受け入れられるように体制を整えること、この順で計画を立てました。

職員参集と受援
発災後に参集できる職員の数で、サービスの量・質が左右されます。
津波である程度の地域が孤立してしまうので、参集できる人数には限りがあります。基本的には誰も出勤して来ないであろうという想定から始めています。

情報発信
災害時の情報収集は当然のこととして行われると思います。BCPにもその手段や頻度などを明記しています。
災害拠点病院としてEMISは確実に入力する必要があります。
当社では情報発信の重要性についてもご案内しております。

BCM
マネジメント
(Business Continuity Management)
BCPは計画です。希望も含めた内容を盛り込んだ文書であるとも言えます。
その計画が最適に実践されるためにはマネジメントが必要になります。
当社ではBCP策定のみならず、BCMについてもお手伝いさせて頂いております。

調整
マネジメントの重要業務として各種調整があります。
院内調整としては備蓄量の調整や職種横断的な役割分担など多種多様です。
院外にも調整先があり、例えば市役所の水道局や交通局、医薬品卸会社や門前調剤薬局、同じ診療科を持つ近隣の医療機関も調整相手となることがあります。

訓練
災害訓練に立ち会いました。
訓練を実施することで課題が抽出できるだけでなく、スタッフの皆さんが自身の進捗を把握でき自信を持つ事につながる場合もあります。


