先日の中医協総会では、2026年の診療報酬改定における個別改定項目が示されました(資料 総-2 個別改定項目について(その1))。
- 議事次第[PDF形式:38KB]
- 総-1医療機器及び臨床検査の保険適用について[PDF形式:4.4MB]
- 総-2個別改定項目について(その1)[PDF形式:4.6MB]
- 【会議資料全体版】第644回総会資料[PDF形式:7.7MB]
改定によって業務継続計画(BCP)の策定が求められることになった施設基準等があります。
ここでは、どのような内容であったかを確認したいと思います。
【参考】中央社会保険医療協議会 総会(第644回) 議事次第
DPC/PDPS の見直し
この項においてBCPは見直し対象ではなく、以前からの継続になります。別表4の災害の項に関しては前回改定時と変わりません。2022年(令和4年)改定時に災害拠点病院以外のDPC病院がBCP策定した場合に0.25Pの評価を受けられるようになっています。
【Ⅱ-1-1 患者のニーズ、病院の機能・特性、地域医療構想を踏まえた医療提供体制の整備-⑮】
⑮ DPC/PDPS の見直し第2 具体的な内容
2.医療機関別係数の見直し
(1)~(2)(略)
(3)機能評価係数Ⅱ及び救急補正係数
複雑性係数の評価手法について必要な見直しを行う。
地域医療係数のうち定量評価指数について、DPC 標準病院群においては、新たにがん、脳卒中、心筋梗塞等の心血管疾患及び周産期の4領域にも着目した評価に見直す(別表2参照)。
また、地域医療係数のうち体制評価指数について、「認定ドナーコーディネーターの院内配置」及び「地域の需要変動への応答性」に係る項目を新設する(別表4参照)。
その他の機能評価係数Ⅱ及び救急補正係数については、従前の評価方法を維持し、再設定を行う(別表2~別表4参照)。
別表4 <体制評価指数の具体的な評価内容(令和8年度)>
災害
災害時における医療への体制を評価
- 災害拠点病院の指定(0.5P)
- DMATの指定(0.25P)
- EMISへの参加(0.25P)
- BCPの策定(0.25P)
【参考】中医協:令和4年度診療報酬改定項目の概要(2022年7月27日)
【参考】中医協:DPC/PDPSの見直し(2020年1月29日)
機能強化加算の見直し
かかりつけ医機能に係る機能強化加算の要件が見直されます。
機能強化加算の目的は、かかりつけ医が外来医療の適切な役割を担い、的確で質の高い診療機能を評価するものです。自院で完結ではなく、専門医療機関への受診の要否の判断を含めて質の高い診療とされています。
対象の医療機関は200床未満の病院・診療所です。初診時に80点加算できます。2023年度の『機能強化加算』の算定回数は下表のとおりです。32,550,605点×10円/点の合計額は26億円です。手元資料によれば届出施設数は15,792なので、1施設あたりの平均は164,897円、届出基準対応にどこまで費用負担できるのか不明です。
| A基本診療料 | 111013770 | 機能強化加算(初診) | 32,550,605 |
| B医学管理料 | 113028970 | 機能強化加算(初診)(小児かかりつけ診療料) | 1,886,985 |
| B医学管理料 | 113028870 | 機能強化加算(初診)(小児科外来診療料) | 5,041,600 |
今回、従来の1~5項に加えて、新たに第6項と第7項が新設されます。その第6項が業務継続計画(BCP)に関わります。
ここでは、業務継続計画(BCP)の策定を明文化しています。
【Ⅱ-3 かかりつけ医機能、かかりつけ歯科医機能、かかりつけ薬剤師機能の評価-①】
① 機能強化加算の見直し
第1の3 機能強化加算
1 機能強化加算に関する施設基準
次のいずれにも該当すること。
(1)~(5)(略)
(6)
「医療機関(災害拠点病院以外)における災害対応のための BCP 作成の手引き」等を参考に、医療機関の実情に応じて、災害等の発生時において、当該保険医療機関において患者に対する医療の提供を継続的に実施することを目指すこと、非常時の体制で早期の業務再開を図ること及び患者と職員の安全を確保すること等を目的とした計画(以下この項において「業務継続計画」という。)を策定し、当該計画に従い必要な措置を講じること。また、定期的に業務継続計画の見直しを行い、必要に応じて業務継続計画の変更を行うこと。
在宅療養支援診療所・在宅療養支援病院の見直し
在宅療養支援診療所及び在宅療養支援病院について、災害時における在宅患者への診療体制を確保を目的に要件が見直されます。
業務継続計画の策定及び定期的な見直しを行うことが求められます。
経過措置として2027年5月31日までの間に業務継続計画(BCP)を策定すれば良いとされていますので、1年ちょっとは準備期間を持つことができます。
在宅療養実績加算を受けるには在宅療養支援診療所・在宅療養支援病院である必要があります。在宅療養実績加算は比較的大きい点数になるため、引き続き対応するよう努める医療機関が多いと思います。
【Ⅱ-5-1 地域において重症患者の訪問診療や在宅看取り等を積極的に担う医療機関・薬局の評価-⑤】
⑤ 在宅療養支援診療所・病院の見直し
第2 具体的な内容
在宅療養支援診療所・病院の要件に、業務継続計画の策定及び定期的な見直しを行うことを追加する。
【在宅療養支援診療所】
[施設基準]
六 在宅療養支援診療所の施設基準
次のいずれかに該当するものであること。
(1) 次のいずれの基準にも該当するものであること。
イ~タ (略)
レ 業務継続計画の策定及び定期的な見直しを行うこと。
[経過措置]
令和8年3月31日において現に在宅療養支援診療所又は在宅療養支援病院の届出を行っている保険医療機関については、令和9年5月31日までの間に限り、第三の六の(1)のレに該当するものとする。
【参考】中医協:在支診・在支病の施設基準(2025年4月23日)
【参考】厚生労働省:令和6年度診療報酬改定の概要 【在宅(在宅医療、訪問看護)】(2024年3月5日版)
救急外来医療に係る評価の再編
救急医療機関における、夜間休日を含めた応需体制の構築、地域の救急医療に関する取組等の現状を踏まえた保険点数の見直しが行われます。
- 救急搬送医学管理料
- 夜間休日救急医学管理料
救急外来医学管理料の施設基準について、第13項に業務継続計画(BCP)の策定、および年1回以上の訓練実施が明文化されます。
第6の5 救急外来医学管理料
1
救急搬送医学管理料1、夜間休日救急医学管理料1及び救急外来医学管理料の注3に掲げる救急外来緊急検査対応加算1に関する施設基準(1)~(12) (略)
(13)
業務継続計画(BCP)を策定し、当該BCPに基づいた災害訓練を年1回以上実施していること。
BCP策定
『医療機関における災害対応のための BCP 作成の手引き』を参考にBCPを策定しても良いと『機能強化加算』の項では書かれていますが、在宅療養支援診療所、在宅療養支援病院、救急外来医療の項にはそのような記述はありません。
解釈は分かれると思いますが、機能強化加算においてはある程度まで形式的なBCPも許容するが、在宅療養や救急外来においては形式的ではなく実践的なBCPの策定を求めているのではないかと考えられます。
在宅療養支援診療所・在宅療養支援病院についてはBCP策定の猶予期間は1年以上も設けていますので、やはり形式的ではなく実践的なものを求めているように見えます。
手引きを見て、雛型どおりにBCPを策定することが悪い訳ではありませんが、診療内容や地域環境などが異なる医療機関が共通して使える雛型は無いと思います。南海トラフ巨大地震では、津波の在る無しでも大きく異なりますので、そうした点から見ても共通したBCPは作れないかなと思います。
BCPの作り方
BCPを作るには、対象となる自然災害などを定義する必要があります。
一般的には地震、津波、暴風雪、噴火などが挙げられます。停電や断水を粒立てて策定する、原発事故を想定する、サイバー攻撃を脅威とするなど、各院で様々なBCPが策定されています。
何を恐れるかが決まれば、次は対処について方針を掲げます。
その後もいくつかの手順を踏んでBCPが完成します。
院内にBCP策定の経験がある人が居ないようであれば、イチから勉強して策定することになるので非常に時間がかかり、労力もかかります。単価の高い医師らが策定するよりも、外部委託してしまったほうがリーズナブルな場合があります。
計画策定支援屋さん
弊社は医療に特化した業務継続計画(BCP)の策定やマネジメントをするコンサルティング企業です。
中小病院、国公立病院、災害拠点病院など多種多様な医療機関のコンサルティング実績があります。
臨床経験のある医療有資格者が担当するコンサルティングは稀なサービスです。


