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治療満足度と医療費 | NES’s blog

治療満足度と医療費

腰痛が激痛

 去る12月10日、腰痛にて歩行も困難なほどに陥り、杖とコルセットなしでは行動できないくらいになってしまいました。

 12月11日は広島で講演があったので新大阪⇒広島を新幹線移動、立てなくなる可能性があったので座席は通路側に変更。ネット予約の便利さを実感。



素人相手だから?

 帰阪して12月12日、午前・午後とも本町で仕事。昼休憩の間に近所のペインクリニックまでタクシー移動。希望していない鍼治療。湿布と痛み止め処方。

 ブロック注射を希望したが、クリニックではできないことになっているような説明。
 できるはずと食い下がってみたが、相手にされず。
 藁をもすがる思いでたどり着いた医療機関でしたが、残念な結果に。まったく痛みは緩和せず。

 鍼治療、希望していません。
 病院以外では麻酔はできないというのも間違いです。後述しますが、麻酔はできます。



医療従事者の鑑

 治らないので12月16日に自宅近くのペインクリニック受診。相談の上でブロック注射施行。処方薬は鎮痛剤(坐剤)3日分(土日を挟むため月曜までの分)。

 最初のクリニックは一方的、2軒目のクリニックは対話的。最初は痛みが取れないが『麻酔』という医療費1,250円、次は痛みが取れた『麻酔』という医療費8,480円。結局は最初の1,250円は無駄なコスト。



医療従事者としての薬剤師

 どこの調剤薬局もカウンターに患者を呼びつけるスタイルは変わらない。

 カウンターまでの数歩、そのためにどれだけのエネルギーを消費するのかわかって頂けないようで。
 息を整え、姿勢を正し、息を止めて立ち上がり、そのまま息を止めてカウンターへ。やっとたどり着いたカウンターは背丈に合わないが、テーブルの上に並べた物の説明が一方的に始まり….

 薬局とはそういうものだと割り切ってはいますが、本当にしんどかったです。



良い医療従事者

 筆者が良否の基準を持っている訳ではありません。

 ただ、激痛を伴う患者になってみたとき、医療従事者の所作や言動の1つ1つが重く感じました。

 改めて『この患者は何を求めているのか』『いま何ができないでいるのか』『困っている事はないか』と探る努力も必要だなと感じました。

 今後、誰かに教えるとき、教わる時、注意したいと思います。




医療費比較

 今回の医療費について比較します。

 調剤薬局の『調剤技術料』『薬学管理料』が腑に落ちない項目・金額でしたが、内閣官房からも問題提起がされていました。

 ペインクリニックでの治療については『痛みを取る』という目的を達成してもしなくても、医療費を請求できるという点が課題であり、しかしながら結果を求めることは医療の特性上は難しいことも理解できます。



最初のペインクリニック

 最初に訪れたペインクリニックの請求額は2,120円。治療費は6,050円の3割負担なので1,820円。保険外負担の300円が何かわからない。

 施行した治療は対面診察、鍼、温熱器による熱照射、湿布貼替。

 ブロック注射を希望したができないとのこと。注射はしていない、薬も使っていない、なのに麻酔125点(1,250円)が請求されています。

 何をもって麻酔と呼んでいるのか。不明です。

 そして謎の300円の自費負担。
 『理解の上の同意』が原則であれば、契約していない物を売りつけて請求書を起こしていることになります。

 とはいえ、請求されたのでしっかり支払います。



最初の調剤薬局

 最初のクリニックの処方箋を持参して、同ビル内の調剤薬局へ。

 薬剤料が273点=2,730円、3割負担で819円は安いと思います。大衆薬として販売されているロキソニンSテープは定価で7枚入り1,058円、35枚で5,290円。今回は35枚と鎮痛剤を合わせて自己負担819円。これは安い。

 問題は薬剤技術料1,300円、薬学管理料500円。わずか10分もかからない作業で1,800円。歩くのもしんどいのにカウンターに呼びつけられて現金を回収。どこでも同じ光景かもしれませんが。

 医薬分業が進みましたが、医師から説明を受けて処方されているので、薬だけ受け取れれば良い様にも思いました。

 AIが進化すれば薬剤説明に人間は介在しなくなり、ロボットが患者の傍まで届けて説明してくれるようになると思います。お薬をしっかり服用しているかも確認できるようになれば飲み忘れが減り、残薬も自動管理されて重複処方も減り、本質的に診療報酬の総額を下げることができるような気がしました。

 単価を上げて総額を下げる、サービスは向上する。悪いことはないような気がしました。



2軒目のペインクリニック

 しっかり治療をしてもらえた診療所です。痛み発症から現在までのエピソード、手術歴などを詳しく質問されて診断、治療へと移りました。

 初診料282点はどこも同じ。処方箋料(投薬)70点も普通。麻酔手技をしてもらって848点。こちらはX線TVを使い、清潔手袋を装着して、患者の目の前で麻酔薬(キシロカイン)とステロイド薬(リンデロン)を注射筒に吸い、ニードルで腰部に注入していたので放射線も麻酔薬も使ったブロック注射です。

 施術後のリカバリ中も何度か看護師が観察に来て血圧測定していました。医師、看護師の手間がかかって8,480円、自己負担分2,544円は安いと思います。

 自己負担3,600円で痛みから解放され、また治療中も快方への意欲がわく診療でしたので満足度は高かったです。



2軒目の調剤薬局

 こちらも原則としてカウンターへ来なさい、というタイプ。

 処方箋を渡しにカウンターへ。そしてカウンターから離れてから呼び出されて保険証提示に再びカウンターへ。またカウンターから離れてから呼び出されて薬を渡すとのこと。
 あまりに私の動きが遅いので薬を渡すときには薬剤師が来ましたが、結局支払いにカウンターへ来いとのこと。
 結局、入店から3回もカウンターへ行くことに。杖をついて慎重に歩いている姿をスタッフをカウンターから見て待つのがお仕事。患者から見ればプレッシャー以外の何ものでも無いような。

 お薬の説明書きが渡されますが、3mm角の明朝体で読みづらい書体です。文中には『霧視』『虚脱』などの素人にはわかりづらい表記が散見。
 そして『くすりの詳しい情報は、以下のホームページでご覧になれます』という文章と『http://www.pmda.go.jp/pnavi-01.html』という長いURLが記載。これを打ち込むとPMDAの『一般の方におすすめのコンテンツ』が開きますが、処方された薬の情報にたどりつくにはどうしたら良いのかわかりません。

 薬歴を残すためということで薬剤師さんが『どこが痛いのですか』と聞いてくるが、こちらは1秒でも早く帰宅して横になりたい。
 はやくPHR(Personal Health Record)が普遍化してクラウド上で健康情報が自己管理できるようになれば、効率よく進むような気がします。薬剤師も情報収集に時間をかけるのではなく、必要情報を与えられた上で薬剤師本来のアドバイスができる方が職能が活かされて良いのではないでしょうか。

 医療ニーズ、現場ニーズを知るには良い機会でした。




薬剤技術料

 今回気づいた課題の1つが医薬分業による処方薬の高額化。医師の説明だけで薬を渡して貰えたら安いのではないかという疑問に対し、内閣官房の方でわかりやすい資料が提供されていました。

 やはり院外処方は高くつくようです。

【参考】内閣官房行政改革推進本部事務局: 診療報酬(調剤技術料), 2017年11月16日(PDF:457KB)




治療満足度と費用対効果

 今回の一連の診療では、2軒目のペインクリニックが圧倒的にリーズナブル。非常に満足したので『おひねり』『投げ銭』制度があれば何の抵抗もなく追加を支払いたいと思いました。

 医工連携、現場の課題やニーズの発掘が仕事なので、それに直面できたという意味では、個人的には費用対効果が多少はあったのが他の医院・調剤薬局です。

 治療の選択肢を知らない『素人』の患者が、痛みや苦しみに耐える時間を最短化・最少化できる仕組みが必要であるなと感じました。
 今回のケースであれば、じっとしている方がラクだったので、1軒目のクリニックはわざわざ移動して受診した労力と時間は有効ではなかったようですし、タクシー代や治療費も無駄だったかもしれません。

 1軒目に関係して使った現金は5,000円程。協会けんぽの負担が8,000程。
 はじめから2軒目のペインクリニックを受診できていれば不要であった13,000円。

 遠隔コンサルテーション医師サービスのようなものがあって、たとえ有償であったとしても利用する価値はあるなと感じました。例えばコンサル料が自己負担2,000円。コンサル結果の出た医療機関の予約サービスが1,000円かかるかわりにコンサル時にやりとしりたサマリーは先に送られている、といったサービスなら利用したいですね。

 腰痛、聴力低下、巻き爪、どれも救急車で搬送されるほどの状況ではないですが、何軒も受診するのもしんどいです。




[Link] NES株式会社: 医工連携事業化推進コンサルティング