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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を鑑みた簡易陰圧室の実験結果 | NES株式会社

簡易陰圧室実験結果(成功)

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行により、感染症の病床は逼迫しつつあり、追加病床の整備が進められています。

 また、軽症者は病院外で療養することも想定されており、療養環境の整備が求められています。
 陰圧室とは、感染者のベッド周りを他室より低い圧に維持し、他室からの空気の流れはあっても自室からの空気流出を無くすことで、ウイルスを廊下や隣室等へ広げないための措置が施された部屋です。

 当社では、実際に圧差を生み出せる専用ファンを用いて陰圧実験を実施し、成功しましたので報告致します。

2020年4月7日
NES株式会社

[Link] 簡易陰圧装置開発プロジェクト (特設ページ)




実験内容

治療・隔離

 当社では、社員や関係者が感染したときのための隔離室を用意しています。

 一般住宅の洋室・和室ですが、専用トイレが部屋の前にあり極力他者と接触せずに生活・療養することができます。

 今回、この部屋を用いて簡易陰圧実験を実施しました。


実験

 圧差を生む専用ファンを窓に設置しました。

 廊下から部屋へと空気が流れている事を確認するために、扉前にティシュを置いて空気の流れを可視化しました。

 ティシュが部屋側へ流れていくことを確認し、実験成功としました。




販売開始

ソリューション・パッケージ

 簡易陰圧室の実現について、当社では本解決策を商品として販売することと致しました。

 本体・加工費などを含めてご案内致します。

 詳しくは、お問合せ下さい。

お問い合わせ



Keyword

COVID-19・新型コロナウイルス感染症

 新型コロナウイルス感染症、国際的にはCoronavirus disease 2019を略してCOVID-19と称されている新興感染症は、2019年末頃より流行が始まり中国湖北省武漢市では大規模な感染拡大が起こりました。

 無症状や軽症の患者も少なくありませんが、人工呼吸器が必要な重症例も多く発生し、数%の患者がお亡くなりになっています。

 季節性インフルエンザなど既知のウイルスは空気中に浮遊しても時間とともに失活するため春になれば流行が収まるといった状況を毎年繰り返していますが、今日現在、COVID-19については詳しい事がわかっておらず、予防ワクチンや治療薬は確立されていません。


陰圧室

 空気感染防御を目的として病室内を安定した陰圧(負圧)状態にして診療を行います。廊下や隣室よりも低圧であるため、空気は圧の高いところから低いところへと流れるために陰圧室からウイルス等が室外へ撒き散らされることがないとされています。

 確実な陰圧隔離を行う場合、病室の陰圧状態を安定させるために前室を設けます。廊下と前室では前室が陰圧、前室と病室では病室が陰圧になるように制御します。圧差は2.5Pa以上がCDCガイドライン上の推奨値です。

 陰圧室は隙間からでも空気を吸い込んでしまうため塵埃をも引き込むため、きれいな空気を供給するためにフィルタ付の給気口を設けます。


CDC

 CDCとはCenters for Disease Control and Preventionの略称で、米国疾病予防管理センターなどと和訳されます。医療従事者であれば『CDCガイドライン』という言葉はよく耳にしています。使い捨て診療材料の交換頻度や、消毒方法などCDCを参考にしていることが多くあります。

[Link] Centers for Disease Control and Prevention (CDC)


HEPAフィルタ

 きれいな空気を供給する上で多用されているHEPA(ヘパ)フィルタには定義があり、JIS規格では『定格風量で粒径が0.3μmの粒子に対して99.97%以上の粒子捕集率を有しており、かつ初期圧力損失が245Pa以下の性能を持つエアフィルター』とされています。

 当社では『0.3μm』に着目しており、HEPAフィルタが必ずしも有効では無いのではないかという事をお客様にご案内しております。新型コロナウイルスの径は0.1μm(100nm)程と言われておりますので0.3μmの網目であれば容易に通過できてしまいます。ただし、新型コロナウイルスの感染は飛沫感染と接触感染です。飛沫感染するときは唾液などのエアロゾルで飛散した新型コロナウイルスとなりますので、粒径は100nmよりも大きくなり、HEPAフィルタでも捕集できるようになるようです。

 また、『初期圧力損失』という表現があるように、フィルタが目詰まりを起こせば圧力損失は大きくなりフィルタの掃除や交換が必要になります。交換時にはフィルタに捕集されたウイルス等に晒されることになるため十分注意するようご案内させて頂いております。

[Link] JIS B 9908


自宅療養予想(当社独自)

 当社では今後、COVID-19陽性患者の軽症~中等症患者が院外で療養することを予想しています。それは、医療機関の病床が満杯となり、中等症と重症の境界が引き上げられることにより、従来は重症として入院していた患者も中等症として院外で療養する事になることを予想しています。

 そうならないで欲しいとは願っていますが、そのような事態になった際には自宅や高齢者施設、ホテル等でも比較的重い症状の患者を診る事になりますので、少しでもレベルの高い療養環境が即座に提供できるよう今回のような実験を行っています。