カテゴリー
BLOG 医工連携

ユニバーサルヘルスカバレッジとリバースイノベーション | NES’s blog

ユニバーサルヘルスカバレッジ

 ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ (UHC: Universal Health Coverage)とは『すべての人々が適切な予防、治療、リハビリ等の質の高い保健医療サービスを、必要な時に、必要な場所で、経済的な困難を伴うことなくアクセスできること』を意味します。

Universal health coverage means that all people have access to the quality health services they need, when and where they need them, without financial hardship.




世界保健デーとUHC

 2019年の世界保健デーのテーマはUHCです。

 厚生労働省でもUHCを推しています。

 SDGs (持続可能な開発目標)の流行にも合致し、世界がUHCに関心を持っています。


WHO Message

Universal health coverage is WHO’s number one goal. Key to achieving it is ensuring that everyone can obtain the care they need, when they need it, right in the heart of the community.

Progress is being made in countries in all regions of the world.

But millions of people still have no access at all to health care. Millions more are forced to choose between health care and other daily expenses such as food, clothing and even a home.

This is why WHO is focusing on universal health coverage for this year’s World Health Day, on 7 April.

 UHCはWHOの最大の目標です。 それを達成するための鍵は、誰もが必要なときに必要なケアをコミュニティの中で受けられるようにすることです。
 世界のすべての地域の国々で進歩が見られています。
 しかし、何百万もの人々がまだヘルスケアへのアクセスをまったく持っていません。 何百万人もの人々が、衣食住の生活費とヘルスケアの費用を選択しなければなりません。
 これが、WHOが今年4月7日の世界保健デーの普遍的な健康保険に焦点を当てている理由です。

【参考】WHO

【参考】WHO: World Health Day, 7 April 2019

【参考】厚生労働省: 2019年世界保健デーのテーマは「ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)」です。




Involve UHC in reverse innovation

 私たちが推進する医工連携の事業化において、UHCやリバースイノベーションを重要なキーワードに掲げています。

 日本や先進諸国の医療に向けた商品提供は市場規模も大きく、間近で行われている医療なので参入しやすいと思いますが、競争が激しく、またレベルも比較的高いという特徴があります。

 新興国や途上国では、既に日本では陳腐化してしまった技術や商品が必要であったり、レベルを下げてでもコストダウンが必要であったりします。

 Reverse Innovationは米国GE社がとった開発戦略です。
 先進国の既製品をインドや中国に押し付けるのではなく、現地で必要とされる機能や価格を分析し、最先端技術が必要な部分とローテク・ローコスト化ができる部分に分けて開発を行いました。
 そこで開発された廉価版の医療機器が、本国アメリカに逆輸入される形で市場を形成したことから、広がりをみせています。
 代表的な事例に超音波診断装置(エコー)や12誘導心電計があります。センサー部分は最先端技術を使ったとしても、頭脳や表示部はパソコンやタブレットなど汎用品を利用する事で低廉化を図りました。

 医療機器産業への挑戦を支援する上で、こうした考え方を企業様に提案しています。
 洗練された医療機器も良いですが、アナログやメカを駆使した機器の方が重宝される場面もあります。

 医療機器ではありませんが、例えばテレビ。乾電池が入手困難な地域にリモコンは無用の長物です。放送局が1局しかない地域ではチャネルを変えることすらありません。停電の多い地域ではバッテリ内蔵が求められます。これらのことは技術的に進歩性はありませんが、現地では必要とされていることです。これらを搭載したテレビは、もしかすると日本の災害対策として重宝されるかもしれません。

 日本で簡易なプレハブに住む人は少なくなりましたが、アジアでは立派な住宅として流通しています。
 ダイワハウスのプレハブ工場は東南アジアにあり、平時はそこからアジア各国へ出荷されています。
 ただし、日本で大災害が起こると仮設住宅用に輸入されます。平時には国内需要がないため大量在庫は負の財産でしかありませんが、流通の多い国々に進出することで生きた財産として保有し、有事にはいち早く提供することができるのは企業努力と戦略があってのことです。

 私たちは医工連携において、リバースイノベーションにUHCを巻き込む手法について早くから推奨し、講演などを通じて普及浸透に努めています。




[Link] NES株式会社: 医工連携事業化推進コンサルティング