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感染性廃棄物に志向した医療機器開発 | NES株式会社

 医療機器等の開発と言えば、用途や機能に意識が集中しがちですが、廃棄物処理という視点は見落とされている部分かもしれません。

 産業界では既にSDGs活動として廃棄物を減らす動きが出ているが、医療現場から出される廃棄物には独特の事情がある。

 廃棄物処理だけをシーズに参入する方法もあれば、既存商品との差別化に廃棄物処理を提示する方法も考えられる。




廃棄物処理法

 本邦でのゴミ処理は廃棄物処理法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)に規定されています。

 この法律の目的を簡単に述べると、ゴミを減らす事と、適正な処理による公衆衛生の維持向上です。

 ゴミは大きくは一般廃棄物と産業廃棄物に分類されます。

[Link] 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)

[Link] 廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令(廃棄物処理法施行令)




感染性廃棄物

 感染性廃棄物は産業廃棄物の中の『特別管理廃棄物』に指定される物が想定されます。

 実際、細かい事を言えば病院で鼻血が付いたガーゼは感染性廃棄物ですが、家の中で鼻血を拭いたティシュなどは一般廃棄物として処理されていると思いますので、色々な事を踏まえて廃棄物は分類されます。

[Link] 環境省: 廃棄物処理法に基づく感染性廃棄物処理マニュアル(平成30年3月)




医工連携の要素はどこに?

 廃棄物処理法の目的にも合致する部分として、ゴミの減量があります。

 ゴミを増やさない方法か、現に存在するゴミを減らす方法があります。

 人工透析では体外で血液を処理するための血液回路や人工腎臓(ダイアライザ)がありますが、治療後は生理的食塩水と残血で満たされています。
 この液体を抜き捨てる事でゴミの重量を減らす事ができるので治療後に液体を抜いている施設も少なくありません。

 液体を抜いた後の容器等は空気が充填されています。
 この容器等を破砕して小さくすることで、ゴミの容積を圧縮する事ができます。1回あたりの運搬量が増やせるため経済効果が期待できます。

 感染性廃棄物は更に細分化され、感染性一般廃棄物か感染性産業廃棄物かで処理料は変わりますし、そもそも『感染性』を付けられなければ一般ゴミと同じ様に処分できます。




小さな気づき

 あるデバイスを使う際に、毎回トレーを用意している事がわかりました。

 トレーは汚染されるため、毎回洗浄が必要でした。

 あるデバイスの梱包を工夫し、使い捨てトレーを兼ねられるようにしたところ、現場では積極的に採用され他社との差別化につながりました。

 元々はゴミとして捨てられていた梱包材が、1つ仕事をこなしてからゴミになる事でそこに価値が生まれ、さらにトレーの洗浄手間を省く事にもつながりました。

 同じように、病院でよく使われるゴミ袋と同じサイズに調整したパッケージは、やはりゴミ袋として使われるようになりました。

 現場に出入りし、現場の意見を拝聴しなければわからない事ですが、些細な事がビジネスに大きな影響を与える可能性があります。




分別しやすい

 先日、ある開業医とゴミの分別について意見交換しました。

 滅菌済のパッケージは感染性ゼロのはず、それを上手に捨てれば感染性廃棄物では無いというのは論理的に正しい事だと思います。

 一般ゴミの世界では紙ごみとプラごみが分別されています。
 この滅菌済みのパッケージも紙とプラを分ける必要がありますが、そもそも全体がプラか紙のどちらかで作られていれば分別も簡単であるという意見で一致しました。

 典型的な滅菌パックは背面が紙、前面が透明ビニルという物です。紙には通気性があり、滅菌インジケーターも印刷できて良かったのですが、近年は全面が同じ素材のパックも珍しくありません。




固い段ボール

 医療で使われる物の多くが高単価です。

 そして清潔を維持しなければなりません。

 必然的に外装の段ボールは堅牢な物になります。

 解体は手間ですし、潰した段ボールを重ねていくと、1つ1つが分厚いのですぐに山のように積みあがります。

 以前、透析病院の技士長をしていたとき、1日200人の透析患者を迎えていたのでゴミの量も相応に多かったです。
 生理的食塩水だけでも10本入が20箱、ダイアライザや血液回路、注射針、ガーゼ等の処置パック、透析液などすべてが箱単位で消費されるので、毎日段ボールが山積みでした。
 これの処理に時給換算2千円の人員を毎日1~2時間充当していたので、何とか集約化して時給千円のパートタイマーさんにスイッチできないかと模索しました。

 メーカーに梱包の変更を依頼しても、全国32万人の透析患者の内の400人では影響力がありませんでしたが、もう少し経済性をシミュレーションして賛同者を増やせば、変わったかもしれません。

 梱包の堅牢性は必要かもしれませんが、分厚い段ボールに代わる何かには期待があると思います。




ゴミの二次利用

 感染性廃棄物は処理されて終わりという事になっていますが、この廃棄物が何かに利用できれば処理費用を軽減する事ができます。

 安直な考えで言えば燃料です。
 ビニル製のディスポ製品が多いので、燃やす事はできそうですが、発生するガスの処理など課題はあります。

 まとめて滅菌して感染性を無くせば有効活用できるかもしれません。

 ほとんどの人が使って捨てる事を考えていますので、医工連携の視点で言えば、捨てた後の事をひそかに考えてみるのも有意義だと思います。




品目別処理

 ほとんどの医療機関が、廃棄物処理は1社に委託していると思います。
 受託する側も1社にまとめてもらう事で人員配置や車両配備のコスト軽減にもつながります。

 あえて、そこに切り込むビジネスもあるかもしれません。

 採血管などの筒状容器専門、包帯やガーゼなど布製品専門、注射針専門、カテーテル等の長尺物専門など、何か専門とした処理業者あるいは、処理機があっても良いかもしれません。

 病院側も処理業者側も困っている品目があれば、咎められることなく参入できると思いますが、誰も困っていない領域で無理に市場をこじ開けようとしても、そこは参入余地が無いかもしれません。




当社では

 新規の医療機器開発等では梱包なども細かく助言させて頂いております。

 また、廃棄物だけにフォーカスした新規開発についてもコンサルティングさせて頂きます。

 更に、シングルユースデバイス(SUD)の再使用(再製造)に関する開発にも注力しています。回収から分解や洗浄、再組立、再滅菌、再製造品流通までトータルでサポートします。




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