被災地支援や災害対策本部を担い得る車両はどのようなものか、想像してみました。
※.上記画像は『1.17のつどい』で筆者撮影
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車両(ベース)
被災地での万能性が高そうな車両は軽トラックです。
車体が軽いので、やわらかい土の上を走っても沈んでしまう可能性は低減できます。スタッドレスタイヤを履いていれば、より走行できる可能性が高まります。
荷物の運搬や車中泊のことなどを考えると、ワンボックスカーやSUVが役立ちます。
災害対策本部をつくるならば、大きめのワンボックスカーか、マイクロバスが良いと思います。

軽トラック
軽トラックとは、660ccという軽自動車の税制の中から生まれた仕様とも言えます。
2人乗り、車両重量は800kgほどです。車体全長は3395mm、全幅は1450mmです。
広々とした荷台があります。ハイゼットの荷台は幅1410mm、奥行きは1650mmと1940mmのタイプがあります。ジャンボというタイプはシート背面にスペースがあるのでリクライニングできます。長距離運転や車中泊を想定すると荷台が小さくてもキャビンを広くとった方が良いかなと思います。
積載量は350kgです。
2WDと4WDがあります。被災地へ行くことを考えると4WDが良いと思います。

【参考】ダイハツ:ハイゼットトラック
【参考】スズキ:キャリイ
トラック
軽自動車は660ccですが、ハイラックスなどピックアップトラックになると2.4Lや3.0Lなどの大きなエンジンを積んでいます。ヒノノニトン(日野デュトロ)など商業用のトラックであれば4.0Lなど、さらに大きな排気量があります。

【参考】日野:デュトロ
【参考】日産:アトラス
【参考】トヨタ:ダイナ カーゴ
【参考】三菱ふそう:トラック
ワンボックス・ワゴン
自家用車として使うならばアルファードやエルグランドなどの高級車が人気ですが、災害対応ということで実用重視となると商用車として人気のハイエースやキャラバンが良いと思います。
排気量は2L~3L、ガソリンもディーゼルもあります。タウンエースは1.5Lガソリン車、NV200は1.6Lガソリン車があります。

ステーションワゴン、2BOXのバンは機動性が高くデザイン性も高いので人気があります。座席はセダン車のような感じですが後部のハッチを開けば大きな収納スペースがあります。ADバンは多くの企業で採用され、レンタカーでも容易に借りられます。

小規模で良い場合は軽自動車のワンボックスも視野に入れて良いと思います。
軽ワゴンなどと呼ばれる車両は重量1,000kg、乗車定員4人、または後部座席を貨物室にしてしまえば2人です。

やはり高級車は長距離運転にも適していますし、同乗できる人数も多いので、理想的には高級車です。ただし、新車で900万円くらいはすると思いますので、たまにしか使わないというのは勿体ないですし、被災地へ行って汚れたり、傷ついたりすることも想定しなければなりません。

【参考】トヨタ:ハイエースバン
【参考】トヨタ:タウンエースバン
【参考】日産:キャラバン
【参考】日産:NV200 VANETTE
【参考】日産:AD
【参考】マツダ:ボンゴバン
【参考】ホンダ:エヌバン
【参考】スズキ:エブリイ
【参考】ダイハツ:ハイゼットカーゴ
SUV
SUV(Sport Utility Vehicle)は近年人気が高く、トヨタのクラウンもセダンからSUVに変わりました。200万円台から1,000万円台まで幅広いラインアップがあります。
足回りが強く、収納量が多く、安全性が高く、被災地でも機動性を維持できると考えられます。
輸血輸送車やドクターカーなど悪路や降雪でも走行しなければならない緊急車両もSUV化が進んでいるので、発災時に使う車両として優れていると考えられます。

【参考】トヨタ:SUV
【参考】LEXUS:SUV
【参考】三菱:SUV
【参考】日産:SUV
【参考】マツダ:クロスオーバーSUV
【参考】ホンダ:SUV
【参考】スバル:SUV
【参考】メルセデス:SUV
キャンピングカー
ワンボックスカーは、車内のアレンジか、内装工事によってアップグレードしますが、キャンピングカーは専用性が高い車両です。
キャンピングカーはカスタマイズできますので、例えばシャワー室やトイレを設置することができます。ベッドやダイニングテーブルの設置も可能です。
エアコンを車用だけでなく家庭用の100Vの製品を設置しているキャンピングカーは多くあります。冷蔵庫やIHヒーターなど電化製品を充実させることもできます。

マイクロバス
筆者は大型自動車運転免許を持っているので、バスでも移動できます。
マイクロバスとは、乗車定員29人までのバスで、車両総重量8トン未満の車体です。
中型自動車とは、車両総重量7.5トン以上11トン未満、最大積載量4.5トン以上6.5トン未満、乗車定員11人以上29人以下の自動車です。
中型自動車を運転するには中型自動車免許が必要です。
『中型車は中型車(8t)に限る』とは、2007年6月2日の法改正以前から普通免許を取得していた人の免許証に記載されています。
この免許ですと8トン未満、乗車定員10人以下までの運転ができるので、11~29人乗りのマイクロバスは運転できません。運転するには中型免許(限定解除)が必要です。

マイクロバスの全幅は2mほどです。乗用車とさほど変わりません。全長は標準ボディで6mほど、ロングボディで7mほどです。


通常は乗客を運搬するものなので、座席を敷き詰めるのですが、例えば後方はオフィス仕様にする、全体を居室化してキャンピングカーにするなど、色々なアレンジができます。
【参考】トヨタ:コースター
【参考】日産:シビリアン
【参考】FUSO(三菱):ローザ
【参考】いすゞ:バス
タープテント
自動車の横に設置して使うことを想定しますが、背の低いクルマであれば、タープテント下に車を入れられる場合もあります。
車用のタープテントもあります。
テントを単独で張ることができませんが、車ありきで被災地活動するのであれば、このタイプの方が脚が少ない分、荷物が少なくて済むと思います。
ロゴス(LOGOS) neos Link PANELタープセット(サイドウォール付き)
▽総重量4.8kg、連結車高目安幅223cm、収納サイズ縦16×横60×高さ16cm ▽耐水圧1800mm、主素材は難燃性ポリタフタ ▽パネルルーフは、雨水がたまらずランタンを吊り下げ可能 ▽付属の遮光ウォールは天候や日差しに応じて装着面を変えることができる ▽シートは、防水加工(1800mm)、撥水加工(3級以上)、難燃加工(米国基準CPAI-84適合)、UV-CUT加工(90%以上) |
防虫ネット
地味なアイテムで、価格も3千円前後と安価ですが、非常に重宝されるアイテムです。
車両を拠点化する期間は長く、かつ、その期間中は給油できない可能性があります。車内のエアコン等は使えない前提となると、代替手段が必要になります。
防虫ネットは虫避けが主たる目的ですが、鳥や小動物などに食糧を取られるリスクも低減します。
治安も悪化するため、ヒトによる窃盗に対しても1つの障壁になると考えられます。
緊急で必要になった場合、ホームセンターで売っている張替用の網戸を、ネオジム磁石や養生テープで固定しても似たような効果を得られます。
寝具
車中泊に限らず、発災後の寝床確保、睡眠の快適性や安全性の確保に寝袋が役立ちます。
寝袋は布団をたたんだような封筒型と、マミー型があります。封筒型は複数を連結して使えるタイプもあります。
キャンプコットや折り畳みベッドと呼ばれる寝具も重宝されます。
自動車内はフラットにならない、軽トラなどではそもそも横になれないという課題を解決するアイテムです。
寝袋(シュラフ)
▽寝袋です ▽ダウン素材など防寒性や保温性に優れた製品があります ▽夏冬で兼用できるタイプ、専用タイプがあります ▽連結して複数人で寝られるタイプがあります |
アウトドア用折りたたみベッド
▽アウトドア用のベッド(コット)です ▽リクライニングできるタイプもあります ▽全長は180cm以下が大半ですが、ロングタイプもあります ▽チェアとして使えるタイプもあります |
冷暖房・季節家電
車なので冷暖房は搭載されていますが、常時エンジンをかけておけるおど燃料が潤沢とは限りません。
冷房は持ち運びできるスポットクーラーが便利です。ただし、能力に応じて本体サイズや消費電力が大きくなるため、用意できる車両や電力の検討を並行する必要があります。
冷房能力はナカトミのSAC-18が1.8kW、EENOURのPA600が1.758kW、QN750は0.58kWなど様々なラインアップがあります。
昔からある窓用エアコンが1.5kWほどで4~6畳を冷房できていたと思いますので、車内だけであれば1.5kWあれば用が足りると思います。
ダクト接続できるナカトミのタイプが良いのではないかと思います。
冷房は消費電力が大きいので、扇風機の方が手軽です。
個人的なお勧めはシロカのタワー型ファンです。この製品、風の届き方が優れています。私宅に5台あります。
価格で言えば工業扇が安い割に強力です。構造が単純なので瓦礫や塵埃が多い被災地で使っても壊れにくいと思います。
暖房は電気式と燃料式があります。
電力を確保できる場合は電気式を選択できます。エアコンと同様に消費電力に応じて本体サイズも変化します。
燃料の種類毎に様々な製品があります。
安全性が高く手軽なカセットガス式は、カセットコンロを想像して頂ければわかるように、火力は強くありません。
薪ストーブは火力調整が曖昧ですが、瓦礫の中から拾ってきた物でも燃やすことができます。天板にヤカンやナベを置くこともできます。
灯油の赤外線ヒーターやジェットヒーターは、灯油がある限り使えます。難点は運搬です。車内に灯油のニオイが充満します。灯油18L缶で10時間、1日16時間×3日なら5本必要なので、車両には向かないと思いますが、火力が強いので、町中から灯油缶を集めて来れれば、暖房をシェアできます。
【参考】ナカトミ:冷房機器
【参考】トヨトミ:暖房製品
【参考】イワタニ:カセットガス暖房シリーズ
【参考】山善:暖房機器
【参考】シロカ
冷蔵庫
冷蔵庫は特に夏場の対応で重要になります。これは車載や拠点ということに限らず、停電や冷蔵庫故障に対応できます。
車載冷蔵庫は電源方式とバッテリ対応可否、容量で選びます。多くの製品がAC100VとDC12Vに対応しています。
災害対策であり、車内と車外のいずれで活動するかわからないのでバッテリ対応可能な機種を選んだ方が良いかなと思います。バッテリを買うかどうかは後で選択できます。
バッテリ対応で容量45Lの製品が3万円前後です。バッテリ対応で容量29L、真空断熱パネルの製品も3万円前後です。業務用になると一気に高くなるので、備蓄用であれば廉価品で良いと思います。
洗濯機
必須アイテムではありませんが、車内での滞在期間が長引くようであれば、洗濯も必要になります。
湯煎は湯が汚れないように見えて、たくさん湯煎すると汚れて来ます。洗顔や洗身に使える程度の汚れであれば活路がありますが、身体に触れるのは怖いと感じる程度に汚れた場合は、洗濯機に流用しても良いと思います。
家庭用洗濯機を使えるほどの水が調達できないと思いますので、小型(簡易)洗濯機が選択されると思います。

小型洗濯機・簡易洗濯機
▽小物を洗濯できる洗濯機 ▽水は10~20L程度の容量 ▽電気は1–~150W程度の容量 ▽パワフルタイプであれば靴の洗濯も可 ▽野菜や魚介などの洗浄・水抜きに使うことも可 |
投光器
車両に据え付ける必要はないですが、拠点を決めたあとで車両に取り付けられるようにレールやネジ穴を設けておくと良いと思います。


弊社では、仮設の拠点に用いるために、ビデオカメラ用の照明を拡散させるソフトランタンを用意しています。カメラライトは様々な色温度や演出を持つ機種ですが、拠点で用いる時は白色しか使わないと思います。

12V用LED投光器
車の標準的な電源である12Vで動作する投光器です。 ポータブル電源(蓄電池)にも12V出力を持つ機種が多いので、そちらも兼用できます。 |
SmallRig COB LEDビデオライト
▽SmallRig RC120B COB LEDビデオライト ▽120W 2700k-6500k デュアル色温度 ▽CRI 95+ TLCI 96+ 52800Lux@1m ▽9種類の照明効果 ▽ワイアレスコントロール ▽Bowensマウント |
Bowensマウント ソフトランタン
▽NEEWER 20″/50cm ランタンソフトボックス ▽ワンステップクイックリリース ▽360°ライトディフューザー スカート付き ▽Bowensマウント ▽ビデオライト用 |
カセットコンロ
サバイバルというほどではありませんが、自給自足の生活をしなければならないかもしれません。特に食事については自炊は必須だと思います。
被災地へ赴いての作業であれば乗車人数分の食事かもしれませんが、自施設の被災時の拠点として車両を使う場合、関係者全員分の食事を作ることになるかもしれません。
レトルトカレーを湯煎するにも鍋と湯が必要になります。
カセットコンロがあれば、だいたいのことはできます。
バーベキューセットでも、ある程度の調理はできます。ダッチオーブンなどもあると調理の幅が広がります。
湯煎については投げ込みヒーターも役立ちます。
水
水は運搬と貯留を考慮します。
ポリタンクはハンディで使い勝手がよく、拠点には20Lタンクを5~10本用意すると良いと思います。
浴槽1杯分ほどの容量があるタンクも1万円前後で調達できます。トラックなどで移動する場合はこのようなタンクも良いと思います。大容量ですし、水面が高く維持されれば水圧が保たれます。
被災地では、上水が手に入るとは限らないので、多少の泥や砂が混じった水も使わざるを得ないかもしれません。それを見越すとタンクは分散、上水・中水・雑水など分けられるようにすると良いと思います。
独立した拠点として、トイレは欠かせません。車内で大便をするとニオイがキツいと思いますので、屋外にトイレ拠点を設けられると良いです。
ポータブルトイレの槽部にゴミ袋を被せ、そこに高分子ポリマー(凝固剤)を入れて排泄します。ゴミ袋をそのまま捨てます。
水を扱うために、いくつかのツールがあります。浄水器やポンプなども備えていると現場で重宝します。
充電ドリルで2階への揚水・送水できるポンプがあります。
川などから水を吸い上げるには水中ポンプ(汚水ポンプ)が便利です。消火や延焼防止にも役立ちます。
キャプテンスタッグ(CAPTAIN STAG) ポリタンク
▽5L、10L、20Lタイプあり ▽コック付き ▽注水口は大口径 |
ローリータンク
▽農事用で広く用いられている水タンク ▽軽トラに積載して運搬できる ▽オプションパーツ豊富 |
脚立
車の上に何かを積んだりするときにも使えますが、とにかく発災後の環境がわからないので、脚立が1本あると良いです。
長さは3尺か4尺、1メートル前後のものが使い勝手が良いと思います。
弊社では、足場付きの脚立も用意しています。調理の際のテーブルに、ミーティング時の椅子に、負傷者の処置台にと、用途は広がります。
移動・運搬
車内に常時積載しておくことができるものばかりではなく、必要になってから積載するものが多くあると思います。
折り畳みコンテナは、保管中は箱型で収納力を確保、中身を展開後はたたんでコンパクトにします。
アウトドア用品のキャリーカートは車輪が大きく、多少の悪路も移動できるので重宝します。給水所へ水を取りに行く、ゴミ捨てに行くなどにも使えます。
車は移動手段ですが、拠点化した後は車を動かすことが大仕事になります。せっかく確保した場所を取られてしまう、大渋滞で動けないなどもあるので、数キロ圏内を動けるツールが必要です。
折りたたみ可能な自転車が多くあるので、それを用意すると良いと思います。電動自転車を買って平時からも利用すると良いかなと思います。
事務
救援拠点や災害対策本部として車両を使う場合、事務機能が必要になります。
車内でも車外でも使えるテーブルがあると良いです。キャンプ用がちょうど良いですが、会議机でも良いと思います。
先述の足場付きの脚立でもテーブル変わりになります。荷物の最小化を考えると、兼用が良いかもしれません。
個人的なお勧めは、ホワイトボードを天板に使う方法です。テーブル上にホワイトボードを置くことで、マグネットを使って紙類が飛ばないようにできること、テーブルを移動させる際に片付けることなく、ホワイトボードを移動させれば良いというメリットがあります。事務から食事へのシーン転換にも役立ちます。
必須ではありませんが、テーブル上に置くランタンは多用途なので在ると良いと思います。
真横で重機が動く、上空にヘリが飛び交うような状況が想定されるため拡声器があると良いです。筆者はサンワダイレクトのハンズフリータイプを使っていますが、これは騒音が大きい工場内などで平時にも使っています。
椅子は何でも良いのですが、車椅子が1つあると、いくつかの用事に兼用できます。椅子として、傷病者搬送用として、荷物運搬用として、何かと役立ちます。
通信・情報
テレビやラジオがどれだけの情報源になるかわかりませんが、受信できるようにしておく価値はあるかもしれません。
能登半島地震では地上波のテレビ塔に障害が出て受信困難地域が発生しましたが、衛星放送は地上の状況に関係なく受信できるはずですので、衛星放送用アンテナを用意しておくと良いと思います。これは車載する必要はないかもしれません。
ラジオをはじめとする様々な無線を受信できるマルチバンドレシーバーも役立ちます。アイコムのIC-R15はmicroSDカードに録音もできるので、とりあえずラジオを録音しておいて、あとで確認することも可能です。
近くに居る者同士の会話にはトランシーバーが役立ちます。携帯電話網がどうなるかわからない状況において、公共インフラを利用しない通信手段は強靭性が高いです。
【参考】iCOM:受信機
【参考】KENWOOD:無線通信
【参考】マスプロ電工:BSアンテナ
3Dプリンタ
弊社では、現場でのプロトタイピングを目的に、3Dプリンタを活用しています。
COVID-19流行拡大時には、スノーケルマスクに人工鼻を2個取り付けるアタッチメントの開発要請を受けて独自に3Dデザインを実施、自社3Dプリンタで内製して病院にお届けしました。
3Dプリンタのポテンシャルは被災地でも活かされるべきであると考えています。走行中は振動で造形できないと思いますが、拠点での活用はできると思います。


3Dデザインをする際には、それなりの画面サイズがないと作業しづらいので、できればモバイルディスプレイでも良いので車載できると作業が捗ると思います。
ただし、3Dデザインについては被災地で実施せずとも、協力者が居れば遠隔地で実施してもらい、被災地へデータだけ送ってもらえば造形できます。
3Dプリンタ
▽データを入力すれば、その場で造形 ▽フィラメントの種類によって硬質・軟質な造形品をつくれる ▽積層型の場合は液体物は使用しないため運搬が容易 |
仮設電気工事
仮設で良いので電気設備を充実させることで拠点の質向上が期待できます。
イメージとしては、町内会や神社の境内で行われるお祭りのようなものです。提灯のあかり、屋台の電源、音響などです。
電気工事の道具は在るものとして、材料の存在が重要になります。
仮設用コンセントはVVFケーブルを差し込むだけで施工完了、プッシュ釦で抜去も簡単にできます。送り配線もできます。
事故が起きないように漏電ブレーカー(ELB: earth leakage breaker)を設置しておくと良いです。15Aか20AのOC付(Over Current)にすることで過電流保護もできます。
できれば事前に分電盤、発電機、蓄電池などと接続できるような治具を作っておくと良いと思います。
線付ソケットがあると照明の仮設工事ができます。別途電球が必要です。露出のCスイッチを複数用意しておけば、必おうなときに対応できます。配線の分岐にはワゴなどの配線コネクタがあると作業が速く進みます。
【参考】テンパール:漏電遮断器の仕様で、OC付、OCなし とは何のことですか?
【参考】Panasonic:「OC付き・なし」ELBの見分け方
発電機積載
大き目の発電機を積載するならば、下図のような感じになるかなと思います。
道路工事などで使われるような下図のような製品は、本体だけで500~700kgくらいあるので、最大積載量350kgの軽トラには積載できません。
HILUX(ハイラックス)やDatsun(ダットサン)のようなピックアップであれば運搬できると思います。建機レンタル屋さんへ行って、積み込んでもらえばユニックやホイストがなくても積載できると思います。


下図くらいのサイズになると、100kg前後になるので、荷台に載せることさえできれば、積載して走行できます。
下図は燃料が軽油燃料が軽油なので、軽油のタンクをドラム缶1本分くらい積載すると、合計350kgくらいになります。


LPガス(プロパンガス)のタイプであれば、燃料が軽いことと、燃料の運搬安全性が高いことなどから、車載で被災地まで行くことを考えるとLPガスタイプが良いかなと思います。


弊社でも使用実験済の小型・可搬型の発電機であれば、乗用車でも容易に積載できます。移動しながらの発電機使用は考えづらいと思いますので、発電機は小型・可搬型が良いのではないかと思います。
【参考】RENT:発電機(13~60kVA)
【参考】RENT:インバーター発電機
【参考】ヤンマー:ディーゼル発電機 YDGシリーズ 防音タイプ 要目
【参考】昭栄:ガス電くん
【参考】EENOUR:インバーター発電機
【参考】本田技研工業:Honda発電機 EU9iGB(エネポ)
ホンダ(Honda)発電機 エネポ EU9iGB 900VA
○全長(mm):365全高(mm):524全幅(mm):262 ○定格交流出力50/60Hz:100V-0.9kVA ○騒音(dB):79〜84 ○連続運転時間(h)(1/4負荷〜定格負荷):2.2〜1.1 ○周波数切替スイッチ付 ○オイル警告装置付 ○エコスロットル付 ○リコイルスタータ |
EENOUR インバーター発電機 GS2200iD-B
【2つの燃料で始動させる発電機】 汎用性の高いガソリン、コンビニでも売っているカセットガスボンベの二刀流。工事現場で使用する場合はガソリンで長時間運転と低コスト、停電対応では長期保存できるカセットガスボンベで備える、といった運用ができます。 【カセットボンベでも高出力】 カセットガスで1700Wの発電量を達成、ガソリン使用時は1800Wの高出力。 |
蓄電池・ポータブル電池
車での活動には蓄電池・ポータブル電池が不可欠だと思います。
多くのポータブル電池が12V充電・給電に対応していますので、車で移動中に充電することができますし、シガーソケットからの給電では足りない電力を補うこともできます。
想定される蓄電池は大きく3種類、できれば3種類ともに搭載できると良いです。
1.ハンディなポータブル電池
1つ目はハンディなポータブル電池です。10kg前後であれば、持ち運んで使えるので、その程度までのサイズ感の物を1~2個用意しておくと利便性や機動性が高まります。
2.重量タイプのポータブル電池
可搬型ではあるが、気合を入れて運ばないとならない20kg前後のポータブル電池は、その分だけ容量が大きいので車載として1台あると便利です。
3.自動車サブバッテリ
3つ目は、車のバッテリー(サブバッテリ)です。
自動車が走行するためには電子機器を制御し、セルモーターを回し、点火プラグが放電する必要があります。必須に近い機能としてエアコンやパワーウインドウなども電気が必要です。
走行中に、車の発電機能を上回るほどの電力を使用すると、バッテリを消費することになり、いずれは破綻してエンジンが停止してしまいます。
停車中に、車の標準バッテリを消費しすぎると、始動セルが回らなくなり、エンジンがかかりません。
サブバッテリと共に必要になるのが、バッテリチャージシステムです。エンジン停止時、サブバッテリは枯渇するまで使うが、標準バッテリ(メインバッテリ)は消費しないようにするために切り離す必要があります。ソーラーパネルなどからの充電は、サブバッテリにだけ行うという場合にも役立ちます。
車を拠点化する、車中泊する際にはサブバッテリがあると強靭性が高まります。
【参考】大橋産業(BAL):アイソレーター
【参考】Li Time:サブバッテリ基本知識を学ぶ
LACITA ENERBOX-SP 444Wh/120000mAh/400W 防塵 防沫 IP44
リチウムニッケルコバルトアルミニウム(NCA)搭載、IP44防水規格取得のポータブル電源。本体電池容量120,000mAh(444Wh)、サイズは303mm×134mm×184mm、5kgの軽量コンパクト。 |
RAVPower 30000mAh 100W AC出力 PD 60W RP-PB055
リチウムイオン電池を搭載。AC100W出力・30000mAhの充電に対応。60W出力のUSB-Cポート。3時間で満充電。軽量1kg |
EENOUR 蓄電池 P2001PLUS (スマホ連動版)
▽大容量 2048Wh/640000mAh ▽リン酸鉄リチウム電池 ▽スマホアプリ遠隔操作・遠隔監視 ▽充電時入力電力調整可能、1.6時間急速充電 ▽最大2400W出力 ▽USB TYPE-C出力100W、DC12Vシガーソケットなど各種ポート搭載 |
サブバッテリーチャージャー
▽車の発電機から来る電力を、サブバッテリに充電する際に使用するシステム ▽ソーラーパネルなどを併用可能 ▽エンジン停止時はメインバッテリからの電流を遮断しバッテリあがりを防止 |
現在までに
現在までに、以下のようなものを揃えています。
- 発電機(ホンダ・enepo)
- 発電機(EENOUR・GS2200iD-B)
- 蓄電池(EENOUR・P2001PLUS)
- 蓄電池(LACITA・ENERBOX-SP)
- 蓄電池(RAVPower・30000mAh)
- タワー型ファン(シロカ・SF-T151)
- タープテント
- 寝袋×4個
- 脚立
- 伸縮足場台
- 車椅子
- ホワイトボード
- カセットコンロ
- カセットガスボンベ
- LED投光器 50W×2台
- ビデオライト(SmallRig・RC120B)
- ランタンソフトボックス(NEEWER・50cm)
- 3Dプリンタ(FlashForge・Creator Pro)
おわりに
災害が発生し、当事者となるときは臨戦態勢です。アドレナリンも出て、活発になります。
いざ、動こうとしても資器材が揃わなければ動けない、出来ないということも多くあります。特に、災害対策本部などは特殊な業務、特殊な装備で行われるため、平時からの備えが大事になります。
弊社では、平時の訓練で体験してもらうための資器材を揃えていますが、それを被災地に持ち込むことで業務の質が高まるなら、いつでも持っていけるようにしておくべきではないかと思い、今回の記事執筆に至りました。
これを機に、車両の設計を進めたいと思います。