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被災地の診療体制の再建に資する中古ME機器 | NES’s blog

被災された皆様にお見舞い申し上げます。

NES株式会社


 令和6年能登半島地震では最大震度7、広い範囲で震度6以上の地震が記録されています。さらに震度5以上の地震も頻発しており、地震によるダメージが心配されます。
 沿岸部では広範囲で津波が発生し、その詳細はいまだわかっていません。

 目立つ建物や避難所の話題が多く報道されますが、医療や介護に関しては限定的です。

 ニュース番組を見る限りでは災害拠点病院や地域の基幹病院は取材に応じていますが、地域のクリニックについては皆無に近い状態です。

 この、潜在している医療機関について、再建に向けた支援が必要であると思いますが、ニーズがつかめていません。




東日本大震災ではME機器

 筆者は2011年7月、東日本大震災で津波被害が大きかった岩手県沿岸部を訪問しました。

 国立高度医療研究センターの視察団の一員として、医療機関を順次訪問し、当時の様子やニーズを聴き取りしました。

 訪問先の1つ、大槌町は平成22年国勢調査で人口15,276人、面積は200平方キロメートルあるので人口密度は1平方キロあたり76.38人です。東京都新宿区が17,900人、横浜市が8,616人、弊社が立地する伊丹市が7,929人です。

 高齢化率は32.4%と高く、医療需要がある地域でしたが、町内唯一の病院である県立大槌病院は大きなダメージを受けて診療不可となり、診療所も軒並み被災しました。

 県立病院再建までの間、自分たちが地域の医療を支えるという強い使命感がある医師であるがゆえに、避難所に避難するやいなや診療を開始しています。

 その後、必要な医療機器を自前で調達しています。

 自院が津波で被災し、建物、設備、機器を失った上で、自費で医療機器を調達されていました。

 筆者がその医師に『中古機器でも送って貰ったら利用価値はありましたか?』と質問したところ『当然あった』『何もかも失った』と話されていました。

【参考】総務省統計局:平成22年国勢調査 人口等基本集計結果(岩手県,宮城県及び福島県)




中古ME機器を提供しよう

 今回の被災地ニーズは確認していませんが、仮に建物や機器を失った診療所等が、何らかの形で被災地で診療をしようと思った場合、場所は避難所等の一部を使えるとしても、ME機器類は代用品がありません。

 超音波診断装置(エコー)や心電計などが手元にあれば、重症度診断ができ、必要に応じて救急車やヘリコプターを要請できると思います。

 廃棄予定で倉庫に眠っているME機器は、全国を見渡せば何千何万とあると思います。

 臨床工学技士が、それらの中古機器を整備し、車に載せて被災地へ持込み、操作方法などをレクチャーして帰ってくる、というだけでも価値がありそうです。




行くなら3点セット

 2011年の岩手県訪問の際に、災害対策本部に居た先生から教わったことがあります。

 積雪が想定されるエリアの被災地へ行く際には、以下は必ず装備していなければ、行くべきではないと話されていました。

  • タイヤチェーン
  • 衛星電話
  • 滞在予定期間以上の飲料、食料、トイレ
  • 紙製の地図




勝手に企画書

 勝手に企画書を作ってみました。

 まだまだ詰めなければならない点が多いですが、ざっとこんな雰囲気かなと思っています。

 実現するには、医師会か看護協会の協力が必要そうですが。




おわりに

 筆者は臨床を離れた身なので具体的な行動ができず、被災地の状況も知り得ませんが、これまでに培った知識やノウハウがあります。これをどう活かすべきか、あるいは役に立たないのか、まったくわかりません。

 中古機器を送るということが間違いかもしれませんし、安易に被災地に持ち込むということは危険なのかもしれません。

 衛星電話を持っている人は少ないと思いますので、もしME機器を送るとすれば、現地のカウンターパートが必要です。発災後に探すのは大変なので、本来は平時に用意しておくべきです。

 私は職能団体などの災害対策委員などではないので、遠くから見ているだけで、被災された方々に申し訳ないです。