停電BCP策定 | BCP | NES株式会社

病院は停電する?停電しない!?

停電に強い病院づくり

 市民感覚で言えば『病院は停電しない』というイメージがあるようですが、病院も停電することは皆さまご承知のとおりです。

 『非常電源があるから大丈夫』と考える人も居るかもしれませんが、100%カバーできるほどの発電設備がある医療機関は稀、部分補完に過ぎないとの考え方の方が想定が減ると思います。



ブラックアウト

 2018年9月6日、北海道全域で大規模な停電(295万戸)が発生しました。
 東日本大震災では大規模停電に引き続き、計画停電が実施されました。

 同じ週、台風21号で関西電力・中部電力あわせて310万軒超の大規模な停電が発生し、北海道の大停電が発生した時点でも数十万軒が停電していました。

 広域停電発生時、バックアップ電源は自家発電に限定され、その発電容量や燃料貯蔵に依存します。
 他院搬送を検討する場合、通信は遮断、信号消灯で交通は大混乱、相手先の電力事情も不安定という状況になります。

総務省消防庁:地方自治体における業務継続性確保のための非常用電源に関する調査結果



小規模停電

 私たちが2012年に行った調査では、自然災害を伴わない平時であっても停電が頻発しています。
 下図のとおり東京電力・関西電力の両管内で2週間に93件、非常に短時間のものから6時間近いものまであり、数千軒に及ぶ停電も複数回確認されています。

停電時間と停電軒数・町丁数(n=93)
 上図は2012年に学会発表した私たちの研究成果です。2週間の停電軒数・町丁数と時間の関係をグラフ化しました。本研究では『停電はいつでも起こる』ことと、『災害を伴わない停電でも6時間程度は想定すべき』ことがわかりました。
 この研究結果をもとに、停電規模推定スケールを独自開発しました。



ブラックアウト病院BCP
(広域全域停電医療継続計画)

BCP策定支援

 私たちは医療BCP策定支援サービスを展開しています。

 その特徴として『停電対策』があります。

 中核人材が電気工事と臨床工学(ME)の両実務経験があり、負荷としてのME機器と電源供給側の設備に見識があります。

 災害対策はキレイゴトでは片付けられません。
 多種多様な被災シーンにおいて、何がベストであるかを想定しながらBCPを策定しなければなりません。

 私たちは簡易的なBCPから、病院ごとの事情を勘案したBCP、さらにはBCPを運用するためのBCM(事業継続管理)や訓練までをサポートします。



費用

 いつ起こるかわからない災害に対し、費用負担はしづらいと思います。

 私たちは、最大限の経費削減努力により、少しでもご負担いただきやすい価格になるよう努めています。



成果物

 私たちのサービスの成果物の1つは冊子になったBCPです。

 院内での情報共有、保健所等の外部機関への供覧、非常事態が起こってしまった際の参考など使い道は色々とございます。




病院と停電

厚生労働省は全国約8400の病院を対象に、災害時の事業継続計画(BCP)を策定しているかどうか調査に乗り出す。6月以降、大阪府北部地震、西日本豪雨、北海道での地震と大規模災害が相次いでおり、改めて策定を促す。北海道も道内病院に災害時の対策強化を求める方針を決めた。道によると、9月6日に発生した北海道の地震では、直後の全域停電(ブラックアウト)で道内の376病院が影響を受け、一部で人工透析ができなくなったり、電子カルテなどの院内システムが動かなかったりした。患者の受け入れができなくなるケースもあった。厚労省は調査を通じ、食料や水、自家発電の燃料の備蓄など災害への備えを確認。2019年3月までに結果を取りまとめる。厚労省は災害拠点病院に対して同年3月までにBCPを策定するよう義務付けており、ほかの病院の状況も把握する。道は約千の医療機関を対象に保健所を通じてアンケートを実施。今回のブラックアウトで課題となった事例を集める。その上で、大規模災害時の対応マニュアルでブラックアウトを想定した対策を盛り込むよう指導する。

相次ぐ災害と医療

 『医療は災害に強い』と一般市民の多くが信じています。

 確かに強い部分もありますが、すべての医療機関が、すべての災害に対応できる訳ではありません。

 災害拠点病院という数限られた病院では一定の備えや訓練が行われていますが市中の病院は『ある程度』の備えにとどまります。

 たとえ万全を期していても、想定以上に患者が殺到すれば備蓄は足りなくなりますし、ビルの3階や4階まで押し寄せた津波は何もかもを奪ってしまいました。

 2018年、災害が相次いだため厚生労働省が病院のBCPの調査を開始しました。

日本経済新聞:病院BCP調査へ 厚労省 大規模災害対策促す



電力喪失の後にも

 電力を喪失した医療が診療機能を全て失うのかと言われれば、違います。原点に還れば無電力化を図れます。

 点滴は落差で落ちます。人工呼吸は用手法で代替できます。
 物理現象を利用することで、電力不要の診療が提供できます。

 不便になり、精度も落ちますが、診療の目的は果たしています。精度劣化を最少化するため、当社では独自の取り組みを実施しています。

 上図は2018年に学会発表した私たちの研究成果です。
 5秒⇔1秒という用手換気のリズムを個人の主観的感覚、時計表示をみながらする、メトロノームを聞きながらするという3つの方法で比較したところ、メトロノームを使う聴覚法が優位でした。
 人工呼吸器 と同じリズムを刻むことができれば、バイタルサインモニタなどがダウンした環境下でも患者容体を悪化させることなく呼吸療法が継続することができることが示唆されました。


新知見

 災害研究の手法の1つに『想定外』を1つずつ『想定内』にしていく仕事があります。

 私たちは台風で52時間停電した際も、単に被災生活するのではなく、電源品質アナライザを設置して太陽光発電やカセットガス発電機の出力波形を記録し続けました。

 常に新しい経験値を積み重ね、新たな知見を発見して世の中に共有していく仕事をしています。

停電時の冷凍庫・冷蔵庫の温度挙動を確認するための反復実験(本社にて)
2018年台風21号で52時間停電被災中にも発電機の電源品質を測定(本社にて)


切磋琢磨

 私たちは学会発表や講演を通じて知見を公に披露し、同時に評価を受けてブラッシュアップしています。

 こちらから情報発信することで、受け手からは新たな情報提供を受けるといったpush-pull型の情報効果を通じ、多くの知見を得ています。

 酷評も甘んじて受けております。想定外を減らすためには、私たちの欠点を知る事が重要であると考えております。




非常用自家発電機実負荷試験

 消防設備等の非常用自家発電設備の点検方法が科学的検証に基づいて厳格化されました。

 予防保全の行き届いている優秀な設備は点検周期を延長されました。
 保有する事や点検する事が目的ではなく、災害が発生したときに『確実に動作する』ことが目的の発電設備であることを重視し、不確実性の要素となるものが少ない施設には優遇、いずれの施設でも不確実性を低減させる方向に動いています。

 これまで一度も実負荷運転をしたことが無い施設は、速やかに実施して報告する義務があります。