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お知らせ 医工連携 講演

医療機器ビジネス参入のための人材育成プログラムで講師を務めました | NES株式会社

医療機器ビジネス参入のための人材育成プログラム


プログラムの趣旨

 地方独立行政法人大阪産業技術研究所では東大阪市・和泉市と連携し、医療機器産業への新規参入のための人材育成プログラムを実施いたします。

 本プログラムでは、医療従事者、医療機器メーカー、専門コーディネーターなど、医療機器産業・医工連携の最前線で活躍されているキーパーソンを講師にお招きし、医療機器ビジネスの最新動向から、参入のカタチ、法規制、知財、保険収載、医療費の仕組み、参入事例、情報発信のノウハウまで、新規参入に必要な基礎から応用までの知識を体系的に学ぶことができます。

 本プログラムを通じて、医療分野への新規参入や事業拡大に向け、必要な人的ネットワークを構築し、業界のことをしっかりと理解した上で、新たなビジネスチャンスとして検討できるような視点と能力を身につけることを目指します。




第4回 (2019年8月23日)

医療分野への参入のカタチ

 大阪産業技術研究所様のご指名を受け、登壇させていただく機会を頂戴しました。秋にも登壇させて頂く予定です。

 8月のテーマとして『医療分野への参入のカタチ - 上市までの流れを学ぶ -』というお題をいただきましたので、特にゼロからスタートを切ろうとしている入門者向けの内容にまとめさせていただきました。

 講義の中で出て来るパブリックな資料についてはリンクを貼っておきます。




講演周辺資料

医療機器の研究開発マネジメントにおけるチェックポイント/ステージゲート

 AMEDが公表している医療機器の製品化をめざしたロードマップと、そのマイルストーンとなるステージゲートです。

【参考】 AMED: 医療機器開発マネジメントステージゲート



 患者さんのために書かれた本なので非常に読みやすいです。
 医療保険制度や医療従事者、病院の種別など国の制度設計により動いている医療というものがよくわかる本です。
 私の手元には第2版、第4版、第5版があります。はじめは大学の教科書として購入し、その後は医療従事者として働きながら、制度変更などを理解するために購入しています。
 1社に1冊は必要なマストアイテムだと思います。
 厚生労働統計協会から出版されている定番の書籍。看護学生などは全員が一度は手にしたことがある本です。毎年10月頃に新刊が発行されます。
 製造業など非医系企業の方々がこの本を簡単に取り扱えるようになれば情報収集や分析がある程度まで内製化できると思われます。
 厚生労働省の全体を網羅した白書。
 全体概要をまとめた『100人でみた日本』『日本の1日』もこちらからダウンロードできます。
 非常にリアリティの高い医療ドラマとして有名です。
 医師の恋愛模様も描かれているので、治療ばかりで疲れることはありません。
 ロボット手術装置『ダヴィンチ』が使われる回もあります。
 シカゴ・メッドは医療ドラマですが、クロスオーバーする3つのドラマで成り立ちます。
 シカゴPDは警察、シカゴファイアは消防のドラマです。



[Link] NES株式会社: 医工連携事業化推進コンサルティング

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BCP Press Rerease research

避難所の熱中症注意喚起について | NES株式会社

避難所の熱中症注意喚起について

 弊社では事業継続計画(BCP)策定支援事業を展開させて頂いておりますが、少しでも精緻な計画を立案できるよう根拠データの取得に努めて6月には冷凍冷蔵庫の停電後庫内温度の調査結果を公表しました。

 最高気温が35℃を超え熱中症のニュースを多く耳にするこの時期に、避難所での生活を安全に過ごすためには熱中症リスクについて把握すべきであると考え、温度測定を実施しました。

 結果の概要として、気象観測用の百葉箱で測定される公式の気温と生活上の温度には差があることがわかり、昼間で5℃程の差を確認しました。更に日なたの温度は10℃程の差があり、この日の最高温度は45℃を記録しました。体育館を模擬した日影の地表面の温度は昼夜の差が少ないものの、30℃を下回る時間はわずかであり、1日の大半を体育館の床上で過ごす場合、30℃に耐えられる身体であるかを観察し続ける必要があると考えます。

 皆様の生活に役立つ情報提供を続けられるよう、これからも努めて参りますので引き続きのご愛顧をよろしくお願い申し上げます。

2019年8月10日
NES株式会社




概要

標題

避難所を想定した屋外温度調査

方法

  • 温度計を3個用意し、3箇所の温度を1分間隔で測定
  • 測定箇所Aは壁の無いテントで作った日影の高さ1mの温度
  • 測定箇所Bは1日中直射日光が当たらない日影に置いたブロックの下の地表面
  • 測定箇所Cは昼間に直射日光が当たる日なたに置いたブロックの下の地表面
  • 参考値として神戸地方気象台発表の10分毎の気温
  • 結果をグラフにまとめて考察

期間

2019年8月9日(木) 0時~24時

実験者

西 謙一(電気工事士/臨床工学技士)

場所

NES株式会社 (兵庫県伊丹市野間5-10-13)




結果

 夜間は測定する場所の違いによる温度差は少なかったが、日の出とともに温度は上昇し昼10時頃には差が顕著となりました。

 この日の神戸地方気象台発表の最高気温は13時30分の33.0℃、その頃の日なたの実測温度は45℃に達していました。
 実験場所の高さ1mの温度は最高で39.4℃となり、百葉箱で測定されたものと5℃以上の差が見られました。環境省熱中症予防サイトによると、この日の神戸の暑さ指数(WBGT)は29.9℃で『厳重警戒』レベルにありました。

 直射日光を遮るだけのテントでは日の出とともに温度は上昇し朝8時には35℃を超えました。体育館の床を模した日影地表も朝8時には33℃程になり、それが8時間以上も持続するため熱中症リスクは高いと考えられます。

 体育館で運動する場合に比べれば座って過ごす方が熱中症リスクは低くなりますが、好条件の場所であっても高温となるため看過はできません。

 日なたに置いたブロックの下では45℃を超えたため、この状況はただちに熱中症の危険が迫っているものと考えられます。
 被災者は体育館の中で待機できたとしても、救援物資や食事の運搬等で、屋外での活動を強いられる市役所職員らの熱中症リスクは相当に高く、仮に日陰で活動したとしても40℃近くまで温度が上昇しているため危険度は高いと考えられます。
 更に被災者優先の心遣いにより飲水を控える職員が居た場合、熱中症リスクを更に高めてしまう恐れがあり、BCPや災害マニュアル等でも配慮が必要であると考えます。

 本実験を通じ、気象庁発表の気温に比べ避難所の環境温度は5℃以上高温である可能性があり、熱中症リスクは相応に高まると考えます。

避難所を想定した屋外気温調査(NES)
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ニーズ・先読み 医工連携

【ニーズ】転倒・転落予防(離床センサ・臥床モニタ・起き上がり抑制) | NES株式会社

 このページには恐らく存在しているであろうニーズを掲載していますが、当社の独創が含まれます。情報源、言葉の真意、市場分析の角度や確度、開発手法など著作者の意図を読み誤りますと開発は想定通りには進まない可能性が高まります。プロジェクト進行の際には同レベル以上の調査や分析なさる事をお奨めします。
 見誤った場合の事例をこちらに掲載しています。

課題

 一人で歩く事に不安がある患者や入所者を、一人で歩かせる事は危険です。
 歩いてはならないという事が理解できても、それを常に実行するのは困難な場合があります。それは睡眠薬を服用していたり、認知症の症状であったり。

 抑制帯などを使わず、起き上がろうとした人を感知する器具があったら良いなと言うニーズは以前からあります。
 しかし、既存のデバイスでは感知できない範囲があったり、誤感知が多かったり、設置が面倒であったりと課題が山積しています。

 一人で歩き回ってほしくない人を、ベッドや椅子から離れる前に感知するか、離れられないようにしたい、それがニーズです。

 本課題の解決は患者の転倒・転落が減るという事故減少効果が数値的にも見やすい効果です。
 しかし、偽アラームに振り回されたり、繰返し離床する患者が減ることで看護師業務の軽減に大きく寄与することが期待されています。



背景

 足元に不安がある患者や入所者は数多くいます。
 ほとんど歩けない人は、歩きません。
 元気に歩ける人は、歩いて構いません。
 歩けなくはないが、転んでしまいそうな人や、手術後など数日前の歩けていたイメージと現在の身体状態が一致しない人は、転倒や転落の危険性が高いです。

 『起き上がる時はナースコールで呼んでください』と言っても遠慮して呼ばない人、睡眠導入剤などが効いて思考が停滞している人、認知症などで見当識障害がある人、小児などで理解が難しい人など、見守る側の思い通りになる訳ではありません。

 そこで、ベッドから離れようとしている人を感知できれば良いのではないかと離床センサーがいくつも開発されましたが、ゴールデンスタンダードと言える物は出現していません。

 現場では『離床した』ことよりも『離床しようとしている』人を検知できなければ、報知された時には転倒・転落してしまっている事も少なくありません。

 しかしながら、テレビのリモコンを取ろうとしている動きまで『離床』と判断してアラームが鳴っていては、いずれはオオカミ少年症候群のように、アラームを無視するようになってしまいます。

 転倒や転落が発生すれば、医療機関等の責任として追及される事が多くあります。
 身体拘束は極力避けたいという想いが医療・看護側にはあり、拘束はしないが事故は抑止しようと努めています。




既存品

 離床センサーは様々な方式の物が開発され、現在も市販されています。

 研究段階で消えて行った物もたくさんあります。
 時代と共にセンサーも種類が増え、価格も下がっています。



クリップ式離床センサー

 患者の着衣の襟などにクリップを付けて、クリップが引っ張られると発報するセンサーです。
 対象者は大人である事が多いので、異物が装着されていると、上手にクリップを外してくれますので、いつの間にかセンサーがオフの状態になっています。

ホトロン: うーご君 HB-TV3

ホトロン:あゆみちゃん HB-WTV3

エクセルエンジニアリング:マグネットセンサー

ケアコム:転倒むし

ニプロ:転倒むし

メディカルプロジェクト:クリップセンサー

竹中エンジニアリング:徘徊お知らせ はるお君



ビーム式・赤外線式離床センサー

 建物の防犯にも使われているビーム式や赤外線式のセンサーの応用です。
 所定の検知範囲に人が入ると発報します。
 設置の煩わしさが看護師らの不評を得る事が多い商品です。
 端座位でテレビを見たり、食事をしている間はセンサーをオフにする事がありますが、その間に離床されてしまったり食後にセンサーを再起動させる事を忘れてインシデント扱いになったりします。

ホトロン:置くだけポール君 HB-H1

エクセルエンジニアリング:赤外線ダブルセンサーかんたん

メディカルプロジェクト:ビームセンサー

メディカルプロジェクト:赤外線センサー

竹中エンジニアリング:人の動きセンサー

トクソー技研:キャッチくん

ハカルプラス:超音波センサー CARE ai

テクノスジャパン:超音波・赤外線コール



フロアマット式離床センサー

 ベッドサイドの床にマットを敷いて、人が乗ると発報します。
 看護師が乗っても発報します。車椅子や歩行器、オーバーテーブルが乗っても発報します。

 重いベッドが乗り、方向転換すると内部のセンサーが壊れることがあります。
 そうならないようにマットを避けることが看護師の手間になり、精神的に圧迫を受けます。

ホトロン:たためる薄型 マッ太君 HB-UST

エクセルエンジニアリング:フロアセンサー

ケアコム:フロアセンサー(ケアコム純正)

村中医療器:マットセンサー

メディカルプロジェクト:ベッドサイドマットセンサー

竹中エンジニアリング:マットセンサー

トクソー技研:ふむナールLW

ハカルプラス:ふむふむセンサー CARE ai

テクノスジャパン:スマット/コールマット



ベッドマット式離床センサー

 ベッドマットの下などに設置し、寝ている状態をセンサーします。既定の位置に体重が掛かったり、重さを検知しなくなったら発報します。

 平らなベッド(フレーム)の上に平らなマットレスが乗っていますが、そこに部分的にセンサーマットを敷くため平らではなくなります。
 この平らで無い環境は体圧のバランスを崩し、褥瘡を誘発するのではないかと考える人もいます。
 メーカー側でも『褥瘡は起こらない』とは言い切れないので、採用されないケースが散見されます。

 褥瘡対策としてベッドサイズにピタリと合うサイズのマットを敷けば良いのではないかと考えますが、ベッドの通気性が無くなり、マット上に汗が溜まるほど濡れてしまいます。

エクセルエンジニアリング:ベッドセンサー

エクセルエンジニアリング:離床プレートセンサー

エクセルエンジニアリング:パッド式チェアセンサー

ケアコム:生体情報検知型離床センサー おだやかタイムmiNi

ケアコム:眠りSCAN連動

パラマウントベッド:見守り支援システム 眠りSCAN

ネオファーム:離床センサー

メディカルプロジェクト:ベッドセンサー

竹中エンジニアリング:ベッドセンサー

トクソー技研:おきナールTW2

ハカルプラス:起き上がりセンサー CARE ai

テクノスジャパン:ベッドコール/サイドコール/ピローコール



ベッド柵・フレームセンサー

 ベッド柵を強く掴んだり、体重をかけた時に発報するセンサーです。
 ベッド柵を使わずに起き上がれば検知できないので、補完的に使うツールです。

エクセルエンジニアリング:サイドレールセンサー

メディカルプロジェクト:ベッド柵センサー

テクノスジャパン:柵コール/タッチコール/介助バーコール



カメラ式・レーダー式離床センサー

 カメラのようにベッドを観察して、所定の動きがあったら発報します。
 倫理面に配慮し、カメラで普通の画像を撮影するのではなく、熱や距離などを測定して臥位や立位などを検知する物が多いです。

ミオ・コーポレーション:非接触バイタルセンサー

電導:モビネス



低床ベッド

 究極的には床との段差ゼロならベッドからの『転落事故』は無くなります。
 床に御座を敷いただけでは褥瘡になってしまいますので、実際には30cm程の低床ベッドを配置し、床にはマットを敷いて事故を回避します。

 低床ベッドから立ち上がるのはしんどいので、そのまま這って移動するのであれば転倒リスクも少なく、移動時間もかかるため他のセンサーでキャッチして転倒を未然に防ぐことにもなります。

 低床ベッドは採血や血圧測定など看護・介護する側にとっては作業がしづらい高さになりますので、昇降式のベッドが望ましいです。



先行研究・既存技術・失敗事例

 離床センサーに関する研究発表や論文などは非常にたくさんあります。

 失敗事例も探すことができると思います。15~20年前の資料も残っているので、その結果がどうなったのかを見てみればわかると思います。
 例えはMicrosoftのキネクトを使った研究は、内容は良かったのですがキネクト自体が無くなってしまったので商品としては成立しません。
 実体カメラを使う方法は倫理面から嫌われ、実用されていません。

 近未来的な研究では、自動車の衝突防止に使われているミリ波レーダーを活用したセンシングは価格も下がり、ベッドサイドにも導入が待たれるところです。
 呼吸や脈拍のセンシングもできるようになってきたので離床を監視するというよりは、全身的な見守りをしつつ、先々は検温や血圧測定なども不要になるようなセンサーが開発されるものと思われます。

 スタッフの目の代わりをするデバイスが多いのですが、声掛けなどをして離床をやめさせる研究も行われています。

民医連新聞: 手づくり離床センサーで転倒・転落を予防できた/ 富山協立病院・西3階病棟, 2002年11月1日

オムロン: 非接触で脈拍が測定できる車載用センサー



解決後にある未来

 院内のインシデント・アクシデントレポートには転倒・転落は消えることの無い日常的な事故の1つです。
 これをゼロにする事は難しくても、減る事は歓迎される事です。

 転倒・転落を考えずに仕事ができるという事は、看護や介護に携わる人々の精神的な切迫感を軽減することになり、業務軽減やストレス解放、他の業務への集中力向上につながります。

 まずは偽陽性アラームが減ることと偽陰性による事故が減ること、次にアラーム自体が鳴らずに済む離床を抑止できる安全で簡便なデバイスやサービスが創出されること、その先に看護師らの心の平穏が待っていると考えます。




事業・市場

ユーザー

 患者や入所者のために使いますが、設置等をするのは看護師や介護スタッフです。



調達者

 医療機関や高齢者施設が調達します。
 対象となる人がいつ入院・入所するかわからないので備品として持っておくことが想定されます。

 在宅医療で個人宅でも利用が見込まれますが、必要な人とそうでない人が明確に分かれます。



販売者・販路・商流

 医療ディーラーなどによる販売のほか、ベッドメーカーなどベッド周りの企業に販路の強みがあります。

 電気製品としてネット通販で買う可能性も十分にあります。

 医療安全に携わる看護師らは学会を含めクチコミの力が強いため、良い製品であれば情報は広まり、調達は多チャネル化すると考えれます。



値ごろ感

 高度な商品であっても10万円未満、比較的決裁されやすい数万円という単位が値ごろ感のようです。

 全ベッド配備を目指す場合は2~3万円程度になると考えます。

 性能を仮定した上で、実態調査をする必要がある商品です。



市況・保険

 離床センサーを持っていない医療機関は無いと思われるほど普及はしていますが、全ベッド分を保有している医療機関は非常に少ないです。
 院内で数台をシェアし、病棟間でも貸し借りをしているのが現状です。

 転倒事故などを起こせば、その後の治療費や慰謝料など数十万円~数百万円は病院の持ち出しになる可能性があります。




開発

ながれ

 既存商品で満足されていない理由を現場でヒアリングします。

 これまでに多くの商品を実用してきた看護師が対象になります。

 『こうあるべき』『ここが問題』と指摘できる看護師は限られているため人選や人脈が重要になります。

 課題が明確になれば開発をするだけです。
 恐らく、技術的にクリアできても価格面で折り合わない事が容易に想定できるため、高度な技術を安価に提供できる企業やシーズを探す必要があります。

 販路は医療安全系が適切であると考えます。



パートナーシップ

 解決すべき課題、技術的なハードルによってパートナーが異なります。

 問題意識を持ち、解決策を一緒に考えられる看護師の存在は欠かせないと考えます。

 販売戦略にコミットメントできる医療従事者、医療ディーラーやメーカー、宣伝広告に携わるデザイナーなども重要なパートナーです。




ソリューション

案1.ベッド全面シート

 薄いシート状の圧電素子を使い、ベッド上のどの位置に、どのような姿勢で居るかを検知するセンサーを製作します。
 ベッドの通気性を保つため、ベッドのフレームに合わせる必要があります。

 寝返りなども記録できれば、体位交換のタイミングも逃すことなく、また体圧分散の状況も記録できれば免荷すべき位置も特定できます。

 価格を抑えて全ベッド配備ができる総額提示ができれば、1施設あたりの物量が増えて事業性が高まります。



案2.筋電センシングシーツ

 人が起き上がろうとするとき、身体のどこかに力を入れるため筋肉に電位が発生します。

 何らかの方法で筋電を検出できれば、人が動こうとしている事は察知できます。
 その動きがリモコンを取ろうとしているのか、お茶を飲もうとしているのか、端座位になろうとしているのか、見分けられるようになれば離床センサーとしては早めの察知が可能になります。




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BCP 医療機器・設備・環境 知る・学ぶ・楽しむ 電気工事

切れたブレーカーを戻す | 登録電気工事業者 | NES株式会社

ブレーカーとは?

遮断器

 ブレーカーとは電気回路を遮断する器具のことで、circuit breaker(サーキットブレーカー)や遮断器などとも言います。

 遮断器の中にも目的別に色々な物があります。
 家庭の分電盤には漏電遮断器と配線用遮断器の2つは最低限取り付けられていると思います。

 漏電遮断器(漏電ブレーカー)とは、回路の漏電状態を監視する遮断器です。単に監視するだけであれば漏電警報器という物もありますが、危険を察知したら自ら電流を遮断することができます。

 配線用遮断器(ブレーカー)は過負荷や短絡などから保護する目的で設置されます。一般的に分電盤内に漏電遮断器は1つですが、配線用遮断器は数個~数十個設置されています。

分岐ブレーカー(配線用遮断器)
分電盤(左が主幹、右が分岐ブレーカー)


分電盤

 分電盤とは、電気の配線を幹線から分岐させるもので、簡単に言えばブレーカーの集合場所です。ブレーカーは分電盤の構成要素の1つです。

 昭和40~50年代の住宅であれば主幹となる大きなブレーカーが1個、分岐となる小さなブレーカーが2~4個程度でしたので、分電盤といっても今のようにプラスチックケースには入っておらず、板の上にネジ止めされただけの手作り感がある物でした。

 近年は住宅でも20個程のブレーカーが付くことが珍しくなくなりました。

分電盤(家庭用に多いタイプ)
分電盤(業務用に多いタイプ)


本稿のメニュー

1.ブレーカーとは?

2.復旧方法:過負荷

3.復旧方法:短絡

4.復旧方法:漏電ブレーカー(ELB)

5.遮断器の種類

6.停電規模と要因

7.漏電と人体




復旧方法:過負荷・短絡

覚知

 家全体で電気を使いすぎた場合は、一番大きなブレーカー(主幹ブレーカー)が作動して全館停電が発生します。
 照明もエアコンも炊飯器も、すべて停止します。

 小さいブレーカーが作動した場合は、分岐回路が許容値を超えたことになります。
 対象の回路だけ停電します。多いのがキッチン。電子レンジを使っている時に冷蔵庫のモーターが回り始めたり、コーヒーメーカーのスイッチを入れてしまったようなときに容量オーバーとなって遮断されます。

 小さいブレーカーは一般的に定格20A(アンペア)、100V(ボルト)で2000W(ワット)程度です。
 大きいブレーカーは契約電力などに依存するため一様には言えませんが、30~50A程度の製品が取り付けられていることが多いと思います。

 この時点では過負荷(オーバーロード)を疑っていますが、短絡(ショート)している可能性もあります。短絡(ショート)は滅多に発生するものではなく、突然発生するというよりは、何かをしたひょうしに発生することが多いので、まずは過負荷を疑うのが合理的です。
 ただし、危険度は短絡の方がはるかに上です。過負荷は予防的に遮断しますが、短絡は危険が発生したときに作動するので、短絡により遮断器が作動した場合、既に何らかのトラブルは発生していると考えましょう。



1.負荷を減らす

 まずは負荷を減らしてから分電盤へ行きます。

  分岐回路(小さいブレーカー)が切れた場合には、いま停電しているエリアのコンセントをすべて抜きます。
 主幹ブレーカー(大きいブレーカー)が切れた場合は、冷蔵庫や電気ストーブなど容量が大きそうな物のコンセントを抜きます。

 エアコンは復電しても自動運転しませんが、冷蔵庫などは自動的に動き始めますので、再び過負荷で遮断される可能性が高くなります。



2.通電

 小さいブレーカーだけが切れていた場合、対象のブレーカーを投入します。

 大きいブレーカーが切れていた場合、大きいブレーカーを投入します。

 負荷を減らしているので、過負荷で遮断していた場合には問題は解され、ブレーカーを投入することはできていると思います。

 この時点で再びブレーカーが作動(遮断)した場合は、短絡を疑います。短絡の復帰は後述します。



3.復帰

 ブレーカーが投入でき、通電状態を確保できたら器具を再びコンセントに差し込んでいきます。

 冷蔵庫のようにスイッチが付いていない器具で、モーターやヒーターなどを積んだ大容量の器具から復帰させていくと良いでしょう。

 エアコン等のスイッチ操作できる器具は後回しで良いです。



4.負荷

 元の状態に戻すために、コンセントを差し終えたら器具(負荷)を運転していきます。

 運転が始まってから再びブレーカーが作動(遮断)した場合、需要と供給のバランスが悪い可能性があります。

 小さいブレーカーの場合は、隣の部屋などから延長コードを引き回すなどの方法で、負荷を今までと違うコンセントに差し込むなどの対応をします。

 大きいブレーカーの場合は、コンセントを差し替えただけでは解決できない場合もあります。根本的に足りないのであれば、負荷を減らすか、電力契約を見直し容量を増やします。




短絡からの復旧

 負荷をかけなくてもブレーカーが作動してしまう場合には、短絡(ショート)を疑います。

 小さいブレーカー(分岐回路)だけが作動する場合、その回路を使わないようにします。

 大きいブレーカー(主幹)が作動する場合は、どこの回路に問題があるか探る作業をします。



1.分電盤の確認

 分電盤では大きいブレーカー(主幹)が切れており、漏電表示は出ていない状態です。

 主幹ブレーカーが漏電ブレーカーを兼ねている場合が多くありますので、漏電であるか過負荷であるかは、ブレーカーの漏電表示を見ます。

 漏電表示が出ている場合は、漏電の対応をします。概ね、同じ作業になります。



2.分岐回路の遮断

 大きいブレーカー(主幹)が切れた状態のまま、分岐回路(小さいブレーカー)をすべて切ります。



3.主幹ブレーカー投入

 主幹ブレーカーを投入します。

 この時点で主幹ブレーカーには、分電盤内の銅板しかつながっていません。無負荷状態です。



4.分岐回路復帰

 分岐回路のブレーカーを1つずつ上げていきます。

 1つあたり5秒程は間隔をあけて、様子を見ながら作業を進めます。



5.悪い箇所発見

 例えば上段の左から2番目のブレーカーを上げた時に主幹ブレーカーが作動した場合、その回路に原因の1つがあります。

 この回路は以後、ブレーカーを下げた状態にしておきます。



6.仮復旧と原因探索

 先ほど発見した問題の回路はブレーカーを『切』の状態にしておき、他の回路は開通させます。

 主幹が切れなければ、問題の回路以外はとりあえずの安全宣言が出せます。



7.火災注意

 ブレーカーが作動(遮断)するほどの事が起きていますので、火災の危険もあります。

 電気工事店(登録電気工事業者)に点検・修理を依頼しましょう。

焼け焦げたプラグは、電気火災の一歩手前
消火薬剤は厚生労働省に認可された、酢をベースに食品添加物成分から作られた中性薬剤を使用。ストーブ火災や天ぷら油火災など、電気火災などに対応。



復旧方法:漏電ブレーカー(ELB)

覚知

 漏電ブレーカーは住宅であれば1軒に1個、オフィスであれば1フロアに1個程度で数は多くありません。
 よって、漏電ブレーカーが遮断されると、広範囲で電気が消えます。住宅であれば全館停電、オフィスなら1フロアや1ブロックが停電します。

 この時点では原因がわからないので、とりあえずば分電盤を見に行きます。懐中電灯と脚立があると良いかもしれません。

 分電盤では、レバー(スイッチ)が下がっているブレーカーを探します。

 漏電ブレーカーのレバー(スイッチ)が下がっていて『切』の字が見えていれば、漏電ブレーカーが遮断状態にあることになります。

 更にレバーの横にある『漏電表示』というボタンが飛び出ていると、漏電を検出して漏電ブレーカーが作動したことになります。



漏電ブレーカーの復旧

 最初に漏電ブレーカーより下流、小さなブレーカー群のすべてのブレーカーを切ります。

 次に、漏電ブレーカーを復帰させます。レバー(スイッチ)を完全に下げてから上げて『入』(ON)にします。

 続いて、小さなブレーカーを順番に入れていきます。



1.漏電ブレーカーの確認

 漏電ブレーカーが遮断され、漏電表示が出ていることを確認します。

 小さいブレーカー群はすべてのレバーが上がっていると思います。
※.平時より下げてあるブレーカーがある場合あり



2.分岐ブレーカーをすべて切る

 漏電ブレーカーが遮断された時点では上がった状態(入の状態)の分岐回路の遮断器(安全ブレーカー)を、一旦すべて下げます(切の状態)。



3.漏電ブレーカーを上げる

 漏電ブレーカーを上げます。

 最初に『漏電表示』のボタンを押し込み、ブレーカーのレバーを一旦最下まで下げ、そしてレバーを上げます。
※.ボタンが自動復帰する機種もあります
※.レバーが最下まで下がっている機種もあります

 ブレーカーが上がった時点で電力は復帰していますが、分岐回路がすべて遮断状態のため照明などはつきません。



4.分岐回路復帰

 分岐回路のブレーカーを1つずつ上げていきます。

 1つあたり5秒程は間隔をあけて、ブレーカーが切れたり家電品から異音がしないかなどを確認します。



5.すべてOK

 分岐回路のブレーカーをすべて上げる事ができた場合、漏電遮断器が作動した原因は不明ですが、電力は元通りに復旧できています。

 宅内(構内)の器具に異常がないか確認して回って下さい。



6.悪い箇所発見

 例えば上段の左から2番目のブレーカーを上げた時に漏電遮断器が作動した場合、最後に操作した回路に漏電の原因の1つがあります。

 この回路は以後、ブレーカーを下げた状態にしておき、本手順の最初に戻って全ての回路のブレーカーを下げて確認していく作業を繰り返します。

 漏電箇所が1カ所とは限りませんので、以後の作業も慎重に行ってください。



7.仮復旧と原因探索

 先ほど発見した問題の回路はブレーカーを『切』の状態にしておき、他の回路は通電させることで一時復旧完了です。

 いま遮断している回路がどのコンセントにつながっているか分かる図面等があれば、現場に行きます。
 わからないときは宅内(構内)を見て回り、コンセントや照明を確認して回ります。
 普段は使っていないエアコン、屋外にあるごみ処理機や井戸ポンプなどが原因の場合もあります。



8.除外試験

 問題のあった回路に接続中のコンセント類をすべて抜きます。

 照明器具や直結されている器具類はそのままにしておきます。

 その状態で再び問題のあったブレーカーを『入』にします。

 漏電ブレーカーが作動しなければ、先ほどプラグを抜いた器具類が漏電原因の第一候補となります。
 漏電ブレーカーが作動した場合、電気工事士の要請が必要です。原因は取り外せなかった器具類、配線路、ブレーカーなど色々と考えられますが、その多くが免許が無ければ触らないものが関係します。



9.器具特定

 漏電の原因となった器具を特定する場合、慎重に1台ずつ試験していきます。漏電の危険が伴いますので、この試験はせずに電気屋さんを呼ぶ方が安全です。

 参考として、比較的安全性に配慮した方法を示します。

 漏電ブレーカー、分岐回路のすべてのブレーカーを切ります。

 次に、漏電が疑われる器具をコンセントに差し込みます。1台ずつ試験するので、1回に1台だけ差し込みます。

 次に漏電が特定された分岐回路、漏電ブレーカーの2つを投入します。
 このとき、漏電ブレーカーが作動すれば当該器具に漏電の可能性があります。以後、使用は中止します。



10.unknown

 原因となる器具等が特定できなかった場合、もしかすると誰かが触れた際に人間を介して漏電したかもしれません。モーターが動作している間だけ漏電しているかもしれません。特定できないから安全ということはありません。

 また、微小な漏電が積みあがって漏電遮断器が動作した可能性もあります。その場合、1つ1つは問題になるほどでは無いということになりますが、宅内(構内)が安全である訳ではありませんので、お気を付けください。



11.professional

 電気工事店に依頼すれば『絶縁抵抗計』という測定器具で回路を測定してもらうことができます。

 この測定器を使う事で、宅内(構内)の配線と地面(アース)との間で電気が流れやすくなっているところが無いか調べることができます。

 理想的な状態は『抵抗無限大』、まったく疎通が無い絶縁状態です。
 しかしながら経年劣化など諸般の事情により抵抗値が測定できる程度に電気が通じ得る状態になってしまいます。

 漏電遮断器が動作してしまったあと、できれば絶縁抵抗計で測定してもらい、安全確認を実施しましょう。

乾電池式の絶縁抵抗計です。HIOKIは日本の計器ブランドです。私も長野にある日置電機には行った事がありますが、しっかりした会社です。



遮断器の種類

ヒューズ - fuse -

 ブレーカーが普及する前はヒューズ(fuse)を使っていました。

 ヒューズとは、金属製の板のような物で、電線との接点となるネジ止め部は銅製、中間部は可溶性の金属(亜鉛等)でできています。過電流で可溶性金属部が溶ける事で回路を遮断します。

 一度切れた(溶けた)ヒューズは再使用できませんので、新品に取り換える必要があります。
 また、取替作業をするときの片側(一次側)は通電状態ですので注意して作業しなければなりません。

 爪付ヒューズを使った遮断器は見かける事が少なくなりましたが、古い工場や農家の納屋などではまだ実用していることもあります。
 似た機能のヒューズは自動車では現在も実用されています。

 ヒューズを使わない今のブレーカーを『ノーヒューズブレーカー』(No fuse breaker: NFB)と呼ぶこともあります。

[Link] 経済産業省:別表第三 ヒューズ



配線用遮断器 - Molded Case Circuit Breaker (MCB) -

 ヒューズ不要の遮断器ということで no fuse breaker (NFB)と呼ぶこともあるサーキットブレーカーです。

 ヒューズと同様に規定の電流値(アンペア)になると引き外されて回路が遮断します。

 ヒューズとの大きな違いは再開通が早く、安全な点です。
 レバー操作だけで復帰できます。
 ヒューズの場合は、ドライバーを使ってツメを固定する作業があり、充電部(電気が通っている箇所)の直近で作業するため感電対策などが必要です。

[Link] 三菱電機:配線用遮断器 のーヒューズブレーカーとは?



漏電遮断器
- Earth Leakage Circuit Breaker (ELB) -

 漏電を検出して回路を遮断する装置です。

 簡略的言うと電気は閉回路、出て行ったものは元に戻り、収支はゼロになります。電気がどこかから漏れると収支バランスが崩れしまいます。その収支の差が一定以上になった場合に漏電遮断器が作動します。

 漏電はアース線を伝って地面に流れる分には多少の安全性が確保されていますが、人体に流れてから地中に流れると危険です。




停電規模と要因

 停電は発生原因や場所によって種類が異なります。

 下図は弊社で作成した電力の配送電経路の概略図ですが、この中のどこで停電するのかによって、停電規模が変わるため、停電発生時の情報収集として、停電点を探ることの重要性を教育するために使用しています。

 停電発生時にまず見るべきは敷地内(建物内)で通電している場所があるか否かです。
 次に近所でも停電しているかどうかを確認します。

 停電対応の具体策については弊社BCPサービスで提供しています。



ミニマム

 最も小さな規模の停電は、何か1つの電気器具が使えない状況かもしれませんが、単にコンセントが抜けているだけかもしれません。

 電気設備系でのミニマムな停電を考える場合、末端のブレーカーが1つだけ切れる停電になります。

 『コンセントが使えない!?』『照明が消えた!!』などの事象から停電を覚知しますが、『この部屋だけ!?』『レンジだけ!?』という場合には、このミニマムな停電であることが多いと思います。



全館停電

 『照明が消えた!!』のあと、家中の電気が使えない場合は恐らく主幹ブレーカー以上の場所で停電が発生しています。

 主幹ブレーカーがオフになったのであれば自身で復旧を試みますが、それより上流で発生した停電は電力会社の仕事になります。

 主幹ブレーカーが切れる原因には大きく漏電、過負荷、短絡があります。



漏電・リーク

 漏電とは、電気回路のどこかから電気が漏れ出し、アース(地球)に電気が流れてしまっていることです。

 漏電は危険なため、漏電遮断器が作動します。

 復旧方法は別途記述します。

[Link] 漏電ブレーカーの復旧方法

[Link] 漏電と人体



短絡・ショート

 電線同士が触れてしまったり、電極が金属部などに触れてしまった場合などに回路の正常ルートを通らず短絡してしまう状況は、電気的に危険です。

 火花がバチバチと散り、接触部や焼け焦げ、器具は破損します。

 短絡は危険なため、配線用遮断器が作動します。

 復旧方法は後述します。

[Link] 短絡からのブレーカー復旧方法



過負荷・オーバーロード

 電線には許容電流と呼ばれる電流値の上限があります。許容電流以上を流し続けると銅線が熱せられビニルの被覆は溶けだし、火災が発生します。
 電柱からの引込線も、宅内(構内)の幹線や分岐線にも許容電流があります。

 コンセントは許容値15Aが一般的です。それ以上流せば器具や配線に異常を来たします。

 電気の使い過ぎによる危険防止のため、一定量以上を感知すると配線用遮断器が作動します。

 復旧方法は後述します。

[Link] 過負荷からのブレーカー復旧方法



電気事業者要因

 多くの家庭や企業は電気を買っています。買うという意識が無くても、電柱等から電線を引込んで使っているのであれば、何らかの契約があります。

 外線と宅内(構内)の線の境界線、責任分界点を境に自分側(二次側)ならば自己責任、相手側(一次側)なら電気事業者側の責任下で発生した停電と言えます。

 雷が落ちた、電柱に車が衝突した、架線に凧が引っ掛かったなど原因は様々ですが、100軒や1000軒といった単位で停電が発生します。

 電源を喪失してしまうので、宅内(構内)で何をしても復旧しません。

北海道電力停電情報

東北電力停電情報

東京電力停電情報

中部電力停電情報

北陸電力停電情報

関西電力停電情報

中国電力停電情報

四国電力停電情報

九州電力停電情報

沖縄電力停電情報

東京電力:電気がつかないときは?




漏電と人体

心臓と電気

 正常な心臓は、自信が発する電気信号によって刺激されて拍動します。自ら心臓を止めたいと意識しても止まらず、自律的に活動しています。

 この電気信号が乱れてしまう、微弱になってしまうなどの病気の治療に用いられる『心臓ペースメーカー』は、心臓を電気で刺激し、心臓を動かさせる(拍動させる)医療機器です。簡単に言うと電池式の電気信号発生装置です。

 AEDなどの『除細動器』は、2つの電極、AEDなら2つのパットで心臓を挟むようにし、その2つの間に高い電圧を掛けて心臓に電気刺激を与え、心臓の電気刺激の乱れをリセットするような医療機器です。

 正常な心臓に外部から電気刺激を与えると、自律的な心臓の刺激信号は乱れてしまい、元に戻れなくなります。信号が来なければ心臓は動かないので、心臓は機能不全(心室細動)に陥り、数分で死に至ります。

 なぜ、感電が怖いのか。それは心臓を止めてしまう恐れがあるからです。

[Link] 小野哲章: 臨床モニタ機器の安全管理, 第24回日本臨床モニター学会安全セミナー, 日臨麻会誌 Vol.34 No.1, 145-150:2014



ミクロショック

 皮膚などを介さず、直接体内が感電する状況をミクロショックと呼びます。

 日常生活では滅多に無い状況ですが、医療機関では点滴チューブや心臓カテーテルなどが血管内に入っているため、ミクロショックが起こり得る状況になります。

 皮膚と違い血液などは水分が多く、電解質も多く含むため電気が流れやすく、すべての血液は心臓を通るため危険です。

 教科書的には0.1mAのミクロショックで心室細動が起こるとされます。

 これは最小感知電流の10分の1の値。患者の周りの医療従事者は漏電に気づかず感電もしない状況ですが、カテーテルが挿入されている患者にとっては致死的な漏電となります。



マクロショック

 一般的に『感電した!』という状況は、手など皮膚を介して身体に電気が流れている状態です。1mA(ミリアンペア)で感電すると言われています。

 皮膚は電気を通しづらい(抵抗値が高い)のですが、汗や水で濡れていると抵抗値が下がるので感電しやすくなります。

 身体の表面で受けた電気刺激が、運悪く心臓を通ると、心停止が起こるリスクが高まります。

 教科書的には100mA以上の電流が体表に流れると、心室細動が起こると言われています。
 最小感知電流(感電していると感じ始める電流値)が1mA、マクロショックは100mA、その差100倍もあるので、滅多に感電死することはありません。



水濡れ厳禁

 体内に直接電気が流れるミクロショックは危険である事は前述のとおりですが、体表で感電するマクロショックの状況下でもミクロショックに近づいてしまうシチュエーションがあります。

 体表面が乾燥していればバリアとなって、およそ数千オームの抵抗となり体内に流れる電流値を安全域に抑えます。
 しかし体表が濡れていると、皮膚の抵抗値は低くなり、体内に電気が流れやすくなります。

 人間の身体を負荷に例えると500オームだと生理学か解剖学の教科書で習いました。
 仮に体表が5,000オームであったとすると、体内と直列回路になるので抵抗値は5,000+500=5,500オームとなります。
 電圧100Vであれば100÷5,500=0.018、18ミリアンペアとなります。

 もし水濡れしていて体表の抵抗値が10分の1、500オームまで下がって居たら100V÷1,000Ω=0.1A、100mAとなり心室細動が起こる電流値となります。

 プールや浴室、厨房などでアースが必要であったり、そもそも電気器具を使うべきでなかったりする理由はここにあります。



アースは大事

 人知れず心臓が直接感電して心室細動を起こしてしまうミクロショックを防ぐには、患者に電流を流さずに地球へ還す方法を考えなければなりません。

 アースが有効に働いていれば、人間よりも地面の方が抵抗値が少ないので、そちらへ流れて行きます。

 筆者が病院の医療機器管理を担っていたある朝、ICU(集中治療室)へ行くと心電図波形に異常が見られました。ベッド柵を触ると消える異常波形の原因は、電動ベッドのアース線の切断でした。
 患者を感電させる前に気づき、処置をしたので良かったのですが、調査を進めるとアースの大切さを知らない作業員が切断したことがわかりました。
 大変危険なことであり、院内勉強会でも取り上げました。

 患者の心臓にショックを与える程の電気を流してよいのは除細動器、一般市民であればAEDだけです。

[Link] 総務省消防庁: 一般市民むけ 応急手当WEB講習

[Link] 電源コンセント



アース工事

 アース工事は、アース棒を地面に打ち込んで、そこにアース線をつないで、家電品などと接続します。

 一般家庭のメインのアース工事では、当社では90cmのアース棒を使っています。地盤によっては1本では十分な接地抵抗が出ない場合がありますので、状況によって変えています。

 アース工事には電気工事士免状が必要です。
 アース棒を地面に打ち込む作業、アース線を接続する作業、アース線を延長する作業にも電気工事士免状が必要です。
※.電気工事士法施行規則 第2条 第2項 第1号 ロ

 アースは生命と財産を守る重要な設備ですので、材料はホームセンター等で買いそろえても、工事は有資格者に依頼しなければなりません。

アースを取るときに使うデバイスです。本格的にアースを取ろうというときには90cmのタイプをお勧めしますが、簡易的にという事であれば、何もしないよりは30cmでも効果があるかもしれません。接地抵抗の測定も併せて実施する事を強くお勧めします。

[Link] 電気工事士法施行規則



アースが要る場所、要る器具

 アースが要る場所は、簡単に言うと湿気の多い場所です。

 人は濡れれば電気を通しやすくなります。
 水は電気の通り道になり、無用な場所に電気を流し火災を起こす恐れもあります。

 アースを必要とする場所としては屋外、ガレージ、軒下、浴室、洗面、脱衣、便所、キッチンなどが挙げられます。
 ただし、一般住宅においてトイレやキッチンがタイル貼りで、普段から水浸しという事はないと思いますので、必要とは言い切れませんが、水がありますので不必要とも言えません。

 家電で言うと屋外で使用されるものは基本的にアースが必要と考えると良いと思います。エアコンも室外機は屋外設置ですので対象です。
 洗濯機や食器洗浄機は水そのものを使いますので対象です。

 冷蔵庫は、対象外と見ても差し支えないと考えます。
 フローリングの部屋に、水がかかるような場所でもなく置かれている家電品ですので、アースは必須ではありません。
 業務用厨房であれば事情は異なります。










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医療機器・設備・環境 知る・学ぶ・楽しむ 電気工事

非常電源と医療機器(ME) | 登録電気工事業者 | NES株式会社

 非常電源や予備電源、防災電源など呼び方は色々とありますが、停電時に医療機器の安全を維持してくれるのでしょうか。
 安全に過ごすために、医療従事者も患者も家族も皆が知っておくべきことがあります。

非常電源

 非常電源とは『商用電源が停止したとき,自動的に電力を供給するための電源の総称』とJISに記されています。またJIS T 1022(2018)の『4.3 非常電源』には『電源の遮断による機能の停止が医療に重大な支障を来たすおそれがる医用電気機器などを使用する医用室の電源回路には,その使用目的に応じて,医用室のカテゴリごとに,表2に基づき,次のa)~c)のいずれかの非常電源を設けなければならない』としています。a~cとは一般非常電源、特別非常電源、無停電非常電源と定義されています。

 消防法と建築基準法は所管や用語が異なるものの、兼ねる部分も多くあり、法に基づく取り締まりの対象でもあることから遵守され、その目的や運用が明確化されています。
 これらの法律は主に、建物内に居る人々を安全に逃がすための救助や救命を目的としており、診療の継続は目的外です。

JIS T 1022消防法建築基準法
非常電源非常電源予備電源
商用電源が停止したとき,自動的に電力を供給するための電源の総称常用電源である一般商用電源が停電したときに,消防用設備等が正常に動作できるように設置する電源非常用照明装置、非常用進入口、排煙設備、非常用エレベーター、非常用排水設備、防火戸・防火シャッター等、防火ダンパー等・可動防煙壁に予備電源の設置が義務

[Link] 日本規格協会 (JSA)
[Link]消防法
[Link]建築基準法




JIS規格の非常電源

一般非常電源特別非常電源無停電非常電源
定義商用電源の停止から、40秒以内で負荷に電力を供給できる非常電源商用電源の停止から、10秒以内で負荷に電力を供給できる非常電源商用電源の停止から、無停電(交流電力の連続性が確実な電源)で電力を供給できる非常電源
コンセント色
※特別非常電源である旨を表示
起動時間40秒10秒無停電
電源自家用発電設備自家用発電設備無停電電源装置(UPS)と自家用発電設備の組合せ
連続稼働時間10時間以上連続運転10時間以上連続運転▽UPSは充電を行うことなく10分以上継続して供給
▽自家用発電設備は40秒または10秒以下で電圧が確立し10時間以上連続運転可能なもの
24時間以上の稼働(定義なし)(定義なし)(定義なし)
用途○40秒以内に電力供給回復が必要なME機器。
○病院機能を維持するための基本作業に必要な照明
○病院機能を維持するための重要な機器又は設備*
○10秒以内に電力供給の回復が必要なME機器
○照明設備のうち10秒以内で電力供給の回復が必要なもの
○無停電で電力供給が必要なME機器
○手術灯(無影灯)

*.重要な機器または設備

  • 医療用冷蔵庫、冷凍庫および温度の保持が必要な装置
  • 医療ガス供給設備(吸引設備を含む)
  • 滅菌器などの設備
  • 通信機器・情報設備機器 ⇒ 医療情報機器(HIS、PACS)、構内情報通信網設備(サーバなど)、構内交換設備(電話など)、誘導支援設備(ナースコールなど)、医療用監視(観察)カメラ設備
  • 防災設備・防犯設備(自動火災報知設備、火災通報設備、電気錠設備など)
  • 警報設備(設備警報、絶縁監視遠隔警報設備など)
  • 自動化装置(自動化学分析装置など)
  • 非常時に電力供給が最低限必要と思われる搬送装置(エレベーターなど)、給排水ポンプ、換気装置など



赤コンセントには何を?

非常電源

 前述のとおり、赤いコンセントは10秒または40秒以内に電力が回復し、その後10時間以上連続して電力を供給できます。

 非常時に使う電源ゆえに、非常時でも継続しなければならな処置や治療に用いる器具類への電力供給が目的で設備されます。

 写真で例示したのはNationalの電気カミソリのACアダプタが赤コンセントに差し込まれている様子です。剃毛といって、処置に必要で電気カミソリを使いますが、非常時に充電する必要性はありません。
 これは、医療安全上は不適切なことですが、これをいちいち注意する部署や職種が不在であることも、潜在的な課題です。



バッテリバックアップ

 赤いコンセントは最長で10秒または40秒の停電が許容されています。

 一瞬でも電源が落ちる事が許容されない機器は赤いコンセントには差し込むべきではありません。

 言い換えれば、赤いコンセントに差し込まれている機器はバッテリを内蔵している機器か、多少は休止しても生命維持に影響の無い機器と言えます。



こんなME機器が差さっている

 赤いコンセントに差し込まれている医療機器は生命維持管理装置や、生命危機につながりやすい循環動態や呼吸に関わる機器、重症患者のモニタリング機器などが接続されています。

 主な機器としては人工呼吸器や補助循環装置は代表的です。停止すれば数分内に患者生命を脅かす装置です。概ねバッテリが内蔵されており危機到来は数時間後だと思われますが、重要な機器類です。 

 循環作動薬などをシリンジポンプで注入している場合には装置停止後数分で血圧や心拍に変化を来たすため、これらの装置も赤いコンセントを用います。

 重症患者の場合は急変も想定されるため、患者監視装置(バイタルサインモニタ)も赤いコンセントに差し込みます。

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注意

 一瞬でも電源を失うと完全停止してしまい、再起動に時間のかかる装置は赤いコンセントではなく緑色の無停電非常電源に接続すべきです。

 例えば10秒の停電すら許容できないほどバッテリが劣化した血液浄化装置があり、その装置が電源を喪失すると復電後に自動復帰できない機種であった場合、まずは緑色のコンセントを使うことを考えます。
 正論としては『バッテリ交換するのが普通』ですが、いまバッテリが異常だとわかっていて治療しなければならないとすれば、患者生命を守れる可能性が高いのは緑色コンセントを使用して治療することも選択肢として候補されます。

 慢性維持透析に使われるベッドサイドコンソールは赤でも緑でもなく白コンセントが選択される場合も多くあります。
 これは機械室にある透析液供給装置やRO装置、高置水槽への揚水ポンプなど透析療法を構成する機器類すべてが非常電源に接続されていなければ、局所的に非常電源を用いても治療を継続できないためです。
 では、慢性維持透析を行っている透析室にある赤コンセントは何の目的で設置されているのか。これは透析室を計画した段階で想定しているはずですが、恐らく人工呼吸器やベッドサイドモニタなどを使う目的であると考えられます。



緑コンセントには何を?

バッテリに頼らない

 バッテリ内蔵機器が増え、装置自体が無停電化されたため緑色コンセントの需要は低下しています。

 バッテリ内蔵ですが、バッテリ駆動時間を正確に測定しているでしょうか。

 例えば輸液ポンプのバッテリ寿命は概ね4年。それが5年経過となると電力喪失から数十秒でシャットダウンする事もあります。シャットダウンしてしまうと流量や積算値はリセットされてしまいます。

 何かの都合で機能を失ったバッテリを内蔵しているME機器を使わざるを得ない場合は、緑色コンセントを利用しましょう。



保育器

 保育器にも色々と種類がありますが、赤コンセントでは不十分な機種の場合、緑コンセントを使います。

 保育器に色々な機器を組み合わせて使っている場合、その組み合わせている機器が1つでもダウンすると一大事です。

 停電という非常時には、暗闇で確認作業をするため見落としもあります。

 見落としても良いように、無停電非常電源を使って安全を確保するという考え方もできます。



UPSは蓄電池

 UPS(Uninterruptible Power Supply)は蓄電池から電力供給するため、電池が底をつけば終わりです。

 むやみに負荷を増やすと、電池は早く消費されます。

 自家発電装置を併用するため40秒後には電力供給が始まる『予定』ですが、何らかの問題で供給されない場合は蓄電池が頼りです。
 停電から10分までは電池が持続できる予定ですが、負荷が少なければ20分大丈夫かもしれません。自家発電設備の異常を察知してからリカバリできるまでの猶予が負荷の量に依存するため、厳密な取捨選択が必要になります。




管理者不在?

境界領域

 電気設備や自家発電設備の維持や保守は施設の電気主任技術者が法令に基づいて適正に管理していると思います。

 医療機器の正常性は医療機関の医療機器安全管理責任者やリスクマネジャーらが責任を持って管理していると思います。

 赤コンセントも緑コンセントも災害時には正常に使え、それを使わなくても診療が継続できるように負荷側のME機器が整備されていても、いざ非常電源を使おうというときのルールが無かったり、トラブル発生時の問合せ先が決まっていなかったりします。

 設備と機器の境界領域に起こり得る『あるある』のようなものです。



ホスピタルエンジニア

 境界を取り払おうと、日本医療福祉設備協会が2012年から検定試験を開始しています。

 『認定ホスピタルエンジニア』は2日間の講義を受け、別な日に試験を受けて合格した人だけが認定されます。
 認定期間は5年間で、更新時期までに指定講習会を受講しなければならないので、時々刻々と変化する時代に沿った情報は得ていることになります。

 ホスピタルエンジニアは境界領域を埋めるのが仕事です。

 自社研究成果ですが、2017年の学会発表でホスピタルエンジニアの境界領域での活動可能性について検討した結果があります。

西謙一: CHE(認定ホスピタルエンジニア)取得臨床工学技士の医療機器-医療設備境界領域の安全管理, 第46回日本医療福祉設備学会



ナース育成

 停電発生時、現場に居合わせる可能性が最も高いのは看護師です。

 初動対応から長期管理まで、適任者となるのは看護師です。

 ただし、何らかの災害を伴う場合には看護師は超多忙、電気設備に気を取られている余裕がありません。

 余裕のない看護師でも対応できる程度までお膳立てしておく、それができるのは設備管理者と機器管理者であり、両者が協働することで実現可能性の高い準備ができます。

 『医療機関における非常電源の適正運用』の管理者が不在であっても、複数の職種が協力し三位一体となって管理者となることで、非常時の安全性を高める事ができます。




非常電源は完璧か?

下流域は対象外

 非常電源はJIS規格にも書かれているとおり『商用電源』を基準に考えます。
 簡単に言えば、電柱から電気が来なくなったときに稼働します。
 すなわち、電柱から電気が来ていれば、構内で何が起きていても関係ないということです。

 例えば病棟の分電盤から火が出て停電したとします。
 この状態では電柱から電気が来ようが、自家発電装置がフル稼働しようが、その病棟のコンセントは使えません。

 このような構内発生の電気トラブルでは、大病院でも混乱を来たしています。



ネズミや水

 漏水や小動物でも電源は喪失します。

 電気工事屋としては、農家の分電盤にネズミが入ってショートした現場や、壁内の電線をネズミがかじったという現場には何度か遭遇しています。医療機関では起こりにくいかもしれませんが、起こり得る事象ではあります。



2020年代には対策!?

 2018年の大阪北部地震や北海道地震では医療機関の停電が多発し、厚生労働省が確認調査を実施しています。

 大阪北部地震では500床以上ある大病院で漏水による構内停電が発生した事例があり、経済産業省からも指導が入りました。

 医療機関が停電に備えても何ら手当てが貰える訳ではないのでレベルアップが強要されることはありませんが、もしも診療報酬等で手当てされるようになれば必然的に設備はレベルアップされるため全体の水準も向上すると考えられます。




規格

日本産業規格 (JIS)

 鉱工業、データ、サービス、経営管理等の品質の改善や合理化のための規格制定とマーク表示を定めた法律『産業標準化法』に則ります。

 認証を受けずにJISマークを表示すると1億円以下の罰金刑になりますが、JISマーク表示が無い商品を製造・販売する事は問題ありません。

 標準化(Standardization)とは『自由に放置すれば、多様化、複雑化、無秩序化する事柄を少数化、単純化、秩序化すること』とされています。

 医療機器のすべてが標準化されている訳ではありませんが、規格がある医療機器はたくさんあります。
 非常電源についても規格がありますが、規格どおりなら医療機器の安全使用が担保されている訳ではなく、規格外だとただちに危険であるという訳でもありません。

[Link] 経済産業省: 国内・国際標準化



JIS T 1022 : 病院電気設備の安全基準

 一般社団法人電気設備学会(IEIEJ)および一般財団法人日本規格協会(JSA)が原案提出して規格化されています。

 医療機器の使用上の安全確保が目的であり、医療機関の電気設備のうち医用接地方式(アース)、非接地配線方式(アイソレーション)、非常電源に対する安全基準および施設方法について規定されています。

 心臓カテーテル室や手術室などミクロショックの恐れが高い医用室では等電位接地が求められ、JIS T 1022ではその方法などが規定されています。医療におけるアースの重要性は認識されていても、正しい方法がわからないとき、JISの規格どおりに施工すれば一定の安全が保たれます。

 非常電源について『電源の遮断による機能の停止が医療に重大な支障を来たすおそれがある医用電気機器などを使用する医用室の電源回路には、その使用目的に応じて、医用室のカテゴリごとに、表2に基づき、次のa)~c)のいずれかの非常電源を設けなければならない』とJIST 1022には記載されています。
 ただし、医療機関にJISマークを表示する訳ではないので、JISどおりに非常電源が設置されていないくても法令違反ではありません。JISの規格に準じて施工するよう指導を受けている場合には、規格どおりに施工する必要があります。

[Link] 日本産業標準調査会: JIS検索



JIS T 1021 : 医用差込接続器

 一般社団法人電気設備学会(IEIEJ)および一般財団法人日本規格協会(JSA)が原案提出して規格化されています。

 交流100Vとの接続に使用する医用差込接続器について規定しています。
 コンセントや差込プラグの形状(極配置)、刃受の保持力、耐熱、耐電圧、耐過電流など差込接続器を製造するにあたり必要な物理値などが記されています。

 保持力試験や耐熱性試験などの方法はJIS C 8306(配線器具の試験方法)を準用します。



JIS C 8303 : 配線用差込接続器

 一般社団法人日本配線器具工業会(JEWA)および一般財団法人日本規格協会(JSA)が原案提出して規格化されています。

 JIS T 1021が交流100Vであったのに対し、JIS C 8303は交流250V以下の電路を対象としています。配線とコードとの接続またはコード相互の接続に使う差込接続器について規定しています。



JIS T 0601 : 医用電気機器

 JIS T 1021や1022が20ページ程であったのに対し、JIS T 0601-1だけでも300ページ以上あり、専門分化された分冊も発行されています。

 対象は医用電気機器(ME機器)および医用電気システム(MEシステム)の基礎安全及び基本性能の規定です。

 JIS T 0601-1の大項目は以下の通りとなっています。なお、JIS T 0601-1はIEC 60601-1を基に日本国の事情を考慮して編集されています。

1.適用範囲, 目的及び関連規格
2.引用規格
3.用語及び定義
4.一般要求事項
5.ME機器の試験に対する一般要求事項
6.ME機器及びMEシステムの分類
7.ME機器の標識, 表示及び文書
8.ME機器の電気的ハザードに関する保護
9.ME機器及びMEシステムの機械的ハザードに関する保護
10.不要又は過度の放射のハザードに関する保護
11.過度の温度及び他のハザードに関する保護
12.制御及び計器の精度並びに危険な出力に対する保護
13.ME機器の危険状態及び故障状態
14.プログラマブル電気医用システム (PEMS)
15.ME機器の構造
16.MEシステム
17.ME機器及びMEシステムの電磁両立性

 JIS T 0601シリーズは以下の物が発行されています。

JIST0601-1第1部:基礎安全及び基本性能に関する一般要求事項
JIST0601-1-1第1部:安全に関する一般的要求事項-第1節:副通則-医用電気システムの安全要求事項
JIST0601-1-2第1-2部:基礎安全及び基本性能に関する一般要求事項-副通則:電磁妨害-要求事項及び試験
JIST0601-1-3第1-3部:基礎安全及び基本性能に関する一般要求事項-副通則:診断用X線装置における放射線防護
JIST0601-2-10第2-10部:神経及び筋刺激装置の基礎安全及び基本性能に関する個別要求事項
JIST0601-2-16第2-16部:人工腎臓装置の基礎安全及び基本性能に関する個別要求事項
JIST0601-2-18第2-18部:内視鏡機器の基礎安全及び基本性能に関する個別要求事項
JIST0601-2-2第2-2部:電気手術器(電気メス)及びその附属品の基礎安全及び基本性能に関する個別要求事項
JIST0601-2-201第2-201部:水治療法用圧注装置及び温浴療法用装置の基礎安全及び基本性能に関する個別要求事項
JIST0601-2-202第2-202部:紫外線治療器の基礎安全及び基本性能に関する個別要求事項
JIST0601-2-203第2-203部:赤外線治療器の基礎安全及び基本性能に関する個別要求事項
JIST0601-2-204第2-204部:空気圧式マッサージ器の基礎安全及び基本性能に関する個別要求事項
JIST0601-2-205第2-205部:医療用マッサージ器の基礎安全及び基本性能に関する個別要求事項
JIST0601-2-206第2-206部:乾式ホットパック装置の基礎安全及び基本性能に関する個別要求事項
JIST0601-2-207第2-207部:キセノン光線治療器の基礎安全及び基本性能に関する個別要求事項
JIST0601-2-208第2-208部:電位治療器の基礎安全及び基本性能に関する個別要求事項
JIST0601-2-21第2-21部:乳幼児用放射式加温器の基礎安全及び基本性能に関する個別要求事項
JIST0601-2-24第2-24部:輸液ポンプ及び輸液コントローラの基礎安全及び基本性能に関する個別要求事項
JIST0601-2-25第2-25部:心電計の基礎安全及び基本性能に関する個別要求事項
JIST0601-2-3第2-3部:超短波療法機器の基礎安全及び基本性能に関する個別要求事項
JIST0601-2-35第2-35部:医療用ブランケット,小型パッド又はマットレス加温装置の基礎安全及び基本性能に関する個別要求事項
JIST0601-2-37第2-37部:医用超音波診断装置及びモニタ機器の基礎安全及び基本性能に関する個別要求事項
JIST0601-2-39第2-39部:自動腹膜かん(灌)流用装置の基礎安全及び基本性能に関する個別要求事項
JIST0601-2-40第2-40部:筋電計及び誘発反応機器の安全に関する個別要求事項
JIST0601-2-5第2-5部:超音波物理療法機器の基礎安全及び基本性能に関する個別要求事項
JIST0601-2-6第2-6部:マイクロ波治療器の基礎安全及び基本性能に関する個別要求事項
JIST0601-2-64第2-64部:粒子線治療装置の基礎安全及び基本性能に関する個別要求事項
JIST0601-2-66第2-66部:補聴器及び補聴器システムの基礎安全及び基本性能に関する個別要求事項


JIS C 4411 : 無停電電源装置(UPS)

 一般社団法人日本電気工業会(JEMA)および一般財団法人日本規格協会(JSA)が原案提出して規格化されています。
 規格は三部構成になってます。

JISC4411-1無停電電源装置(UPS)-第1部:安全要求事項
JISC4411-2無停電電源装置(UPS)-第2部:電磁両立性(EMC)要求事項
JISC4411-3無停電電源装置(UPS)-第3部:性能及び試験要求事項



国際規格

国際規格

 国内に規格がない場合は国際規格を参照します。

 また、輸入品の場合は国際規格に準拠している製品が多いため、国際規格を参照します。
 輸出する場合も同様に国際規格を参照し、適合させます。



IEC 60601 : Medical electrical equipment

 IEC 60601-1は医療用電気機器の基本的な安全性と性能の要件を示している国際規格です。
 有効性を示すのは日本で言えばPMDAの薬事承認、米国ではFDAの承認になりますが、安全性についてはIEC 60601と共通する部分が多くなります。

 電磁妨害に対するリスクを試験によって確認する事を求めています。携帯電話や充電器など様々な電磁波による影響を想定し、電磁妨害の放射試験の実施方法などについてしめされています。

 電磁環境は医療機関での使用のみならず、在宅医療など院外使用もも想定されています。
 電磁妨害へのイミュニティ(耐性, immunity)については使用環境により別々の概念を示しています。
 病院には無い万引防止装置や電気自動車充電器なども、植え込み機器や在宅医療機器では接することになるため、規格の中で想定されています。

 試験はエミッション(放射, emission)が最大となるモードで行う事になっています。ME機器が動作している状態での試験は当然ながら、スタンバイ状態での影響についての試験も考慮すべきとしています。

 試験はTUV(テュフ)など第三者試験機関が請け負ってくれます。

[Link] IEC (International Electrotechnical Commission)

[Link]IEC Webstore: IEC 60601-1: 2018 SER Series

[Link]JEITA(電子情報技術産業協会): 医療機器用電子部品の信頼性ガイド

[Link]TUV: IEC 60601-1 for medical electrical equipment




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