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明日の台風に備えて | NES株式会社

 今夜から明日にかけて関東や伊豆諸島には台風の影響が出ると見られています。

 特に伊豆諸島では電柱が折れるほどの強風が予想されており、すでに強い風が吹いているようです。

 雨の量も伊豆諸島では24時間で300ミリ、関東や東海でも100ミリを超える場所があるようです。




明日はこうなる

 伊豆諸島では様々な被害が出ることが予想されています。

 関東でも太平洋側では高潮や暴風の影響が出る可能性があり、電力会社でも警戒を呼び掛けています。

 鉄道は既に計画運休が発表されていますので、出勤はできても帰宅できない可能性があります。

 停電が起こればスーパーやコンビニ、自動販売機などあらゆるものが臨時休業になります。

 大雨が無ければ自家用車は動かせるかもしれませんが、冠水や倒木などがあれば大渋滞が予想されます。




計画運休

 JR東日本によれば、明日は一部で計画運休、それ以外でも運休の可能性がありそうです。


 JR東日本千葉支社発表の資料では鴨川などに向かう外房線、内房線が午前で打ち切りとなる予定です。

 銚子や鹿島へ向かう電車も同様です。


 下図は2019年の荒天で鉄道が運休した際の千葉市内の様子です。

 撮影者は出張で幕張に行っていたので、この日はホテルを取っていましたので困りませんでしたが、少し前まで幕張で一緒に居た知人は千葉県内の自宅には戻れず、東京へ行って宿泊しました。

 明日は出勤できても帰宅できない、そのような天気です。

 はじめから出勤しないという選択をとるか、今からホテルを予約するか、車中泊覚悟で車で行くか、何か策を持っておくと良いと思います。

[Link] 直面、帰宅困難者(千葉)…帰宅難民が多発した千葉みなと駅に居合わせました




停電

 台風ですから停電の可能性もあります。

 2018年の台風21号、2019年の台風15号・19号は記憶に新しいと思います。

 今回の台風による停電が警戒されている千葉では、2019年には鉄塔の倒壊や、ゴルフ練習場のネット倒壊など暴風による大規模な被害がありました。

 我々は2018年の台風21号で52時間の停電を経験しました。

 停電対策としては、停電しても強く生き延びられるようにしておくことです。

 もっともわかりやすい対策は発電機や蓄電池を使って電力を供給し続けることです。

 その実証結果についてか下記をご参照ください。

[Link] 52時間停電で実証 現場適応性の高いNESの強靭住環境


 電力が数日無くても生きていくことはできますが、かなり不便です。

 もし、今はまだ台風が来ていないのであればスーパーでもドラッグストアでも良いので、食糧などを調達しに行きましょう。

 明日を予想するならば、下図のような状況でしょう。

 停電によりレジも空調も冷蔵庫も使えないので臨時休業になるか、お店は開いても物流が途絶えて日配品などは空の状態になるかのいずれかです。物流が途絶える理由の1つが信号のブラックアウトです。身動きが取れないほどの大渋滞が起こります。




我々は発電機

 2018年の台風では、メインの電源を発電機でまかないました。

 まだ9月4日は暑かったので、エアコンを使って過ごしました。冷蔵庫も使いました。光回線がダウンしていたのでネット等を使えませんでしたが、ビデオを観ることはできました。

 約50ccのエンジン、原付バイク程のものですが、それを何十時間も運転させ続けて電力を地産地消しました。

バイクのホンダから出されている原付バイクほどのエンジンを積んだカセットガスを燃料とする発電機です。約10A程の発電ができます。キャリーバッグのように転がして移動できるので、水平移動にはさほど力は要りません。
ホンダの4ストエンジンオイルです。エネポを動かす際にこれが無いと始まりません。発電機を買って、ガスボンベを用意して安心していると、停電してから困る事になります。
カセットガスの元祖であるイワタニのガスボンベです。発電機は2本1組で使いますので偶数で保管しておくと良いです。最短では1時間くらいで2本使います。長いと2時間以上ですが、12本でも半日分程度です。

[Link] HONDA: 発電機 EU9iGB 取扱説明書




蓄電池

 2018年には無かった物ですが、2021年春には蓄電池を調達しました。

 この蓄電池の特徴は出力400Wまで対応できる点です。

 少し大きめの消費電力の家電品も使う事ができます。

 当方ではバイクに載せて遠方でも使えることを確認しています。

 この蓄電池は新型コロナウイルス感染症の臨床でも使用しました。まさに写真に映っているものを現場に持ち込んで実証試験を実施しています。
※.メーカーとは関係なく自主的に実施した試験です。
※.メーカーからの協力は一切受けておりません。本体の調達も検証費用もメーカーから1円も支援を受けていない弊社の独立した検証です。

電池容量120,000mAh(444Wh)、iPhoneを約700時間、電気毛布を約18時間、車用炊飯器を約3回利用できる容量です。正弦波AC400Wの出力です。
折り畳み式で81Wハイパワー発電。ポリエステル600Dの生地を採用



冷蔵庫

 冷蔵庫は停電すれば停止します。当たり前のことですが、その後はどうなってしまうのかについては意外にもデータが少ないです。

 弊社では実際の家庭用冷凍冷蔵庫を使って実験をしました。

 幾度か実験を行いましたが、概ね同じような結果になっています。

 冷蔵庫は約1日で常温に近づいてしまいますので、食品は腐っていく事を想定するべきだと思います。

 冷凍庫は、開けなければ0℃に近い温度をキープします。

 この温度データを見て、どのスペースに何を入れるべきかシミュレーションしておく必要があります。

[Link] 停電時の冷凍冷蔵庫の庫内温度調査の公表について


 我々の調査データが医学論文に掲載されました。

[Link] 瀧澤 裕樹, 小川 理, 西田 藍: 令和元年房総半島台風後の真夏日,長時間停電時におけるインスリン保管状況に関する質問票調査, 日本糖尿病学会




最新研究:クーラーボックス

 今週から始めた実験なのでまだ結果が出ていないのですが、クーラーボックスを使った保冷試験を実施中です。

 24時間経過の最新データを初披露します。

 今週は秋らしい天気でしたので昼間は30℃近く、晩は20℃近くになっています。

 そのような中でクーラーボックスに氷を入れて実験してみたところ、24時間後でも5℃あたりを保っています。

 前述の冷蔵庫のデータをご覧いただくと、冷蔵庫は最初から10℃程で24時間後には15℃を超えていますので、クーラーボックスに期待が持てるデータを得ています。

ダイワの最高峰クーラーボックスです。容量は27L、自重は6.9kgです。極厚6面真空で4~5日の保冷力があります。



浴槽

 台風で断水は起こりづらいのですが、マンションなどでは揚水ポンプの停止などで断水が起こります。

 こうした自然災害を前にしたときは、できれば浴槽に満杯の水を張っておくことをお勧めします。

 私たちは、風呂自動運転で湯を最大量まで張り、その湯を桶で取りながら使います。浴槽の湯を腐らせないために慎重に取り扱います。

 そして、使わないときは蓋をして汚れ防止と、湯温維持に努めます。台風シーズンであれば最低気温は20℃前後、湯温も20℃くらいで落ち着くと思います。沸かし直しをする際のエネルギーはなるべく最小化するように気遣っています。

 2018年の台風21号ではガスと水道は使えましたが、停電が続きました。発電機の電力で給湯器を起動させていたので、給湯時間を1分でも縮められた方がよかったので、この保温蓋は役に立ちました。




トイレ

 断水しても、下水が開通していれば水洗トイレは使えます。

 実際に試してみました。上水道を止栓した状態で排水、便器にあった水(汚物)は流れていきます。

 便器に水は貯まらないので、風呂から桶で水を運んできて満たします。


 もし、冠水して下水管が使えない場合や、水をストックしていない場合はドライトイレが使えます。

 方法は動画を見てもらうのが早いのですが、ゴミ袋にオムツを入れて、便座に座って用を足すという方法です。

 子供やお年寄りでも、いつもと同じように排泄するだけで済むので、トレーニングが要りません。




生命を守る行動

 災害時、最大の目標は生命を守る事です。

 次に家屋などの財産を守る事が挙げられるかもしれません。

 生命を守る行動とは何でしょうか。食事は我慢できてもトイレは我慢できない、しかしお腹も空きます。

 ヒトが生きるために必要なこと、サバイバルを考えると良いと思います。

 この1日、無理に出勤や登校をして生命を落とすくらいなら、お休みするという考えを持っても良いと思います。特に今はコロナウイルスの治療法が確立されていないので、感染リスクが高い場所に長時間の滞在を強いられる可能性を考えると、家から出ないという選択肢は生命を守る行動と直結します。

 空腹はどこまで我慢できるかわかりませんが、食糧は備蓄するか、今から買いに行くか、誰かに借りるか、有る物で工夫するか、色々と考えてみましょう。

 火が使えるかどうかは大きく左右します。ルクルーゼのような鍋があると、短時間の加熱でじっくり調理できるので、安全で省エネです。

 可能であれば、電力を確保すると良いです。

 発電機、蓄電池、太陽光発電、何らかの設備を持っていると強いですが、小さなところから言うと、停電前にスマホとモバイルバッテリは充電しておきます。

 出来る限り、スマホの電源は消費しないように準備します。例えば、使っていないアプリは『無効化』や『削除』をして、電池消費を抑止します。機内モードにするのも良い手段です。停電してから設定していると、それだけで電池を消費してしまいます。

 風速30メートル以上が予想されている場合、早めにシャッターを閉めたり、ベニヤ板を貼って飛来物からガラスを守って、巣ごもりを始めましょう。

 皆さんの安全を祈っております。

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BCP Press Rerease 医工連携 医療機器・設備・環境 講演

3日連続3回登壇・第50回日本医療福祉設備学会 | NES株式会社


Press release

第50回日本医療福祉設備学会で3日連続・3回登壇します。

 50回目の開催となる日本医療福祉設備学会にて、弊社代表が3日連続で登壇します。

 初日(11月24日)はサテライトセッションとしてHOSPEX Japan 2021の会場にて『物資枯渇改善に貢献するホスピタルエンジニア(CHE)の目標志向活動(GOA)』と題した講演を予定しております。CHEとは、一般社団法人日本医療福祉設備協会が主宰する検定試験であり、演者である西謙一は第1回試験で取得しております。

 2日目は学会の本会場にて一般演題『停電対応の分散化による医療BCP実行性向上』を発表します。重厚長大な発電設備に依存せず、小出力発電設備を分散的に院内配備する事による停電対応について論じます。

 3日目は一般演題『後発機器の緊急的供給を目指した医工連携による感染制御機器開発』を発表します。昨年春から取り組んで参りました簡易陰圧システムの開発ストーリーに沿って行動や判断の良し悪しを聴衆の皆様と共に判断し、今後の参考にして行きたいと考えております。

 いずれの話題も根底にはBCPがあり、非常時であっても混乱を最小化して業務を続ける事を目指しています。弊社では目標志向の活動を推進する『GOA』(Goal-oriented action)をBCPに取り入れ、特に医療では平時に行っていた診療を止める訳にはいかないため、その継続のために選び得る手段を豊富にするためのトレーニング等をサービスとして提供しています。


プレスリリース: 3日連続3回登壇・第50回日本医療福祉設備学会(NES株式会社)


2021年9月24日
NES株式会社


お問い合わせ

  本件に関するお問い合わせはこちらからお願い致します。




外部リンク

第50回日本医療福祉設備学会 (HEAJ-50)

HOSPEX Japan 2021 (ホスペックス・ジャパン2021)

株式会社シズン(SISM)

株式会社昭栄 (ガス電くん)




お問い合わせ

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BLOG 講演

臨床工学技士100人カイギ | NES株式会社

 100人カイギとは、1回5人のスピーカーで構成するイベントを20回開催し、スピーカーが100人に達した時点で解散するというものです。

 それの臨床工学技士版が森ノ宮医療大学の西垣孝行氏ら有志の集まりで運営されています。

 2021年9月18日に第18回目を迎え、いよいよラストの第20回目が見えてきました。

[Link] 臨床工学技士100人カイギ




『臨床工学技士100人カイギ』とは

 「100人カイギ」とは、それぞれの地域や分野で活躍する面白い人の話を聞きながら、人と人とをつなぐイベントです。100人カイギは「会議」ではありません。著名であることや肩書きなどは関係なく、『人を知ること』、そして『人と人がつながること』を目的としています。 

 2016年1月に「港区100人カイギ」として始まったこのイベントは2021年7月現在、全国1万人以上が参加しています。カテゴリは地域別がほとんどですが、テーマやコラボレーションで行うこともあります。医療職種をテーマとした100人カイギは臨床工学技士が初めてとなります。また各種、医療職をテーマとした100人カイギが発足しています。

 私たちは、臨床工学技士を世の中の人々に知っていただくことや、臨床工学技士の未来を彩るようなゲストを100人お招きします。学生から定年退職した方まで、さらには他職種とも壁を取り払って交流することを目的としております。

 きっと100人目が登壇するころには、従来とはまるで異なる、ワクワクするような未来を想像できるようになっていることでしょう。参加者の誰もが、一歩踏み出す文化を創りたいと考えております。

▼タイムスケジュール▼※場合により変更することがございます

19:00~19:15 概要説明/100人カイギとは
19:15~19:20 アイスブレイク(5min)
19:20~19:35 登壇者①(10min)
19:35~19:50 登壇者②(10min)
19:50~20:05 登壇者③(10min)
20:05~20:10 休憩(5min)
20:10~20:25 登壇者④(10min)
20:25~20:40 登壇者⑤(10min)
20:40~20:50 ブレイクアウトルーム (10min)
20:50~21:00 次回案内 / 写真撮影

 「臨床工学技士」という1つの職種でも、そのビジョンや働き方、取り組みは様々です。病院に限らず、メーカー、教育機関、あるいは医療とは全く違うキャリアを築いている人もたくさんいます。100人カイギでは、そのような人たちと出会うことができます。

 100人カイギは、職場や近隣施設とのつながり、各技士会などの枠を更に超えた新しいコミュニティです。新しい繋がりが、新しい視点や目標に繋がります。「臨床工学技士100人カイギ」をきっかけとした登壇者のブランディングも目標にしています。学生や若手の臨床工学技士にとっても自分たちの将来を考えるきっかけになります。もちろん、学生の登壇も予定しています。
ぜひ、一緒にワイワイ楽しみながら、イベントを盛り上げていただけましたら幸いです。




臨床工学技士100人カイギ vol.18

 第18回は2021年9月18日19時スタート、ゲストは以下の5名です。

  • 大塚招さん
  • 森優子さん
  • 光家努さん
  • 長田優斗さん
  • 安部貴之さん

[Link] OneCE: 臨床工学技士100人カイギ Vol.18




【登壇予定】 臨床工学技士100人カイギ vol.19

 当社代表の西謙一が2021年10月開催の臨床工学技士100人カイギに登壇します。

 お話する内容については調整中ですが、これまでの『邪道』な臨床工学技士人生を振り返る内容になっています。

 当社の西と、100人カイギの西垣氏との出会いは2004年です。当時、西が病院実習として国立循環器病センターの臨床工学技士さんにお世話になったことが始まります。
 2010年には西が国立循環器病研究センターの職員となったため、西垣氏とは同僚として働いていました。ただし、西垣氏は病院、西は研究開発基盤センターという組織も建物も異なるものでした。
 組織体系は異なりましたが、コミュニケーションを取り合っていました。

 今回はそのような縁もあって招聘して頂いたと思います。
 10月9日はフルパワーで臨みます。




臨床工学技士100人カイギ vol.19

 第19回は2021年10月9日19時スタート、ゲストスピーカーは今回も5名です。

  • 菊池雄一さん
  • 中島章夫さん
  • 大塚勝二さん
  • 石飛航太さん
  • 西謙一

[Link] OneCE: 臨床工学技士100人カイギ Vol.19

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BLOG 医工連携 療養住環境

義務教育医療とセルフメディケーションによる医療崩壊回避 | NES株式会社

 ディズニーランドやUSJの入場料は年々上昇していますが、エリア拡大もしながら入場者数は増加しています。
 施設全体の入場料総額が増えても、それを負担する人が居るので破綻しません。

 高齢者人口の増加や高度な医療の普及などの要因から、医療費総額は増加しています。
 総額が増加しても、それを負担できる人が居れば問題ないのですが、社会保険システムの原資である保険料負担をする総人口は減少傾向、負担額が大きい現役世代である生産年齢人口の高齢者との比率は低下が進み、単価を引き上げる方法で何とかしのいでいるという状況だと思います。

 このままでは、社会保険システムは破綻する可能性があります。その回避策の1つに医療給付費の減少、すなわち保険で医療を受ける額を減らす方法があります。

 その方法として『義務教育医療』と『セルフメディケーション』について、検討すべきかと思います。

 今日は、そのあたりを深く掘り下げてみたいと思います。




給与の何割まで払えるか?

 サラリーマンだと『給料天引き』として健康保険料、厚生年金保険料、源泉所得税などが引かれていると思います。

 当社の所在地である兵庫県の令和3年の健康保険料を見ると、標準月額20万円の人は、介護保険第2号被保険者で24,080円、非該当で20,480円です。これに厚生年金36,600円を加えて額が社会保険料として納められます。

 この額の内、半分が被保険者(社員個人)の負担、もう半分が会社負担です。
 会社負担だから自分のお財布にダメージが無さそうですが、会社の利益が減る訳ですから、社員が押しなべて全体の負担を強いられていることになります。

(クリックで大きな画像)

 月給20万円の30歳の人は健康保険と厚生年金で28,540円天引きされていますので残りは171,460円です。ここから源泉所得税などが引かれるので手取りは15万円くらいです。

 家賃や光熱費で8万円、子供のオムツなど養育費が2万円、食費が3万円、貯金が2万円、娯楽費はゼロという家庭もあるでしょう。

 もし、健康保険料が5%増えると月額1万円、折半で5千円の負担増です。貯金を減らして子供の教育レベルを下げるか、食事を質素にするか、厳しい選択が迫られます。

 健康保険料が10%増えると、もはや子供を持つ事は絶望的になりそうです。

 もし独身であれば、家賃や光熱費で6万円、食費等を1万円、娯楽2万円、貯金3万円として月12万円で生活できるとすれば、社会保険料としてあと3万円増やせます。
 ただし、将来に希望を抱く若者は減るでしょう。結婚資金は貯まらないですし、結婚しても子育てより共働き、高齢者のために働き続ける世の中になってしまいます。
 会社の負担も厳しいです。月給20万円の人で3万円増えるという事は総額で6万円増、すなわち保険料が今の10%から40%に増えることになります。社員全体では相当な金額になります。

[Link] 協会けんぽ: 都道府県毎の保険料額表

[Link] 国税庁: 民間給与実態統計調査

[Link] Yahoo!!: 知っていますか?「年収300万円」を超える人・超えない人の差

[Link] NIKKEI Woman Smart: 年収300万円はリッチ 世界から考える日本の幸福度




現実として負担は増えるのか?

 令和3年度、介護保険の負担が始まる前の40歳未満の健康保険料は10.24%、40歳以上の介護保険負担者は12.04%です。

 この負担率は年々増加しており、2011年は9.52%と11.03%でしたので7.5%も上昇しています。

 今後も増える事は容易に想像できます。
 団塊世代が全員75歳以上になるのは目前、団塊ジュニア世代もやがては高齢者になります。団塊ジュニアの時代でも年200万人超の出生がありました。令和の時代、80万人台と3分の1程度まで落ち込んでいます。

 団塊ジュニアが全員65歳以上になるのが2040年、令和生まれが20歳になり社会に出る頃、in/outの比が3倍近くになります。

和暦西暦40歳未満
健康保険料
40~64歳
健康保険料
厚生年金保険
平成21年度20098.20%9.39%15.704%
平成22年度20109.36%10.86%16.058%
平成23年度 20119.52%11.03%16.412%
平成24年度 201210.00%11.55%16.766%
平成25年度 201310.00%11.55%17.120%
平成26年度 201410.00%11.72%17.474%
平成27年度 201510.04%11.62%17.828%
平成28年度 201610.07%11.65%18.182%
平成29年度 201710.06%11.71%18.300%
平成30年度 201810.00%11.57%18.300%
平成31年度 201910.14%11.87%18.300%
令和2年度 202010.14%11.93%18.300%
令和3年度 202110.24%12.04%18.300%

 では、65歳以上に負担してもらいましょうという事になりますが、現在45歳を過ぎてそれなりに給料を貰っている団塊ジュニア世代であっても、厚生年金18.3%に見合った年金を貰えるかわかりません。少なくとも70歳までは満足な額を貰えないと考えれば、安易に65歳以上の負担を増やそうとしても、支払えない人が続出する可能性があります。

 65歳以上から取れない分は、現役世代から取られてしまう可能性は否定できません。

[Link] 協会けんぽ: 都道府県毎の保険料額表




医療は何割の自己負担が限界?

 ひと昔前の保険医療といえば、被保険者本人の窓口負担は1割でした。
 筆者は土建組合という滅多に病院に行かない人の集団に居たので、本人負担はゼロでした。レントゲンも薬も手術もタダでしたが、休んでいる暇のない職人さん達なので、周囲で保険を使うとすれば花粉症の薬を処方してもらう時くらいでした。

 いま、3割負担だとしても高額療養費制度があるので手術をした月は8万円程が自己負担の上限になっています。

 しかし、このまま保険財政がひっ迫すれば5割負担や8割負担もあり得ると思いますし、高額療養費制度の自己負担上限も大幅に引き上げられる可能性があります。

 外来受診では、仮に5割負担になったとしても払えない額では無いと思います。
 画像検査などがあったとしても1回の診療で保険算定は3万円程度、5割負担で1万5千円程度です。

 手術などの処置が入ると一気に数十万円まで跳ね上がります。例えば『もうちょう』と呼ばれる虫垂炎の手術をした場合、ざっと30万円程になります。3割負担なら9万円なので高額療養費で少し戻って来るかどうかというところです。

 自己負担割合は5割まで引き上げても何とか払えそうですが、高額療養費制度との兼ね合いが重要になりそうです。




融資制度が先行?

 国の財政が厳しい中での医療保険の窓口負担増が実施される場合、不足を補う補助(助成)制度がつくられるには時間がかかると思われます。

 おそらく、融資制度が先行するのではないかと考えます。

 健康保険証はマイナンバーと連係されます。金融機関などの情報も連係されます。厚生年金や納税情報も連係されます。
 医療機関の窓口での支払いはキャッシュレス化され、そもそも『お金を支払う』という行為自体が窓口では行われず、診療を終えたら診察室からそのまま直帰する事になると考えます。

 処方箋は予め選択したバーチャル薬局にデータが飛ばされ、帰宅するとドローンで配達され、薬剤料なども自動支払いされと思います。

 もし、残高不足で支払いができない場合、それを理由に受診控えが起こらないように、国が無利子や低利子で融資する制度ができるのではないかと考えます。
 医療機関にとっては、回収困難な貸倒金のようなものが減り、国としては保険制度維持ができ、『健康で文化的な最低限度の生活』は担保できるようになると考えます。

 ただし、借りた金は返さねばなりません。




セルフメディケーションが普及する

 『リンデロン』(軟膏)や『ロキソニン』(錠剤)がドラッグストアで処方箋なしで買えるようになり、外来受診をする暇が無いという現役世代が便利に利用しています。

 もし、保険医療の自己負担割合が増えれば頭痛や胃痛などで外来受診する人は減り、自己判断で治療を試みる人は増えるでしょう。

 AIの普及もあり、虫刺されなど原因がある程度わかっている炎症なども、自己判断で治療されるようになると思います。

 20年前であればカゼ薬、目薬、湿布薬くらいが家の救急箱に入っていたのが、消炎鎮痛剤やステロイド外用薬はもはや普遍化しました。

 現在の診療報酬制度では、調剤薬局でお薬を受け取ると薬剤技術料などの手間賃のような物がかかり、医薬品によっては薬剤料より高いという事がざらにあります。
 前述の『リンデロン』は、薬価表で見ると『リンデロンVG軟膏』が1g27.70円となっています。手元にあるチューブは5g入りなので138.5円です。この処方箋を持って調剤薬局へ行くと薬剤技術料として調剤基本料が200~400円程、調剤料が100円かかりますので、薬剤本体より周辺費用の方が高くなっています。
 医師から発行された処方箋に『リンデロン』と書いてあった場合、患者は保険適用のある調剤薬局へ行くか、全額自費のドラッグストアへ行くか選ぶ事になります。もし、保険を使って5割負担で300円のお薬が、ドラッグストアで250円で売っていたら、ドラッグストアの方が自己負担が少なくて済みます。
 更に言うと、5割負担で300円という事は保険者も300円負担する事になりますが、患者がドラッグストアに行ってくれれば保険者の負担はゼロで済みます。この不公平感を和らげるため、リンデロンをドラッグストアで買うと100円のクーポンを保険者が発行してくれるとなれば、ドラッグストアで買うリンデロンは150円になります。

 色々な面から、セルフメディケーションは進行していく可能性があると考えます。

 高血圧薬(降圧剤)や抗菌薬など用法や用量を誤ると危険なお薬は今後も処方を必要とすると思われますが、痛みを和らげたり炎症を抑えたりする治療法は、セルフメディケーションが進むと考えられます。

[Link] 田辺三菱製薬: 薬剤技術料







処方箋と自己診断の境界領域にニーズ

 外来受診して医師の診断を受ければ、正しいお薬が処方され、中には医師の処方箋が無ければ手に入らないお薬も服用できるかもしれません。

 医師の存在は必要不可欠ですが、保険医療の自己負担増により自己判断によるセルフメディケーションも増えると考えられます。

 ただし、患者自身に自己判断能力があれば良いのですが、ネットで見て薄い知識の中で誤った薬を服用する危険もあります。
 『これだけはダメ』というお薬を指導してあげられるようなサービスには、一定の価値があると思われます。

 例えば、胸が痛いという事で痛み止めを飲もうとしている人が居た時、その痛み方が心臓疾患のサインを疑うべきであったとき、痛みを軽減してしまうと発見が遅れてしまい致死的な状況に陥るかもしれません。
 誰かが気づいて止めてあげれば良いのですが、痛みから逃れたいという事と、無駄にお金を払いたくないという心理から、自己判断してしまう可能性はあります。

 ブレーキ役だけでなく、アクセル役も求められます。
 『毛虫に刺されて腫れた』『賞味期限切れの牛乳を飲んで気持ち悪い』という相談を受けて、候補となるお薬を紹介する役割も必要だと思われます。
 制度はどうなるかわかりませんが、自由診療の範疇で医師が1回千円で電話相談を受けても良いのではないかと思います。お薬代と合わせて2千円だとしても、外来で順番待ちして5割負担とあまり変わらない額だと思います。




リテラシーを高める義務教育

 いまの義務教育の中に、医療に関する教育はほとんど入っていません。

 応急処置を習う事はありますが『習った』という既成事実はあっても、習得していつでも応用できるというレベルではないと思います。
 AEDや心肺蘇生が典型例だと思います。講習は受けたが、できるとは思えないという人が多く居ます。

 そもそも、胸を押さえながら倒れる人は心筋梗塞以外にどのような場合があるのか、そこから指導しているケースは少なく、AEDや胸骨圧迫のテクニックだけ教えている事が多いです。

 痛みの伝え方も教わる事はないです。
 シクシク、ズキズキ、ジンジン、ガンガン、ジワリとなど、表現方法が色々あり、その伝え方によって疑う病気が変わることもあります。

 頭痛についても、痛み方には色々とあります。
 『金属バットで頭を殴られるような痛み』とは、脳卒中のときに使われる事がある表現ですが、そもそもバットで殴られた経験がある人は少ないですし、近年は体罰を避けるようになったので拳で殴られた事もない子供は少なくありません。

https://youtu.be/c_ATfUKNaAs
https://youtu.be/Jed-hO-fkBE

 小中学校で可能な限り、病気について教えていく事で、自分の身体への診断能力を養う事ができると考えます。

 日焼けして皮がめくれるのは普通だが、水ぶくれができていればケアが必要である。
 鼻水が出るのはよくある事だが、妙なニオイがするときは蓄膿症を疑うべきかもしれない。
 お酒を飲むと呂律が回らなくなるが、そうでないときに呂律が回らないのは脳卒中を疑うべきかもしれない。

 小学校4年生から中学校3年生までの6年間、月2時間ずつでも100時間分くらいは教えられると思います。

 今の子供たち、その親たちはよっぽどでない限りは受診できないような社会になっているとすれば、今からセルフメディケーションの質向上に向けた教育が必要だと考えます。

https://youtu.be/0uVz4GQZHWQ






早期発見、早期治療も教育から

 がんをはじめ、多くの病気が早期発見による早期治療により、良い結果が得られる事があります。

 本当に早期発見が良いのか、時間を割いて苦しい思いまでして胃カメラを飲む必要があるのか、という話をよく耳にします。

 小中学校の間に早期発見・早期治療の利点を知り、同級生の家族がそれで助かったというエピソードまで添えられたら、一生忘れないと思います。
 中学生になったら糖尿病の健診を受け、社会人1年生になったら一度は胃カメラを飲み、その後は定期的に健診を受けて病気を見つけ出す、それが当たり前の社会になると健診の受診率も自然と高まると考えられます。

 健診受診率が高まれば当然ながら早期発見ができ、治療にかかる費用も低減できる可能性があります。

 医療費が逼迫する中で、例えば高血圧の人を増やさないための取組みは、義務教育から始まるかもしれません。




看護師配置

 義務教育に『家庭の医学』のようなものを導入するにあたり、現任の教員を再教育する必要はないと思います。

 いま、徐々にですが学校に看護師を配置する動きが出てきています。

 看護師には『潜在看護師』と呼ばれる、免許は持っているが看護師として働いていない現役世代の看護師が70万人以上居るとされています。
 その数パーセントが小中学校での教育に携わるだけで、全校への配置が可能になります。

 看護師をはじめ医療有資格者は必ず養成課程を経て、臨床実習も経て、国家試験に合格し、免状交付を受けていますので、誰もが一定水準以上の医学・医療の知識を持っています。

 ときには医師に講師を務めてもらう事も有意義ですが、日常的な教育として定着させるためには看護師の配置が期待されます。

 学校への看護師配置は『医療的ケア児』の普通校への通学とも密接に関わります。
 医療的ケア児が通学を希望したから看護師を配置するのではなく、いずれはどこでも看護師が配置されているので、学校で一定のケアが受けられるのが普遍化するのではないかと考えます。




1クラス3~4人、医療従事者

 医師や看護師ら医療従事者(有資格者)は200万人以上居るとされています。

 今後、看護師300万人時代到来などとも言われていますが、医療従事者が増える事は間違いなさそうです。

 看護師の新卒が8万人で40年代分が集まると320万人です。現実は潜在ナースになってしまう人も居るので、日本人だけでこの数になるのは難しいかもしれません。

 令和2年の出生数は84万832人でしたので、もし看護師の新卒が8万人という時代になれば1割が看護師という事です。現状の5万人余りの数字でも同級生の6~7%が看護師です。

 1クラス35人ならば、その内の3~4人は看護師になり、あと1~2人は医師や技師など他の医療従事者になる計算です。




医療従事者は高所得者ではない

 医療従事者は高給取りだという『イメージ』が先行している感がありますが、高所得とは言い難いです。

 年収1千万円を超える医師が居るのは確かですが、週6日以上出勤し、始業時の医局カンファレンス前に病棟をラウンドしたり申し送りを聞き、終業後に1日分のカルテ(診療録)を仕上げたりと週40時間労働を超えているので、時間単価は意外に低いのが日本の医療です。

 下のグラフは業種別の平均給与です。
 医療が401万円、エネルギー系は倍以上の824万円が『平均』です。金融やITも高いです。
 医療は平均給与から見るとサービス業と同等です。提供している内容もサービス業に近いですが、様々な法律の下、原則的に全員が国家資格を持って仕事をしているサービス業は他にありません。

 同級生の1割以上が平均給与が『並』の職業へ就くことになります。

業種別の平均給与

[Link] 国税庁: 民間給与実態統計調査




医療は巨大産業

 全世代を通じて、所得の1割程度が健康保険料として徴収され、更に自己負担する診療費として年数万円~数十万円の出費となると、個人消費に占める医療費の割合は衣食住に匹敵するか、それ以上の割合になる可能性があります。

 人口減少時代ですので建物需要は昭和や平成ほどの伸びは期待できません。
 交通インフラなども老朽化のリニューアルがあっても新規路線は期待できません。

 飲食や観光への考え方は、COVID-19で大きく変わりましたが次世代ではもっと新しい考え方が出てくると思います。

 その時代において、子供たちが選ぶ進路における『医療』というものの位置づけはどうなるでしょうか。

 『人の役に立ちたい』『多くの命を救いたい』という心から生まれる医療への進路だけでなく、合理性や経済性を追求したい、真正面から『稼ぎたい』と医療分野に入る人が増える可能性があります。

 医療に対するリテラシーを高めることで、医療という産業に対するイメージも変わり、上手く経済が回れば高齢者医療費の負担の在り方も変わるのではないかと考えます。







在宅医療にも貢献

 いま現在、多くの家庭で医療も介護も未経験という事で、患者や高齢者を病院や施設へ預ける以外の選択肢を持たないというケースが多いと思います。

 家で痰を吸引するのは難しい、点滴はできないと最初から諦めているケースも多くあります。

 しかしながら、医療に対するリテラシーが高まり、また身近に医療従事者が増えればこの考え方も変わって来ると思います。

 家族の協力を得ながら在宅で人工透析を毎日施行する事も難しくありません。
 テレワークが定着した2020年以降、働き方もフレキシブルになり、在宅で治療を受けながら仕事や学校も並行させる事ができるようになってきました。

 義務教育で医療を学んだ子供たちが、特定の病気に詳しくなくても、知りたいと思ったときに調べ方を知っていれば状況は今と大きく変わります。
 兄弟や友人が大病を患ったとき、それを治すのは病院であったとしても、治療後のリハビリは在宅でもできるかもしれません。その在宅医療に並走できるリテラシーを持つ人が増えれば、患者も積極的に在宅医療を選ぶかもしれません。




感染症対策にも期待

 COVID-19の流行拡大により、社会でも感染対策が広がりましたが、その対応力は千差万別でした。

 食レポなどで『消毒したからキレイ』『マスクをして安全です』というナレーションが入ったりしていましたが、医療従事者からは疑問の声が聞かれます。

 例えば消毒は、菌やウイルスを激減させる効果があったとしても、ゼロになる保証はない手段です。
 大腸菌で言えば15分に1回の細胞分裂、すなわち1個あれば15分後には2個、更に15分後には4個と増えていきます。
 消毒しても、感染しない訳ではありません。

 消毒の方法にも注意が必要でした。
 消毒液を浸した布でテーブルを拭いても、途中からは菌やウイルスを薄く伸ばしており、逆効果も懸念されます。

 どのような状況では感染が起こるのか、正しく教育し、高い水準で議論できる社会になれば、感染制御力も高まると思います。
 COVID-19に集中すれば消毒剤は限定的ですが、菌やウイルス毎に特効薬や無効薬があるので『アルコール消毒したから大丈夫』と過信すると、アルコールが効かないものによる感染症を発症する恐れがあります。

 1つ1つを覚えておく必要はありません。
 菌やウイルスによって消毒剤が異なることだけ知っていて、あとは流行に合わせてネット検索して消毒方法を知るだけで良いのです。この1歩、非常に重要です。

 『正しく恐れる』という言葉がよく聞かれた1年ですが、リテラシーが高まれば、正しく恐れる事もできるようになります。







医療崩壊させたくない

 今回の記事は私見で述べさせていただきましたが、筆者の考えているところは、医療崩壊させたくないという事です。

 保険制度が崩れれば保険医療が混乱し、それに伴って医療自体がおかしくなる可能性があります。

 従来であれば助かった病気が、何らかの混乱により助からなくなってしまう事は避けたいと思います。

 1億円の診療を受けられるようにするかどうかという議論も必要ですが、1千円のお薬をどのようにして手に入れて、どのように使うかについて、まずは考えてはどうかと思っています。

 私のデスクにはリンデロンの大衆薬と、ロキソニンの大衆薬があります。何度か外来受診した後、この薬で症状が改善されるというケースを自己判断して使っています。
 医師の皆さんに対し、私の受診料が蒸発してしまって申し訳ないと思う一方で、保険を使わず自己負担で治療ができているので小さな社会活動かなとも思っています。

 まずは保険を破綻させない、そして医療を崩壊させない、その思いで記事を書きました。

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防災の日 | NES株式会社

 本日は防災の日です。

 1923年(大正12年)9月1日11時58分32秒発災ですので、今年で98年が経過したことになります。

 まだ調理機器や消火設備なども発達していない時代の正午2分前、被害が広がったであろう事が容易に想像できます。

 死者105,385人、全壊・全焼・流出した家屋は293,387軒です。
 2021年3月現在の東日本大震災の死者・行方不明者は1万8千人余りですので、関東大震災の甚大さが伝わってきます。

 関東大震災の直後には大雨が降ったとされ、土砂災害も多発したとの記録があります。

 関東大震災の最中に流言飛語(流言蜚語)がありました。
 富士山大爆発や井戸に毒が盛られたなどのデマが流れた記録があります。警視庁『大正大震災火災誌』をまとめた文献にも類似の記載がありますが、全体として目立つのが朝鮮人による悪事があるかのようなデマです。デマですので事実ではないのですが、このデマにより虐殺事件がありました。

[Link] 内閣府: 報告書(1923 関東大震災第2編) 第4章 混乱による被害の拡大 第1節 流言蜚語と都市


 近年もフェイクニュースやデマが問題視されています。

 2016年の熊本地震では動物園から猛獣が逃げ出したというデマが写真付きで流されました。
 2018年の北海道地震でもSNS上でデマが拡散されました。
 2020年春、新型コロナウイルス感染症流行拡大に伴い、トイレットペーパーなどの輸入が減るなどのデマが流れ品薄になりました。紙製品は国産が多く品薄にはならないはずでしたが、このデマにより品薄になってしまいました。

 情報を発する側、受ける側の双方のリテラシーを高めていかなければデマを信じてしまう人が絶えないと考えられます。

 2016年の熊本地震の際、知人がNHKニュースの情報を東京から熊本へ発信し続けていましたが、日時を確認せず、発する情報にも日時を付与していなかったため、断水などの情報が前後してしまい現場を混乱させました。
 周囲から止めるよう告げられても、本人は善行だと思い込んでいるため止まりません。悪意のないデマ情報の流布を関係者は目の当たりにしました。

北海道地震の際のデマ
新型コロナウイルスの際のデマ

 今日は情報発信の重要性を鑑みて、当社の2つの取り組みをご案内します。

 1つはホームページの災害モードです。通信が制限される中でアクセス数が増大する非常時には、ライトなページを提供する事が自治体等のサイトでは定着しつつあります。

 もう1つが院内掲示物です。来院した人に状況を正しく明確に伝えることで、限られたマンパワーを説明や謝罪という労務から解放し、診療に注ぐことができます。スタッフ向けにも、わかりやすく情報提供する事で無用なストレスを掛けずに済みます。

 今回は特別に、当社が制作したファイルもダウンロードできるように開放しますので、ぜひご活用ください。


 98年前とは大きく異なる点としてエネルギー依存があります。特に医療は電力依存が高まり、電源喪失にどこまで対処できるかわかっていない部分もあります。

 後半では、停電対策について当社の取り組みなどをご紹介しております。

 電気工事業の業許可を持っている医療BCPコンサルは稀です。臨床工学技士と電気工事士の実務経験に基づく停電対策を、この防災の日に再考してみます。




災害モード

 ウェブサイトは単位時間あたりのアクセス数やデータ量に上限があり、それを超えるとウェブサーバへのアクセスが一定時間遮断されるか、特定本数だけ接続されます。

 災害が発生すると避難所や給水などの情報を求めて市民が役所のサイトにアクセスするため混雑します。

 データ量を抑止するために、ウェブサイトから画像やボタンなどを取り払います。なるべく白背景と文字だけのページにします。

ダウンしてしまった市役所ウェブサイト
災害モードに切り替わったウェブサイト

 市役所などは世帯数からアクセス数を予想できますが、医療機関では予想しづらいです。
 大災害では、エリアで1割程の人が負傷し、持病なども含め2~3割の人が医療に関心を高めると思います。その中の半数はウェブ検索すると想定すると、おおよそのアクセス数を予想できると思います。

 下記ボタンから、災害モードの病院ホームページのデモ版をご覧いただけます。当社ウェブサーバ上に置いています。


 災害モードのウェブサイトはMicrosoft Wordがあれば編集することができます。前述のデモページはWordで制作しています。


 災害モードに関するお問い合わせは下記のお問い合わせフォームよりお願い致します。

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院内掲示物

 当社より提供させて頂いている掲示物です。

 A3判で印刷して頂くと見やすく、貼る場所の確保にも困らないと思います。

 発災後はプリンタの電力を確保するのも容易でない可能性がありますので、印刷して保管しておくと良いです。
 できれば、ラミネートして、両面テープを付けておくと良いです。


 院内掲示物についてのご意見、ご要望、リクエストなどございましたらお気軽に当社宛にお申し付けください。

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令和時代の停電対策

 日本初と言われる電力会社『東京電燈』の創立は1886年、関東大震災は1923年ですので電力の普及や依存度はそう高くないことが想像できます。

 2011年の東日本大震災の時点では多くの電子医用機器が普及し、パソコンの普及率は8割、スマホの普及も急伸している頃でした。2000年問題の時に医療現場では強く警戒しましたが、その比ではないほどに電子機器が多く使われていました。

 2021年のいま、医療現場で電力を使わない機器は非常に少なくなりました。
 体温計や血圧計なども電子化が普遍化しましたが、これらは電池式が多いため停電の影響は軽微です。
 それよりも電子カルテやナースコール、圧縮空気や吸引器、電動ベッドやエレベーターなど生命維持に直結しない部分でも電力依存が強く、人工呼吸器や血液浄化装置など生命維持管理装置はほとんどが電子制御された電子機器となっています。

 停電しない病院を作る事は容易ではありません。どんなに大きな発電機があっても、分電盤が浸水すれば電力供給できません。

 令和時代の停電対策は『分散管理』だと当社は考えます。

 大型の自家発電装置や蓄電池で中央から供給する方式は温存しつつ、その補完、または中央方式に全く依存しない形で分散型を備える事に大きな意義があると考えます。

 例えば病棟のハイケアユニット(HCU)に4床配置があったとして、最低限必要な電力はどの程度とお考えでしょうか。
 仮に1床あたり1000W、圧縮空気や吸引器など共用できる設備で1000Wとした場合、4床のHCUで5000W、100V換算で50Aあれば足りる計算です。
 ここに55Aの発電機が専用で配備されていればHCUの患者を救う事ができます。HCUの患者は病棟を離れてコンセントの無い食堂に移したとしても、発電機を帯同させれば診療を継続することができます。

 このような臨機応変な病床再編にも対応するためには、中央方式だけでは難しい事が窺い知れます。

 当社では発電機メーカーと連携し、分散型の電力保持について研究し、現場配備を進めています。


 病棟や病室よりも小さな単位として『個人』があります。

 在宅医療における人工呼吸療法の患者保護を目指した停電対策を10年以上前から実施してきましたが、当社では2018年の台風21号で実際に停電被災し、その対応を実証しました。

 カセットガスボンベで動く可搬型発電機enepoを使い、52時間の停電にも対応できました。

 いくつかの課題は見えましたが、2018年9月4日~6日の停電期間中、冷蔵庫やエアコン、テレビ、洗濯機などを動かす事が出来ましたので、人工呼吸器を装着した家族が居ても乗り切れると考えています。

 enepoを使った停電対策については、医療的ケア児を抱えるご家庭にも展開していこうと考えております。COVID-19が無ければ昨年にもご家族向けのセミナーを開催予定でしたが、残念ながら実施できていません。

 災害は忘れた頃にやって来ると言われますが、COVID-19が流行しているからといって自然災害が来ない訳ではないので、この防災の日を1つのきっかけに、改めて在宅医療の停電対策についても現場の意見を聴いて回ろうと思います。

停電中に大量のガスボンベを消費
懐中電灯とビニル袋で即席ランタン
作業灯(クリップライト)とラジオ付扇風機

 個人対応用のデバイスとして去年、蓄電池を調達しました。
 それが今年、コロナ専門病院における患者搬送用に使われました。救急車内での患者呼吸管理用の電源について相談があり、当社保有機を貸出ました。
 enepoは救急車には積載できませんので、このような蓄電池が役立つシーンもある事を実感しました。
 常に先読みして実験、その実験結果があったからこそ医療現場でも即時試用できました。試用にとどまらず、同院では同じ機種を調達して患者搬送に使い続けました。

 当社では電源品質アナライザを用いた試験や、現場で想定される環境の再現試験などを実施しています。

 在宅医療にお勧めの機器類は、Amazonで買えるような汎用品です。医療用の物はありません。医療機器に安全に使えるという確約はありませんが、何も手を打てないよりは良いと考えます。


 令和時代、電力なしの医療は考えづらい中、当社は独自に停電対策を研究し、社会実装を目指しています。

 停電対策にご意見、ご相談などございましたらお気軽に当社宛にお申し付けください。

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アーカイブ

 官民を問わず関東大震災を振り返る資料を提供しています。簡単にまとめましたのでご参照頂ければと思います。

公共・公的

内閣府: 防災情報のページ, 報告書(1923 関東大震災)

東京消防庁: 震災対策のはじまり

公立公文書館: 関東大震災と帝都復興事業

国立国会図書館: 史料にみる日本の近代 第3章 大正デモクラシー, 3-11 関東大震災

国税庁: 租税史料, 関東大震災と税務署の対応

横浜市: 関東大震災を調べる

民間

NHK for School: 関東大震災

消防防災博物館(一般財団法人消防防災科学センター):大正期の消防

味の素: 関東大震災。復興への道のりとは!?

住友電工: 住友電工の1枚 - あの日、あの時 1923 関東大震災発生

東京海上日動: 1923 関東大震災への対応

鹿島: 関東大震災を知る

Yahoo!天気・災害: 関東大震災(1923年)




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