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[私見]支援透析を考察  | NES’s blog

この記事は2024年3月11日に公開予定であった記事を令和6年能登半島地震発生を受けて前倒しして公開しました。

自院での透析施行
他院での透析施行

 慢性維持透析を提供している医療機関は、平時には自院で透析を施行しています。

 災害時にも自院で透析を施行するというのは、自然な流れではあります。

 自院で透析できない場合は、他院で透析を受けることになります。

 特徴的なところとして、他院で透析を受けるとしても、患者が自ら受診先を探すのではなく、かかりつけの透析施設や透析医会などに手配してもらうことが多いです。




目標志向ならば支援透析

 災害対策をコンサルティングしている筆者は、コンサルティングする際に目標志向で対策を講じています。

 医療機関でコンサルティングする場合には『貴院での診療が停止した場合、誰が、どのように困りますか?』という質問をします。

 続いて『市内や近隣で代行できる医療機関はどのくらいあり、需給バランスは保てますか?』といった質問をします。

 例えば、市内に産科が3軒あって、市内では1日10人くらい、多い日で15人くらい生まれている、という状況であったとします。3軒の内の2軒が被災し、1軒に集中した場合『マンパワーも器材も足りない』ということになるかもしれません。

 透析の場合は市内が一斉にダウンという可能性があり、仮に何割かが無傷であったとしても1回の治療に3~4時間かかるため、ベッド1床あたり1日で6件が最大だと思います。自院の患者が1日2回使うので、あと4回分は増やせますが、それが限界です。

 先述の西宮市の2院で検討してみます。宮本クリニックが被災し76床、152人が支援透析を受けるために大植クリニックに来たとします。48床で96人の自院患者は予定通り4時間の透析をします。152人に48床なので40床はプラス3クール、8床はプラス4クール施行することになります。
 自院患者は準備等を含め4.5時間確保した場合、2クールで9時間です。残る15時間で3~4クール施行、4クールの場合は準備時間を含め1クールあたり3時間45分です。

  • 大植クリニック:48床
  • 宮本クリニック:76床

 透析時間は短くなりますが、自院の透析施行に向けた様々な備えを強化するより、3.5km離れた場所にある他院で支援透析を受けた方がスムースであり、リーズナブルであると考えられます。

 支援透析は需給バランスを見て調整することになるので、市内で完結できなければ市外へと出ていくことになります。

患者志向の支援透析




患者志向なら遠隔地連携を

 患者が透析を受けられない最長期間を確定するためには、支援透析を選択するしかありません。

 自院での透析施行可否は被害状況の確認や復旧工事の期間を推定することになりますが、曖昧な部分が非常に多くなります。

 遠隔地での支援透析の場合、主な所要時間は移動時間です。

 健康な人が頑張って1日中歩けば、途中で休憩を何度か入れたとしても60~80km先まで行ける可能性があります。
 高齢者を20km先まで歩いて移動させようと思えば、10~12時間くらいかかると思いますが、生死がかかっているとなれば頑張れる可能性があります。

 どこかの拠点からは車で移動すると仮定して、例えば西宮市から川西市まで20kmは徒歩や車椅子で移動、川西市から福井市まで200kmはバスで移動した場合、トータルで24時間程度、最長でも48時間以内には福井市に到着できると思います。

 最終透析が金曜午前、透析予定の月曜朝9時に被災し、そこから24時間保留となって水曜朝9時から透析となっても間は約120時間、相当にしんどいとは思いますが、生死に関わる状態に陥らず透析を受けられる患者は相当数いると思います。

 自院の水源や電源について検討し、曖昧なリソースに期待して備えるよりも、20km先までの移動手段と、そこから200km先までの移動手段の2つを検討する方が確実性が高く、費用負担も少ないのではないかと考えます。




遠隔地支援透析の備えを考察

 筆者は2011年の東日本大震災被災地視察を経て、遠隔地への患者移動についてある程度の答えを出しました。
 その後、学会でディスカッションなどを経て、ブラッシュアップしてきました。
 2016年の熊本地震の際には、発災後に透析関係者から電話連絡があり、遠隔地支援透析の詳細についてお伝えしましたが、発災後にできる仕事には限りがありました。
 2022年の学会ではその進捗を発表しました。


 2013年の時点では、自院の透析患者の安否を確認するために、ガラケーを使って連絡するシステムを開発しましたが、2022年にはスマホが一般的であったため、スマホを使った簡単な安否確認システムを開発しました。


 そのシステムを応用して、支援透析の調整をするという方法が考えられます。
 発災直後から『安否』ではなく『支援透析アンケート』でも良いと思います。連絡があれば安否もわかりますし、連絡が無い人だけ別チームが動けば良いと思います。

 ここで重要なのは、予め集合場所を決めておけるかどうかです。決まっていれば、面倒な説明は省けます。


 発災後、連絡が大きなハードルになるため、対象者が多い患者側は手段を確立しておくべきです。

 その患者らが行く先となる受入施設との連絡も重要です。これはプッシュ型で進める方法がお勧めですが、そのためには予め地ならしをしておく必要があります。

 患者の移動・運搬についてもノウハウがあります。このノウハウは熊本地震の際も役に立ったとの事後報告がありました。

 弊社は、透析患者を守るべく、日々研究を重ねています。

【参考】医工学治療学会で2演題発表 | NES’s blog

【参考】簡便・廉価なAmpiTa(安否確認システム)




支援透析と収支(受入側)

 患者志向、目標志向で透析施行を考えることは、災害対策としては良い事だと思います。災害対策をコンサルティングする者として推進しています。

 患者生命はお金に代えられるものではありませんが、医療機関が経営破綻してしまっては従業員やその家族、経営者らは路頭に迷うことになります。平時に通院していた患者も戻る先が無く、市内で受入先が無ければ業界としても混乱を招きます。

 支援透析を選択することになった場合、ステークホルダーはそれぞれに戦略を持つべきであると考えます。

 その戦略についても、コンサルタントとして検討しています。

 人工透析を施行した場合、令和4年診療報酬点数表によれば J-038 人工腎臓 として1日につき1,805点~2,180点までのいずれかの診療報酬を貰う事ができます。

 透析時間が4時間以上か未満かで出る差額は155~160点あります。

 支援透析を受け入れるからといって自院の患者の透析時間を4時間未満にしてしまうと、例えば先述の大植クリニックの場合であれば48床・96人の患者で160点減算だと1日で153,600円の収入減となります。

 仮に4クール×48人を4時間透析した場合、2005点で計算すると3,849,600円の収入です。
 もし5クール×48人を3.5時間透析した場合、1845点で計算すると4,428,000円の収入です。
 両者の差額は578,400円です。通常の4時間透析を1クール施行するだけで962,400円の収入があるので、この差額が長期間続けば収益を悪化させます。

 平時の勤務帯で終わらせて経営が成り立っていたものを、ダブルシフトを組んでへとへとになりながら働いて、収益が少ないのであれば、誰も得をしません。
 5クール×48人を4時間透析した場合、2005点で計算すると4,812,000円の収入です。準備を含めると1人4.5時間、切れ目なく患者を入れて行っても22.5時間です。穿刺の都合などで開始時間がバラけるので、実質的には24時間フル稼働が数日続く可能性がありますが、もし実行できた場合、3.5時間に短縮した場合との差額は384,000円もあります。
 5クールの内の一部は時間外加算として380点を加算することができます。17時以降開始するか、21時以降に終了した場合となっています。夜間の解釈がわかりませんが、平時であれば第3クールは夕方17時頃から24時を過ぎないまでの間に行われていると思います。これが時間外加算の対象ですが、そのあとに2クール足すことになると、それらも加算対象だと思います。

  1. 8~14時
  2. 13~18時
  3. 17~23時
  4. 22~深夜4時
  5. 深夜3~8時

 3クール分、48人×3で144人に380点加算すると547,200円です。
 自院患者は自院スタッフをメインに診療するとしても、機械トラブルなどの対応が必要なため数名は深夜対応が必要です。この深夜に足りないスタッフは依頼元の施設から送って貰ったり、近隣施設から応援のバイトを受入れて回すことになります。

 平時以上に諸経費がかかるため、しっかりと4時間透析を実施するとともに、加算なども算定して赤字にならないようにしなければなりません。


参考

  1. 慢性維持透析を行った場合1
    • イ 4時間未満の場合   1885点
    • ロ 4時間以上5時間未満の場合   2045点
    • ハ 5時間以上の場合   2180点
  2. 慢性維持透析を行った場合2
    • イ 4時間未満の場合   1845点
    • ロ 4時間以上5時間未満の場合   2005点
    • ハ 5時間以上の場合   2135点
  3. 慢性維持透析を行った場合3
    • イ 4時間未満の場合   1805点
    • ロ 4時間以上5時間未満の場合   1960点
    • ハ 5時間以上の場合   2090点
  4. その他の場合   1580点

ア 次のいずれかに該当する保険医療機関である。
 ①透析用監視装置の台数が26台未満であること。
 ②透析用監視装置一台あたりの区分番号「J038」人工腎臓の「1」から「3」を算定した患者数(外来患者に限る。)割合が3.5未満である。
※.上記②については、1月から12月までの1年間の実績をもって施設基準の適合性を判断すること。

※.透析用監視装置の台数…透析用監視装置の台数の計算に当たり、以下のいずれも満たす透析用監視装置を台数に数えている。なお、直近12か月の各月はじめの人工腎臓を行う日の透析用監視装置の台数の合計を12で除した値をもって透析用監視装置の台数とする。
 ㋐ 透析室に配置されている。
 ㋑ 患者に対して使用できる状態である。  

※.アの②における人工腎臓を算定した患者数…直近12か月の各月の患者数(外来患者に限る。)の合計を12で除した値をもって患者数とする。なお、人工腎臓を算定した患者数の計算に当たり、外来で人工腎臓を実施した回数が当該月において5回以下の患者は、当該月の患者数の合計に数えない。

イ 関連学会から示されている基準に基づき、水質管理が適切に実施されている。

ウ 透析機器安全管理委員会を設置し、その責任者として専任の医師又は専任の臨床工学技士が1名以上配置されている。

慢性維持透析を行った場合1

ア 次のいずれにも該当する保険医療機関である。
 ① 透析用監視装置の台数が26台以上である。
 ② 透析用監視装置一台あたりの区分番号「J038」人工腎臓の「1」から「3」を算定した患者数(外来患者に限る。)割合が3.5以上4.0未満である。
※.上記②については、1月から12月までの1年間の実績をもって施設基準の適合性を判断すること。

※.透析用監視装置の台数…透析用監視装置の台数の計算に当たり、以下のいずれも満たす透析用監視装置を台数に数えている。なお、直近12か月の各月はじめの人工腎臓を行う日の透析用監視装置の台数の合計を12で除した値をもって透析用監視装置の台数とする。
 ㋐ 透析室に配置されている。
 ㋑ 患者に対して使用できる状態である。

※.アの②における人工腎臓を算定した患者数…直近12か月の各月の患者数(外来患者に限る。)の合計を12で除した値をもって患者数とする。なお、人工腎臓を算定した患者数の計算に当たり、外来で人工腎臓を実施した回数が当該月において5回以下の患者は、当該月の患者数の合計に数えないこと。

イ 関連学会から示されている基準に基づき、水質管理が適切に実施されている。

ウ 透析機器安全管理委員会を設置し、その責任者として専任の医師又は専任の臨床工学技士が1名以上配置されている。

慢性維持透析を行った場合2

【参考】しろぼんねっと:J038人工腎臓(1日につき)

【参考】今日の臨床サポート:J038人工腎臓(1日につき)




支援透析と収支(送る側)

 透析患者に透析を受けてもらうことを優先し、自院から他院へ患者を送り出すことは極めて人道的であり、誹謗中傷の的になることはないと思います。

 一方で、自院で透析を実施しなければ、その日の売上はゼロになります。

  例えば患者数100人透析施設、1日50回の透析を施行している場合、2005点であれば1日1,002,500円の売上です。
 1日休診するごとに100万円の売上が蒸発します。

 人件費、家賃、リース代などは使っても使わなくても出ていく固定費なので、丸ごとマイナスです。

 費用の内訳として、病院では下図のようになっています。透析施設とはやや性質が異なると思いますが、人件費率が高いことは同じだと思います。
 仮に診療報酬の5%が利益、95%が費用であるとすると売上100万円に対し費用95万円、内60万円くらいが固定費として出ていくことになります。

病院会計における支出分布

 支援透析に同行する自院スタッフの旅費などは自院負担であるとすれば、例えば10人が5泊すれば50泊分のホテル代がかかります。

 患者をバスで移動させた場合、バスのチャーター費を誰が負担するのか、患者の宿泊費は誰が負担するのか、といった問題が発生します。
 100人だと4群くらいに分けることになり、1台あたり10万円でも往路で40万円くらいかかります。おそらく、バスは日帰りできないので追加料金がかかると思います。

 100人分の透析用水を備蓄する場合、それだけで12トンです。洗浄やロスする分を足すと15トンくらい必要です。
 断水期間を1週間と見込めば3倍、45トンの備蓄水が必要です。受水槽は5m×5m、駐車場2台分くらいのサイズになります。
 ただし、水道水の長期滞留は残留塩素が低下し水質悪化を招くため、1日2回程度の入替が必要です。仮に1日1回の入替で設計しても、透析6日分の水は貯留できないことになります。


 6日分の水を貯留できるタンクの整備費用、清掃等のメンテナンス費用、設置場所の地代家賃など月平均10万円くらいはかかると思います。
 6日分の貯水槽は設置できないので、この10万円を支援透析のための資金として積み立てていくことが対策の1つになると考えます。
 2011年3月11日の東日本大震災から今月で154カ月なので、月10万円なら1,540万円の対策費が積み上がったことになります。大災害のスパンはどの程度になるかわかりませんが、地道に備えれば、経営危機は回避できるのではないかと考えます。

 固定費が1日60万円とすると、26日で1,560万円です。日曜日を除く1カ月の透析施行日が26日あるので、休業の補填として使うと1カ月までは何とかなるかもしれません。
 市水の断水が1カ月も続くことはないと思いますので、10日程度を見込み、それ以降は給水車が手配しやすくなるなど改善策が見つかるのではないかと思います。

 建物の修繕費などがかかる場合は、別途保険への加入が必要です。

 患者にとって支援透析は有益ですが、医療機関にとってデメリットもあるので、支援透析を選択しない方法も検討が必要です。




自院の強靭性

 市水の停止による断水については、どうにもならないという考えでも良いと思います。そのときは支援透析を選択する方針を掲げておいても良いと思います。

 構内の問題で透析施行を見送り、支援透析を選択することになると事業(ビジネス)として課題があると思います。

 あらゆる障害に対して強靭(きょうじん)に対応できる備えは、廃業を免れるだけでなく、患者もいつも通りの透析を受けられるため、双方にとって良い事が多いです。

 ただし、強靭な備えには一定の費用がかかり、かつ、創意工夫も必要になります。
 そして、BCM(Business Continuity Management)が必要です。人を育てることにより、多少の障害も乗り越えることができるようになります。


 例えば、透析は20床以上が同時に動くことで水や電力が効率的に使われるとした場合、いかにして20床を埋めるかということを考えることになります。発災後に来院できる患者20人以上を1群として管理する、その方法は現場に依存します。

 些細なことでも、小さなズレが尾を引くこともあり、現場の力は非常に重要になります。

 弊社がBCPコンサルサービスとして多く受託しているのが、院内での図上演習や訓練などのマネジメント支援です。

 図上演習とは、例えば大きな地震が起きたというシーンの当初10分間をシミュレーションしたり、下図のようなニュース映像を見て発災30分の段階でどのような対応をするのかというシミュレーションをします。
 コントロール側からはお題だけ出し、プレイヤーである医療機関側のスタッフさんが『私ならこうする』といった、自らの行動を想像して出し合います。
 図上演習の目指すところは気づきです。よくあるのが『会計はやめて医事課から病棟に動員できませんか?』といった話です。


 強靭性の強さは備蓄などのハードウェア、しなやかさはスタッフなどのソフトウェアに係る言葉だと思います。

 人材育成が進めば、相応にハード面の備えも進める必要があります。
 ドライトイレを即席でつくるスキルは身に付けたが、それに使う材料が足りなければ、ドライトイレは作れません。

 透析施設の強靭性が、地域の混乱を軽減するかもしれません。

 良かったら、弊社と一緒に考えませんか?




資料:令和6年能登半島地震

2024年1月2日

 緊急性の高い透析患者2名を搬送した。珠洲市総合病院の1名は夕方までに搬送済、市立輪島病院の患者1名を翌日までに搬送。

 七尾市長の発言によれば、能登総合病院へは給水車が手配され、恵寿総合病院が透析用に15トンの水を要求している旨が発表された。

 志賀町では自前の給水車と自衛隊の給水車で対応している旨の説明があった。

 珠洲市長からは『水、とにかく水』といった発言があった。
 珠洲市では水の提供について、病院の方はまとまった量の水が必要なので自衛隊の協力を得ているが、その水はすべて病院に使う予定である。
 一方で、珠洲市民の大半が避難中であり、断水中であるため、市民向けの水の供給を求める。これに対し、内閣府副大臣から、手配する旨の回答が得られた。

 輪島市については、輪島市長が市役所に登庁できておらず、支所には居るが通信環境が確立しておらず、県庁の災害対策本部員会議に参加できていない。馳知事からは、防災ヘリなどを使って市役所まで運搬するよう要望が出された。

石川県:令和6年1月2日 第5回災害対策本部員会議 資料(22ページ)

石川県:令和6年1月2日 第5回災害対策本部員会議 動画 健康福祉部(13分15秒)

石川県:令和6年1月2日 第5回災害対策本部員会議 動画 七尾市長発言(46分17秒)

石川県:令和6年1月2日 第5回災害対策本部員会議 動画 志賀町長発言(48分19秒)

石川県:令和6年1月2日 第5回災害対策本部員会議 動画 珠洲市長発言(52分35秒)


2024年1月3日

 緊急性の高い透析患者100名を金沢市等へ搬送中。宇出津病院30名、珠洲市総合病院24名、市立輪島病院36名、穴水総合病院10名。
 DMATが透析患者60名を搬送調整中。

 上記内容は翌日修正され、透析患者数は70名、内訳は宇出津病院30名、市立輪島病院30名、穴水総合病院10名を金沢市などに搬送済。

石川県:令和6年1月3日 第7回災害対策本部員会議 資料(28ページ)

石川県:令和6年1月4日 第8回災害対策本部員会議 資料(26ページ)


2024年1月4日

 緊急性の高い透析患者74名を搬送。内訳は珠洲市総合病院43名、市立輪島病院18名、穴水総合病院13名。
 上記以外に市立輪島病院2名の搬送をDMATが調整中。

 この日から妊婦の状況確認が始まっている。

石川県:令和6年1月4日 第9回災害対策本部員会議 資料(28ページ)


2024年1月5日・6日

 前日(1月4日)から進捗報告なし。

 妊婦の状況は確認中のまま変動なし。

石川県:令和6年1月5日 第11回災害対策本部員会議 資料(29ページ)

石川県:令和6年1月6日 第13回災害対策本部員会議 資料(30ページ)


2024年1月7日以降

 『透析が必要な患者は、把握できる限り全て病院に繋ぎ、透析を受けられている』という記載に変わり、石川県健康福祉部としては透析の対応を終えたとの見方になっている。

石川県:令和6年1月7日 第14回災害対策本部員会議 資料(37ページ)


2024年1月8日

 断水している医療機関として以下のようにリストが公表されている。ただし『現時点で把握できる範囲』との付記がなされている。

  • 能登総合病院(給水塔が破損・断水、七尾市から給水車派遣要請あり、給水車により給水済み)
  • 富来病院(建物損傷、断水、ガス不通)
  • 恵寿総合病院
  • 七尾松原病院
  • 輪島病院
  • 珠洲市総合病院
  • 穴水総合病院
  • 宇出津総合病院
  • 柳田温泉病院
  • 診療所 輪島市(倒壊1)
  • 診療所 珠洲市(調査中)
  • 診療所 能登町(断水1)
  • 診療所 穴水町(断水1)
  • 診療所 七尾市(停電1、断水28)
  • 診療所 志賀町(断水4)
  • 診療所 羽咋市(断水8)

 この記載内容は1月9日以降も変わっていないため、おそらく情報がアップデートされていない。特に能登総合病院の『給水済み』は何回実施されたか記載がなく、まったく足りていないとしても、水が充足しているかのように見えてしまう。

石川県:令和6年1月8日 第15回災害対策本部員会議 資料(37ページ)

石川県:令和6年1月9日 第16回災害対策本部員会議 資料(40ページ)

石川県:令和6年1月10日 第17回災害対策本部員会議 資料(40ページ)

石川県:令和6年1月11日 第18回災害対策本部員会議 資料(41ページ)


2024年1月11日

 断水は継続しているが、飲用水は充足している旨が報告されています。
 市町の首長からは、発災後入浴できていない人が存在すること、特に介助入浴者は個別になるため入浴できていない。健常者でも、自衛隊の入浴支援による入浴に限られるため、個人の都合では入浴できていない。

 飲用水が多すぎて床が抜けた場所があるとの報告が経済産業省の担当官からあった。
 経済産業省ではきめ細やかなニーズ対応ということで、首長からの意見に基づく物資調達と供給を行っているため、例えば仮設トイレや紙コップなどは要望に応じて提供済である説明があった。

 物資の供給でございます。

 先ほど国交省からも紹介がありましたけれども、ラストワンマイル、避難所に届けていく、そこがなかなか難しい所でありますが、民間の事業者の力も借りて荷捌きの支援をしているところであります。
 また、産業展示館、一次拠点ですけどもここも物流の管理システムを今日から稼働しています。知事から冒頭紹介がございましたが、水が大量に届いて、一部の置き場所で床が抜けるという事態も報告を受けています。
 そうした物流の管理徹底をしていきたいと思います。

 昨日、首長さままらも日用品のニーズが細かく要請がございました。
 例えば、穴水町や能登町から要請があったブルーシートですけれども、本日それぞれ400ずつお届けができているかと思います。
 紙皿、紙ボウル、紙コップ、こういった要請もありましたので、ニーズに合った物資等を届けていると思います。
 防寒物資、ここについてはジェットヒーターのお届けをしておりますけれども、設置がなかなか難しいとも聞いておりますので、設置支援もして参ります。

 仮設トイレでございますが、本日も追加で27基発送しております。昨日ご要望のございました要配慮者への対応でございますが、既に一台手配することになっていますが、ただし元々数が少ないということもありまして、よくよく相談して参りたいと思っております。
 環境省さんの協力を得ましてバキュームカーの増強が図られているところであります。

 冒頭知事からもありましたが激甚災害指定等々の閣議決定を受けまして、被災中小企業および小規模事業者への手厚い対応も検討していくことになりますが、金融支援につきましては100%補償、これについては別枠に災害関係の補償を適用していきます。
 例えば、通常の補償以外に2億円の追加の補償枠、こういったものが追加されることになります。
 日本公庫における金利の引き下げによる対応、こういったことも充実させていきます。

石川県災害対策本部員会議 経済産業省担当官発言

石川県:令和6年1月11日 第18回災害対策本部員会議 資料

石川県:令和6年1月11日 第18回災害対策本部員会議 動画(29分33秒) 経済産業省発言