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切れたブレーカーを戻す | 登録電気工事業者 | NES株式会社

ブレーカーとは?

遮断器

 ブレーカーとは電気回路を遮断する器具のことで、circuit breaker(サーキットブレーカー)や遮断器などとも言います。

 遮断器の中にも目的別に色々な物があります。
 家庭の分電盤には漏電遮断器と配線用遮断器の2つは最低限取り付けられていると思います。

 漏電遮断器(漏電ブレーカー)とは、回路の漏電状態を監視する遮断器です。単に監視するだけであれば漏電警報器という物もありますが、危険を察知したら自ら電流を遮断することができます。

 配線用遮断器(ブレーカー)は過負荷や短絡などから保護する目的で設置されます。一般的に分電盤内に漏電遮断器は1つですが、配線用遮断器は数個~数十個設置されています。

分岐ブレーカー(配線用遮断器)
分電盤(左が主幹、右が分岐ブレーカー)


分電盤

 分電盤とは、電気の配線を幹線から分岐させるもので、簡単に言えばブレーカーの集合場所です。ブレーカーは分電盤の構成要素の1つです。

 昭和40~50年代の住宅であれば主幹となる大きなブレーカーが1個、分岐となる小さなブレーカーが2~4個程度でしたので、分電盤といっても今のようにプラスチックケースには入っておらず、板の上にネジ止めされただけの手作り感がある物でした。

 近年は住宅でも20個程のブレーカーが付くことが珍しくなくなりました。

分電盤(家庭用に多いタイプ)
分電盤(業務用に多いタイプ)


本稿のメニュー

1.ブレーカーとは?

2.復旧方法:過負荷

3.復旧方法:短絡

4.復旧方法:漏電ブレーカー(ELB)

5.遮断器の種類

6.停電規模と要因

7.漏電と人体




復旧方法:過負荷・短絡

覚知

 家全体で電気を使いすぎた場合は、一番大きなブレーカー(主幹ブレーカー)が作動して全館停電が発生します。
 照明もエアコンも炊飯器も、すべて停止します。

 小さいブレーカーが作動した場合は、分岐回路が許容値を超えたことになります。
 対象の回路だけ停電します。多いのがキッチン。電子レンジを使っている時に冷蔵庫のモーターが回り始めたり、コーヒーメーカーのスイッチを入れてしまったようなときに容量オーバーとなって遮断されます。

 小さいブレーカーは一般的に定格20A(アンペア)、100V(ボルト)で2000W(ワット)程度です。
 大きいブレーカーは契約電力などに依存するため一様には言えませんが、30~50A程度の製品が取り付けられていることが多いと思います。

 この時点では過負荷(オーバーロード)を疑っていますが、短絡(ショート)している可能性もあります。短絡(ショート)は滅多に発生するものではなく、突然発生するというよりは、何かをしたひょうしに発生することが多いので、まずは過負荷を疑うのが合理的です。
 ただし、危険度は短絡の方がはるかに上です。過負荷は予防的に遮断しますが、短絡は危険が発生したときに作動するので、短絡により遮断器が作動した場合、既に何らかのトラブルは発生していると考えましょう。



1.負荷を減らす

 まずは負荷を減らしてから分電盤へ行きます。

  分岐回路(小さいブレーカー)が切れた場合には、いま停電しているエリアのコンセントをすべて抜きます。
 主幹ブレーカー(大きいブレーカー)が切れた場合は、冷蔵庫や電気ストーブなど容量が大きそうな物のコンセントを抜きます。

 エアコンは復電しても自動運転しませんが、冷蔵庫などは自動的に動き始めますので、再び過負荷で遮断される可能性が高くなります。



2.通電

 小さいブレーカーだけが切れていた場合、対象のブレーカーを投入します。

 大きいブレーカーが切れていた場合、大きいブレーカーを投入します。

 負荷を減らしているので、過負荷で遮断していた場合には問題は解され、ブレーカーを投入することはできていると思います。

 この時点で再びブレーカーが作動(遮断)した場合は、短絡を疑います。短絡の復帰は後述します。



3.復帰

 ブレーカーが投入でき、通電状態を確保できたら器具を再びコンセントに差し込んでいきます。

 冷蔵庫のようにスイッチが付いていない器具で、モーターやヒーターなどを積んだ大容量の器具から復帰させていくと良いでしょう。

 エアコン等のスイッチ操作できる器具は後回しで良いです。



4.負荷

 元の状態に戻すために、コンセントを差し終えたら器具(負荷)を運転していきます。

 運転が始まってから再びブレーカーが作動(遮断)した場合、需要と供給のバランスが悪い可能性があります。

 小さいブレーカーの場合は、隣の部屋などから延長コードを引き回すなどの方法で、負荷を今までと違うコンセントに差し込むなどの対応をします。

 大きいブレーカーの場合は、コンセントを差し替えただけでは解決できない場合もあります。根本的に足りないのであれば、負荷を減らすか、電力契約を見直し容量を増やします。




短絡からの復旧

 負荷をかけなくてもブレーカーが作動してしまう場合には、短絡(ショート)を疑います。

 小さいブレーカー(分岐回路)だけが作動する場合、その回路を使わないようにします。

 大きいブレーカー(主幹)が作動する場合は、どこの回路に問題があるか探る作業をします。



1.分電盤の確認

 分電盤では大きいブレーカー(主幹)が切れており、漏電表示は出ていない状態です。

 主幹ブレーカーが漏電ブレーカーを兼ねている場合が多くありますので、漏電であるか過負荷であるかは、ブレーカーの漏電表示を見ます。

 漏電表示が出ている場合は、漏電の対応をします。概ね、同じ作業になります。



2.分岐回路の遮断

 大きいブレーカー(主幹)が切れた状態のまま、分岐回路(小さいブレーカー)をすべて切ります。



3.主幹ブレーカー投入

 主幹ブレーカーを投入します。

 この時点で主幹ブレーカーには、分電盤内の銅板しかつながっていません。無負荷状態です。



4.分岐回路復帰

 分岐回路のブレーカーを1つずつ上げていきます。

 1つあたり5秒程は間隔をあけて、様子を見ながら作業を進めます。



5.悪い箇所発見

 例えば上段の左から2番目のブレーカーを上げた時に主幹ブレーカーが作動した場合、その回路に原因の1つがあります。

 この回路は以後、ブレーカーを下げた状態にしておきます。



6.仮復旧と原因探索

 先ほど発見した問題の回路はブレーカーを『切』の状態にしておき、他の回路は開通させます。

 主幹が切れなければ、問題の回路以外はとりあえずの安全宣言が出せます。



7.火災注意

 ブレーカーが作動(遮断)するほどの事が起きていますので、火災の危険もあります。

 電気工事店(登録電気工事業者)に点検・修理を依頼しましょう。

焼け焦げたプラグは、電気火災の一歩手前
消火薬剤は厚生労働省に認可された、酢をベースに食品添加物成分から作られた中性薬剤を使用。ストーブ火災や天ぷら油火災など、電気火災などに対応。



復旧方法:漏電ブレーカー(ELB)

覚知

 漏電ブレーカーは住宅であれば1軒に1個、オフィスであれば1フロアに1個程度で数は多くありません。
 よって、漏電ブレーカーが遮断されると、広範囲で電気が消えます。住宅であれば全館停電、オフィスなら1フロアや1ブロックが停電します。

 この時点では原因がわからないので、とりあえずば分電盤を見に行きます。懐中電灯と脚立があると良いかもしれません。

 分電盤では、レバー(スイッチ)が下がっているブレーカーを探します。

 漏電ブレーカーのレバー(スイッチ)が下がっていて『切』の字が見えていれば、漏電ブレーカーが遮断状態にあることになります。

 更にレバーの横にある『漏電表示』というボタンが飛び出ていると、漏電を検出して漏電ブレーカーが作動したことになります。



漏電ブレーカーの復旧

 最初に漏電ブレーカーより下流、小さなブレーカー群のすべてのブレーカーを切ります。

 次に、漏電ブレーカーを復帰させます。レバー(スイッチ)を完全に下げてから上げて『入』(ON)にします。

 続いて、小さなブレーカーを順番に入れていきます。



1.漏電ブレーカーの確認

 漏電ブレーカーが遮断され、漏電表示が出ていることを確認します。

 小さいブレーカー群はすべてのレバーが上がっていると思います。
※.平時より下げてあるブレーカーがある場合あり



2.分岐ブレーカーをすべて切る

 漏電ブレーカーが遮断された時点では上がった状態(入の状態)の分岐回路の遮断器(安全ブレーカー)を、一旦すべて下げます(切の状態)。



3.漏電ブレーカーを上げる

 漏電ブレーカーを上げます。

 最初に『漏電表示』のボタンを押し込み、ブレーカーのレバーを一旦最下まで下げ、そしてレバーを上げます。
※.ボタンが自動復帰する機種もあります
※.レバーが最下まで下がっている機種もあります

 ブレーカーが上がった時点で電力は復帰していますが、分岐回路がすべて遮断状態のため照明などはつきません。



4.分岐回路復帰

 分岐回路のブレーカーを1つずつ上げていきます。

 1つあたり5秒程は間隔をあけて、ブレーカーが切れたり家電品から異音がしないかなどを確認します。



5.すべてOK

 分岐回路のブレーカーをすべて上げる事ができた場合、漏電遮断器が作動した原因は不明ですが、電力は元通りに復旧できています。

 宅内(構内)の器具に異常がないか確認して回って下さい。



6.悪い箇所発見

 例えば上段の左から2番目のブレーカーを上げた時に漏電遮断器が作動した場合、最後に操作した回路に漏電の原因の1つがあります。

 この回路は以後、ブレーカーを下げた状態にしておき、本手順の最初に戻って全ての回路のブレーカーを下げて確認していく作業を繰り返します。

 漏電箇所が1カ所とは限りませんので、以後の作業も慎重に行ってください。



7.仮復旧と原因探索

 先ほど発見した問題の回路はブレーカーを『切』の状態にしておき、他の回路は通電させることで一時復旧完了です。

 いま遮断している回路がどのコンセントにつながっているか分かる図面等があれば、現場に行きます。
 わからないときは宅内(構内)を見て回り、コンセントや照明を確認して回ります。
 普段は使っていないエアコン、屋外にあるごみ処理機や井戸ポンプなどが原因の場合もあります。



8.除外試験

 問題のあった回路に接続中のコンセント類をすべて抜きます。

 照明器具や直結されている器具類はそのままにしておきます。

 その状態で再び問題のあったブレーカーを『入』にします。

 漏電ブレーカーが作動しなければ、先ほどプラグを抜いた器具類が漏電原因の第一候補となります。
 漏電ブレーカーが作動した場合、電気工事士の要請が必要です。原因は取り外せなかった器具類、配線路、ブレーカーなど色々と考えられますが、その多くが免許が無ければ触らないものが関係します。



9.器具特定

 漏電の原因となった器具を特定する場合、慎重に1台ずつ試験していきます。漏電の危険が伴いますので、この試験はせずに電気屋さんを呼ぶ方が安全です。

 参考として、比較的安全性に配慮した方法を示します。

 漏電ブレーカー、分岐回路のすべてのブレーカーを切ります。

 次に、漏電が疑われる器具をコンセントに差し込みます。1台ずつ試験するので、1回に1台だけ差し込みます。

 次に漏電が特定された分岐回路、漏電ブレーカーの2つを投入します。
 このとき、漏電ブレーカーが作動すれば当該器具に漏電の可能性があります。以後、使用は中止します。



10.unknown

 原因となる器具等が特定できなかった場合、もしかすると誰かが触れた際に人間を介して漏電したかもしれません。モーターが動作している間だけ漏電しているかもしれません。特定できないから安全ということはありません。

 また、微小な漏電が積みあがって漏電遮断器が動作した可能性もあります。その場合、1つ1つは問題になるほどでは無いということになりますが、宅内(構内)が安全である訳ではありませんので、お気を付けください。



11.professional

 電気工事店に依頼すれば『絶縁抵抗計』という測定器具で回路を測定してもらうことができます。

 この測定器を使う事で、宅内(構内)の配線と地面(アース)との間で電気が流れやすくなっているところが無いか調べることができます。

 理想的な状態は『抵抗無限大』、まったく疎通が無い絶縁状態です。
 しかしながら経年劣化など諸般の事情により抵抗値が測定できる程度に電気が通じ得る状態になってしまいます。

 漏電遮断器が動作してしまったあと、できれば絶縁抵抗計で測定してもらい、安全確認を実施しましょう。

乾電池式の絶縁抵抗計です。HIOKIは日本の計器ブランドです。私も長野にある日置電機には行った事がありますが、しっかりした会社です。



遮断器の種類

ヒューズ - fuse -

 ブレーカーが普及する前はヒューズ(fuse)を使っていました。

 ヒューズとは、金属製の板のような物で、電線との接点となるネジ止め部は銅製、中間部は可溶性の金属(亜鉛等)でできています。過電流で可溶性金属部が溶ける事で回路を遮断します。

 一度切れた(溶けた)ヒューズは再使用できませんので、新品に取り換える必要があります。
 また、取替作業をするときの片側(一次側)は通電状態ですので注意して作業しなければなりません。

 爪付ヒューズを使った遮断器は見かける事が少なくなりましたが、古い工場や農家の納屋などではまだ実用していることもあります。
 似た機能のヒューズは自動車では現在も実用されています。

 ヒューズを使わない今のブレーカーを『ノーヒューズブレーカー』(No fuse breaker: NFB)と呼ぶこともあります。

[Link] 経済産業省:別表第三 ヒューズ



配線用遮断器 - Molded Case Circuit Breaker (MCB) -

 ヒューズ不要の遮断器ということで no fuse breaker (NFB)と呼ぶこともあるサーキットブレーカーです。

 ヒューズと同様に規定の電流値(アンペア)になると引き外されて回路が遮断します。

 ヒューズとの大きな違いは再開通が早く、安全な点です。
 レバー操作だけで復帰できます。
 ヒューズの場合は、ドライバーを使ってツメを固定する作業があり、充電部(電気が通っている箇所)の直近で作業するため感電対策などが必要です。

[Link] 三菱電機:配線用遮断器 のーヒューズブレーカーとは?



漏電遮断器
- Earth Leakage Circuit Breaker (ELB) -

 漏電を検出して回路を遮断する装置です。

 簡略的言うと電気は閉回路、出て行ったものは元に戻り、収支はゼロになります。電気がどこかから漏れると収支バランスが崩れしまいます。その収支の差が一定以上になった場合に漏電遮断器が作動します。

 漏電はアース線を伝って地面に流れる分には多少の安全性が確保されていますが、人体に流れてから地中に流れると危険です。




停電規模と要因

 停電は発生原因や場所によって種類が異なります。

 下図は弊社で作成した電力の配送電経路の概略図ですが、この中のどこで停電するのかによって、停電規模が変わるため、停電発生時の情報収集として、停電点を探ることの重要性を教育するために使用しています。

 停電発生時にまず見るべきは敷地内(建物内)で通電している場所があるか否かです。
 次に近所でも停電しているかどうかを確認します。

 停電対応の具体策については弊社BCPサービスで提供しています。



ミニマム

 最も小さな規模の停電は、何か1つの電気器具が使えない状況かもしれませんが、単にコンセントが抜けているだけかもしれません。

 電気設備系でのミニマムな停電を考える場合、末端のブレーカーが1つだけ切れる停電になります。

 『コンセントが使えない!?』『照明が消えた!!』などの事象から停電を覚知しますが、『この部屋だけ!?』『レンジだけ!?』という場合には、このミニマムな停電であることが多いと思います。



全館停電

 『照明が消えた!!』のあと、家中の電気が使えない場合は恐らく主幹ブレーカー以上の場所で停電が発生しています。

 主幹ブレーカーがオフになったのであれば自身で復旧を試みますが、それより上流で発生した停電は電力会社の仕事になります。

 主幹ブレーカーが切れる原因には大きく漏電、過負荷、短絡があります。



漏電・リーク

 漏電とは、電気回路のどこかから電気が漏れ出し、アース(地球)に電気が流れてしまっていることです。

 漏電は危険なため、漏電遮断器が作動します。

 復旧方法は別途記述します。

[Link] 漏電ブレーカーの復旧方法

[Link] 漏電と人体



短絡・ショート

 電線同士が触れてしまったり、電極が金属部などに触れてしまった場合などに回路の正常ルートを通らず短絡してしまう状況は、電気的に危険です。

 火花がバチバチと散り、接触部や焼け焦げ、器具は破損します。

 短絡は危険なため、配線用遮断器が作動します。

 復旧方法は後述します。

[Link] 短絡からのブレーカー復旧方法



過負荷・オーバーロード

 電線には許容電流と呼ばれる電流値の上限があります。許容電流以上を流し続けると銅線が熱せられビニルの被覆は溶けだし、火災が発生します。
 電柱からの引込線も、宅内(構内)の幹線や分岐線にも許容電流があります。

 コンセントは許容値15Aが一般的です。それ以上流せば器具や配線に異常を来たします。

 電気の使い過ぎによる危険防止のため、一定量以上を感知すると配線用遮断器が作動します。

 復旧方法は後述します。

[Link] 過負荷からのブレーカー復旧方法



電気事業者要因

 多くの家庭や企業は電気を買っています。買うという意識が無くても、電柱等から電線を引込んで使っているのであれば、何らかの契約があります。

 外線と宅内(構内)の線の境界線、責任分界点を境に自分側(二次側)ならば自己責任、相手側(一次側)なら電気事業者側の責任下で発生した停電と言えます。

 雷が落ちた、電柱に車が衝突した、架線に凧が引っ掛かったなど原因は様々ですが、100軒や1000軒といった単位で停電が発生します。

 電源を喪失してしまうので、宅内(構内)で何をしても復旧しません。

北海道電力停電情報

東北電力停電情報

東京電力停電情報

中部電力停電情報

北陸電力停電情報

関西電力停電情報

中国電力停電情報

四国電力停電情報

九州電力停電情報

沖縄電力停電情報

東京電力:電気がつかないときは?




漏電と人体

心臓と電気

 正常な心臓は、自信が発する電気信号によって刺激されて拍動します。自ら心臓を止めたいと意識しても止まらず、自律的に活動しています。

 この電気信号が乱れてしまう、微弱になってしまうなどの病気の治療に用いられる『心臓ペースメーカー』は、心臓を電気で刺激し、心臓を動かさせる(拍動させる)医療機器です。簡単に言うと電池式の電気信号発生装置です。

 AEDなどの『除細動器』は、2つの電極、AEDなら2つのパットで心臓を挟むようにし、その2つの間に高い電圧を掛けて心臓に電気刺激を与え、心臓の電気刺激の乱れをリセットするような医療機器です。

 正常な心臓に外部から電気刺激を与えると、自律的な心臓の刺激信号は乱れてしまい、元に戻れなくなります。信号が来なければ心臓は動かないので、心臓は機能不全(心室細動)に陥り、数分で死に至ります。

 なぜ、感電が怖いのか。それは心臓を止めてしまう恐れがあるからです。

[Link] 小野哲章: 臨床モニタ機器の安全管理, 第24回日本臨床モニター学会安全セミナー, 日臨麻会誌 Vol.34 No.1, 145-150:2014



ミクロショック

 皮膚などを介さず、直接体内が感電する状況をミクロショックと呼びます。

 日常生活では滅多に無い状況ですが、医療機関では点滴チューブや心臓カテーテルなどが血管内に入っているため、ミクロショックが起こり得る状況になります。

 皮膚と違い血液などは水分が多く、電解質も多く含むため電気が流れやすく、すべての血液は心臓を通るため危険です。

 教科書的には0.1mAのミクロショックで心室細動が起こるとされます。

 これは最小感知電流の10分の1の値。患者の周りの医療従事者は漏電に気づかず感電もしない状況ですが、カテーテルが挿入されている患者にとっては致死的な漏電となります。



マクロショック

 一般的に『感電した!』という状況は、手など皮膚を介して身体に電気が流れている状態です。1mA(ミリアンペア)で感電すると言われています。

 皮膚は電気を通しづらい(抵抗値が高い)のですが、汗や水で濡れていると抵抗値が下がるので感電しやすくなります。

 身体の表面で受けた電気刺激が、運悪く心臓を通ると、心停止が起こるリスクが高まります。

 教科書的には100mA以上の電流が体表に流れると、心室細動が起こると言われています。
 最小感知電流(感電していると感じ始める電流値)が1mA、マクロショックは100mA、その差100倍もあるので、滅多に感電死することはありません。



水濡れ厳禁

 体内に直接電気が流れるミクロショックは危険である事は前述のとおりですが、体表で感電するマクロショックの状況下でもミクロショックに近づいてしまうシチュエーションがあります。

 体表面が乾燥していればバリアとなって、およそ数千オームの抵抗となり体内に流れる電流値を安全域に抑えます。
 しかし体表が濡れていると、皮膚の抵抗値は低くなり、体内に電気が流れやすくなります。

 人間の身体を負荷に例えると500オームだと生理学か解剖学の教科書で習いました。
 仮に体表が5,000オームであったとすると、体内と直列回路になるので抵抗値は5,000+500=5,500オームとなります。
 電圧100Vであれば100÷5,500=0.018、18ミリアンペアとなります。

 もし水濡れしていて体表の抵抗値が10分の1、500オームまで下がって居たら100V÷1,000Ω=0.1A、100mAとなり心室細動が起こる電流値となります。

 プールや浴室、厨房などでアースが必要であったり、そもそも電気器具を使うべきでなかったりする理由はここにあります。



アースは大事

 人知れず心臓が直接感電して心室細動を起こしてしまうミクロショックを防ぐには、患者に電流を流さずに地球へ還す方法を考えなければなりません。

 アースが有効に働いていれば、人間よりも地面の方が抵抗値が少ないので、そちらへ流れて行きます。

 筆者が病院の医療機器管理を担っていたある朝、ICU(集中治療室)へ行くと心電図波形に異常が見られました。ベッド柵を触ると消える異常波形の原因は、電動ベッドのアース線の切断でした。
 患者を感電させる前に気づき、処置をしたので良かったのですが、調査を進めるとアースの大切さを知らない作業員が切断したことがわかりました。
 大変危険なことであり、院内勉強会でも取り上げました。

 患者の心臓にショックを与える程の電気を流してよいのは除細動器、一般市民であればAEDだけです。

[Link] 総務省消防庁: 一般市民むけ 応急手当WEB講習

[Link] 電源コンセント



アース工事

 アース工事は、アース棒を地面に打ち込んで、そこにアース線をつないで、家電品などと接続します。

 一般家庭のメインのアース工事では、当社では90cmのアース棒を使っています。地盤によっては1本では十分な接地抵抗が出ない場合がありますので、状況によって変えています。

 アース工事には電気工事士免状が必要です。
 アース棒を地面に打ち込む作業、アース線を接続する作業、アース線を延長する作業にも電気工事士免状が必要です。
※.電気工事士法施行規則 第2条 第2項 第1号 ロ

 アースは生命と財産を守る重要な設備ですので、材料はホームセンター等で買いそろえても、工事は有資格者に依頼しなければなりません。

アースを取るときに使うデバイスです。本格的にアースを取ろうというときには90cmのタイプをお勧めしますが、簡易的にという事であれば、何もしないよりは30cmでも効果があるかもしれません。接地抵抗の測定も併せて実施する事を強くお勧めします。

[Link] 電気工事士法施行規則



アースが要る場所、要る器具

 アースが要る場所は、簡単に言うと湿気の多い場所です。

 人は濡れれば電気を通しやすくなります。
 水は電気の通り道になり、無用な場所に電気を流し火災を起こす恐れもあります。

 アースを必要とする場所としては屋外、ガレージ、軒下、浴室、洗面、脱衣、便所、キッチンなどが挙げられます。
 ただし、一般住宅においてトイレやキッチンがタイル貼りで、普段から水浸しという事はないと思いますので、必要とは言い切れませんが、水がありますので不必要とも言えません。

 家電で言うと屋外で使用されるものは基本的にアースが必要と考えると良いと思います。エアコンも室外機は屋外設置ですので対象です。
 洗濯機や食器洗浄機は水そのものを使いますので対象です。

 冷蔵庫は、対象外と見ても差し支えないと考えます。
 フローリングの部屋に、水がかかるような場所でもなく置かれている家電品ですので、アースは必須ではありません。
 業務用厨房であれば事情は異なります。










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医療機器・設備・環境 知る・学ぶ・楽しむ 電気工事

非常電源と医療機器(ME) | 登録電気工事業者 | NES株式会社

 非常電源や予備電源、防災電源など呼び方は色々とありますが、停電時に医療機器の安全を維持してくれるのでしょうか。
 安全に過ごすために、医療従事者も患者も家族も皆が知っておくべきことがあります。

非常電源

 非常電源とは『商用電源が停止したとき,自動的に電力を供給するための電源の総称』とJISに記されています。またJIS T 1022(2018)の『4.3 非常電源』には『電源の遮断による機能の停止が医療に重大な支障を来たすおそれがる医用電気機器などを使用する医用室の電源回路には,その使用目的に応じて,医用室のカテゴリごとに,表2に基づき,次のa)~c)のいずれかの非常電源を設けなければならない』としています。a~cとは一般非常電源、特別非常電源、無停電非常電源と定義されています。

 消防法と建築基準法は所管や用語が異なるものの、兼ねる部分も多くあり、法に基づく取り締まりの対象でもあることから遵守され、その目的や運用が明確化されています。
 これらの法律は主に、建物内に居る人々を安全に逃がすための救助や救命を目的としており、診療の継続は目的外です。

JIS T 1022消防法建築基準法
非常電源非常電源予備電源
商用電源が停止したとき,自動的に電力を供給するための電源の総称常用電源である一般商用電源が停電したときに,消防用設備等が正常に動作できるように設置する電源非常用照明装置、非常用進入口、排煙設備、非常用エレベーター、非常用排水設備、防火戸・防火シャッター等、防火ダンパー等・可動防煙壁に予備電源の設置が義務

[Link] 日本規格協会 (JSA)
[Link]消防法
[Link]建築基準法




JIS規格の非常電源

一般非常電源特別非常電源無停電非常電源
定義商用電源の停止から、40秒以内で負荷に電力を供給できる非常電源商用電源の停止から、10秒以内で負荷に電力を供給できる非常電源商用電源の停止から、無停電(交流電力の連続性が確実な電源)で電力を供給できる非常電源
コンセント色
※特別非常電源である旨を表示
起動時間40秒10秒無停電
電源自家用発電設備自家用発電設備無停電電源装置(UPS)と自家用発電設備の組合せ
連続稼働時間10時間以上連続運転10時間以上連続運転▽UPSは充電を行うことなく10分以上継続して供給
▽自家用発電設備は40秒または10秒以下で電圧が確立し10時間以上連続運転可能なもの
24時間以上の稼働(定義なし)(定義なし)(定義なし)
用途○40秒以内に電力供給回復が必要なME機器。
○病院機能を維持するための基本作業に必要な照明
○病院機能を維持するための重要な機器又は設備*
○10秒以内に電力供給の回復が必要なME機器
○照明設備のうち10秒以内で電力供給の回復が必要なもの
○無停電で電力供給が必要なME機器
○手術灯(無影灯)

*.重要な機器または設備

  • 医療用冷蔵庫、冷凍庫および温度の保持が必要な装置
  • 医療ガス供給設備(吸引設備を含む)
  • 滅菌器などの設備
  • 通信機器・情報設備機器 ⇒ 医療情報機器(HIS、PACS)、構内情報通信網設備(サーバなど)、構内交換設備(電話など)、誘導支援設備(ナースコールなど)、医療用監視(観察)カメラ設備
  • 防災設備・防犯設備(自動火災報知設備、火災通報設備、電気錠設備など)
  • 警報設備(設備警報、絶縁監視遠隔警報設備など)
  • 自動化装置(自動化学分析装置など)
  • 非常時に電力供給が最低限必要と思われる搬送装置(エレベーターなど)、給排水ポンプ、換気装置など



赤コンセントには何を?

非常電源

 前述のとおり、赤いコンセントは10秒または40秒以内に電力が回復し、その後10時間以上連続して電力を供給できます。

 非常時に使う電源ゆえに、非常時でも継続しなければならな処置や治療に用いる器具類への電力供給が目的で設備されます。

 写真で例示したのはNationalの電気カミソリのACアダプタが赤コンセントに差し込まれている様子です。剃毛といって、処置に必要で電気カミソリを使いますが、非常時に充電する必要性はありません。
 これは、医療安全上は不適切なことですが、これをいちいち注意する部署や職種が不在であることも、潜在的な課題です。



バッテリバックアップ

 赤いコンセントは最長で10秒または40秒の停電が許容されています。

 一瞬でも電源が落ちる事が許容されない機器は赤いコンセントには差し込むべきではありません。

 言い換えれば、赤いコンセントに差し込まれている機器はバッテリを内蔵している機器か、多少は休止しても生命維持に影響の無い機器と言えます。



こんなME機器が差さっている

 赤いコンセントに差し込まれている医療機器は生命維持管理装置や、生命危機につながりやすい循環動態や呼吸に関わる機器、重症患者のモニタリング機器などが接続されています。

 主な機器としては人工呼吸器や補助循環装置は代表的です。停止すれば数分内に患者生命を脅かす装置です。概ねバッテリが内蔵されており危機到来は数時間後だと思われますが、重要な機器類です。 

 循環作動薬などをシリンジポンプで注入している場合には装置停止後数分で血圧や心拍に変化を来たすため、これらの装置も赤いコンセントを用います。

 重症患者の場合は急変も想定されるため、患者監視装置(バイタルサインモニタ)も赤いコンセントに差し込みます。

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注意

 一瞬でも電源を失うと完全停止してしまい、再起動に時間のかかる装置は赤いコンセントではなく緑色の無停電非常電源に接続すべきです。

 例えば10秒の停電すら許容できないほどバッテリが劣化した血液浄化装置があり、その装置が電源を喪失すると復電後に自動復帰できない機種であった場合、まずは緑色のコンセントを使うことを考えます。
 正論としては『バッテリ交換するのが普通』ですが、いまバッテリが異常だとわかっていて治療しなければならないとすれば、患者生命を守れる可能性が高いのは緑色コンセントを使用して治療することも選択肢として候補されます。

 慢性維持透析に使われるベッドサイドコンソールは赤でも緑でもなく白コンセントが選択される場合も多くあります。
 これは機械室にある透析液供給装置やRO装置、高置水槽への揚水ポンプなど透析療法を構成する機器類すべてが非常電源に接続されていなければ、局所的に非常電源を用いても治療を継続できないためです。
 では、慢性維持透析を行っている透析室にある赤コンセントは何の目的で設置されているのか。これは透析室を計画した段階で想定しているはずですが、恐らく人工呼吸器やベッドサイドモニタなどを使う目的であると考えられます。



緑コンセントには何を?

バッテリに頼らない

 バッテリ内蔵機器が増え、装置自体が無停電化されたため緑色コンセントの需要は低下しています。

 バッテリ内蔵ですが、バッテリ駆動時間を正確に測定しているでしょうか。

 例えば輸液ポンプのバッテリ寿命は概ね4年。それが5年経過となると電力喪失から数十秒でシャットダウンする事もあります。シャットダウンしてしまうと流量や積算値はリセットされてしまいます。

 何かの都合で機能を失ったバッテリを内蔵しているME機器を使わざるを得ない場合は、緑色コンセントを利用しましょう。



保育器

 保育器にも色々と種類がありますが、赤コンセントでは不十分な機種の場合、緑コンセントを使います。

 保育器に色々な機器を組み合わせて使っている場合、その組み合わせている機器が1つでもダウンすると一大事です。

 停電という非常時には、暗闇で確認作業をするため見落としもあります。

 見落としても良いように、無停電非常電源を使って安全を確保するという考え方もできます。



UPSは蓄電池

 UPS(Uninterruptible Power Supply)は蓄電池から電力供給するため、電池が底をつけば終わりです。

 むやみに負荷を増やすと、電池は早く消費されます。

 自家発電装置を併用するため40秒後には電力供給が始まる『予定』ですが、何らかの問題で供給されない場合は蓄電池が頼りです。
 停電から10分までは電池が持続できる予定ですが、負荷が少なければ20分大丈夫かもしれません。自家発電設備の異常を察知してからリカバリできるまでの猶予が負荷の量に依存するため、厳密な取捨選択が必要になります。




管理者不在?

境界領域

 電気設備や自家発電設備の維持や保守は施設の電気主任技術者が法令に基づいて適正に管理していると思います。

 医療機器の正常性は医療機関の医療機器安全管理責任者やリスクマネジャーらが責任を持って管理していると思います。

 赤コンセントも緑コンセントも災害時には正常に使え、それを使わなくても診療が継続できるように負荷側のME機器が整備されていても、いざ非常電源を使おうというときのルールが無かったり、トラブル発生時の問合せ先が決まっていなかったりします。

 設備と機器の境界領域に起こり得る『あるある』のようなものです。



ホスピタルエンジニア

 境界を取り払おうと、日本医療福祉設備協会が2012年から検定試験を開始しています。

 『認定ホスピタルエンジニア』は2日間の講義を受け、別な日に試験を受けて合格した人だけが認定されます。
 認定期間は5年間で、更新時期までに指定講習会を受講しなければならないので、時々刻々と変化する時代に沿った情報は得ていることになります。

 ホスピタルエンジニアは境界領域を埋めるのが仕事です。

 自社研究成果ですが、2017年の学会発表でホスピタルエンジニアの境界領域での活動可能性について検討した結果があります。

西謙一: CHE(認定ホスピタルエンジニア)取得臨床工学技士の医療機器-医療設備境界領域の安全管理, 第46回日本医療福祉設備学会



ナース育成

 停電発生時、現場に居合わせる可能性が最も高いのは看護師です。

 初動対応から長期管理まで、適任者となるのは看護師です。

 ただし、何らかの災害を伴う場合には看護師は超多忙、電気設備に気を取られている余裕がありません。

 余裕のない看護師でも対応できる程度までお膳立てしておく、それができるのは設備管理者と機器管理者であり、両者が協働することで実現可能性の高い準備ができます。

 『医療機関における非常電源の適正運用』の管理者が不在であっても、複数の職種が協力し三位一体となって管理者となることで、非常時の安全性を高める事ができます。




非常電源は完璧か?

下流域は対象外

 非常電源はJIS規格にも書かれているとおり『商用電源』を基準に考えます。
 簡単に言えば、電柱から電気が来なくなったときに稼働します。
 すなわち、電柱から電気が来ていれば、構内で何が起きていても関係ないということです。

 例えば病棟の分電盤から火が出て停電したとします。
 この状態では電柱から電気が来ようが、自家発電装置がフル稼働しようが、その病棟のコンセントは使えません。

 このような構内発生の電気トラブルでは、大病院でも混乱を来たしています。



ネズミや水

 漏水や小動物でも電源は喪失します。

 電気工事屋としては、農家の分電盤にネズミが入ってショートした現場や、壁内の電線をネズミがかじったという現場には何度か遭遇しています。医療機関では起こりにくいかもしれませんが、起こり得る事象ではあります。



2020年代には対策!?

 2018年の大阪北部地震や北海道地震では医療機関の停電が多発し、厚生労働省が確認調査を実施しています。

 大阪北部地震では500床以上ある大病院で漏水による構内停電が発生した事例があり、経済産業省からも指導が入りました。

 医療機関が停電に備えても何ら手当てが貰える訳ではないのでレベルアップが強要されることはありませんが、もしも診療報酬等で手当てされるようになれば必然的に設備はレベルアップされるため全体の水準も向上すると考えられます。




規格

日本産業規格 (JIS)

 鉱工業、データ、サービス、経営管理等の品質の改善や合理化のための規格制定とマーク表示を定めた法律『産業標準化法』に則ります。

 認証を受けずにJISマークを表示すると1億円以下の罰金刑になりますが、JISマーク表示が無い商品を製造・販売する事は問題ありません。

 標準化(Standardization)とは『自由に放置すれば、多様化、複雑化、無秩序化する事柄を少数化、単純化、秩序化すること』とされています。

 医療機器のすべてが標準化されている訳ではありませんが、規格がある医療機器はたくさんあります。
 非常電源についても規格がありますが、規格どおりなら医療機器の安全使用が担保されている訳ではなく、規格外だとただちに危険であるという訳でもありません。

[Link] 経済産業省: 国内・国際標準化



JIS T 1022 : 病院電気設備の安全基準

 一般社団法人電気設備学会(IEIEJ)および一般財団法人日本規格協会(JSA)が原案提出して規格化されています。

 医療機器の使用上の安全確保が目的であり、医療機関の電気設備のうち医用接地方式(アース)、非接地配線方式(アイソレーション)、非常電源に対する安全基準および施設方法について規定されています。

 心臓カテーテル室や手術室などミクロショックの恐れが高い医用室では等電位接地が求められ、JIS T 1022ではその方法などが規定されています。医療におけるアースの重要性は認識されていても、正しい方法がわからないとき、JISの規格どおりに施工すれば一定の安全が保たれます。

 非常電源について『電源の遮断による機能の停止が医療に重大な支障を来たすおそれがある医用電気機器などを使用する医用室の電源回路には、その使用目的に応じて、医用室のカテゴリごとに、表2に基づき、次のa)~c)のいずれかの非常電源を設けなければならない』とJIST 1022には記載されています。
 ただし、医療機関にJISマークを表示する訳ではないので、JISどおりに非常電源が設置されていないくても法令違反ではありません。JISの規格に準じて施工するよう指導を受けている場合には、規格どおりに施工する必要があります。

[Link] 日本産業標準調査会: JIS検索



JIS T 1021 : 医用差込接続器

 一般社団法人電気設備学会(IEIEJ)および一般財団法人日本規格協会(JSA)が原案提出して規格化されています。

 交流100Vとの接続に使用する医用差込接続器について規定しています。
 コンセントや差込プラグの形状(極配置)、刃受の保持力、耐熱、耐電圧、耐過電流など差込接続器を製造するにあたり必要な物理値などが記されています。

 保持力試験や耐熱性試験などの方法はJIS C 8306(配線器具の試験方法)を準用します。



JIS C 8303 : 配線用差込接続器

 一般社団法人日本配線器具工業会(JEWA)および一般財団法人日本規格協会(JSA)が原案提出して規格化されています。

 JIS T 1021が交流100Vであったのに対し、JIS C 8303は交流250V以下の電路を対象としています。配線とコードとの接続またはコード相互の接続に使う差込接続器について規定しています。



JIS T 0601 : 医用電気機器

 JIS T 1021や1022が20ページ程であったのに対し、JIS T 0601-1だけでも300ページ以上あり、専門分化された分冊も発行されています。

 対象は医用電気機器(ME機器)および医用電気システム(MEシステム)の基礎安全及び基本性能の規定です。

 JIS T 0601-1の大項目は以下の通りとなっています。なお、JIS T 0601-1はIEC 60601-1を基に日本国の事情を考慮して編集されています。

1.適用範囲, 目的及び関連規格
2.引用規格
3.用語及び定義
4.一般要求事項
5.ME機器の試験に対する一般要求事項
6.ME機器及びMEシステムの分類
7.ME機器の標識, 表示及び文書
8.ME機器の電気的ハザードに関する保護
9.ME機器及びMEシステムの機械的ハザードに関する保護
10.不要又は過度の放射のハザードに関する保護
11.過度の温度及び他のハザードに関する保護
12.制御及び計器の精度並びに危険な出力に対する保護
13.ME機器の危険状態及び故障状態
14.プログラマブル電気医用システム (PEMS)
15.ME機器の構造
16.MEシステム
17.ME機器及びMEシステムの電磁両立性

 JIS T 0601シリーズは以下の物が発行されています。

JIST0601-1第1部:基礎安全及び基本性能に関する一般要求事項
JIST0601-1-1第1部:安全に関する一般的要求事項-第1節:副通則-医用電気システムの安全要求事項
JIST0601-1-2第1-2部:基礎安全及び基本性能に関する一般要求事項-副通則:電磁妨害-要求事項及び試験
JIST0601-1-3第1-3部:基礎安全及び基本性能に関する一般要求事項-副通則:診断用X線装置における放射線防護
JIST0601-2-10第2-10部:神経及び筋刺激装置の基礎安全及び基本性能に関する個別要求事項
JIST0601-2-16第2-16部:人工腎臓装置の基礎安全及び基本性能に関する個別要求事項
JIST0601-2-18第2-18部:内視鏡機器の基礎安全及び基本性能に関する個別要求事項
JIST0601-2-2第2-2部:電気手術器(電気メス)及びその附属品の基礎安全及び基本性能に関する個別要求事項
JIST0601-2-201第2-201部:水治療法用圧注装置及び温浴療法用装置の基礎安全及び基本性能に関する個別要求事項
JIST0601-2-202第2-202部:紫外線治療器の基礎安全及び基本性能に関する個別要求事項
JIST0601-2-203第2-203部:赤外線治療器の基礎安全及び基本性能に関する個別要求事項
JIST0601-2-204第2-204部:空気圧式マッサージ器の基礎安全及び基本性能に関する個別要求事項
JIST0601-2-205第2-205部:医療用マッサージ器の基礎安全及び基本性能に関する個別要求事項
JIST0601-2-206第2-206部:乾式ホットパック装置の基礎安全及び基本性能に関する個別要求事項
JIST0601-2-207第2-207部:キセノン光線治療器の基礎安全及び基本性能に関する個別要求事項
JIST0601-2-208第2-208部:電位治療器の基礎安全及び基本性能に関する個別要求事項
JIST0601-2-21第2-21部:乳幼児用放射式加温器の基礎安全及び基本性能に関する個別要求事項
JIST0601-2-24第2-24部:輸液ポンプ及び輸液コントローラの基礎安全及び基本性能に関する個別要求事項
JIST0601-2-25第2-25部:心電計の基礎安全及び基本性能に関する個別要求事項
JIST0601-2-3第2-3部:超短波療法機器の基礎安全及び基本性能に関する個別要求事項
JIST0601-2-35第2-35部:医療用ブランケット,小型パッド又はマットレス加温装置の基礎安全及び基本性能に関する個別要求事項
JIST0601-2-37第2-37部:医用超音波診断装置及びモニタ機器の基礎安全及び基本性能に関する個別要求事項
JIST0601-2-39第2-39部:自動腹膜かん(灌)流用装置の基礎安全及び基本性能に関する個別要求事項
JIST0601-2-40第2-40部:筋電計及び誘発反応機器の安全に関する個別要求事項
JIST0601-2-5第2-5部:超音波物理療法機器の基礎安全及び基本性能に関する個別要求事項
JIST0601-2-6第2-6部:マイクロ波治療器の基礎安全及び基本性能に関する個別要求事項
JIST0601-2-64第2-64部:粒子線治療装置の基礎安全及び基本性能に関する個別要求事項
JIST0601-2-66第2-66部:補聴器及び補聴器システムの基礎安全及び基本性能に関する個別要求事項


JIS C 4411 : 無停電電源装置(UPS)

 一般社団法人日本電気工業会(JEMA)および一般財団法人日本規格協会(JSA)が原案提出して規格化されています。
 規格は三部構成になってます。

JISC4411-1無停電電源装置(UPS)-第1部:安全要求事項
JISC4411-2無停電電源装置(UPS)-第2部:電磁両立性(EMC)要求事項
JISC4411-3無停電電源装置(UPS)-第3部:性能及び試験要求事項



国際規格

国際規格

 国内に規格がない場合は国際規格を参照します。

 また、輸入品の場合は国際規格に準拠している製品が多いため、国際規格を参照します。
 輸出する場合も同様に国際規格を参照し、適合させます。



IEC 60601 : Medical electrical equipment

 IEC 60601-1は医療用電気機器の基本的な安全性と性能の要件を示している国際規格です。
 有効性を示すのは日本で言えばPMDAの薬事承認、米国ではFDAの承認になりますが、安全性についてはIEC 60601と共通する部分が多くなります。

 電磁妨害に対するリスクを試験によって確認する事を求めています。携帯電話や充電器など様々な電磁波による影響を想定し、電磁妨害の放射試験の実施方法などについてしめされています。

 電磁環境は医療機関での使用のみならず、在宅医療など院外使用もも想定されています。
 電磁妨害へのイミュニティ(耐性, immunity)については使用環境により別々の概念を示しています。
 病院には無い万引防止装置や電気自動車充電器なども、植え込み機器や在宅医療機器では接することになるため、規格の中で想定されています。

 試験はエミッション(放射, emission)が最大となるモードで行う事になっています。ME機器が動作している状態での試験は当然ながら、スタンバイ状態での影響についての試験も考慮すべきとしています。

 試験はTUV(テュフ)など第三者試験機関が請け負ってくれます。

[Link] IEC (International Electrotechnical Commission)

[Link]IEC Webstore: IEC 60601-1: 2018 SER Series

[Link]JEITA(電子情報技術産業協会): 医療機器用電子部品の信頼性ガイド

[Link]TUV: IEC 60601-1 for medical electrical equipment




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医療的ケア児の住まい | NES株式会社

医療的ケア児の住まい

住み慣れた家

 住み慣れた家に住み続けられる幸せを感じる方は多いと思います。

 病院で生活するより、家に住みたいと思っている子も多いと思います。
 家族と触れ合う時間も、自宅の方が長くなると思います。



ケアに馴染まない家

 大抵のおうちは医療的ケア児を育てるために設計されていません。

 ベッドの周りには学習机とワードロープを置くスペースは確保していても、喀痰吸引とオムツ交換のためのスペースや電源は用意されていません。

 リビングや応接間にお客さんを通す想定があっても、子供部屋に看護師が出入することは想定していません。

 特に病院と比べてしまうと見劣りする設備となってしまいます。
 ここは病院ではないとわかっていても、高望みしてしまう親御さんも少なく無いようです。



なにかあったとき

 災害など『なにかあったらどうしよう』という不安にかられる方も少なくありません。

 娘の在宅医療にあまり積極的でないように見えたお父さんが『発電機を買ってきた』と少し驚いていたお母さんがいました。
 働きに出ているお父さんとしては、日頃のケアはお母さんに任せていても、我が子のためにできることはしたいと思っている様子が垣間見えました。

 特に災害は発生後に考え始めてもできることは限られています。
 完璧な備蓄をしても、津波や噴火が起これば逃げるしか手段がありません。

 いまできることは何か、我が家はどこまで準備しているのか、下図のチェック表でもご確認いただけます。
 満点を取る必要はありません。




医療的ケア児の療養住環境の基本

工事が始まれば後戻り困難

 住宅の新築でもリフォームでも、大工さんが工事を始めてから追加や変更することは容易ではなく、工事単価も上がります。

 つまり、工事が始まる前の構想や設計が重要になります。



専門家は誰?

 病気のことや患者をよく理解しているのは医師や看護師、住宅のリフォームや増改築に詳しいのは工務店、両者を橋渡しするケアマネジャーやソーシャルワーカー、それぞれ専門の仕事があります。

 療養住環境の専門家、居そうで居ないです。
 知っているようで、知らない。
 気づいているようで、気づいていない。

 これから在宅でケアを受ける患児、寄り添う家族、『だいたい大丈夫』では困ります。



療養生活について確認

 まずは看護師さんに、在宅で行われる医療行為などについて確認します。

 患児のケア歴が長い家族の場合、専門用語も通じてしまいましが、工務店などは通じないので、咀嚼した言い方を聞いてみましょう。

 また、喀痰吸引などの処置には慣れている看護師でも、その器材や原理などについては詳しくない場合もあります。
 どのような設備や工事が必要であるか、しっかりと話し合い、患者や家族の側も任せきりにならず、自ら考えるよう努めた方が、良い療養住環境を生み出せます。



理解度の相互確認

 療養住環境の施工実績がある工務店さんなどでも、工事の時点では何らクレームが出る事は無いと思います。

 療養が始まってから患宅へ訪問しているような工務店であれば、教訓が蓄積され良い施工をしてもらえると思います。
 あまり療養の『現場』を見たことが無い場合、上手くいっているように感じているだけかもしれません。

 要望するレベルは家庭ごとに異なると思いますので、そうしたすり合わせも大事になります。



家族の志向・思考

 同じ病気で、同じマンションに暮らす患児であったとしても、療養住環境に対する要望は同じではありません。

 診療最優先、不安を1つでも無くしたい家族の場合は『病院と同じ仕様』という要望を出すかもしれません。
 コンセントや酸素ボンベ、ナースコール、照明、ベッドなどすべてをホスピタルグレードに近づけて施工する事は無理ではありません。

 生活も重視したいと思う家族の場合は仕様が異なります。
 健常者のきょうだいが友達を連れて来ても『普通の家』と思えるような空間を残しつつ、療養もしっかりできるレベルにしたい、そう思う家族も少なくありません。

 食事をするスペースと排泄する場所は分けたいと思う家族、常に目の届くところに居て欲しいのでリビングで完結したいと思う家族、色々な考え方があります。

 この多様な考え方、すべては施主の意向であるとすれば、工務店には『どうすれば意向に沿えるか』を考えて貰わなければなりません。

 予算の都合はありますが、施主本位、患者本位で療養住環境はつくられます。



ゾーン分け

 療養住環境を計画する場合、まずはお宅をゾーン分けします。

 病院であれば病室、ナースステーション、トイレや汚物室、浴室、薬品庫、器材庫など多様な部屋があります。
 また、食事は厨房で作られ、配膳車が廊下に停車し配膳され、食後は下膳車にお膳を戻して廊下⇒エレベーターを通って厨房へと戻ります。

 住宅では大きく昼間と夜間の過ごす場所を決めます。次に、看護師ら外からケアに訪れる方々をどこで迎えるかを決めます。
 水廻りをどうするかも決めます。自宅で入浴するのか、排泄はトイレを使うのか否かを検討します。
 オムツや医療廃棄物をどこに保管するのかなどもゾーニングに関わります。



選択肢

 選択肢が多くと困ってしまう。

 そんなときには当社のコンサルティングサービスの利用をご検討ください。

 自ら選択肢を想定し、選んでいける場合はコンサルを使わなくても大丈夫かもしれません。必要かどうか、じっくりご検討ください。




医療的ケア児の現状(厚生労働省)

厚労省が医療的ケア児と家族を支えるサービスの取組紹介

 厚生労働省政策統括官付製作評価官室アフターサービス推進室では2018年12月に『医療的ケアが必要な子どもと家族が、安心して心地よく暮らすために』と題した医療的ケア児と家族を支えるサービスの取組を調査した報告書を公開しました。

 医療機器の装着が強いられる児、食事や排泄など日常生活に介助が必要な児など医療的ケア児が自宅で過ごすには、誰かの看護が必要となっています。

 その看護の一番の担い手は家族であり、主に母親です。
 各種サービスは医療的ケア児向けのサービスではありますが、同時に母親をサポートするサービスでもあります。

 詳しくは報告書をご覧ください。

厚生労働省:「医療的ケアが必要な子どもと家族が、安心して心地よく暮らすために-医療的ケア児と家族を支えるサービスの取組紹介」を公表します (2018年12月19日)

厚生労働省:『医療的ケアが必要な子どもと家族が、安心して心地よく暮らすために-医療的ケア児と家族を支えるサービスの取組紹介-』(報告書全文)




自分ケア専業会社をつくってしまう!?

自分ケア永続

 ご自身、あるいはお子様のケアに満足していますか。
 その満足しているケア、永続性はありますか。

 いま、ご自身(またはご家族)が受けている各種ケアサービスは、サービス事業者から提供されているか、ご家族の無償の労務で構築されていると思います。

 この業務のすべてを事業化し、自らのケアをするための専業法人化するという考え方を持ってみてはいかがでしょうか。

 病院の院長先生が自院に入院するように、自ら運営するケアサービス事業者に自らのケアを依頼するという構図です。



事業化のメリット

 障害のあるお子様を抱えるお母さま方からこんなお願いをされたことがあります。
 『この子の生活の場と、ある程度自立するための収入源としてグループホームを作りたい』

 実際に建物のデザインもしました。

 事業化のメリットの1つは『収入』です。
 『親なき後の子ども』の心配を軽減する狙いがあります。

 また別な理由で事業化した人もいます。
 障害者コロニーから脱出したい、社会に出て生活したいという方でした。

 事業化のメリットの1つに『自由』があります。
 障害者だけでアパートを借りることも中々できない中で、自らの居場所を自ら創り出すことができます。



リスクも顕在

 簡単に事業化できるものではありません。

 株式会社でもNPO法人でも、事業をするからには人件費や諸経費を支払っていかなければなりません。
 建物や車両には修繕や保守が必要であり、事故を起こせば賠償が必要になります。車がパンクしただけで資金ショートするような運営状況では危険です。

 サービス事業者の場合、1人のためだけに1人を雇用する訳にはいかず、勤務交代や専門の違いなども考慮して複数名の雇用が必要であり、できればケアを受ける消費者が複数必要です。
 顧客獲得のためには営業活動や宣伝広告が必要となります。市場競争に参入しなければなりません。

 グループホームの経営でも、数十年後のリフォームや建替の費用積立や、入居者確保のための様々な施策が必要になり無策であれば淘汰されていきます。
 サラリーマンであれば住宅ローンなどは組みやすいですが、収益物件の事業主として借金をするのは容易ではありません。健常者か障害者かという前に、事業者としての評価を受けなければなりません。



非現実的?

 障害者が事業化なんて非現実的ではないか、とよく言われます。
 確かにハードルは高いですが、理由は障害にはありません。事業を興すことに高いハードルがあります。

 雑貨店などはネット通販もできるので、比較的容易に事業を始められます。事業性があるか否かは、センスや仕入値など色々と作用する要素があります。

 障害者サービスを事業化するにはスキルや免許が絡み合ってきます。
 厚生労働省がサービス事業者に課す管理者等の人員配置の他、消防法の防火管理者なども配置が必要です。

 こうしたものをクリアしてまで、自分のための事業所をつくるかどうか、という意味で非現実的かもしれません。

兵庫県:障害福祉サービス事業等の指定申請手続について(居宅系、GH、相談支援)
兵庫県:障害福祉サービス(療養介護・生活介護・自立訓練・施設入所支援)の指定申請等に関する手続き
兵庫県:障害児通所支援事業の指定申請手続き



自分ケアサービスを事業化する

 自分の望むサービスをセルフプロデュースしたい、できれば色々な人にも提供したいと思うならば、やはり事業化という選択肢は有力になります。

 まずは何を事業とする法人をつくるか考えましょう。
 法人格も株式会社、NPO、社団法人など多種多様です。株式会社は書類や条件が揃っていれば登記できてしまいます。

 事業を始めることは比較的簡単ですが、事業を続けることが大変です。



同志・同士で住まう家・専用グループホーム

 事業の1つに『住まい』があります。

 いまの生活での住まいは自宅、炊事や洗濯などは母親、介護は介護事業者、看護は訪問看護事業者といった人が居たとします。
 この内の住まいをグループホームに、母親役を寮母さんのような人に任せる方法でグループホームを事業化します。

 トイレや消防設備を考えると自宅を改装するレベルではないので、適当な中古物件を探した方が良いかもしれません。

 医療や介護などの専門的サービスは1人のために訪問してもらうより、1カ所で数人のサービスをした方が事業者側も効率的ですし、サービスを受ける側も時間内により多くのサービスを受けられる可能性があります。

 1Fにテナントスペースがあるエレベーター付きの中古マンションを買い上げて大家になれば、医療的ケア児専用の賃貸マンションとして家賃収入で維持、いずれはテナントにケア事業者を誘致または起業すれば1棟で様々な用件が済む建物になります。

 それなりの資金が必要ですが、同世代・同疾患の医療的ケア児の母親5人で15戸の中古マンションを5,000万円で購入すれば1人1,000万円の負担(出資)で購入できます。
 家賃6万円なら年72万円、15戸で1,080万円。諸経費を2~3割見込んでも800万円前後が残ります。
 満室ならば月10万円程度の収入を、出資した5人は得られることになります。家賃6万円を支払っても3~5万円は残る計算となります。

障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準(2006年厚生労働省令第171号)

指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準(2006年厚生労働省令第34号)



医療的ケア児、戸建てシェアハウスに集う

 シェアハウスは比較的規制が緩和されています。
 特に障害者向けには『住宅確保要配慮者専用の住宅』として登録した場合、改修費用な家賃補助などの公的支援制度が受けられます。

 会社を創業して事業化するといった大きなものではなく、自宅を大きく改装して数名が下宿できる家の大家さんであり、管理人さんでもある、といった感じで始められます。

 我が子の世話をするの生活の一部としてこられたお母さんも、シェアハウスに住む数名の同士のような家族がいれば、ときには休むこともできます。

 少し形は違いますが、マクドナルドハウスもシェアハウスのようなものです。

国土交通省:シェアハウス ガイドブック
国土交通省:住宅セーフティネット制度について
日本経済新聞:シェアハウス生活、高齢者に広がる 同世代で支え合う(2015年11月4日)
公益財団法人ドナルド・マクドナルド・ハウス・チャリティーズ・ジャパン




当社のしごと

助言

 当社で出来る事は、助言です。

 どのような住まいづくりをしたいのかをお聞きし、間取りや設備についての助言をさせて頂きます。

 臨床経験があり、建設現場の経験もあるので、独自の視点から助言ができます。

 原則として中立的な立場に立ちコンサルティングするのが私たちの仕事なので、工費が増えても減っても損得がないため、施主本位の助言ができます。



リーズナブルに

 施工をしないのに、助言だけに費用を支払うことはコストなのか、必要経費なのか、難しいところだと思います。

 療養が始まってからの住宅改修はなかなか難しいです。追加工事はさらに難しいと思います。1回の工事でなるべく完璧に近づけておきたい、そうした願いに応えるのが私たちの仕事です。

 私たちは不可欠な存在ではありませんが、必要とされるよう努力しています。

カテゴリー
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『講演無料キャンペーン2019春』の実施について | NES株式会社

『講演無料キャンペーン2019春』の実施について

 当社は稀少人材によるレアなサービスの提供を強みとしている零細企業です。同じ仕事をしている方々は居られますが、同じバックグラウンドの方とお会いすることがありません。

 そこで2019年は広く国民の皆様に当社事業を知っていただくことを目指し、講演事業を無償化するキャンペーンを展開します。

 講演会や研修会など形態は問わず、概ね30人以上または30社以上が集まる会合の講師を無償提供します。無償ではございますが、旅費はご負担いただきます。

 講演テーマは不問です。これまで数十回の登壇経験の中でも最多の医工連携関連、電気工事士と臨床工学技士の両実務経験から生まれた療養住環境やブラックアウトBCPなども対象です。

 本講演活動を通じて、ご参加の皆様には1つでも多くの新しい知識を身に付けて頂きたいと思っております。

2018年12月25日
NES株式会社




概要

名称

講演無料キャンペーン2019春

目的

  • 分かりづらいと言われる当社サービスの周知
  • 競合先・協業先を問わず当社事業の同士・同志を発掘

期間

2019年1月1日~3月30日

件数

最大30件(申込順)

方法

講演料(講師料)を無償化

対象

  • 病院内や会社内などで開催される内部勉強会等の場合は30名以上が出席する場合
  • 外部で開催される多数集合型の場合は30社以上が出席する場合

※.上記いずれかの条件を満たせば無償化対象

費用

  • 講演料 0円 (当社負担)
  • 交通費 依頼元負担

講師

指名できません (10回以上の講師経験のある者)

演題

要望可能(当社で通常お引き受けできるテーマに限る)

会場

依頼元が用意 (当社では場所確保や利用料負担はできません)

器材

依頼元が用意 (当社ではパソコンのみ持ち込みます)

資料

なし (ハンドアウトはございません。スライドは差し上げられません)

撮影

不可

カテゴリー
BCP Press Rerease 医療機器・設備・環境 療養住環境 電気工事

52時間停電で実証 現場適応性の高いNESの強靭住環境 | NES株式会社

52時間停電で実証 現場適応性の高いNESの強靭住環境

私たちが実際に被災

 2018年9月4日午後、台風21号が神戸へ上陸しました。

 電柱をも倒すと言われた風速40m/sを超える強風が吹き荒れ、関西地方では千本近い電柱が倒壊しました。
 関西電力と中部電力を合わせ300万軒超の停電が発生し、私たちの拠点がある兵庫県伊丹市でも停電が発生しました。

 9月4日の13時半頃に発生した停電は、9月6日の17時半頃まで約52時間も続きましたが、私たちは平時からの備えがあったためエアコン、冷蔵庫、洗濯機、給湯器、トイレなど生活に必要なアイテムは相当自由に使う事ができました。


受動的より能動的

 『困った時の神頼み』とは『平素は神を拝まない者が、困った時にだけ神の助けを頼みにすること』(広辞苑第六版)との事ですが、災害が起きてから神頼みをしてもすべてが叶うとは考えづらいです。

2018年9月6日
NES株式会社




こんな対応

発災

 2018年9月4日(火)午後、台風21号は神戸へ上陸しました。
 13時半頃、私たちの停電生活が始まりました。関西電力のシステムに不具合が起きたようで正確な情報はわかりませんが、この頃に100万~200万軒が停電したようです。


停電規模 ≠ 災害規模

 2018年9月6日(木)17時半頃に電力が復旧しました。
 関西電力が同日17時点の数値として延べ停電が約219万軒、未復旧(停電中)が約23.4万軒でした。復旧率は8割台でした。

 同9月6日午前3時8分に発生した北海道地震では、51時間後の8日6時の時点で99%の停電が復旧していましたので、1次災害の規模と停電規模は相関する訳ではないことが明らかになりました。


停電でも物資不足

 同時に被災する人が多ければ、救助や支援を受けられる確率は低くなります。
 更に停電は、緊急的な生命・財産の危機ではないため、支援を期待し過ぎない方が良いようです。

 今回の台風21号で言えば、近隣のスーパー、コンビニ、ドラッグストアは、停電後に1軒も開いていませんでした。自動販売機も停止するため飲食物は何も手に入りません。
 地震や暴風雨雪のような1次災害とは違い、2次災害だけでは避難所が開設されることは稀です。今回も避難所開設はなく、非常食配給や炊き出しもありません。
 今回は偶然にも3日目の朝に北海道で大地震が発生し、国民の関心は北海道へと向けられました。関西の被害状況といえば関西空港の連絡橋が中心となってしまったので、静かな停電生活となっていました。


情報不足

 ケーブルテレビが不通となり視聴不可、ネット視聴しても『関西電力社長が謝罪』と頭を下げる映像は流していましたが復旧に関わる情報は得られませんでした。受信可能なラジオ局は災害モードでは無く状況は不明なままでした。
 関西電力の停電情報ホームページがダウンしていたようで、非常に貧相な情報の中で復電を待ちました。

 騒ぐほどの被災という雰囲気がないためか、情報発信もあまりなされず、支援物資が届くとかボランティアセンターが開設されて多くの人が往来するといった状況ではありませんでした。


自衛・籠城

 私たちは自衛策を展開して自宅にこもりました。

 初動段階では懐中電灯やローソクを用意し、太陽光発電システムを自立運転に切り替えました。台風の最中ですので太陽光発電はほぼゼロでした。

 ただちに情報収集を始めましたが、ネットやラジオからは情報が得られませんでしたので、大規模停電も想定し準備を開始しました。

 ガスと水道は正常であったため、電力確保により平常を維持できました。
 電力確保ができなかった場合、ガスコンロは使えましたが給湯器は使えず、入浴はできなかったでしょう。
 近所では車中泊される方も居りました。30℃超の日にエアコンが使えず、冷蔵庫も使えない生活。40℃の酷暑をエアコンで乗り切った身体には、30℃でもエアコンなしは堪えます。




詳細

詳報

 ここでは概要をご紹介いたします。

 詳細についてはAmpiTa Projectのウェブサイトにて公開しておりますので、そちらもご参照ください。

[Link] AmpiTa: 停電52時間全記録


自家発電

 大雨の中でしたがenepo(カセットガス式可搬型発電機)を準備し始動、延長ケーブルを使って宅内に電源を取り込みました。

 この方法で冷蔵庫などコンセントに差し込む器具は動作させられますが、私たちは電気工事士として独自の処理を加え給湯器や天井照明も使えるようにしました。

 自家発電機1台でエアコンと冷蔵庫の併用が可能でした。
 洗濯機や給湯器はエアコンほどの消費電力はありませんが、途中で停まってほしくないため、エアコンを一時休止し、冷蔵庫は運転継続したままいつも通りの洗濯や入浴ができました。

バイクのホンダから出されている原付バイクほどのエンジンを積んだカセットガスを燃料とする発電機です。

食事は我慢できても、トイレは我慢できない

 トイレは平時の利便を考慮し全自動トイレ(アラウーノ)を設置していますが、従来型のタンク式も1基設置しているため誰もが平常どおりのトイレ利用をしていました。

 停電中に全自動トイレ(アラウーノ)を使うこともありましたが、手動レバーでの排水と、手桶での給水で対応できました。

自動洗浄トイレ(アラウーノ)停電時洗浄方法【動画説明】


食事も我慢しない

 食事については冷蔵庫が使えたので苦労は少なかったです。炊飯器が電力不足で使えないためレトルトパックの御飯を湯煎しました。カセットこんろでも良いので鍋に湯が沸かせることの重要性が実感されました。

 ルクルーゼのホーロー鍋調理も有用でした。朝一番に加熱調理、火を落として夕方まで放置し鶏大根を作りました。

 換気扇が使えない場合、夏場であれば調理の熱と蒸気が住環境を悪化させ、熱中症リスクを高めます。調理方法についても検討が必要です。


ビデオは視聴可

 電源が確保できれば、ビデオ視聴は可能です。

 飽きてしまった子供にはちょうど良いアイテムでした。

 ケーブルテレビの装置類にも電源供給しましたが、光回線自体にトラブルがあったようで地上波を含め受信不可でした。

 天井照明が点き、テレビがついていると正常性を感じられますが、一歩外へ出れば暗く静かな街があります。


総括

 結果として復電までに52時間もかかる停電に遭遇しました。

 平時からの備蓄と対応シミュレーションが役立ち、大きな混乱もなく3日間を過ごしました。

 電力の喪失が『電気』だけでなく給湯器にも及び、ポンプを使って給水している家庭では断水にも波及してしまいました。

 私たちの保有する冷蔵庫を医療機器や生命維持管理装置に見立てた場合、52時間の停電でも外部の力を借りることなく動作させ続けることが可能でした。
 仮に内蔵バッテリで2時間程度の停電が許容される医療機器であれば、自家発電の準備に2時間程の余裕があります。

 人工呼吸器などを使っていると停電リスクにも目が行きますが、今回は熱中症リスクを間近に感じました。
 ほんの数週間前には気温が40℃近かった日があり、死者が出てもおかしくないと思いました。さらに大量発生する熱中症患者への対応で救急隊や医療機関が混乱するとなれば、平時には助かる急患も生命危機が近くなってしまいます。
 私たちのような『備え』があれば熱中症や凍死のリスクを『軽減できる』とすれば、備えていないことをリスク要因であるととらえ、特に弱者を抱える療養環境では『身を守る術』として準備して頂ければと思います。




療養上のリスク・ハザード

hour (数時間)

 人工呼吸器などの医療機器を使用している場合、停電後2~3時間でリスクレベルが高まります。

 内蔵バッテリにより2時間程度は動作しますが、電源が途絶えれば全く動作しなくなります。

 内蔵バッテリは容易には追加補充できるものではないので、早めに患者を安全な場所へ移動させるか、自前の医療機器用外部電源の確保が必要になります。


day (日単位)

 今回の台風は、まだ気温が30℃を超えるような夏場に発生しています。

 日本の夏は熱中症リスクが高まっており、東京消防庁の発表では真夏のある期間に搬送された熱中症患者の45%が住居、そしてエアコンを使っていない人が多かったそうです。

 停電するとエアコンも扇風機も使えません。
 冷蔵庫や自動販売機が停止し冷たい飲み物も手に入りません。

 熱中症は大きな脅威です。


Emergency (緊急時の移動)

 救急車が平常ではありません。

 自宅の電話回線が使えなければ、119番通報もかかりつけ医への連絡もできません。今回の台風21号では固定電話は不通、携帯電話は使えました。

 信号が消灯しているため、交通混乱が発生し、自家用車でも救急車でも、移動時間は膨大化します。
 連鎖的に、119番通報へ対応する救急車に遅れが生じるため『いつもなら10分以内』というような想定は通じないのが実際です。




 その実践のために日頃から、あらゆる業界や人材との接点を持ち、業界用語を理解し、相互関係を築き上げています。
 これまでに培ったノウハウが独創的なアイディアを生み出し、課題解決に寄与しています。


非常時の医療を支える計画の策定や実装のお手伝いを致します。
ヘルスケア・医療機器、サービスの創出と課題解決をお手伝いします。
医療機器と設備の両現場経験に基づく新しい管理手法をご提案いたします。
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お知らせ 医療機器・設備・環境 講演

第13回アジアメディカルショー 講演 | NES株式会社

 アジアメディカルショーで講演しました。

 テーマ『情報整理から始めるME安全管理の手法紹介と新しい技士連携について』で、企業の方を中心に見てお話させて頂きました。




[Link] NES株式会社: 医療機器⇔医療福祉設備同時的管理

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お知らせ 医工連携 医療機器・設備・環境

【新着通知】医療機器安全管理体制 | NES株式会社

 厚生労働省より新しい通知が出ました。

 2007年実施の第5次医療法改正で義務化された医療機器安全管理について、11年を経過して改めて通知が出ました。

 良質な医療の提供、国民が受ける医療の安全性向上を目指す主旨は変わらないものと思います。

 時代の変化に合わせ、医療現場の常識や水準も少しずつ変化しています。この通知はそうした現場の状況を見直す機会になると考えています。



通知文章


医政地発0612第1号
医政経発0612第11号
平成30年6月12日

各都道府県衛生主管部(局)長殿

厚生労働省医政局地域医療計画課長(公印省略)
厚生労働省医政局経済課長(公印省略)

医療機器に係る安全管理のための体制確保に係る運用上の留意点について

 医療法(昭和23年法律第205号。以下「法」という。)第6条の12及び医療法施行規則(昭和23年厚生省令第50号。以下「規則」という。)第1条の11の規定に基づき、病院、診療所又は助産所(以下「病院等」という。)の管理者が講ずべき医療機器に係る安全管理のための体制確保のための措置(以下「安全管理体制確保措置」という。)については、「良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律の一部の施行について」(平成19年3月30日付け医政発第0330010号厚生労働省医政局長通知)により通知し、その運用に当たって、「医療機器の安全管理のための体制確保に係る運用上の留意点について」(平成19年3月30日付け医政指発第0330001号・医政研発第0330018号厚生労働省医政局指導課長・研究開発振興課長連名通知。以下「前通知」という。)により留意点を付してきたところである。今般、厚生労働行政推進調査事業「中小医療機関向け医療機器保守点検のあり方に関する研究班」において、病院等におけるCT・MRI装置に係る保守点検指針を取りまとめた、「医療機関における放射線関連機器等の保守点検指針」(別添1)が策定されたことに伴い、前通知を廃止し、今後、安全管理体制確保措置については下記のとおりとすることとしたので、遺憾なきを期されたい。
 また、貴管下の病院等に対し周知するとともに、必要に応じこれらの機関を指導されたい。


第1 医療機器安全管理責任者について

 病院等の管理者は、法第6条の12及び規則第1条の11第2項第3号に規定する医療機器の安全使用のための責任者(以下「医療機器安全管理責任者」という。)を配置すること。
医療機器安全管理責任者については次のとおりとする。

1.資格

医療機器安全管理責任者は、医療機器の適切な使用方法、保守点検の方法等、医療機器に関する十分な経験及び知識を有する常勤職員であり、医師、歯科医師、薬剤師、助産師(助産所の場合に限る)、看護師、歯科衛生士(主として歯科医業を行う診療所に限る。)、診療放射線技師、臨床検査技師又は臨床工学技士のいずれかの資格を有していること。なお、医療機器の適切な保守を含めた包括的な管理に係る実務を行うことができる者であること。

2.他の役職との兼務

 病院における医療機器安全管理責任者は、管理者との兼務を不可とするが、医薬品安全管理責任者等の他の役職との兼務を可とすること。

3.安全管理のための体制を確保しなければならない医療機器

 医療機器安全管理責任者は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号。以下、「医薬品医療機器等法」という。)第2条第4項に規定する病院等が管理する医療機器の全てに係る安全管理のための体制を確保しなければならないこと。なお、当該医療機器には、病院等において医学管理を行っている患者の自宅その他病院等以外の場所で使用される医療機器及び、病院等に対し貸し出された医療機器も含まれること。

4.業務

医療機器安全管理責任者は、病院等の管理者の指示の下に、次に掲げる業務を行うものとすること。なお、病院及び患者を入院させるための施設を有する診療所においては、安全管理委員会との連携の下、実施体制を確保すること。

(1)従業者に対する医療機器の安全使用のための研修の実施
(2)医療機器の保守点検に関する計画の策定及び保守点検の適切な実施
(3)医療機器の安全使用のために必要となる情報の収集その他の医療機器の安全使用を目的とした改善のための方策の実施


第2 従業者に対する医療機器の安全使用のための研修について

 医療機器安全管理責任者は、規則第1条の11第2項第3号イの規定に基づき、従業者に対する医療機器の安全使用のための研修については次のとおりとする。

1.研修の定義

 医療機器の安全使用のための研修は、個々の医療機器を適切に使用するための知識及び技能の習得又は向上を目的として行われるものとし、具体的には次に掲げるものが考えられること。

(1)新しい医療機器の導入時の研修

 病院等において過去に使用した実績のない新しい医療機器を導入する際には、当該医療機器を使用する予定の者に対する研修を行い、その実施内容について記録すること。なお、体温計・血圧計等、当該病院等において既に使用しており、操作方法等が周知されている医療機器に関しては、この限りではないこと。

(2)特定機能病院における定期研修

 特定機能病院においては、特に安全使用に際して技術の習熟が必要と考えられる医療機器に関しての研修を年2回程度、定期的に行い、その実施内容について記録すること。
 なお、特に安全使用に際して技術の習熟が必要と考えられる医療機器には次に掲げる医療機器が含まれること。

①人工心肺装置及び補助循環装置
②人工呼吸器
③血液浄化装置
④除細動装置(自動体外式除細動器(AED)を除く。)
⑤閉鎖式保育器
⑥診療用高エネルギー放射線発生装置(直線加速器等)
⑦診療用粒子線照射装置
⑧診療用放射線照射装置(ガンマナイフ等)

2.研修の実施形態

 研修の実施形態は問わないものとし、病院等において知識を有する者が主催する研修はもとより、当該病院等における外部講師による研修、当該病院等以外の場所での研修、製造販売業者による取扱説明等も研修に含まれること。
 なお、他の医療安全に係る研修と併せて実施しても差し支えないこととすること。

3.研修対象者

 病院等において当該医療機器の使用に携わる医療従事者等の従業者

4.研修内容

 研修の内容については、次に掲げる事項とすること。

①医療機器の有効性・安全性に関する事項
②医療機器の使用方法に関する事項
③医療機器の保守点検に関する事項
④医療機器の不具合等が発生した場合の対応(施設内での報告、行政機関への報告等)に関する事項
⑤医療機器の使用に関して特に法令上遵守すべき事項

5.研修において記録すべき事項

 上記1(1)及び(2)の研修については、開催又は受講日時、出席者、研修項目のほか、研修の対象とした医療機器の名称、研修を実施した場所(当該病院等以外の場所での研修の場合)等を記録すること。

6.その他

 上記1(1)及び(2)の研修以外の研修については必要に応じて実施すること。


第3 医療機器の保守点検に関する計画の策定及び保守点検の適切な実施について

1.保守点検計画の策定

 医療機器の保守点検に関する計画(以下「保守点検計画」という。)の策定に当たっては、医薬品医療機器等法の規定に基づき、添付文書に記載されている保守点検に関する事項を参照すること。また、必要に応じて、当該医療機器の製造販売業者に対して情報提供を求めるとともに、当該製造販売業者より入手した保守点検に関する情報をもとに研修等を通じて安全な使用を確保すること。

(1)保守点検計画を策定すべき医療機器

 医療機器の特性等に鑑み、保守点検が必要と考えられる医療機器については、機種別に保守点検計画を策定すること。
 保守点検が必要と考えられる医療機器には、次に掲げる医療機器が含まれる。

①人工心肺装置及び補助循環装置
②人工呼吸器
③血液浄化装置
④除細動装置(自動体外式除細動器(AED)を除く)
⑤閉鎖式保育器
⑥CTエツクス線装置(医用X線CT装置)
⑦診療用高エネルギー放射線発生装置(直線加速器等)
⑧診療用粒子線照射装置
⑨診療用放射線照射装置(ガンマナイフ等)
⑩磁気共鳴画像診断装置(MRI装置)

(2)保守点検計画において記載すべき事項

 保守点検計画には、以下の事項を記載すること。

①医療機器名
②製造販売業者名
③型式
④保守点検をする予定の時期、間隔、条件等

2.保守点検の適切な実施

(1)保守点検の記録

 上記1(1)に掲げる保守点検が必要と考えられる医療機器については、個々の医療機器ごとに、保守点検の状況を記録すること。保守点検の記録は、以下の事項が把握できるよう記載すること。

①医療機器名
②製造販売業者名
③型式、型番、購入年
④保守点検の記録(年月日、保守点検の概要及び保守点検者名)
⑤修理の記録(年月日、修理の概要及び修理者名)

 なお、上記以外の事項でも、医療機器の保守点検を実施する過程で得られた情報はできる限り記録及び保存し、以後の医療機器の適正な保守点検に活用すること。また、CT・MRI装置については、厚生労働行政推進調査事業「中小医療機関向け医療機器保守点検のあり方に関する研究班」による「医療機関における放射線関連機器等の保守点検指針」(別添1)がとりまとめられているため、当該指針も踏まえて保守点検の記録を行うこと。

(2)保守点検の実施状況等の評価

 医療機器の特性を踏まえつつ、保守点検の実施状況、使用状況、修理状況等を評価し、医療安全の観点から、必要に応じて操作方法の標準化等の安全面に十分配慮した医療機器の採用に関する助言を行うとともに、保守点検計画の見直しを行うこと。

(3)保守点検の外部委託

 医療機器の保守点検を外部に委託する場合には、法第15条の2に規定する基準を遵守すること。なお、医療機器安全管理責任者は、保守点検を外部に委託する場合も、保守点検の実施状況等の記録を保存し、管理状況を把握すること。


第4 医療機器の安全使用のために必要となる情報の収集その他の医療機器の安全使用を目的とした改善のための方策の実施について

1.添付文書等の管理について

 医療機器の使用に当たっては、医療機器の製造販売業者が指定する使用方法を遵守すべきである。そのため、医療機器安全管理責任者は、医療機器の添付文書、取扱説明書等の医療機器の安全使用・保守点検等に関する情報を整理し、その管理を行うこと。なお、医療機器を管理する過程で、製造販売業者が添付文書等で指定した使用・保守点検方法等では、適正かつ安全な医療遂行に支障を来たす場合には、病院等の管理者への状況報告及び当該製造販売業者への状況報告を行うとともに、適切な対処法等の情報提供を求めることが望ましいこと。

2.医療機器に係る安全性情報等の収集について

 医療機器安全管理責任者は、医療機器の不具合情報や安全性情報等の安全使用のために必要な情報を製造販売業者等から一元的に収集するとともに、得られた情報を当該医療機器に携わる者に対して適切に提供すること。

3.病院等の管理者への報告について

 医療機器安全管理責任者は、自らが管理している医療機器の不具合や健康被害等に関する内外の情報収集に努めるとともに、当該病院等の管理者への報告等を行うこと。また、情報の収集等に当たっては、医薬品医療機器等法において、①製造販売業者等が行う医療機器の安全な使用のために必要な情報の収集に対して病院等が協力するよう努める必要があること等(第68条の2第2項)、②病院若しくは診療所の開設者又は医師、歯科医師、薬剤師その他の医薬関係者は、医療機器について、当該品目の副作用等の発生を知った場合において、保健衛生上の危害の発生又は拡大を防止するため必要があると認めるときは、厚生労働大臣に対して直接副作用等を報告することが義務付けられていること(第68条の10第2項)に留意する必要があること。


第5 その他

 保守点検計画の策定等についての不明点は医政局経済課に問い合わせること。




[Link] NES株式会社: 医療機器⇔医療福祉設備同時的管理